定時上がり、それは社会人にとって甘美な時、特に金晩は一週間の中で最高の時である。レースは土日開催が多いが今週はレースへの出走はなく黄金世代のトレーナーと一緒に飲んでいた。場所はエルトレの家、酒と食材は業務スーパーで全員で購入、ツルトレは今回不参加である。
「久々の定時退社最高~!」
「そうですね、いつも残業ばっかりですからこういった日はレアですね」
「結構買ってるな酒」
「飲み過ぎ注意だね」
「メシ作るからエルトレ手伝ってくれ」
業務スーパーで大量に食材を買ってきたのでかなりの料理が出来る。酒を飲むのもいいが空きっ腹はまずいので先に腹にためる物を作っていく。大人数の時は鍋と行きたいが今日はがっつり食べたい気分だったので丼物でいく!
早速タマネギをみじん切りにしていき、それと同時にステーキ肉に格子状の切り込みを入れる。麺棒で叩いて伸ばし、先ほどみじん切りしたタマネギを肉の両面に覆ってしばらく放置、炊きたての米はかなりあるので十分に作れる。
焼きから盛り付けまではエルトレに任し、酒のつまみを作るため材料を袋から取り出す。しかし取り出したほとんどが肉ばっかりであった。
「肉買いすぎだろ!」
「お腹減ってたからね」
「でも流石に肉ばっかりは」
「ほとんどエルトレが買ったけどな」
「簡単なつまみはあるからいいけど、肉のつまみって作れるかこれ?」
「最悪エル達に食べて貰うか?」
「いや、作るぞ」
せっかくこんなに肉があるんだ、なんかは作れるだろう。どんな肉かな?牛テール、ほほ肉、牛タン、ハチノス、ヒレ肉、ハラミ、いやこれ焼き肉する気満々だろ、作れるかふざけんな!肉しかないじゃん、あとなんかいろいろ、つまみが重いな~
「傑さん、メシ出来ましたよ」
「ん?わかったとりあえず喰うか」
「頂きまーす」
がっつり男メシ、ちょっとだけオシャレにシャリアピンステーキ丼、メインの肉以外にタマネギと青ネギ、焦がし醤油や水溶き片栗粉、赤ワインなどで味付けされた特製タレ、食欲をそそる一品である。
「久々の肉うめ~!」
「ご飯が進みますね」
「この梅風味のご飯もさっぱりして食べやすい、最高ですね」
「キングにも食べさせたいな」
「おかわりあるぞ~」
がっつきながらおかわりをするトレーナー達、腹がたまってきたらつまみと酒で乾杯する。ビールにワイン、ウイスキーなど結構種類があるので好きな物を飲んでいく、自分たちのペースで飲みながら日頃の愚痴や面白い話、アルコールが入ることでテンションが高くなっている。のんびりビールを飲みながら先ほどの肉を調理するべく厨房に一人立つ。
どうするかなこれ、ビーフシチューでも作るか?余ったとしても朝飯か昼飯に回せるし、とりあえずテールを焼いて他の肉も一緒に煮込んでいくか、ゴルシが七輪持ってたはずだから後で持ってきて貰うか、報酬はビーフシチューでいいだろう。
早速テールを下味をつけながら焼いていく、それと同時に野菜を細かく刻んで鍋にぶち込む、牛タンの下処理を済ませて皮むき、時間をかけながら全てをゆっくりと調理していく、途中ゴルシに来てもらい七輪を借りてハラミを焼いていく、全体的に完成させてきたらじっくりと煮込み味を染みさせる。先に完成させたビーフシチューはゴルシに渡す。
「まいど、美味そうじゃねーか早速帰って喰おう、またな~」
「おう、助かった」
「お、ビーフシチューですか、しかも全部の肉がガルニチュールですか」
「そ、酒のつまみになるか知らんがこれでも喰いながら楽しもうや」
「これは明日二日酔い確定だ」
「ほどほどにしてくださいよエルトレさん」
早速一口と口に合ったのか酒を飲みながらシチューを頬張る。途中からハイペースで飲んだため若干約一名が悪酔いしているがまだ潰れる気配はなさそうである。
「あ、そうだエル達に電話しよ!」
「駄目ですよ、グラスも一緒ですから」
「いいえ、やります」
素早く通話を始めるエルトレ、するとなぜか全員のスマホが反応する。確認するとグループ通話の方で各トレーナーと各担当が全員いるほうであった。個人ではなくグループなので担当が全員通話に出た。
「トレーナーさんどうしたのですか?」
「ちょっと、エルトレさんグループですよこれ」
「あら?トレーナーさん一緒なのですか?」
「あ、グラス、うん」
「にゃはは、多分酔ってるんじゃないかな~」
「正解だよ、スカイ」
「え、トレーナーもいるの?」
「てことは私のトレーナーもいるわね」
「正解、流石だなキング!」
「私のトレーナーさんも?」
「いるぞ、今メシ食ってる」
困惑しながらも状況がなんとなく分かったスペちゃん達、修学旅行の夜みたいに盛り上がっているトレーナー達、流石に飯テロをするとスペちゃんのお腹がすくのでメシの話はしなかった。わいわい盛り上がっている最中急にセイトレが倒れた。
「どうした!」
「セイトレしっかりしろ・・・・・・あ」
「トレーナーさん!?」
「セイトレさんまさか、これ飲んだのですか?」
「・・・・・誰だこれ買ってきたやつ!」
確実に飲み物ではないものが一本混じっていた。アルコール度数96%の怪物酒、スピリタス。つーかどうやったら間違えて飲むんだよこれ、飲む前に気づくだろこれ!コップになみなみ注がれてるけど、それとも知らなかったパターンか?流石に急性ではなさそうだが、あれ?起き上がった。
「大丈夫ですかセイトレさん?」
「トレーナーさん大丈夫なの?」
「とりあえず水だ」
「・・・・・セイちゃん」
「「「「は?」」」」
「セイちゃんが欲しい」
急にとんでもないことを言い始めるセイトレ、普段スカイって呼んでるのにセイちゃん呼びしてる。とりあえず録画しながら様子を見よう。セイトレのほうにスマホを向けるエルトレ、録画する俺、呆れるキントレ、笑いをこらえるグラトレ
「セイちゃん」
「は、はい?」
「いつも・・・可愛いね~」
「みゃっ!」
「惚気た?」
「あら~」
「惚気たデース」
「よし、面白くなってきたな」
タガが外れたのか日頃思っていることを全てぶちまけているセイトレ、可愛いところや癒やし部分、セイウンスカイにしたいことを聞くと抱き枕にして寝たいなど、酔いが覚めてからこの事実を知ったら死にたくなる奴である。
セイウンスカイは途中から、やめてなど、弱々しくなっていき最終的には横になったのか何も言わなくなり、スペちゃん達は盛り上がり、黄色い声を上げていた。いい動画が撮れたので満足だが、悪い顔をしたエルトレがそこにはいた。
「グラトレさん、どうぞ」
「あ、どうも・・・うっ」
「やりやがったあのバカ!」
「本日二本目か」
「グラスちゃん、貴方のトレーナーはこれから醜態をさらします」
「え?」
さあ、グラスワンダーの可愛いところや好きなところを思う存分話したまえとエルトレが煽り、耳が取れるほどの甘い甘い、惚気というか、声が甘かった。そこからはとんでもなかった。恐らく常人でも耐えることは出来ない甘い誘惑、グラス、好きなど、したいこと、されたいことなどをどんどん話していくので途中からグラスワンダーが耐えきれず、もう無理と撃沈した。
他のメンバーは耳が取れたと言うほどの破壊力だったらしく無言であった。明日が恐ろしい。さらばエルトレ、苦しまないよう一撃で屠ってやる。その後も犠牲者が続出、惚気大会が始まり完全に向こうはもう聞いていられなくなったのか通話を切っていた。その間もしっかりと録画したのでこちらとしてはいい物が取れた。
俺にも飲ませてこようとしたエルトレにはカウンターで飲ませ、同じ二の舞にさせてやった。翌日二日酔いで頭を痛めている中、記憶が残っている者はもだえ、エルトレは縛り上げられ、散々な朝であった。週明けの学校では、担当とのぎこちない感じが続いたが、時間が経つと元に戻っていた。
「なんで私は何もないんですか!」
「だって、酔わされてなかったし」
「みんなだけずるいです!トレーナーさんは私にも惚気るべきです!」
「なして?」
俺も酔って惚気るべきだったのか?しばらく不機嫌なスペちゃんは耳ペシしながら惚気ろと言ってくるのであった。
明日コナンようやく見れる。