みなさんならどのサブタイトルにしますか?
拮抗するとはまさにこうであった。
同じ同郷であるため本気を出さないということまあるが、死人が出ない程度に戦いは続いた。
しかし、今回は妙見大菩薩も四天王も出てこないものだった。
「ハハソ。少し下がって休んだらどうだ?」
「日御碕様。では、お言葉に甘えて…」
僕は下り、七の井戸で休憩した。
そして、「あの箱を使えば、押し切れるのではないか?」と思い、箱を少しあけてみた。
すると、右目に何か飛び込んだ。
ゴミだと思ったが、なにか違う。
両目を閉じても、なにか映像が残る。
よく見ると、影だけだが、稲荷様だ。
「稲荷様!」
「ハハソさん。聞いてください。これは、私の残り香です。早く話します。静かに。」
「………。」
「ありがとう。まず、この箱についてだが、私は妙見大菩薩の前に立ち、なんとか箱を奪い、毛を何本か入れた。それがいま喋ってる。だからそこまでしか話せない。ただ、君に見られているということは作戦として、箱を奪うことには成功したようだ。
そして、この箱についてもう一つ分かった。なんと、この箱には神の力が莫大に詰まっている。
悪霊も混ざっているが、こんなもの私一人でなんとか出来そうなぐらいだ。
しかし、幸か不幸か、悪霊の力の大半はお妙様に取り憑いているようだ。
このままでは、悪霊の力が暴走して、秩父を壊滅させるだけでなく、お妙様の心も体もボロボロになってしまう。
そこでもう一つの箱だ。
そっちの箱には、お妙様本人。
分かりやすく言えば、お妙様の人の温かい心が入っている。これをお妙様に返せば、心は人間に戻る。
そして、こちらの箱に悪霊を吸い取らねば、妙見大菩薩は止まらないことも分かった。
ハハソくん。会ってからずっと君の世話になりっぱなしだが、なんとか箱を奪い、妙見大菩薩を元に戻すことは出来ないだろうか?
それと、最後に君が焦りそうなことを一つ。
四天王たちが、
「あの日御碕と天神を相手にすると面倒だから、それらは人間と戦わせ、自分たちは直接秩父神社を叩く。」と言っていたぞ。」
「えっ!?これで終わり?…めちゃくちゃやばいじゃん!」
目をパチパチさせても稲荷様はもういなかった。
「秩父神社が危ない!」
パッと、日御碕のところに向かうが、第七波と戦っていてそれどころじゃない。
「早くしないと…」
「どうしたの?」
「カジカさん。天神様。実はこれらは囮で、秩父神社を直接攻撃するって考えられませんか?」
「…私もそう思ってた。だから、ハハソくん。カジカさん。秩父神社まで行ってみてくれないか?」
「もちろんです。行きましょうカジカさん。」
自然に手を取って走り出した。
「急務であれば呼べよ!」
「はい!」
「ハハソくん。」
「はい?うっ!」
カジカさんを引っ張っていたが、カジカさんに抱えられて、ピョーンとジャンプしながら一直線に秩父神社を目指した。
秩父神社周辺は、江戸時代後期には養蚕で爆発的に栄えていたが、今は川があり、畑とも荒野ともとれる平地が広がってるだけで、ポツンと鎮守の森があるだけだった。
オオカミはそこにいる。
「オオカミさま!」
森に着くなり、陣を探した。
すると、幕が張ってあった。
そこに数名の武装した男たちがいたが、その人たちに阻まれた。
「…もしかして、ハハソ様ですか?」
「そうです。」
「失礼しました。ハハソ様なら通せと言われています。どうぞ!」
慌ただしく幕を開けてもらい、中に入る。
中は美の山とさほど変わらなかった。
「ハハソさんか!」
「オオカミ様。」
「…ハハソ。どうやら、僕は君を誤解していた。早く会わないとと思っていたが、遅くなり申し訳ない。」
「それよりこれを…」
箱を見せる。
「これは?」
「稲荷様が奪ってきてくれました。」
「おぉ!」
「しかし…稲荷様自身は…やられてしまったようで…」
「そうか…稲荷には迷惑をかけてばっかりだった…僕の力が至らないせいで…ハハソは信用できる人物だとも言っていた。」
「えっ?」
「稲荷は逐一、私にハハソくんの動向を送っていたのだ。そして後悔していた。なぜ、あの時優しく接することが出来なかったのか?なぜ、あのとき信用できなかったのか…後悔先に立たずとはよく言ったものだ。案の定後悔している…」
箱を見る。
「大切な仲間も失ってしまった。…大切な家族もおかしくなった…」
「この箱に、神の力が入っています。ただ、元々は悪霊の力も混ぜ込んであったらしく、お妙様はいま、その悪霊の力で暴れているそうです。ただ、もう一つの箱には、お妙様の人の優しい、温かい心も入っています。それを妙見大菩薩にぶつけたら…」
「人の心を取り戻すのか!?」
「ですが、今の彼女は、悪霊にも侵されています。だから、」
「だから、もう一つの箱を手に入れればいいんでしょう?」
「だれ?」
僕は振り向く。
「お諏訪…って、どうしたんだ?その格好は?」
オオカミ様の甲冑を着込んでいた。
「ふっ…ハハソくん元気そうですね。」
「お諏訪様…私の爆発ショーは楽しんでくれた?」
慣れた手つきで僕の肩に手を置いた。
「………。」
僕はかける言葉も見つからず、ボケっと立っていた。
「おっ!?これが、神の力が入ってる箱だね。」
おもむろに箱を奪われてしまった。
「お諏訪!その格好はなんだ!?」
「これから、お妙ちゃんの箱を取ってくればいいんでしょ?」
「しかし、危険すぎる。ここは僕が…」
「その必要はないわ。」
箱をオオカミに投げる。
「からの…」
オオカミの後ろに虹色の円盤のようなものが現れる。
「お諏訪!なにをした!?」
ジリジリと引きずり込まれていく。
「お妙ちゃんは私がとめるわ。」
「止めるって…」
徐々に体が虹色に消えていく。
「あなたは絶対に死なせない。死なせないから、私に全て任せてちょっと我慢してなさい。」
「お諏訪!なに!?を…」
全身が虹色に包まれ、消えた。
「お諏訪様!」
「ハハソくん。」
僕を指さす。
「…いや、あなたは必要なさそうね。もうすぐ、来たところに戻る気配がある。」
「……僕もこの世界での時間がありません。」
「私が妙見大菩薩からお妙ちゃんの心を取り戻すから、あとは頼むわ。」
「頼むとは?」
「秩父谷は、私とお妙ちゃんが護って、オオカミは全体の総括をしていたから、それに戻すだけ。だって、オオカミに直接会ったことや、会っても分かる人なんてそうそういないんだから。だったら、元の状態に戻す。それが一番でしょう?」
「…では、なんで箱を?」
「あの箱は神の力を出したり入れたり自由であれば、箱は一つで十分。
その箱にあるお妙ちゃんの心を取り戻して、悪霊を閉じ込める。
まぁ、オオカミのことだから誰かに能力を奪われることとかはないでしょう。フフフフ。」
「…………。」
その力を奪ったのは、僕なんだけどなぁ…
「でも、お妙様自体はどのように止めるんですか?」
「信用していない訳じゃないけど、稲荷くんが出してもらったものを奪うって技を使ったから、見せられないけど、天神くんから貰った調合薬をぶち込む。そうすれば、相当な年数動けなくなるから。」
「なるほど…」
「…焦げくさい。」
今まで黙ってたカジカさんが急に喋った。
「オオカミさま!森に火の手が…いない。」
「鎮守の森に火をつけたな。オオカミは人々を逃すため、奮闘している。戦闘員は火を消せ。残りのものは山へ避難!カジカ!君はこのことを日御碕に知らせて。ハハソくん。君は私と来い。」
鎮守の森は若葉が茂り、火を放ってもなかなか燃え広がらない。
「足元が」
「湿地に」
「なって」
「るんだ。」
「まぁ、良い。オオカミが出てくればそれで…」
「お前らなど私で十分だ。」
「なに!?」
「ぎゃぁあ!」
森の中から何者かが広目天を斬った。
袈裟斬りにされたらしく、肩から真っ二つにされていた。
近くからというより、遠くから風が飛んできて、その風に斬られたような感じだ。
「危ないかな?」
持国天が地面に潜り、増長天が妙見大菩薩の前に立ち、多聞天が広目天を助けようと近づく。
「動くな!」
「うわ!」
多聞天が足元を掬われた。
両足の脛から下がなくなった。
「ちくしょう。」
「どうした?持国天?」
「地下まで水でヌメヌメしてるし、根っこもすごくて近寄れない…」
「そうだ!この森を侵そうとするものよ!早々に立ち退け!」
「なん」
「なん」
「だ?」
「…そなたはここの森の神か?」
「…いかにも。この鎮守の森に住む神だ。」
「すまん。神よ。我々は邪神を退治しに来たのだ。我々に協力してほしい。」
「馬鹿を言うな。お前らこそ早々に立ち退け!」
「…ご協力いただけなくまことに遺憾です。…ねぇ?ハハソくん?」
「…どうしてその名前を?」
「別に適当。」
「らえっ?」
「だけど、そうに聞いて、そう答えたらハハソくんだって分かるよ。」
「………。」
「ハハソさん。よくやった!」
「うん?」
「だあゔかぁ!」
増長天の顔が右に左にずれた。
「…ハハソくんの後ろに誰かいる?」
増長天を妙見大菩薩が支える。
「退きなさい!」
支えていたの増長天をそのまま逸らし、地面に叩きつけ、踏みつけて、前に出た。
ヒュン!ヒュン!
なにか光のようなものが目の前を飛んでいる。
ブーン!
「当たる!」
剣を素早く抜く。
バキン!
剣になにか当たり、変な音が止んだ。
チラッ!
剣の刃を見る。
剣に藤蔓が巻きついていた。
「…藤蔓を使えるのは、お諏訪様だな?」
「勘が良いわね。お妙ちゃん。」
「私は妙見大菩薩。その名前で呼ぶな!」
絡まった剣を地面に突き刺す。
「…呆れた。剣を捨てるなんて。」
「捨ててない!」
藤蔓を掴むと、手から炎を出して、蔓を焼きにかかる。
「こういうこと?」
「後悔先に立たずだ!」
増長天の剣を抜くと、炎に沿って走る。
「これだと蔓が燃えてどこから伸びているかが丸見えな訳ね。」
サッと、宙にあった蔓が地面についた。
手を離したようだ。
「だからと言って…」
蔓が伸びていた方向に剣を振る。
どうだ。
振るった方向にある樹木が次々と倒れる。
「この森もまるハゲにしてやろうか!?」
「…この愚か者が!」
お諏訪様が突進。
剣を鎧で弾き、妙見大菩薩を吹っ飛ばす。
「チッ…」
「やっと出てきた!持国天!」
「はっ!」
地面が競り上がり、お諏訪様を包む。
「で?」
空手のような動きで、土をものともせず出てくる。
ビュン!
「危な!」
お諏訪の右後ろから矢が飛んでくる。
どっちかの四天王が弓を使っている。
「おのれ…」
「避けるばっかりで攻撃が出来てないぞ。」
「それはどうかな?」
飛んでくる方向を素早く目定め、お妙の一直線に並ぶ。
弓もまずいと思ったのか移動しているが、それに合わせてお諏訪も動いているため、弓矢の攻撃が出来ないようだ。
「あんたら5人なんて私一人で十分だろ?」
「…そんなことはないわ!」
ブーン!
といきなり、巨木が自分を叩き潰そうと倒れてきた。
「…もう一人だな?」
「早くやられないと森がなくなっちゃうよ〜。」
「…そうね。
早く…」
倒れてきた巨木を受け止め、次に倒れてきそうな方向に投げた。
「ぐわっ!なんで!?…」
ズシン!と木が落ち、周りの木の葉がバラバラと落ちてきた。
「あなたたちを倒さないと…」
「………本当に使えない。なら…」
懐からなにか取り出す動作をした。
「箱か!?」
「させるか!」
持国天が土と、自分の体を盾に地面から競り上がった。
それで一瞬動作が遅れた。
「ぬぅうわっ!?」
「させるか!」
「どうだか…ぎゃ!」
「邪魔するな!」
お諏訪が渾身の力で土の壁を殴ると、そのまま反対側に飛び出した。
殴って土の壁を突破した。
お諏訪様は自分の手を見る。
「…持国天はこんなには弱かったか?」
「そんな訳ないでしょ?」
今度は上から声がする。
見上げると、お妙ちゃんが空に浮かんでいる。
「…まさか、力を増強させたの?」
「さすが正妻だけあって、他の女が何したか見てるのね。」
「…別にオオカミの趣味だもの。どう思ったって勝手でしょ?」
「さすが正妻。憎くて憎くて仕方がないわ。四天王の本当の力。味わうと良いわ!」
手を大きく広げる。
すると風が強く吹く。
枝が折れ、お諏訪を襲う。
地面に伏せてないと吹き飛ばされそうだ。
「ハハハ!どうよお諏訪!?手も足も出ないでしょ?ハハハハハハ!」
「……。」
「お…お諏訪様!」
「!あぁ、ハハソくんか…」
「もう一つの箱を使ったんですね…」
「そうみたいだね。…だけど、そのおかげで箱の中身は空っぽでしょう。」
「だけど、もう誰にも止められないんじゃ…」
「………そうか。それなら、私も…最終奥義を使わせてもらうわ。ハハソくん。私は絶対箱を奪うから、あなたは絶対箱を掴んでね。」
「はい。」
「それと、カジカちゃんを大事にしてね。」
「はい!…えっ?」
ばん!と肩を叩かれた。
そして、後ろにぐいっと下がらされた。
「ハハソくん!延焼して火が残ったら火消しお願い!」
お諏訪様の周りに炎が立ち上がる。
そして炎をまとい、燃えながら妙見大菩薩に突っ込む。
「お諏訪様!」
幸い、火は草木につかなかった。
空を見る。
炎をまとった姿がまるで鳥のように見える。
「火の鳥…」
「ハハハ!そんなことも出来たんだ。それじゃ、私も本気の本気。最大必殺の……(やめて…)なに?いまの?(やめて!お諏訪様を傷つけないで…それはあなた自身も傷つけることになるんだから!)…ええぅ…黙れ!」
紅蓮の鳥が獲物目掛けて突っ込む。
「ええぃ!邪魔するな!私に話しかけるな!」
右腕に力を込めて、光を集める。
天も暗くなる。
夜のように。
「「やめて!やめて私!そんなことをして、お諏訪様が死んじゃったら私も悲しむ!オオカミも悲しむ!)うるさい!話しかけるな!」
頭に響く声を振り払うように拳を振り下ろしながら降下開始。
光る拳が流星、隕石のように地上に迫る。
火の鳥がそれに挑む。
あまりの光の強さに直視できなかった。
目を閉じてもまだ光から逃げるように、僕は地面に突っ伏した。
土から顔を離す。
まだ明るいが先ほどではない。
慌てて空を見る。
よくよく考えれば神の力を使えば見れたんじゃないか?とも思った。
「ハハソくん!」
「あっ!?カジカさんか!お諏訪様は?…見てました?」
「あれ!」
空には火の鳥が飛んでいた。
しかし、その大きく羽ばたいた状態の火の鳥が落ちてきた。
「まずい!秩父が火の海になる!」
「どうしよう?」
「どうしようにも…」
すると、火の鳥の火がだんだん弱くなってきた。
すると、鳥の外郭を残した37の火の玉になった。
「…お諏訪様。」
36個は鳥の形を残したまま落ちていった。
まるで秩父全部を覆うように広く落ちた。
心臓付近で燃えていた火は近くに落ちてきた。
「…お諏訪様!お諏訪様だ!」
僕は走り出す。カジカさんも走る。
鎮守の森から800メートルほど南に落ちた。
「お諏訪…さ…ま…。」
右手がなく、黒焦げになったお諏訪様がいた。
ただ、左手には箱が握りしめられていた。
「お諏訪様…」
左手から丁寧に箱を取り出す。
顔に手を当てる。しかし呼吸も、脈もなくなっていた。
生きていたとしても、今の技術じゃとても助からないと思った。
「お諏訪様…ありがとうございました。」
「ハハソくん。お妙様も…」
「えっ!?」
「鎮守の森に落ちたの。まるで流星みたいに…」
「…お妙様を早く助けないと!…うん…」
なんだ?頭に急に入ってくる…
「ハハソくん!大丈夫?」
「カジカさん…残念ですが時間です…」
「どうして!?妙見大菩薩にお妙様を戻さないと…」
「見てください。」
箱を開ける。
中は空っぽ。
「さっきのパワーアップで神の力もお妙様も妙見大菩薩の中に入ったんです。」
「じゃあ、なんで止まらなかったの?」
「…悪霊が中にいるからです。」
「じゃあ出してあげないと…」
「…ただ、それには時間がないんです。」
「どうして?」
カジカさんの腕を掴む。
「…僕たちがもう戻る時間なんです。」
「えっ!?」
カジカさんが動く方の腕を見る。
たしかに。
変な光源が体の中からしているようだ。
よく見るとハハソくんもなんか明るくなっている。
「…お妙様、かわいそうなことになっちゃった。」
「間が悪すぎたんです…いま思い返せばいろいろミスしまくりました。アドバイスも、行動も…。」
「もう一度来れないの?」
「分かりません…オオカミ様に相談してみますか?だけど、今回はカジカさんを助けるのが目的だったんで…それと、あっちの世界のお妙様はお妙様がいるんだから、この箱とオオカミ様が持っている箱の力を合わせて、お妙様の悪霊を追い出せば全て解決しますよ。」
「そうかな…そうだといいね。」
「そうしますよ。僕が…」
二人は互いの空いている手を握った。箱を二人でしっかり持って。
光が二人を包むとその場から天空に打ち上がり…消えた。
黒焦げのお諏訪様だけ残されてしまった。
「あっ!また光った!」
「日御碕様。そんなに興奮なさらず!仏教の罠かもしれませんよ…」
「おーい!そこに誰か倒れてるぞ!」
「あっ!黒焦げだがお諏訪様だ!」
「かわいそうに…」
「あっ!おーい!鎮守の森には妙見大菩薩が倒れているぞ!」
いきなり現れた隕石と火の鳥、強烈な光。そして、火の鳥の落下を目撃した日御碕達と仏教徒たちは火を消すため、すぐ休戦し、大慌てでやってきたのだ。
「みんな!」
ムクムクと、妙見大菩薩が意識を取り戻した。
「あっ!お妙様!お気づきになられましたか!」
急に妙見大菩薩から、お妙に戻っている。
「みんなありがとう。日御碕。」
「はい。」
「お諏訪様は、身体を燃やして私を助けてくれました…手厚く葬ってやってください…それと、…36ヶ所に…お諏訪様の身体がバラバラになった36ヶ所にも供養塔や寺を造ってやって…」
「お妙様。大丈夫ですか?」
「…それと、私は少し疲れた…休むから…休むところを……ここにつくって…そして、オオカミがみんなの目の前に現れるまでは…もしくは、私が目を覚ますまで…は、…仏教も神様も仲良くして…」
完全に横になった。
「「お妙様!」」「「お妙様!」」
フクロウ達が集まる。
「みんな…ごめんね。少し休ませてね…ちょっと疲れちゃった…良い子で待っててね…そうだ!…もしかしたら、大宮郷にも鉱山があるかもしれないから掘ってて、私が起きたら…見せてね…」
「「「「はい!、お妙様もはやく起きてください!」」」」
「ありがとう…日御碕…」
「はい。」
「…私の寝所には、四天王を祀って。」
「なぜ!あの仏は、お妙様を襲ったのですよ!」
「…逆。今、あいつらに力はない。私が吸い取った。だけど、あれだと可愛そう…せめて、私を護らせてあげようと思って…だから、適当に集めて…ここに祀って…」
「…心得ました。」
「ありがとう。それじゃ…私、少し寝るね…」
「お妙様!オオカミ様は!?オオカミ様は何処へ?」
「すー…すー…」
「寝てしまわれたか…まぁすぐ起きるだろう。」
「諸君!聞いての通りだ。やはり宗教戦争ほどくだらないことはない仏教も神も力を合わせて秩父のために尽くそうではないか!」
「「「おー!」」」
そして、お諏訪様のために、お諏訪様が亡くなった番場に「諏訪社」そして、火の玉が落ちた場所に「秩父札所36ヶ所」、お妙様の寝所として、「妙見宮」が造られた。
実に1234年から、1235年ごろあったと伝わる。