ポケモン不思議のダンジョン ~似て非なる世界との境界線~ 作:いねっしー
大好きなポケモンで頑張って書いていきたいと思います。
初めてだらけの世界
「おいおい嘘だろ」
のどかな原風景がどこまでも広がり、目の前にはまるで覗けと言わんばかりの泉がある。
「まあ落ち着け俺、なんか四肢が短いような気もするし、今空にムックル飛んでた気もするけど、たぶん気のせいだ」
気持ちを落ち着かせるために泉に近づく。
「まあここはほら、水でも飲もうじゃないか」
そしてそのまま覗き込むと……
「やっぱりポケモンになってんじゃねーかよ」
そこには真っ赤な体と、黒い2つの耳を持ち、赤い鼻で、頭に入っている黄色のラインが特徴的な……
「しかもポカブかよ! もっと有名どころだろ普通! アシマリとかポッチャマとかケロマツとかないのかよ! なんでこいつなんだよ! 俺BWミジュマル選んだんだよ!」
大声で叫び終えて、再度空を見ると空では、ムックルとココガラの群れが、縄張り争いをしていた。
「まじか、ポケモンに転生なんて、ポケダンかよ」
正直何にも理解できず、意味も分からないが、とにかく進むしかないので、木々に囲まれた近くの獣道を行く。
「いやだがしかし、ポケモンになるなんて」
思いっきりマイナー御三家になった自分の手足を、悔しげに見つめる。
「ペンドラー――!」
叫び声が、突然木々の中から聞こえる。
「ん? なんだなんだ?」
叫び声の方向を向いた瞬間、気の合間を抜けて、ペンドラーが現れた。
「見つけたぞーーー!」
そして目が合うな否や、ペンドラーの二本の角が紫色の毒々しい光を纏い、襲い掛かる。
「は? 人違いですー! 止まってー!」
が、ポカブの叫び声むなしく、ペンドラーの角が止まる気配はない。
……マジ? 俺のポケモン生ここで終わり?
三途を拝んだその瞬間……
「フレアドライブ!」
ペンドラーの腹部に、炎の弾丸が突撃する。
「っなに!」
炎の弾丸を生身で受けたペンドラーは吹き飛ばされそうになるがぎりぎりでその場に立ち止まる。
「全く、出会い頭に他のポケモンを襲うなんて、どんな神経なんだい?」
そして、炎の弾丸は自らの炎を解いて、ポカブの前に立つ。
「あ、ありがとうございます……って、ブースターだ!」
後姿を見て思わず叫ぶ。
「僕の名前を知ってるのかい? 嬉しいね、有名人は」
ポカブの前に立つブースターは、振り向くことなくいう。
「……ん? あのペンドラー、ブースターのフレアドライブをほぼ無傷で耐えたってことか?!」
ふと、前世でのポケモンの知識がよみがえり、それと共に悪寒が走る。
となると……レベル差えぐくない? この2匹。
「あ、あの、ブースターさん、逃げた方が……」
「っち、邪魔くせぇ!」
その瞬間、ポカブの前に立つブースターごと倒すつもりなのか、ペンドラーがまたも毒を貯めて突撃をする。
「いや、僕は逃げないよ。後でなんで襲われてるか、聞かせてよ」
「え、えっと……」
「ふう」
ペンドラーの突撃を前にして、ブースターは静かに一呼吸を入れる。
「進化分身」
その途端、ポカブの眼には、信じられないものが写った。
「「「さて、まだやるかい?」」」
ペンドラーの動きを、ブースターと、いつの間にか現れたシャワーズ、サンダースが受け止めていたのだ。
「……は?」
何よりも信じられなかったのは、ポカブの眼には、まるで、ブースターがほかの分身を作り出したように見えたことだった。
「亜種のクソがっ!」
ペンドラーは即座に3匹から距離をとる。
「ふう、さて、まだやるのかい? 僕が出せる分身の数、分かるよね?」
距離をとったペンドラーに、ブースターが煽るように言う。
「えっと、ブイズだから、6?」
ついつい見たことない技に驚いていたポカブが答える。
「ブイズ? まあいいか、僕は後15個の分身を残してる。それでもやるかい?」
……は? なんで15? ブイズは9種類だろ? 何を……いや、あと15って、合計で18……それって、ポケモンのタイプの数と同じじゃ……
「……覚えてろ……」
それを聞いて観念したのか、ペンドラーはその場からゆっくりと去っていく。
「ふう、まあ実際は今は疲れて3つが限界だけどね。さて、君は?」
ブースターは、ポカブに優しく話しかける。
「えっと、俺はポカブです」
「そうかポカブか、聞きなれない名前だね。どこ出身なんだい?」
「……えっと、イッシュ?」
何と答えていいかわからず、そんな答えを返す。
「イッシュ? 聞いたことないな」
「あ、あはは、それならいいです」
「なあきみ、そんなことよりもギルドに入らないか?」
そんなことって、あんたが聞いたんだろ。
「ギルド?」
心に思うだけで、口には出さない。
「ああ! 世界の神秘を解き明かし探求する、最高の組織だ!」
明らかに怪しい勧誘だった果たしてそれでポケモンが釣れると思っているのか?
でもあいにくと、世界の神秘という単語と、先ほどの分身は、どうにも気になってしまった。
「あの、あと15個の分身って、本当なんですか?」
「まあ、本当だが……それよりもギルドに……」
「入ります」
「え?」
「ギルド入ります!」
彼の前世は生粋のポケモンオタク。新たなポケモンへの探求心は、ポケモンになっても衰えていなかった。