王のもとに集いし騎士たち   作:しげもり

10 / 34
どんな事勉強してるのだろうか?という話 説明は超適当なので本気にしないで下さい


勉強会

「セイウンスカイは外枠に出るフェイントをかける時に右手を大きく上げる

スペシャルウィークは末脚をかける時に右足太ももを大きく上げる。他にも・・・」

「ちょっと!そんなの見分けつくわけないでしょ」

 

「右側の変化だけに注意してればいいんだ。いけるいける」

 

「他にも位置取りの時耳を傾ける子、追い上げの時後ろを振り向く癖のある子が・・・」

 

今日は勉強会だ。俺はモニターに映し出されたレースの様子を解説する。

 

 

「だいたいそれがわかるのって追い越されてる時でしょ」

 

「差しなら相手を観察して対応できる。頭の片隅に入れておいても無駄にはならない」

 

今日は勉強会だ。肉体疲労がたまる前に休憩と勉強のローテーションとなる。

 

「差しは常に相手の動きを見て自分の位置を有利に運ぶんだ。

一手一手が大事なチェスと一緒だよ」

 

「私チェス苦手なんだけど 母様に勝てたことないのよね」

 

「それは相手が悪い・・・とにかく一手一手がはまれば負けることはない」

 

後半からの進行は判断力と対応力が求められる。

大前提として追い上げのパワーとスピードも必要だが。

 

「先行に変えたほうがいいのかしら・・・」

「距離に応じて変わるけどな。差しもうまくすれば状況をコントロールできるので捨てたもんじゃない」

 

短距離の差しは一瞬の状況判断が求められるからな。中距離のような余裕がないので難しい。

 

ハルウララにはアオ君が人形やイラストカードを使って遊びながら工夫して勉強を教えている。

彼も苦労しているな・・・

 

「それじゃ次はコース展開時の時間配分だな」

 

俺は壁にかけられたモニターにグラフを映し出す。

 

限界曲線が画面に映し出される。

 

「授業で習うと思うが各距離における限界曲線の考察だ」

 

1600芝の限界ラインと曲線の接線の画面に切り替える。

 

「差しや先行で曲線の変化率は変わりますね・・・」

 

「3Fと表示される上がり3ハロンの分析だが、そこだけを切りとるのではなく、

曲線で表示するとペース配分にもなる。この分散点が・・・」

 

「これ高等部で習う話なんだけど」

「なら今は見方だけでも覚えてくれればいい。トレーナーが理解してれば十分だからな」

「ならなんでこんな勉強してるのかしら?」

「今の自分の力は知っておいた方がいいだろ」

 

この学園の子たちは優秀なのでついつい専門的な講義をしてしまう。

相手がまだ幼い・・・年頃の子たちというのをいつも忘れることがある。

 

「これは切片変えればいくらでも曲線率の表示が変わりませんか?」

「さすがだな。脚質によりぺースが違うから各ウマ娘で理想とすべき走行はコンマ単位で違う。

俺たちはなるべく早くそれを見つけ出さねばならない。

体の成長率により常に変化することも気を付けねばならないが」

 

俺はグラスワンダーの質問に答える。

 

俺はグラフを表示させながら解説する。こんな理論はトレーナーが知っていれば十分なんだが。

数値できちんとお前たちは成長しているんだぞ、と自信をつけさせることが主な目的だ。

単なる数値だけでも良いがいろいろなグラフならわかりやすい。

 

「そうなんですか~ 」

「学園の提供するデータは膨大だからな。もっとも練習では速度やペースは考えないほうが良いが」

 

だからなぜいるグラスワンダー。時々勉強会にキングヘイローが友人引っ張ってくるので困る。

 

「勉強になります~」

「あまり役には立たないだろうけどな」

 

部屋を少し覗いて出ていったアグネスタキオンには鼻で笑われたぞ・・・

 

アメリカなどの最新論文が読めれば・・・

和訳をキングに頼むか。いやいや彼女の時間を無駄にするわけにはいかない。

 

「次は過去のラップタイムのグラフと前半3F-後半3Fのグラフからのラップタイムを予想・・・」

 

俺は自分の能力の少なさを悔やみながら次のグラフの解説を始めるのだった。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。