異世界だから良いでしょうか?
「おい!ハハソ!起きろ!お諏訪様の館で何日寝てるんだ!」
バシ!バシ!と布団のように叩かれて起こされた。
「つわうん?ここは?」
「ハハソくん。川に流されたぐらいで5日も寝ているようでは困ります。」
ネズミが胸に乗っている。
どうやら天神様が僕の上で暴れたようだ。
「い!。5日ですか!?」
「はい。諏訪城に運び込まれた時は息もしていなかったんですよ。」
「なに!?本当ですか?」
「はい。この5日あ間、稲荷様とカジカ様の手当てでなんとか呼吸は取り戻していたは、いましたが…叩いたら起きるんじゃないか?と思っていたので、やってみたら起きた次第です。」
考えてみると、立派な布団に、畳が敷いてある。
「…ここは諏訪城の?」
「障子を…」
言われるまま、障子を開けると…
「諏訪城本丸で、」
燃え盛る川、そしてその奥に、何十、何百もある仏教の旗。旗。旗。
「敵、3万に取り囲まれてます。」
「……い、5日で。」
「えぇ、おそらく援軍を呼んだのでしょう。油を使った攻撃を仕掛けてますから壁を上がられる心配はないですが、二の丸、三の丸が…」
諏訪城は三方向を川に囲まれ一方は土を盛った土塁と空堀に守られている。正三角形の土地である。
もっと言うと、正三角形の中心付近から、土塁に接する線と水平に堀が切ってあり、土塁が接する面も真っ二つに切れている。
そして、土塁と面している広場を二の丸、三の丸、接していなくて、崖に守られているところが諏訪神社のある本丸である。
「みんなは?」
「そちらの防衛です。」
「良し!」
「お待ちを。お諏訪様から伝令です。」
「うん?」
「起きたら太鼓を鳴らせ。早くしないとみんな死ぬ。だそうです。」
周りを見る。
大太鼓が置いてあり、バチもある。
「どうしてそう大事なことを早く言わないんですか!?」
走る。
「危機感持つでしょう?」
「着くや否や、太鼓をドンドン!叩いた。
「ハハソさん。見てください。旗が去っていきますよ。」
それどころじゃない。一人でも多く助けなければ。
僕は思いっきりひたすら叩いた。
「ハッハハ!ハハソくん!助かったぞ!」
杖をつきながら、日御碕様が入ってきた。
「日御碕様!」
「おっと、近づかない方がいいか。」
日御碕様が距離を取った瞬間、傍から誰か走ってきて、飛びついた。
「なんだ!?」
耳が生えている。
カジカさんか。
「よかった。死んじゃったかと思った。」
「…す、すみません。看病してくれてありがとうございます。」
「感動の再会のところごめんなさいね。」
お諏訪様がいらした。
「お諏訪様。」
「ハロー!ハハソくん。元気そうだねぇ。起きて早々だけど、お願いがあるのだけど、聞きたい?」
「お願い?」
「そう。みんなが生きるか死ぬかに関わる大事なお願い。」
「…僕がやらないとみんな死んでしまうんですか?」
「カジカさんが何度も反対したけど、この作戦はハハソくんじゃないとうまくいかないところまで来てしまっているの。納得できなくてももう遅いの。」
「…作戦だけ先に聞いても良いですか?」
「OK!特に死ぬことは起きないと思うけど…作戦としては、私たちの脱出作戦。」
「脱出?オオカミ様の兵士たちは?」
「さっきまでの戦いは人間たちを脱出させる作戦。二の丸三の丸に地下道をつくっておいたからそこから脱出させたの。まだ人がたくさんいるように感じるのは私の影。それがうようよしてるから、敵はまだ中に人がたくさんいると思ってるはず。」
「敵は…禿頭はどのようにこの数の兵士を?」
「うん。おそらく他の仏教徒を呼んで、再教育し直してるね。普通ならあの弓矢を食らったら怖くて突進出来ないのに、突っ込んできたから…」
「禿頭たちは自ら攻撃を仕掛けることはないんですか?」
「…おそらく、箱に力を溜めに行っていると思う。指揮を取っているのは禿頭一つしかない。だから、土塁をなんとか越えてやろうという策しか取れないんじゃないかと思う。」
「…そもそもなぜ撤退なのですか?」
「オオカミ、お妙ちゃんが大宮郷に撤退して、兵士も大宮郷に戻したら、もう耐える必要はないでしょう?それとここ、もう食料も矢も火薬もないの。」
「なら、やむなしですね。で、どのように僕の力を借りて撤退にすると?」
「グットクエスチョン!こっちに来て。」
「はい。」
その二人のやりとりをカジカさんは全て聞いていたが、どう声をかけたら良いから分からなかった。
お諏訪様の考えを聞けば聞くほど、自分にはそれ以上のハハソを助ける良い考えは浮かびそうになく、ハハソもやる気になっている…
それと出て来はしないが、オーサキが身体で暴れる。
なぜかオーサキが身体中を駆け回っているようだった。
「そうだ…オーサキは嫉妬を具現化させた存在でもあったニャ…」
カジカが戻るまであと14日