《完結》新たなHOPE! -もうひとりの戦士-   作:ねここねこねこ

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遅くなってしまい、申し訳ございません!
昨日、仕事でドタバタしていました!



第六話 ピッコロとの修行

「だあぁぁぁああ!」

 

 悟飯はピッコロへ突撃し、ラッシュを続ける。

 圧倒的に実力が上の相手(ピッコロ)に対し、今の悟飯が出来ることは小手先の技術を見せることではないと思っていた。

 

「…………」

 

 ピッコロは悟飯のラッシュに対し、黙って両腕を組んだまま軽く避けていく。

 まったく当たらないのだが、悟飯はそれでも攻撃を続けていた。

 

(あ……当たらない……!? 俺とピッコロさんにはそこまで差があるというのか!?)

 

 ピッコロが死亡したエイジ767、この時点での実力差はもちろん悟飯よりもピッコロのほうが上であった。

 しかし、超サイヤ人に変身した悟空よりは確実に下であったのは、当時の自分でも分かっていた。

 

(俺はその後、超サイヤ人になって修行を続けていたんだ! あのときのお父さんにはまだ及ばないかもしれないけれど、フリーザだったら倒せてもおかしくはないはずの実力は身に付けたはずだ! それなのに……)

 

 悟飯はがむしゃらになってピッコロへと攻撃を続けていく。

 しかし、先程と同じように彼には触れることすら出来ていなかった。

 

「……もう終わりか?」

「くっ……!」

 

 ピッコロは悟飯に対し、挑発をするような発言をする。

 それに苛立ちを感じたのか、悟飯はバックステップで後ろに下がり、気を両手に集中させる。

 

「はあぁぁぁあ! ──魔閃光!!」

「…………」

 

 悟飯が溜めた気を両手から放ち、ピッコロへエネルギー波を打ち出す。

 しかし、今の実力差ではこの程度を躱すなどピッコロにとっては造作もなかった。

 その場から動くことなく、上半身をわずかに反らしただけでそれは彼の後ろへと通り過ぎていった。

 

「あ……当たらない……! な、なぜ……」

 

 悟飯は何をしても攻撃が当たらないことにショックを受け、ついに膝をついてしまった。

 ピッコロはその様子の悟飯を見て、「ふんっ」と鼻を鳴らした。

 

「何をしても攻撃が当たらないのが不思議か?」

「────ッ!」

「なぜ当たらないのか教えてやろうか? ……それは()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 悟飯は顔を上げてピッコロを見た。

 

「超サイヤ人になれば実力が上がったと勘違いしているようだが、それは大きな間違いだ。大切なのは〝基礎能力〟を高めること。超サイヤ人はその実力を何倍にも引き上げるだけの、いうなればリミッター解除に過ぎないのだ」

「基礎……能力……」

 

 超サイヤ人は確かに本来の戦闘力を何十倍にも引き上げてくれる変身方法である。

 しかし、使い手本人の基礎能力や技術、精神状態が拙いのであれば、せっかくの超サイヤ人による効果も最大限に引き出すことが出来ない。

 

「そうだ。お前は超サイヤ人に変身できるようになっただけで、それを十全に使いこなすことが出来ていない。大切なのは超サイヤ人になれるようになったからこそ、基礎をいちから鍛え直すことだ」

「基礎を……」

 

 セルとの戦いのとき、悟空と悟飯の二人が精神と時の部屋に入った。

 悟飯を先に超サイヤ人に変身できるようにしたあと、彼らが行ったのは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ということであった。

 

「そうだ。だからお前にはこれからセルたちと戦った当時に、悟空と悟飯が行っていた修行と同じことをやってもらう」

「そ、それはなんですか!? どんなことでもやってみせます!」

 

 悟飯は悟空達がやっていた修行という言葉に、大きく反応をしていた。

 なぜなら全く戦力になっていなかった自分が、一年に満たない時間で人造人間達を倒すだけの実力を身に付けることが出来ていたと聞いていたからだった。

 そのためならばどんなに辛い修行でも耐えてみせるという意気込みを見せる悟飯。

 

「……分かった。それではお前にはこれから常時超サイヤ人で過ごしてもらうぞ」

「……え?」

 

 悟飯はピッコロの言葉が頭に入ってきていなかった。

 もちろん言葉そのものの意味は理解出来ていた。だが、超サイヤ人で過ごすことに何の意味があるのかが、よく分かっていなかったのだった。

 

「それはどういう……」

「つべこべ言うな! ……と言いたいところだが、説明してやろう」

 

 ピッコロはそう言うと、悟飯に理由を説明し始める。

 超サイヤ人に変身すると、特徴として軽い興奮状態となり、好戦的になりやすくなる。

 敵との実力差があるのであればそのままでも良いが、実は同等程度以上の相手に対してはこの特性は弱点となってしまっていた。

 

 それは()()()()()()()()()()()()というものだ。わずかでも冷静さを失うこと、それは戦いにおいてあってはならないこと。

 同等以上の実力の持ち主であれば少しの判断ミスが命取りになる。

 超サイヤ人になることで通常時と同じように戦えなくなるのは良くないため、まずはこの弱点を取り除くことが大切であった。

 

「お前にも人造人間との戦いで経験があるのではないか? 普段とは違うものを感じたことが」

「……あ……」

 

 ピッコロの指摘に対し、悟飯も心当たりがあるような声を出す。

 

(確かによくよく考えると、超サイヤ人になったときはいつもの俺とは違う感じがしていた。その違和感がなんなのか分からなかったから気のせいだと無視していたけど……そういうことだったのか)

 

 悟飯はピッコロの説明で理解した。普段どおりに戦えないことは、勝率を下げているのと同じである。

 

「……確かにいつもと違う何かを感じていました。まさかそれがそんな簡単なことだったなんて……」

「これに気付くのはなかなか難しいのだ。あの時点で気付いていた悟空が異常だったと思っていたほうがいい。それに常時超サイヤ人になっていることで、身体への負担を減らし、エネルギー消費を抑えるという副次的効果も見込める。

だが、これはあくまで()()()()()()()()という基礎以前の話だ。お前にはそれと並行して俺の修行も受けてもらうぞ」

「は、はい!」

 

 悟飯はピッコロの言葉に返事をすると、早速超サイヤ人に変身をし、自らの興奮状態を抑えることから始めるのであった。

 

 

 

     ◇

 

 

 

 二人が精神と時の部屋の部屋に入ってから半年が経った。現実世界ではまだ半日しか経っていないのだが、悟飯はその半日で見違えるような成長を見せていた。

 ピッコロが行った修行方法は至って単純だった。常時超サイヤ人でいること以外は、ピッコロが今まで自身の修行で培った基礎修行を行わせるということ。

 

「…………」

「…………」

 

 二人は一切話すことなく瞑想に(ふけ)っていた。

 何も戦うだけが修行ではない。瞑想をすることで自身の心を鍛えることも可能ではあるし、イメージトレーニングをすることで攻撃の幅も広がるのだ。

 ピッコロは瞑想をしながら、音も立てずに自身の周囲に複数の小さなエネルギー弾を発生させる。

 

「…………」

「…………」

 

 そのエネルギー弾はピッコロの周りをゆっくりと回り始め、徐々に四方八方へと散っていく。

 音を立てず、気配すら感じさせず、スピードも遅いため、移動した際の風の揺らぎを感じることも難しい。

 

「…………」

「…………」

 

 エネルギー弾はピッコロから離れ、徐々悟飯の周りを囲んでいく。

 殺意すら感じない──実際に当たったところで怪我すらしない程度の威力しかない──エネルギー弾は所定位置につくとピタリと動きを止め、()()()()()()()を待っていた。

 そして、彼の心の中の合図とともに、エネルギー弾が一斉に悟飯へと襲いかかった。

 

「…………」

 

 しかし悟飯は一切の動揺も見せず、その場で瞑想を続けていた。

 本当であれば当たったはずのエネルギー弾は悟飯を通り過ぎてしまい、空中で動きを止める。

 だが襲撃を一回失敗したくらいで諦めるはずもないエネルギー弾は、再度悟飯へと襲いかかる。

 

「…………」

 

 何度襲いかかっても一切当たることがないエネルギー弾。

 苦し紛れに何発か悟飯の近くで爆発したのだが、悟飯には動揺が見られることはなかった。

 そして──。

 

「……ちっ。()()()()()()()

 

 ピッコロの声とともに悟飯は目を開ける。そこには後ろから手刀を放っていたピッコロがおり、悟飯はそれを左手で防御していたのだった。

 

「ようやく落ち着いて対処出来るようになってきましたよ」

「ああ、超サイヤ人はこれで完全に制御出来たと言ってもいいな」

 

 この半年間、今まで悟飯が行っていた修行とは全く違う方法が取られていた。

 いつも身体を(いじ)め抜き、痛めつけ、トランクスと組み手をしていたときとは違い、穏やかで平穏な日々が流れていた。

 その間に重力十倍という過酷な状況にも慣れてしまい、ほとんど違和を感じることも無くなっていた。

 

「……ただこれで本当に強くなっているのでしょうか?」

 

 悟飯は一つだけ疑問に思っていたことを口に出す。

 それは当たり前のことであった。超サイヤ人で過ごすことと、瞑想以外はほぼ型修行と筋トレをやっていただけだったからだ。

 

「疑問に思うのであれば、力を開放してみるがいい」

「……力……を?」

「ああ、今のお前は自然な状態のまま超サイヤ人でいることが出来ている。その状態から超サイヤ人になったときと同じ要領で更に力を入れてみろ」

 

 ピッコロの言葉に疑問は持ちつつも、素直にやってみようと今の状態から超サイヤ人になる気持ちで力を入れてみる。

 すると、悟飯は周囲に衝撃波を撒き散らしながら黄金のオーラを纏うのであった。

 

「こ、これは……!」

 

 身体から力が溢れてくるのを感じ、自身の両手を広げて見つめる。

 悟飯自身は感じているかは分からないが、身に纏ったオーラはより大きく、より洗練された黄金色になっていた。

 

「これが()()()()()()()()姿()だ」

「本来……の……?」

 

 言葉の意味が分からず、悟飯は言葉を繰り返す。

 

「俺も実際になっているわけではないから感覚までは分からんが、超サイヤ人とは本来この状態をベストと呼ぶらしい」

 

 今まで悟飯が変身していた超サイヤ人はあくまで初期段階の未完成状態であった。

 そのため落ち着きもなくなり、興奮状態になっていた。未完成のため、エネルギー消費も激しく身体への負担も大きかった。

 超サイヤ人になった者が最初にたどり着くべき場所がここなのであるとピッコロは説明する。

 

「この半年間、お前は超サイヤ人を十全に使いこなすための訓練を行ってきた。そして同時に基礎的な修行を行い、変身時のパワーアップ効率を更に上げていたのだ」

「あ、あの修行だけで……ここまで……」

 

 ピッコロとたった半年間修行していただけで、ここまで戦闘力が上がったことに驚きを隠せない悟飯。

 今までの修行は何だったのかと思う反面、これであれば人造人間も倒すことが出来る。悟飯はそう確信していた。

 同時にこれで修行も終わりなのか、と寂しい気持ちになっていたとき、ピッコロから驚くべき言葉が出てくる。

 

「──これで土台作りの修行は終わりだ。そして、これからが()()だ」

「……そうですよね。これでもう修行は終わり……って、え!?」

 

 ピッコロから告げられた言葉。それはこれからが本当の修行の始まりだということであった。

 

「何を言っている? お前はまだ超サイヤ人1でフルパワー状態になれるようになったに過ぎない。これから更に上を目指すぞ」

「ちょ、ちょっと待ってください! 超サイヤ人〝1〟ってどういうことですか!?」

 

 まるで超サイヤ人2があるかのようなピッコロの言葉。初めて聞いた言葉に、悟飯は驚きの顔をしていた。

 

「……ちっ。未来のお前はなんでも説明を求めるんだな。いいだろう、説明してやろう」

 

 存外にこの世界の悟飯はもっと素直であると言われ、少しだけムッとする悟飯。

 だが、黙ってピッコロの言葉を待つことにした。

 

「超サイヤ人には更に上の進化がある。便宜上、〝超サイヤ人2〟、〝超サイヤ人3〟となり、数字が上がるだけで桁違いに強くなっていくのだ。その分エネルギー消費なども格段に増えるがな」

 

 まさに寝耳に水。超サイヤ人を使いこなせていないということ自体が驚きだったのにも関わらず、更に上があるということなど悟飯には想像出来るわけがなかった。

 この想像力と自身を把握する力の乏しさが今の彼を形作っているのかもしれないが、師匠がいない彼にとってそれは仕方のないことなのかもしれなかった。

 悟空のような開拓者ではなく、常に上位の存在がいた悟飯にとって、急に上がいなくなってしまったのだ。十年そこらで悟空と同じ存在になれという方が難しいのであろう。

 

「先に言っておくが、超サイヤ人2に初めてなったのは悟飯、お前だ」

「お、俺が……」

「ああ。だから修行次第だが、お前にも十分可能性があると言ってもいい。もちろん今のままでも人造人間に勝つことは可能だが……どうする?」

 

 決めるのはお前だと言わんばかりに悟飯へ結論を促すピッコロ。

 今後の彼の世界のことを考えると強制的にでも修行を続けたほうが良いと思っている。だが、悟飯はもう二十三歳の大人である。

 ピッコロは今の世界の悟飯と修業をするときもそうだったが、どうするかを本人に決めさせるのが良いと思っていた。

 

「…………ぜひお願いします」

 

 悟飯は少し考えた後、ピッコロへと頭を下げた。

 彼としてもピッコロの言葉から色々と考えていた。それは()()()()()3()があるという言葉が引っ掛かっていたのだ。

 

 今のままでも人造人間を倒すだけの実力はあることはピッコロのお墨付きを貰っている。

 しかし、それで戦いが終わるのであれば、なぜそれ以上の成長をしているのかが不思議に思っていた。

 悟空やベジータのような純粋サイヤ人であれば強さを求めた末の結果というのもあり得るが、もしかしたら()()()()()()()()()()()()()()()()()()()としたら?

 

 その過程で生まれたのだとしたら、それが自分の世界に同じ危機が訪れないとも限らない。

 今、自分の世界で戦える戦士は自分とトランクスだけだ。彼のためにも少しでも強くなっておきたいと考えるのは必然であった。

 

「……そうか」

 

 ピッコロはそう言うと、わずかに口角を上げて微笑んだ。

 彼は大きく口を開けて笑うことはない。しかし、このような表情を見せたときというのは、本当に嬉しく思ったときだということは悟飯も気付いていた。

 

(ピッコロさんが詳細を言わないということは、何か理由があるんだろう。やっぱりピッコロさんは昔から優しいんだな……)

 

 これから悟飯の超サイヤ人2になるための修行が始まる。

 これが終われば、ピッコロが師匠として出来ることは少なくなるだろうとピッコロ本人も分かっていた。

 だが、それでも今の悟飯との大切な時間を無駄にしないために、悟飯の師匠として出来る限りのことをやろうと考えていた。

 

 彼はそのことを決して表に出すことはないのだが。

 そして、更に一年の月日が流れたのであった。

 




ツンデレさんは文句言っていますが、説明するのは好きそうなイメージです。

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