鎮守の森~元祖異世界時代劇~   作:仲村大輝

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秩父には家に寄生する憑きものが三種類あると言われて、オコジョのような「オーサキ」と小さいヘビの「ネブッチョウ」両方出すことにしました。
ただ、本当のオーサキとネブッチョウかと聞かれたら違うと思います…


秩父の三害

「ギャー!」

と、声を上げたのは、カジカさんではない。ただ、僕でもない。

枝から飛び、僕に飛びかかろうとしたオーサキが不自然に地面に落ちた音だった。

僕たちもシルエットは見えた。まるで、空中で急になにか重い石を背負わされたような落ち方をした。

手足を伸ばして、僕たちを泣きそうな目で見ている。

「た…助けて。助けて。」

「カジカさん…」

「ハハソくん〜。襲わないと約束してあげなよ〜。」

耳元でカジカさんが囁く。

「これはね〜。ネブッチョウが上に乗ってるんだよ〜。」

「ネブッチョウって?」

「オーサキの背中にちっちゃい蛇が乗ってるはずなんだよ〜。それがネブッチョウ〜。」

「それは、僕を襲わないのでしょうか?」

「家の二階に、なんも喋らない人がいたでしょ?あれがネブッチョウの昼の姿。あれも〜ハハソくんが〜気になっちゃったから〜取り憑いたみたいだね〜。ネブッチョウは、ご主人の危険や、気持ちを読み取って行動するから〜、先にオーサキと〜契約した方が良いかもね〜。」

「はい。」

「にゃ、ニャーを早く、助け…て…」

「オーサキ。助けてやるから、僕を襲わないので欲しい。」

「お、おミャえ…」

「僕は、君を助けたい。だから、早く契約してくれ。僕を襲わないと。」

「…分かった、にゃ。約束してやるにゃ…」

「良し。ネブッチョウ。退いてやってくれ。」

「は、早くして欲しいにゃ…」

「?…ネブッチョウ。早く退いてくれ。この子が死んじゃう。」

「も、もう…」

「…ネブッチョウ。もしも、僕が君に驚いたことに怒っているんなら謝る。姿を見て、姿だけを見て驚いてごめんなさい。」

「は…ニャア…」

「…ネブッチョウ。さっきは、話ができなかったりけど、朝になったらしようよ。それならしゃべれるでしょ?」

「ニャー!楽になったニャー!」

「………!」

ゾワっ!

なにかが、背中を駆け上がった。

まるで、蛇が駆け上がったような。

「ニャハハハハ!おい、ニャンゲン。しょうがにゃいから、これで勘弁してやるにゃ。その代わり…」

「まだなにかあるの〜?」

「うるさいにゃ。カジカ。変なこと言うとお前の秘密をハハソに喋るにゃ。」

「ふぇぇ〜。」

「おい、ハハソ。俺がオーサキに戻ったら、昼間と同じく俺をかまうのにゃ。分かったにゃ?」

「そ…そんなことなら、良いよ。」

「ニャハハハハ!じゃあ、朝にまたにゃ。ニャハハハハ!」

そう言って、オーサキはどこかにジャンプして行った。

「ハハソくん〜大丈夫?」

「あっ!…はい。大丈夫です。」

「いま〜、背中をなにか這いついたでしょ〜?」

「えっ!…まぁ、はい。」

「懐を〜見てごらん〜。」

右手を恐る恐る懐に入れる。

するとなにかが、腕に這ついた。

「わっ!」

パッと手を振り払おうとしたが、絡みつき離れない。

見ると、蛇が巻きついていた。

「きっと〜話しかけてくれたのが嬉しかったんだね〜。」

蛇が、ペロペロと舌を出し入れした。

「ニャハハハハ!」

「オーサキ、急に動いて大丈夫なのかな〜」

「カジカさん。ネブッチョウってのは…」

「改めて説明すると〜この子も憑物で〜オーサキが太陽がなくなるとぉ〜化けるように、太陽があるとぉ〜この子は化けるの〜ちなみにぃ〜聞いた話だとぉ〜オーサキ、ネブッチョウ、なまだんごっていう〜憑物三つを〜『秩父の三害』って〜言うんだって〜。」

「なまだんごも家に?」

「なまだんごは見たことないかな〜。ただ、もう見たとしても無視した方が良いよ〜」

「はい。気をつけます。」

「ただ〜なまだんごってのは〜石で出来た人の形をしたもので〜草鞋を〜片足は履いて〜片方は手に持ってるらしいよ〜」

「道端にあるお地蔵様みたいなものですかね?」

「うん〜?そう考えていいかもね〜。」

そう話していたが、誰かの家の前に誰か立っていた。しかし暗がりだったので分からずぶつかってしまった。

ドン!

「あっ!ごめんなさい。ボーッとしてました。」

「いえいえ、こちらこそボーッとしてました。申し訳ございません。大丈夫ですか?」

「大丈夫だと思います。ありがとうございます。」

「そうですか。おやすみなさいませ。」

「お、おやすみなさい。」

そう言って別れた。

「今日はなんだか盛りだくさんで疲れました…さっきもぶつかってしまったし…」

「遅くなっちゃったけどぉ〜早く休も〜。明日も色々あるからね〜。」

さっきぶつかった人、片足は素足で、片足の草鞋を手に持っていたとは、カジカもハハソも気がつかなかった。




なんだかんだ「生団子仏」も出しました。
ここまでは楽しく書いています。
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