ポケモン不思議のダンジョン ~似て非なる世界との境界線~   作:いねっしー

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4話!


譲れない思い

「……マジか? それって……」

 

ライチュウのため息交じりの反応に意表を突かれつつ、聞き返す。

 

「言葉のままだよ、しかしまさか、こんなところにいたなんて」

 

気づけば、ライチュウ以外のポケモンも、疑っているような雰囲気はなかった。

 

「なあポカブ、このギルド、2人足りないって言ったよな?」

 

「えっと、遠征に行ってるとか……」

 

「ああ、その目的が、記憶のないポケモンの保護のためなんだ」

 

「……はい?」

 

ライチュウの言葉の意味が分からずに、まぬけな声を出す。

 

「この現象が始まったのがいつかなんて、詳しいことは覚えてないがな、突然この世界で連鎖的に、記憶喪失を名乗るポケモンが大量に発生したんだ」

 

ライチュウの過去形の言葉に、違和感を覚えつつも静かに説明を聞く。

 

「あまりにもその量が多くてな。一つの現象なんだと、受け入れ始めたとき……記憶喪失のポケモン達は、一斉に姿を消したんだ」

 

……俺と同じような、直前の記憶のないポケモンが大量発生して、そいつらが突然いなくなった? ……どういうことだ?

 

「ここクチバシティも同じでな。で、調査隊を派遣して、記憶喪失のポケモンたちの行方を捜してるんだ。ほかの町も似たようなことが起きて、似たようなことをしているらしい」

 

「……その記憶喪失のポケモンって、結局なんだったんですか?」

 

「それが分かってたら、苦労しないさ」

 

ライチュウの正論に、ポカブは納得し、黙り込む。

 

「実はね、記憶喪失のポケモンには、共通点があったのよ」

 

ライチュウの代わりにラランテスが言葉を発する。

 

「それはね、そのポケモンを、誰も知らないの」

 

「……知らない?」

すこし寒気がして、聞き返す。

 

 

「ええ、まさしく今の状態よ。あなた、ポカブっていうらしいけど、私、名前も噂も知らないわ。ほかのみんなもおんなじでしょ?」

 

ラランテスがギルドのみんなに語り掛けると、全員一様に頷く。

 

「とにかくだ。ポカブはもうギルドの一員の上に、記憶喪失のポケモンと来た。ここで預かることに異論はないな?」

 

ライチュウの質問に対し、ギルドのみんなは首を縦に振る。

 

「じゃあ、改めてよろしくな。ポカブ」

 

ライチュウはそう言い終えると、食べかけの料理に手を付ける。

 

「っと、そうだポカブ! ギルドの最初の任務としてなんだが……」

 

食事を取りながら、ライチュウが思い出したように言う。

 

「朝食を食べたら木の実を買ってきてくれないか? 丁度少なくなってきたからな」

 

「は、はい!」

初めて与えられた任務に、少し心を躍らせながらも、答えた。

 

 

 

 

 

「おーい、ポカブ君?」

 

にしても、記憶喪失のポケモンが多発していて、それが急に消えた。記憶喪失のポケモンは、記憶のあるポケモンには、面識がない……か。

 

「聞こえてる? ポカブ君?」

 

「あ、ああ。悪い悪い、少し考えてた」

真剣な表情を解いて、下ばかり見ていた目線を隣を歩くポッチャマの方向へ向ける。

 

 

朝食を食べ終え、早速ライチュウに言われた任務をこなすために、ポッチャマに道案内をされながら、クチバシティの商店に行き、買い物を済ませ、今はギルドへの帰路の途中だった。

街はゲームというよりかは、アニメのクチバシティに似ていた。

 

「ふふ、そっか。ねえ、記憶喪失ってどんな感じなの?」

 

ポッチャマが興味深々! とでも言いたげな表情で聞いてくる。

そんな無邪気なポッチャマと目線を合わせると、少し照れてしまい、すぐに前を向きなおす。

 

……というか今俺、ポケモンの顔見て照れたのか?

 

「そうだな、変な感じだが、慣れれば大したことないな」

だって一応、人間だったころの記憶はあるわけだから。

 

「ふーん、そうなんだ……でも寂しくないの? 将来やりたいこととか、好きなことを思い出せないのって?」

 

「どうだろうな、俺にそもそもそんなたいそうなものがあったかどうか、なくて困るものでもないしな」

 

人間だったころを思い返しながら、自嘲気味に言う。

 

「そうかな? あった方が楽しいと、私は思うよ」

 

「あった方が楽しいか……ポッチャマは、なんかあるのか?」

 

なんとなく、キラキラと語るポッチャマに聞きたくなる。

 

「私の夢かあ、私は――」

 

「ドッサイドーン!」

 

ポッチャマの言葉をかき消すように、2人が歩く道の奥で、叫び声が響く。

 

「うわ、なんだ?」

 

叫び声の場所には、道の中心で叫ぶドサイドンと、その隣に倒れこむヒトカゲとミズゴロウがいた。

 

「どこに目、つけてんだ!」

 

ドサイドンは叫ぶと、自らの腕を振るいあげて力の限り地面叩きつける。

それと共に地面の土がえぐれ、宙に舞う。

 

「ひ、その、僕たちは」

 

「言い訳はどうでもいいんだよ! お前たちが当たったせいで、せっかくこの俺様が買った木の実ジュースが、落ちちまったじゃねえかよ!」

 

道のど真ん中で荒々しく叫ぶドサイドンに対して、2匹のポケモンは今にも泣きだしそうだった。

そのほかのポケモンたちは、叫ぶドサイドンを遠巻きに眺めてはいたが、誰も何も言っていなかった。

 

「何見てんだ!」

 

ドサイドンが遠巻きに眺めるポケモン達に叫ぶ。

 

「ど、ドサイドン、2匹も反省しているようだから……」

「指図するなア!」

 

勇気を出して注意したポケモンを叫んで黙らせる。

 

「……ポッチャマ、あいつ……は?」

聞こうとしてポッチャマの方向を見る、するとそこには……誰もいなかった。

 

「あ、れ?」

 

「や、やめなさい!」

 

そして、先ほどドサイドンがいた場所から聞き慣れた声がする。

 

おいおいおいおい! まさかポッチャマ……

 

いやいやながらに視線をドサイドンの方向へ向かわせると。

 

「なんだ、お前」

 

いくら何でも無計画すぎるだろー!

 

ドサイドンとヒトカゲ達の間に立つ、ポッチャマがいた。




巷で話題の木の実ジュース。

タピオカ入り!
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