「おい、誰がこれ拾うんだ?」
「俺は嫌だぞ」
「俺もだ、触らぬ神に祟りなしって言うだろ?」
「触れば地獄ってとこか」
廊下に落ちているガラガラ、一体誰の者なのかは一瞬で分かった。これをならせばクリークがこの場に顕現する。ならさなければ問題はないがその後どうするかが一番の問題だ。クリトレはこの場にいない、どーするか。
「触れたら最後この場に完全顕現するスーパークリークから逃げられる確率は?」
「ゼロだな」
「封印できるか?」
「触れる必要がある」
「詰みだな」
「大きく音を鳴らさなければいいのでは?」
「おい、触れるな!」
一人が軽く触ると小さくカランと音が鳴る。その瞬間男の背後にクリークが現れ、目にもとまらぬ早さで幼児服を着させられ、おしゃぶりとよだれかけ、死んだ表情で連れて行かれた。
「くっ!やはり無理か!」
「帳を下ろすか?」
「無理だろ普通に」
どうすればいいのか、生徒に被害が出る前に対処しなければいけないのだが、触れれば先ほどのトレーナーのような二の舞になる。ほんの小さな音で連れて行かれる。脳を高速で回転させながら策を考える。それか最終手段でタマモクロスに餌食になって貰う。
「壊すか?」
「おい、そんなことしたらとんでもないことになるぞ!」
「早まるな!悪夢に捕らわれることになるぞ!二度と目覚めることが出来なくなるぞ!」
「もしこれで生徒が救われるなら!」
「やめろーーー!!!」
勢いよく脚を振り下ろし踏み壊す。響き渡る壊れた音、そして連れて行かれるトレーナー、壊したことでも顕現しさらっていく、さらわれたトレーナーは謎の託児所で目を覚ました。
暗く何も見えないが赤子の泣き声が聞こえる。声の主を探すべく泣き声を頼りに近づいていく、今思えばなぜ赤子の泣き声がするのか、そんなことすら気がつくことが出来なかった。ただただ声を頼りに進み、声が泣き止むと気がついた。
そこには巨大な生まれたての赤子がいることに。大きく口を開けて笑っていた。
「ぎゃああああああああああ!!!!!」
全力全力で逃げて走る。どこに逃げているのか分からないがただひたすら走る。しかし逃げても逃げても出口のような場所は見えず。ついには追いつかれ無邪気な赤子に飲み込まれてしまった。
「はっ!」
「気がついたか」
「ここはいったい?」
「ここはクリークのでちゅねの領域、一度捕まれば逃げ出すことは出来ない」
「いやここ、クリトレのトレーナー室だろ、何ちょっとかっこつけて言ってんだ」
普通のトレーナー室、悲しいことに二人とも外に出られるような服装ではなく、園児の服を着させられている。このまま外に出てもいいが、一度出るとバレるのか、すぐにお迎えが来る。つまり脱出不可能な場所である。
「どうするんだ?」
「あいつらがなんとかするだろ、だからそれまではゲームでもしようぜ」
「なんでここにあるんですか?」
「ウマ鉄でいい?」
「いいですよ~」
知らぬ者が見たらとんでもない光景だが二人は普通にゲームを始めた。そのころ無事な方は壊れたはずのガラガラが修復されていることに驚いた。というより新しくなってた。
「もうほっときませんか?」
「そうだな、いざとなったらタマモクロスを生け贄にしよう」
「エグいこと考えますね」
「それかタイシン」
「またハイライトオフになりますよ」
「そん時はすまんってことで」
諦めてガラガラを放置し解散する。しかし次はおしゃぶりが落ちていた。ガラガラほど脅威ではないだろうと思い何も考えずに拾うと、おしゃぶりを加えさせられ二人のいる元に送られた。
「あ、お疲れ~」
「どうでした?」
「諦めて解散した矢先にこれだよ、おしゃぶりもアウトかい」
「いよいよ何触ってもアウトな気がしてきたな」
「クリトレさんそろそろ帰ってくるはずですけど」
「じゃあそれまで遊ぶか、やるかウマ鉄?」
「やる」
「「てか解散するなよ!」」
「すみませんあれは無理です」
諦めたことを伝えると素早いツッコミが帰ってくる。仕方ないだって何に触れても駄目なら諦めた方が早いのだから。2時間ほどゲームをしているとクリトレが帰ってきたので事情を説明するとスーツ姿からおむつとおしゃぶりとよだれかけをかけて外に出て行く
完全にとんでもない変質者がいるが一部の人間には見慣れた光景、ただのセニョール・ピ○クみたいな格好だがこの姿でクリークにあやされることで全てが丸く収まる。数十分後クリークと帰ってきたクリトレは哺乳瓶でミルクを飲まされ一仕事を終えたような表情でスーツを着直した。
「これで大丈夫なので帰れますよ」
「あ、ああ」
「はい」
「相変わらずなんて言うか凄いですね」
「言うな、何も。結構辛いんだぞ」
クリトレのおかげで無事帰ることが出来たトレーナー達、しかしでちゅねの悪魔はいつでも赤子を探し出す。翌日にはタマモクロスとナリタタイシンが犠牲となりまた同じようにクリトレが体を張って助けていた。
巨大な赤ちゃん、うっ!バ○オが頭をよぎる