ポケモン不思議のダンジョン ~似て非なる世界との境界線~ 作:いねっしー
読んでくれたらなんか色々とよろしく! 喜ぶよ!
「ははははっ、それでボロボロだったのか」
朝方のドサイドンとの一件を終えてギルドに戻ると、ポカブとポッチャマは泥のように眠りこけていた。
その後夜になり、ポカブの眼は自然と冷めていたが、隣のベッドではポッチャマが未だに寝ていた。
幸せそうに寝ているポッチャマを起こさないようにギルドのテーブルに行くと、丁度夕食をとっている所だった。
「笑い事じゃないですよ……」
楽しそうなライチュウに向かって、自分も料理を口に運びながら、ため息交じりにこぼす。
「ああ、そうだな。それで、ブースターが助けに向かったと」
「はい、すごかったんですよ、ブースター!」
ブースターのz技を思い出して、素直にほめたたえる。
「ほめても何も出ないぞー、ポカブ」
へらへらした態度も、2度も助けられているからか、どこか頼りがいを感じる。
「たまにはお前の放浪癖も役に立つもんだ」
ライチュウも、直接ではないものの、ほめているようだった。
「あの技、どう撃ったんですか?」
zクリスタルも、トレーナーも無しに撃ったz技に対して、それとなく聞いてみる。
「どう撃った、ねえ」
するとブースターは、ほんの一瞬だけ神妙な面持ちになるが、直ぐにいつもの表情に戻る。
「いいかポカブ、この世界ではな、想像する心が一番重要だ。こんな技を撃ちたい、そう考えたら、よりリアルなイメージを持って、その技を撃てると心の底から信じて戦え。そうすればきっと、お前も出来るようになる」
「俺にも、撃てる……」
ブースターのダイナミックフルフレイムが自分でも出来ると思うと。少しわくわくした。
「さあ、さっさと食わねえと覚めちまうぞ」
技の妄想をやめて、今はとりあえず、目の前の食事に思考を戻した。
「しかしまさか……ポッチャマと同室だったなんて」
ギルドに戻ってきたときにライチュウに言われた「ガキ共は同じ部屋でいいだろ。部屋も足りないからな」という言葉を思いだす。
女の子とおんなじ部屋なのはいいのかな? まあまだ子供に見えるらしいけど……というか待て待て、ポッチャマはポケモンだろ! 俺は何意識してるんだ? そりゃ可愛いけど、ポッチャマに性的な興奮はしないだろ!
自問自答を繰り返しながら、部屋のドアを開ける。
するとそこでは、ポッチャマが外の景色を眺めていた。
「ポッチャマ、起きてたんだ」
「うん、でもまた眠くなってきたかも」
薄暗い星明りのみの空間で、ポッチャマが眠たそうに笑う。
「夕飯、いいのか?」
自分のベッドにゆっくりと歩いて行きながら、声を掛ける。
「うん、あんまりお腹すいてないの」
そういうなり、ポッチャマも星を眺めるのをやめ自分のベッドへ戻る。
「まあ、あんなことがあったから無理もないか」
しばらくの沈黙が部屋の中を包む。季節は夏なのか、部屋の外からはせわしなく鳴く虫の声が聞こえてきて、沈黙の室内に響く。
「……ポカブはさ、凄いよね」
ポッチャマの声が、沈黙を切り裂く。
「は? なんでだよ」
既に互いのベッドに入っていたため、お互いに天井を見ながら言葉を交わす。
「もし今日、私一人だったら、ドサイドンにやられてたから」
冗談めかして言っていたが、その言葉が本心なんだと、なんとなくわかった。
「そう……かもな。でも、ポッチャマがいなかったら、俺逃げてたかもしれない……いや、逃げてた」
自分だけ言い切らないのは公平でないと悟り、言い切る。
「私のやりたいことってさ、なんだと思う?」
「……正義の味方、とか?」
あの立ち向かった時のポッチャマ、そしてこの会話の流れから予測し、何となく答える。
「うん、だいたいあってる」
優しい音色のようなポッチャマの声が響く。
「そうなりたいと思って、ギルドに入って、そうなれる場所だったのに、結局助けられてた」
自らを貶めるかのように、ポッチャマは言っていた。
「でもさ、すぐに立ち向かえる勇気の方が、俺はすごいと思うけどな」
そんなポッチャマの自信なさげな態度に対して、本心から励ます。
ポッチャマの方向に寝返りを打つと、ポッチャマもポカブの方向を見ていて、視線が合う。
「そんなことないよ、ポカブがいなかったら、私は……」
「いやでも、ポッチャマがいなかったら俺は……」
互いに似たようなことを言っていたので、二人とも途中で詰まる。
そして気づいたら、笑っていた。
「ふふ、変なの」
「ああ、そうだな」
ポッチャマの笑顔が、青白い星の光に照らされて、夜なのに眩しかった。
「クソ! あのガキ!」
自らの家に帰ったドサイドンは、近くの机を力の限り殴りつける。
「調子に乗りやがって! クソ!」
手当たり次第に殴りつけても、ドサイドンには虚しさしか残らなかった。
(力が、欲しいか?)
すると突然、ドサイドンの脳には誰かの言葉が聞こえてくる。
「な、なんだ」
恐怖におののいたドサイドンは、その場で腰を抜かす。
(欲しければ与えよう、さらなる力を)
まるで地獄から響いているような声は、そう言って冷たく笑った。
あとがき 読み飛ばし可! 夕飯の直後
「いやー、笑った笑った。本当にポカブはよく襲われるな」
ライチュウは楽しそうに笑う。
「でもライチュウさん」
皆が食べ終えた皿をかたしていたラランテスが、ふと思い出したように口を開く。
「あなたが買い物めんどくさがってポカブに行かせなければ、こうはならなかったんじゃないの?」
ラランテスの冷たい声に、ライチュウの背筋が震える。
「それ、みんなの前で言うなよ」
ライチュウの顔は、こわばっていた。
なんか出てきた!
少しづつメインストーリーが動き出す。
もうこれは青春タグ付けますか。