円卓の獅子がゆくトレセン生活   作:uahfuw

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タウラス杯、みんなはどっちにしたかな?


第8話

「一週間みっちりトレーニングすればデビュー戦くらい何とかなるだろ。」

 

そんな適当な...このトレーナーホントに大丈夫か...?

 

案の定、他のメンバーから非難の声が上がる。

 

「適当過ぎんだろ!」

 

「ちょっとは真面目にやんなさいよ!」

 

そしてこいつら結構暴力的だぁ...トレーナーの尻を踏みつけている。

 

キーンコーンカーンコーン...

 

ん?もうそんな時間か。

 

メンバーも次々に部室を出ていく。俺も帰ろうかな...とその前に...

 

「あれ?レオンさんは帰らないんですか?」

 

「少しトレーナーと話があるんで。お気になさらず。」

 

「それではまた!」ガチャ

 

...皆行ったな...

 

「さてトレーナー、聞きたいことがあるんだが...」

 

「ん?」ダンッ!

 

立ち上がったトレーナーを壁際に追い詰める。

 

「さっきの痴漢ってなんだ?あぁん?」

 

まだテメェの容疑は晴れちゃいねぇぞコラ。

 

「いやだから誤解なんだって...」

 

「あの子が言い掛かりつけてるって言いてぇのかコラ。」

 

「少し脚の筋肉をだな...」

 

「やっぱテメェが悪いんじゃねぇか!!」

 

スペ先輩の純粋さに付け込むなんて許せん!トレーニングに支障が出ない程度にぶちのめすッ!

 

「すみません!忘れ物...」

 

「「ん?」」

 

どうやらスペ先輩が忘れ物をしてしまったらしい。まったくおっちょこちょいだなぁ。

 

...あれ、なんで顔赤くしてんの?

 

...あ。

 

ここで今の態勢を思い出してほしい。

 

俺はトレーナーを壁際に追い詰めている。...そう、壁ドンだ。

 

「...ごめんなさーいーッ!!!」

 

「待ってくれッ!違うッ!...違うんだァッー!!!」

 

スペ先輩は自慢の末脚で逃げていった。...そんな...

 

俺がこの世の終わりのような顔をしていると、トレーナーが肩ポンしてくる。

 

「...仕方ないね♂」

 

「...」(#^ω^)ピキピキ

 

...ウゼェェェェェェェ!!!

 

「「アァァァァァ!!!!!」」

 

渾身のバックドロップを繰り出すレオと悲痛なトレーナーの叫びが響き渡った。

 

 

 

 

 

「えぇ!?チームスピカに入ったのぉ!?」

 

「あぁ。」

 

翌日、俺はテイオーに昨日の話をしていた。

 

「スピカと言えば、転入生が入ったとこじゃん。」

 

「...そうだ。」

 

昨日の一件のせいで、俺はスペ先輩に変なイメージを持たれている。早急に何とかせねば。

 

「...レオ?」

 

どう誤解を解くか思案していると、横からマックイーンが話しかけてきた。

 

「...私に何の相談もせずに...チームを決めたのですか...?」

 

「...なんだよ。そのくらい一人で決められる。」

 

ここまで子ども扱いされちゃあ、俺も少し機嫌が悪くなりそうだ。

 

「...どこですの...」

 

「あ?」

 

「入部届はどこですのッ!!!」

 

「ハァッ!?」

 

「私もスピカに入りますッ!早くお出しなさいッ!」

 

俺の襟を掴み揺さぶるマックイーン。離せよ破けちゃうだろうがッ!

 

「...そんな簡単に決めるなよ。お前に合うところがもっと他に...」

 

「レオがいないとダメなんですッ!」

 

「えぇ...」

 

こいつ俺が死んだらどうする気なん?

 

「ボクもスピカにしよっかな~。なんか面白そうだし!」

 

「じゃあ俺から話通しとくわ。」

 

「私は!?」

 

「...お前は少し俺離れをだなぁ...」

 

「...」

 

「...そんな涙目で見たってなぁ...」

 

「...」

 

「...好きにしろよ。」

 

駄目だな俺は...一生女の尻に敷かれて生きるんだ...

 

 

 

 

 

 

 

そして放課後、俺とスペ先輩は初のチーム練習となる。

 

なのに...

 

「次、右手青。」

 

なんで初練習がツイスターゲーム!?

 

「...体幹鍛えるにしても、これは...」

 

「お、分かってるみたいだな。」

 

確かに、レース中にバランスを崩して転倒なんかしたら終わりだ。そのためにも体幹は鍛えなくちゃならない。

 

...まぁでも、楽しい方がいいよな。だからこのチームにしたんだ。

 

「じゃあ次、スペとレオ。」

 

「はい!」

 

「...俺も!?」

 

先にやっていたウオッカとスカーレットがどいた。

 

俺だとセクハラになりませんかね...細心の注意を払わんと...

 

「よろしくお願いします!」

 

「...はい。」

 

「レオからスタートな。右手黄色。」

 

 

 

 

今の状況は、俺が右手青、左手青、右足赤、左足緑。ポーズで例えるとクラウチングスタートみたいな感じだ。

 

スペ先輩は、右手黄色、左手黄色、右足緑、左足緑。

 

「次、左手青。」

 

これは簡単だ。2と3は駄目だから4に...

 

「次、右手黄色。」

 

スペ先輩は黄色の4と5を使ってしまっている。3にいくしかない。

 

「くっ...」

 

スペ先輩がやりやすいよう肘を曲げ、胸を下げる。

 

「うぅっ...」

 

よし成功。だがこの態勢はまずい。スペ先輩が俺に上から覆い被さる形。

 

俺が油断して肘を伸ばそうものなら...背中にスペ先輩のむ...むね...が...

 

「...わわっ!」

 

ふに...

 

「あ...」

 

スペ先輩が態勢を崩し、俺の上に倒れこむ。

 

...背中に柔らかい感触が...

 

「うぅ...すみませーん...」

 

「...いえ...」

 

...はわわ...これが...ブフーッ!

 

「おいっ!?なに急に鼻血出してんだー!?」

 

 

 

 

 

そこから厳しいトレーニングを乗り越え、スペ先輩のデビュー戦当日。

 

チーム一同で見守る。

 

それとこの間、マックイーンとテイオーが加入しましたーいぇーい。

 

「あ、パドックでの見せ方教えるの忘れてた。」

 

「何やってんのお前、スペ先輩に恥かかす気か?あ?」

 

「ちょっとーしっかりしてよー。」

 

こいつに敬語を使うんのはやめた。うぜぇし。

 

「続いて8枠14番、スペシャルウィーク!」

 

お、出てきた。...やっぱ動きガッチガチだ。

 

頑張れぇ...はよジャージ脱いで!

 

あぁ...転んじゃった...でもかわいい。

 

「...スぺちゃん...」

 

スズカ先輩もスペ先輩とはすっかり仲良し。いいなぁ...

 

「...あ、ゼッケン。渡すの忘れてた。いや、参ったなぁ...」

 

なんてわざとらしい。演技下手か?

 

「レオ、これスペシャルウィークに渡してきてくれ。」

 

「...了解っと。」

 

いいんですか...?緊張をほぐす役割もらっちゃっていいんですか?

 

...なんて声かければいいんだろ...

 

 

 

 

 

ターフに出る前の通路で待っていると、スペ先輩が来るのが見える。

 

「あ...レオンさんどうしてここに?」

 

「...これ、ゼッケン。トレーナーが渡し忘れたみたいで。...着けれます?」

 

「あ...えっと...お願いします...」

 

「はい。...すげー緊張してるみたいですけど。」

 

ゼッケンをつけながら話を振る。

 

「...こんなにたくさんの人の前に出るのは初めてで...」

 

...確かになぁ。俺は嫌でも目立つから人の目には慣れてるけど...

 

何か緊張をほぐす方法はないか...

 

「...緊張をほぐすには、手の平に人って書いてそれを飲み込んだり、あと観客を全部ニンジンだと思ったりとか...あぁクソ、そうじゃなくて...」

 

ダメだ...こんなしょうもないことしか出てこねぇよ...

 

「...ふふ。ニンジンが何千個もあるなんて...」

 

「...やっと笑った。」

 

「えっ...?」

 

「そうやっていつものようにニコニコしてれば大丈夫。レースを楽しんでください。...なんて、デビュー前のやつが言うなって感じですけど。」

 

「...いえ、ありがとうございます。...そうですよね、楽しまなきゃ損ですよね!」

 

良かった、いつもの調子に戻ったようだ。なんだよ...俺にも出来んじゃねぇか...へっ...

 

「...それじゃあ、いってらっしゃい。...スペ先輩。」

 

「...行ってきます。...レオくん。」

 

ズキューンッ!!!

 

...ヤバイ...今俺の中で何かが弾ける音がしたぞ。

 

ずきゅんどきゅん走り出し...?ばきゅんぶきゅん駆けてゆくよ...?

 

こんな思いは初めてぇーッ!!!

 

スペ先輩を見送る俺の脳内は、何処かで聞いた電波ソングによって支配されていた。

 

 

 

 

 

そして、スペ先輩の勝利でデビュー戦は幕を閉じた。

 

「...あ、やべ。ウイニングステージの練習、マジで全然やってなかった。」

 

「「「「「「「え?」」」」」」」

 

案の定、スペ先輩はライブ中ずっと棒立ちで過ごすより他ならなかった。

 

 




レオくんライブする時絶対キー合わない
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