「アタシが来たからにはもう大丈夫だよ!」
「なんでビコーさんがここにいますの?」
目の前にいるのはビコーペガサス。
「アタシはアメリカ生まれだよ?ケンタッキー生まれなんだ」
話を聞くとケンタッキー州には大勢のウマ娘がいてそれで知り合いも多いらしい。
今は学園のレース出場組は合宿の真っ最中だが低学年組は夏休み期間中らしい。
「それに生まれ故郷の一大事だから他人事じゃないし」
そう言ってビコーペガサスは笑う。
「私も協力しよう」
ビッグブラウンに連れられ部屋に軍服のウマ娘が入ってくる。
「サージェントレックレスだ。共に戦わせてもらおう」
今までは軍と競馬会の争いになるので口出しは控えていたがここまで事件が大きくなると動かなくてはいけなくなったようだ。
「レックレスさん・・・よかった。無事で」
「ああ、軍隊であんな争いには慣れている」
レックレスはハルウララに笑いかける。
「ハルウララ、アメリカ軍に入らないか?今なら士官待遇で優遇するぞ!」
「えええっ!?」
レックレスはハルウララの手を握って勧誘し始める。
ハルウララがYESと言うまで手を離さない勢いだ。
「ダメに決まってるでしょ!」
「何を言うんだ!彼女が軍にいないのは世界平和の損失だぞ!」
「競馬界の損失よ!だいたい性格的に軍隊に向くわけがないでしょう!」
「あわわわ・・・二人ともおちついて・・・」
レックレスとキングヘイローがハルウララを挟んで言い合いを始める。
「あー、ごほん」
ビコーペガサスの咳払いで二人の争いが止まる。
「ここは危険だからね。移動しようか、”先輩”たち」
ビコーペガサスは笑って部屋を出ていく。
俺たちは顔を見合わせた後その後を追いかけていった。
「日当たりが悪いですわね・・・」
「前の部屋は行動が筒抜けだし避難しにくいでしょ」
「せっかく一番眺めのいい部屋を取ったのに・・・」
キングヘイローは前のビルの壁しか見えない窓を恨めしそうに眺める。
ただビコーペガサスの説明を聞くと丸見えで避難しにくい屋上階より
目立たなく避難しやすい三階の方が良いとわかる。
「競馬場もそうだけど部屋の前に名前のわかるものを置かないこと。
必要なら空き部屋に名札をかけておく必要もあるし部屋は常に番号で確認すること」
ビコーペガサスは部屋の前を確認する。
「いつでも逃げ出せるように貴重品とパスポートは身に着けといてよ。
そしていつでも外に出れるように靴は近くに置いておくこと」
そしてビコーペガサスはみんなを連れて非常口に向かう。
「いざというときはエレベーターは使えないからね。非常口の場所は確認しておくこと」
ビコーペガサスは非常口を確認して外を確かめる。
「きちんと整備されてるね。安いホテルだと非常口が物置になってたりするんだけど」
「詳しいですわね・・・」
「ヒーローたるものこれくらいの知識は常識だよ?」
「いやいや、それにしたって詳しすぎますわよ」
キングヘイローを始め俺たちはその警備員のような知識に感心する。
「この国は突然テロでビルが崩れるようなことが起こるからね。
日本は平和でいい国だけど一人くらいアタシのような者がいても・・・」
そこまで言ってビコーペガサスは苦笑する。
「さぁ!避難訓練をしようか!
先輩たちに言うまでもないことだけど、適切な事前の計画と準備は、最悪の行動を防ぐ!」
俺たちは言われるままビコーペガサスの指示に従って避難訓練を始めるのだった。
みんな大好きビコーペガサス参上!
ヒーローの名に恥じない協力なサポートカードのお世話になった人も多いはず
(必殺技が使いにくい短距離専用だったりしますが・・・)
平和な日本ではただのヒーロー好きで終わりですが
それで終わらないのがビコーペガサス