鎮守の森~元祖異世界時代劇~   作:仲村大輝

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ここも、実在する神社をモデルにしています。
神社の発生ってこんなもんじゃないかと思って書きました。
みなさんはどう思いますか?


稲荷社

一の井戸は、現在、旧秩父東高校の裏にあるが、埋められてしまっている。

二の井戸は、18番「神門寺」の参道沿いの石垣にある。残念ながら、水は沸いていない。

そして今、参道で、柵はあるが、なんも兵士を守る場所がない。

しかも、フクロウだけでなく、日御碕の部下もほとんど逃亡してしまった。

これでは、身を隠すこともできないということで、あっという間に出口まで後退してしまった。

ボロ屋に、日御碕、稲荷、天神、ハハソ、カジカ、数名のフクロウ(それも、もう一度お妙様を説得するためで、基本戦う気がない。)のみとなった。フクロウには、狸と蛙もいる。

 

「で、なんで天神はここにいる?逃げたんじゃなかったのか?」

「逃げたんじゃない。一の井戸に私の調合した神毒を投げ入れたんです。」

「神毒とは?」

「神の力を弱める毒です。ただ、人が飲むと神ような力が手に入ります。ただし、水に1日ふれるだけで毒は消えてしまいますが…」

「…最後っ屁みたいなものか。」

「で、どうしてお妙様はああなってしまったのですか?」

「実は、僕たちは見たんです。」

「なに?」

「広見寺の参道にできたお堂。そこに幽閉されて、あの箱を食らっていたんです。」

「では、力を与えられるだけでは?」

「…実はもう一つあって、それは、お妙様からなにか吸い取っていたんです。ですから、その吸い取られていたのは人間としての『心』や『優しさ』だったんじゃないかと思っています。」

「…となると、お妙様は神の力を持つ殺人鬼ということか?」

「おそらく、その考えで正しいのかと…」

「そうなると…我々の力で総力戦…もしくは、箱を二つ取り返すしか…」

「その必要はないわ。」

「「「「!!!」」」」

「お妙様の声だ…」

一同外に飛び出す。

家の上の空に妙見大菩薩が浮かんでいた。

「まだやる?それとも私に殺される?」

「………。」

「それとも、そこを明け渡す?」

「えっ?」「なに?」

「そこは,私たち姉妹の思い出の場所だからね。壊したくないんだ。」

「………。」

「もっと言えば、あんたたちがいることで汚されたくないんだよね!」

「……諸君…」

チラ。チラチラ。

めくばせをする。

みんな軽く頷く。

「分かった。すぐに明け渡そう。」

「………。」

「…。」

「?どうした、狸、蛙」

「ハハソさん。やはり、あの方がお妙様なんですね。」

「はい。」

「そうですか…」

「………。」

「おーい!ハハソ!狸、蛙。行くぞ!」

準備ができたのか、日御碕、天神、カジカさんが呼んでいた。

「はーい!」

「ハハソさん。」

「うん?」

「僕たちはここに残ります。」

「えっ!?」

「ハハソさんには悪いと思ってますが、やはり私たちもフクロウなんです。」

「戦うわけにいきませんし、なによりお妙様と同じ方なら、近くにいたいです。」

「…そうですか。、…でも…」

「大丈夫です。仮に、ハハソさんと戦えと言われても、前に積極的に出ませんから…」

「そうですか…悲しいです…日御碕様には僕から伝えておきます。」

「私も残ろうと思う。」

急に稲荷様が言った。

「えっ!?」

「日御碕にも相談済みだ…大丈夫。交渉の余地があるか探るだけだ。」

「稲荷様…」

「安心しろ。狸と蛙は私の控えだ。ハハソそんなにしょんぼりするな。」

「すみません。では、」

三人に背を向けた。

「狸さん、蛙さん。…稲荷様。」

そのままクルッと回り、向き直った。

「「「はい?」」」

「…死ぬようなことはしないでくださいね。」

「………どうしてそんなことを?」

「…なんでか分からないですけど、なんか言わないとと思ったんです。」

お妙様になんか言ったことあるな。っと思った。

「では、もう一度」

「さようなら。」

「またお会いしましょう。」

「ハハソさん。例え、失敗しても死にませんよ。」

そう言われて、三人を残して、待っている人たちのところに行った。

日御碕様はあっさり分かった感じだった。

まぁ、稲荷様が残ることが分かってたからそんなに重要ではないんだろう。

「それより、これからどうするんですか?」

「…四の井戸、いや、あっという間に追いつかれる。四の井戸を守ってる連中を引き連れ、五の井戸まで撤退しよう。あそこは「でんでい場」だからな。」

「うん!?」

「なんだ、ハハソ?」

「いや、なんでもないです…唾の飲み込みに失敗したんです。」

「そこまで弱ってるのか…なら余計急がねばだな。」

良い方向に勘違いしてくれた。

ネブッチョウと出会ったのはでいでい場だ。それがもうあるとは驚きだ。

日御碕様が良い方向に勘違いしてくれたお陰で、四の井戸を経由して、兵をまとめて五の井戸、「デンディ場」を目指した。

でんでい場の要塞化は進んでいた。

オオカミが応援をよこし、三重の柵だけでなく、堀を流し、土塁を築いていた。

しかも、二の井戸と違い、河岸段丘全てに柵が設けられ、回り込まれる心配も無くなっていた。

兵士や弓も揃えられ、オオカミも出陣するとの知らせが入っていた。

「これなら、食い止め…いや、押し戻すことも可能かもしれないな。」

「はい。あれ?まだ逃げてくるのがいるぞ!?」

「本当だ。…あれは!?」

「倒れたぞ!」

僕は日御碕様と見に行った。

すると、狸と蛙が傷だらけ…いや、手足が欠損するほどの大怪我をしていた。

「狸!蛙!どうなさったんですか?」

「へへへ…これを…」

狸を抱き抱えると、懐から箱を一つ出した。

「…稲荷様が……捕りました。」

「稲荷様が!?」

「交渉は嘘。…懐に飛び込むと、箱を掴み、我々に投げたんです。そして命からがら…武装した変な連中に追われましたが…なんとかここまで…」

「稲荷は?」

「…分かりませんけど、後ろから断絶魔が聞こえました……」

「稲荷様…」

「…ハハソさま。この箱を………へへへ。なんか急に眠く………」

箱がボテっと落ちた。

「…蛙も動かなくなっちまった。」

「………日御碕様。ここには神様がいません。どうでしょう。ここに稲荷神社を建てて御霊を鎮めては?」

「…実は、稲荷このあたりが気に入っててな。それがいいだろう。」

と、いうことで、狸、蛙。そして、油揚げをその場所に祀った。

 

そういえば、でんでい場には椿があって、近くにガソリンスタンドと、忌まわしき警察署そして、赤い社…稲荷神社があった気がするなぁなんて、僕は思った。

 

僕らは静かに手を合わせながら、遠くから聞こえるお経と、足音を聞いていた。

 

あと24時間ほどで、帰らねばならない。

最後の戦いが始まる。

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