「作戦会議と行くか」
だいぶ落ち着いたビッグブラウンを椅子に座らせて俺はテーブルを囲んだ皆を見回す。
「アメリカ競馬界を潰すってできるの?」
「まあ、言葉の綾だな。現実にそんなことは無理だ。俺たちの目的は何だ?」
「え~と、注射を打たせないこと~」
キングの取り巻きが答える。
「そうだ。なら戦う相手は?」
「ウマ娘たちを脅す悪いトレーナーたちだろ」
「それはちょっと違うな。敵はアメリカのウマ娘たちだ。正確にはその心というべきだ」
みんなが打つから私も打たなければいけない。
薬を打たないと勝てない。
その弱みにトレーナはつけ込んでくる。
そして薬の副作用で骨がもろくなり骨折して歩けなくなる。
現在はウマ娘が足を痛める謎の事故と世間で騒がれているが何のことは無い。薬の副作用だ。
またトレーナーばかりが悪いのではない。彼らも担当ウマ娘が勝てなければ企業やチームから即クビだ。
それに担当のウマ娘が骨折すればすぐに責任問題となる。企業やレース開催者などを含めた社会全体の問題だ。
一番薬の怖さを知っているのは彼らトレーナーかもしれない。
「その悪循環を断ち切るために意識改革だな」
「具体的にはどうするの?」
「いくつか案はあるが・・・」
1・ハルウララが薬なしで圧倒的強さを見せる。薬では成長できないことの証明。
2・ネットなどでドーピング問題を大々的に公表し社会問題化させる。ウマ娘が使いつぶされていることを知らせる。
3・ドーピング拒否のウマ娘の仲間を増やし、ウマ娘を脅すようなトレーナーから独立させる。
1・2の策を続けて最終的には3の反対派のウマ娘の人数を増やすのが目的だ。
「・・・決定的要素に欠けるんじゃないでしょうか?」
「そうだなぁ・・・俺たち少人数だとどうしてもな」
「ホントにこんなので大丈夫なの?」
キングヘイローが疑う目で見つめてくるが・・・
「最終目標はトレーナーとウマ娘を引き離してウマ娘の反対派チームを作ることだから、
現役選手の3割・・・いや1割でもウマ娘を引き込めれば大丈夫だろう」
今までの慣習を変えるのは無理だし、薬を打ってでも優勝したいというウマ娘もいなくならないだろう。
結局は時間をかけて解決していく問題だ。
「時間がかかる問題だな。やはりあまり効果がないかもしれない」
俺はため息をついて計画をやめようかと考える。
「そうとも言えませんよ」
考え込んでいたゼンデンが声を上げる。
「あの骨折用の治療薬を分けてもらえませんか?骨折で引退した優秀なウマ娘はたくさんいます。
彼らを治療する代わりに味方につければ上手くいきます」
あの骨折用の治療薬は実験段階なのだが・・・安全性を高めるようにアグネスタキオンに頼むか。製造費はいるが。
まあ、ウマ娘に影響力を持つ人が反対派に回ってくれれば力強い。
それに引退したウマ娘にトレーナーになってもらうという手もある。
「私も協力させてください。脚が折れる恐怖におびえながら走るのは、もう嫌なんです!」
「わかった。こちらからも頼む」
ビッグブラウンの言葉に俺は頷く。
「まずは目標は1000人だな、最終的には1万になればいいだろう」
「大丈夫よ!この私がしっかり集めて見せますわ!」
「さすがですキングさん!」
キングヘイローたちもやる気は十分だ。
「よろしく頼むよ」
毎年2万人ものウマ娘が生まれるアメリカ。
巨大な敵を相手にする戦いが始まったのだった。
アメリカは障害とか繋駕速歩用二輪馬車、クォーターホースも生産しているので、
日本みたいにサラブレッドだけ生産している国よりはサラブレッドの頭数が違います。
馬車を引くウマ娘・・・いや、無理があるかも。
日本のばんえい競走なんかはウマ娘世界にあるんでしょうか?
それはそれでネタになりそうですけど。