円卓の獅子がゆくトレセン生活   作:uahfuw

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アニメ時空で行こうかと


第6話

...う~ん、悩むなぁ。

 

「やっほーレオ!何見てるの~?」

 

「...テイオー。チームのパンフレットだ。」

 

模擬レースが終わってから数日後、俺はチーム選びに苦悩していた。

 

「レオもスカウトいっぱい来てたよね!ボクの方が多かったけど!」

 

「...あぁ、正直実感が湧かない。」

 

実を言うと、俺は修業4日目辺りからの事をよく憶えていない。

 

能力が圧倒的に向上しているのはわかるんだが...

 

最近、知らんやつらから恐怖の視線を感じることもある。俺には全く心当たりがない。

 

後、岩が誰かによって砕かれていた。野生動物に出来るとも思えない。ひどい話だ。

 

マックイーンにも知らんやつの話を聞かれるし...誰だ岩本って。

 

まぁそれは置いとくとして、本格的にレースに出るにはトレーナーの力が必要だ。

 

でもスカウトされてる時の記憶もない。どこがどんな感じのトレーナーか分からん。

 

...まぁ、分からない事を悩んでてもしょうがねぇよな。

 

ずっとトレーニング続きだったし、何か息抜きがしたい。

 

...サッカーでもやろ。

 

 

 

 

 

放課後、人気の少ない空き地へやってきた。

 

ここは本当に稀にしか人が来ない。一人でボールを蹴るにはピッタリだ。

 

何故かゴールも設置されてるし、周りに家もない。

 

俺は鞄をベンチに置くと、リフティングから始めた。

 

 

 

「ッ!...」

 

スパーンッ!

 

鋭い縦回転のかかったボールがサイドネットに吸い込まれる。

 

ドライブシュートもだいぶマスターしてきたな。翼くんの再現も夢じゃないか...?

 

普通、ウマ娘が蹴ったボールなんて破裂すると思うだろ?

 

だから少しお高いのを使っております。重さは変わらず、更に耐久力が増した優れもの!

 

その名も『ウマ娘用サッカーボール』!そのまんまだね。

 

ホント、強すぎるって時に不便だよなぁ。

 

サッカーが好きになったきっかけは、アニメを見た影響だ。

 

登場する必殺技を再現するのが目標だったんだが、だんだん楽しくなってきてな。

 

まぁ、プロの試合とかはあんまり見ないんだけどね。見てるよりボール蹴った方が楽しいし。

 

マックイーンも観戦ばっかしてないで、皆で野球したらいいのに。

 

ん?俺はいいよ。やっぱ性別の壁ってあるからさ。

 

さて、日も落ちてきたしそろそろ帰るかな。

 

 

 

 

帰り道、この前ブルボンと会った公園の辺りに来た時、誰かの泣く声が聞こえた。

 

辺りを見回すが、人の姿は見えない。

 

...?どこだ?少なくとも公園の中にいるはず...

 

...あのドームかな。

 

こんな時間にどうしたんだろうと思い、近づこうとする。

 

...いや、待て。こんな時間に変なお兄さんに声かけられたらビビるだろ。

 

てか普通に通報案件では!?こんなところで捕まりたくねぇよ!

 

でも、泣いてる子供を見捨てていいのか!?それは人としてどうなんだ!?人じゃねぇけど!

 

...腹を括ろう。人助けだ、間違っちゃいないはずだ。

 

覚悟を決めて、俺はドームの中を覗く。

 

「...そんなとこで何してんだ?」

 

「!...誰っ?」

 

中では黒髪の小さなウマ娘がうずくまっていた。

 

「えっと...早く帰んねぇと、親が心配すんぞ。」

 

「...心配なんかしないもん。」

 

ははーん、この感じ...家出ってとこか。

 

俺は少女の向かい側に座る。

 

「...子供を心配しねぇ親なんかいねぇよ。余程のクズじゃねぇ限りはな。...それとも、お前の親はそのクズだったのか?」

 

「...!パパとママはクズなんかじゃないもん!」

 

ほら、やっぱり嫌いにはなれないんだよな。

 

「...喧嘩したなら、ちゃんと仲直りしねぇと。たとえ向こうに原因があったとしても、今こうして心配させてんだ。どっちもどっちだよ。」

 

「...でも...」

 

「...俺も一緒に謝っからさ。帰るぞ。」

 

「...うん。」

 

彼女はゆっくりと立ち上がってドームから出た。

 

「ほら、顔拭けよ。すげぇことになってるぞ。」

 

涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔じゃいかんて。

 

俺は彼女にハンカチを差し出す。

 

「ありがと...お兄ちゃん、おとめごころを分かってないよ...」

 

「え!?...悪ぃ...」

 

「ドラマだともっとカッコいい渡し方してくれるよ!」

 

「あー...そうね...」

 

 

 

彼女を家まで送る途中、他愛のない話に花が咲く。

 

「そういえばお兄ちゃん。」

 

「ん?」

 

「お兄ちゃんって、ウマ娘なの?」

 

「...一応な。」

 

「いくつ?」

 

「13。」

 

「どこの学校?」

 

「トレセン学園ってとこ。」

 

「えぇ!?」

 

俺がトレセン学園に通っていると知ると、彼女は驚いた。

 

「お兄ちゃんもレースに出るの?速い?」

 

「うーん...わかんね。」

 

「あたしもトレセン学園に入るんだ!友達のサトちゃんと一緒に!」

 

「...仲いいのか?」

 

「うん!あのね!この前サトちゃんがね!」

 

 

 

 

 

彼女の友人語りに耳を傾けている内に、少し向こうの家から夫婦が出てくるのが見えた。誰かを探しに行く所のようだ。

 

「あ...パパ...ママ...」

 

「...な?心配してただろ。...行くぞ。」

 

「...うん!パパー!ママー!」

 

「!?ブラック!!」

 

母親が彼女に駆け寄り抱きしめる。

 

「...あの、あんまり怒らないでやってください。彼女も反省してるみたいですし...」

 

「...君は...」

 

ん?...あぁそうか、テレビで俺の事見たことあるのか。

 

「娘が世話になったみたいだね。ありがとう、君は恩人だ。」

 

「何かお礼をしないと!ちょっと待ってて!」

 

母親が家の中へ駆けていく。

 

「いや、お礼なんてそんな...」

 

そこから譲り合いが発生し、結局俺が折れた。高そうなケーキ貰いましたぁ。

 

そして、少女が話しかけてくる。

 

「お兄ちゃん、名前なんていうの?」

 

「...ラウンドレオン。」

 

「あたしはキタサンブラック!レオお兄ちゃんの事、応援してるね!」

 

「...あぁ。俺の走り、しっかり見ててな。」

 

最後に彼女の頭を撫でて、トレセン学園に向かう。

 

...通報されなくてよかったぁー!!!やさしいせかい。いや、やさいせいかつ。

 

 

 

 

 

...普通に門限過ぎてるよ...まぁ、説明すれば分かってくれるだろ。

 

そんなことえお考えながら、寮の玄関に向かう。

 

「すみませーん!!スペシャルウィークですぅー!!遅くなっちゃいましたー!!」ドンドンッ!

 

...なんかいる。めっちゃ叩くやんあの人。

 

「...アンタ、そんなドンドン叩いたら壊れるよ。」

 

「あ、すみません!...あの、学園の方ですか?」

 

「ここの寮生。,,,アンタも門限間に合わなかったのか?」

 

「そうなんです!ウイニングライブ見てたらこんな時間になっちゃって!」

 

「...ちょっと待ってな。」

 

携帯を取り出し、マックイーンに電話をかけようとする。寮長の電話番号知らん。

 

「...あ。」

 

...またもや充電切れ。我ながら間抜けにも程がある。

 

そしてそれを悟った目の前のウマ娘と目が合う。

 

「「...」」コクリ...

 

こうなったら、俺達がやるべき事は一つしかねぇっ!

 

「すみませーん!!スペシャルウィークですぅー!!怪しいウマ娘じゃありませーん!!」ドンドンッ!

 

「誰かーッ!助けてーッ!せめてこの子だけでもォッー!」ドンドンッ!

 

夜のトレセン学園に、二人の情けない叫びが木霊した。

 

 

 

 

その後、開けてくれたフジキセキ寮長にキッチリ説明しました。いやー!理解ある寮長で助かったぜッ!

 

あと子猫ちゃんと呼ぶのをやめてくれ。

 

さっき一緒にいたあの人は転入生らしい。名前はスペシャルウィーク。

 

...めっちゃ純粋そうな人だった。ああいう子って...いいよな...

 

一緒にいてすげー楽しそうだなぁ...俺には縁のない話だけど。

 

そんな雑念を振り払うと、俺はベッドに横になった。

 

 




レオくんは片目隠れだといいなぁ...
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