完全な空想なので楽しんでいってください。
秩父夜祭は、秩父神社の神様が武甲山の神様に逢いに行くのだが、なぜか秩父市内から離れた三沢が提灯群の先頭になっている。(列の先頭は元々妙見宮があった宮地。最後は秩父神社のある本町。なのは分かるが…)
これを解決してみました。
実は同じ日にもう一つ書いておきたいことがあった。
三沢方面に向かったオオカミであるが、三沢の民は禿頭に降伏し、兵士として武装する者がオオカミの部下を捉えようとうようにして、南にある栃谷、横瀬方面に通じる道を関所のように封鎖してしまっていた。
兵士の大半と、ネズミになった天神を諏訪城方面に移動させ、自らは輿に乗り、三沢に入り、山の神大神社に入った。
あの爆発を耐えて、生き残った天神の部下たちに命じて、三沢にはどれほどの味方がいるのか探らせていた。
案外山の中というのは見つからないもので、十分に情報を仕入れることが出来た。
それによると、禿頭は天神の部下を追うために三沢の人たちを利用しているだけで、実際匿っている人が多いため、治ったら帰す予定なこと、逆に天神が来るのを待っていさせているとのこと。
三沢では次々と仏教の施設を造っているが、それは来世や未来での幸福を祈るもので、殺生を禁じ、迫害する気はないと言っていること。
ただ、栃谷を守っているのは本当に禿頭に同意したメンバーだということが分かった。
早速メンバー全員で会議となった。
どのように戦うのか、他に回避できる道はあるかなど話し合われたが、三沢の人たちの案で関を突破するこれに決まった。
しかし、オオカミとしては、仏教のフリというのもしたくはなかったが、三沢の人々にはそれを打破する方法がなくもなかった。神と言ってもなんとかなる方法が…
次の日。
三沢の人たちは匿っている天神の兵士をカゴのようなものに入れ、二人で担ぎ、布を被せ、布に、「御供物」と書いた。
そして、隊列を先導大麻、大榊、山に住む天狗、日月万燈、楽人、錦旗、御手箱、太刀箱、そして御供物、御神饌、大幣、そして布で覆ったオオカミの輿、馬が2頭その上に武装した人物が二人。という隊列を組み、関所に向かった。
「おい、待て!お前たち、どこへ行く?」
もちろん関を守る兵士たちに止められた。
オオカミは輿の幕の中から外を伺った。
「果たして大丈夫だろうか…」
この状況ではバリバリ怪しまれてしまう。
「いざとなれば、僕が人質になって、みんなは逃そう…」
大幣を持つ三沢の名主が答える。
「こちらは、三峰神社です。」
「なに?」
一番前の御供物を剥がした。
中には傷だらけの兵士がいる。
「たしかに…どうして今頃?」
「実は、三峰神社が撤退したときに我々は残って、ゲリラ攻撃を行なっていたのです。三沢が仏教の手に落ちたと聞き、もう大丈夫だろうということで撤退して行くのです。」
「そうですか…うーん…」
「なにか?」
「いや…うーん…」
なにか言いたそうだ。
はぐらかしながら、兵士は隊を隅から隅まで見ている。
「この輿に乗っているのは?」
「こちらは司令官です。」
「そうか…」
ドキドキ!
「お目にかかりたいな。」
「!(来た!)」
兵士が輿の幕に手をかけようとした時、
「今、こちらには乗っておりません。後ろの馬です。」
「馬!?」
「おい!なにを騒いでる。」
馬に乗った身代わり武者が話しかけた。
そういえばご丁寧に顔を半分布で隠していたな…
「余が三峰神社撤退に際して、殿を務めた将である。武器、兵糧もなく、命からがら逃げてきた我々に対し、これが仏教の態度なのか!せめても神道の心意気は忘れぬようにと御神幸行列を組んだにも関わらず…」
ウッウ…と泣く演技までする。
「は…ははぁ!申し訳ございません!」
兵士は思わず土に膝をつけ詫びを申した。
「…本当に素人なのだろうか?まるで本当に戦った人のようだ。」
オオカミは思わずつぶやいてしまった。
「では、通らせてもらうぞ。」
「ははぁ!…三峰神社様にもよろしくお伝えください。」
「心得た。」
輿が動き出し、馬の蹄の音が聞こえてきた。
「よし…うまくいったようです。」
外から名主の声が聞こえる。
すると、太鼓、笛が鳴り出した。
まるで祭りの行列のようになった。
御神幸行列は、その日のうちに、高篠の恒持神社に入った。
オオカミがゆっくり輿から出てくる。
「三沢の人たちよ。」
「「「ははぁ!」」」
「よくあの関所を突破してくれた。名主の機転と、馬上の武者の口上見事であった。」
「「もったいなきお言葉。ありがとうございます。」」
「それと、栃谷に抜けてからの演奏。我々の緊張した心を和ごましてくれた。おかげで後ろに怯えることなくまた、一人も被害者を出さず高篠まで撤退することが出来たこと。これは一騎当千を越す快挙である。」
「「「ははぁ!」」」
「そこで、一つ決めたことがある。」
「「「!?………」」」
「それは、我々が御神幸行列を行う際には、御供物と提灯を出仕させるのだ、三沢の提灯を先頭にすることとする。そのように秩父のものに伝える。いつまでも私を助けて欲しい。」
「は、はい!ありがとうございます!」
こんなことがあったのかなかったのか、秩父夜祭りの御神幸行列に、三沢の提灯は先頭の方にある。
オオカミが秩父神社に着くのはこの次の日の午後である。