王のもとに集いし騎士たち   作:しげもり

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迫る魔の手

 

 

 

 

 

 

ビコーペガサスのもと避難訓練をしつつ1週間が過ぎた。

あれから何事も起こらずそろそろ次のレース場に向かおうかと話し始めた時のこと。

 

 

 

 

男が突き当りの部屋から出てくるのが見える

 

「ん、あの部屋って・・・作戦の部屋だよね?」

 

ハルウララが首をかしげるがあそこは誰も入らない空き部屋だ。

あそこは俺たちの居場所をごまかすために空き部屋に名前のプレートをかけておいた部屋だ。

 

 

「怪しいやつだ!待てっ!」

 

逃げ出した男を追ってビコーペガサスが走り出す。

 

 

 

男とビコーペガサスが階段に消えると同時に部屋から炎が噴き出す。

あっという間に炎が天井付近まで吹き上がる。

 

「わわっ・・・火が!」

 

スプリンクラーが作動するが火が消える様子がない。

 

「火が消えませんね」

「薬品で燃やしてるのか・・・火の回りが早いな」

「消火器はどうなの?」

「天井まで燃えてるからな。時間の無駄だろう」

 

その間にも突き当りの部屋から轟音と共に炎が噴き出す。

 

「行くぞ皆、避難だ!」

 

俺たちは訓練通り姿勢を低くし、ハンカチを口に当て煙を吸わないように移動する。

 

「非常口にも階段にも罠は無いようですわ!」

「それなら訓練通りに移動しよう」

 

前をカワカミプリンセスが確認しながら移動して、俺たちは怪しい者が来ないか見張りながら移動する。

日ごろの訓練のたまものかすぐにホテルから避難することができた。

 

「まだビコーさんが中に!助けに行かないと!」

 

炎に包まれ始めたホテルに戻ろうとするキングヘイローを俺は慌てて止める。

 

「知識のあるビコーなら大丈夫だ!行くなら俺が行くから!」

「ウマ娘の脚力ならすぐよ!あなたはそこで待ってなさい!」

 

キングヘイローを止める俺が引きずられ始めた頃、

ホテルの2階の窓を突き破り炎の中から人影が現れる。

 

「ビコーさん!」

「ごほっごほっ」

 

男を抱えたビコーペガサスが煙で咳き込む。

 

「やけどが心配だな・・・早く軟膏を」

「ええ・・・ちょっと、じっとしてて」

「うひゃひゃひゃ、くすぐったい!大丈夫だよ」

 

キングヘイローたちに軟膏を塗られるビコーペガサスが笑いながら暴れる。

 

「みんな大丈夫か!?」

「ええ、こっちは何とか無事よ」

 

騒ぎを聞きつけ調査に出ていたサージェントレックレスが姿を現す。

 

「こいつが犯人か?こいつは見覚えがあるぞ・・・」

 

気絶して転がる男を見てサージェントレックレスが難しい顔をする。

 

「知ってるの?」

「ああ・・・軍基地でコカイン売ってた小物だが、元締めが問題だな」

 

コカイン合法化の州で薬物売っていたため逃したが、今度はきっちり調べないといけないなと言いつつ

サージェントレックレスは男に手錠をかける。

 

「元締めってそれじゃあ仕掛けた奴は誰なのよ?」

「チャーチルダウンズ社だろうな。前にも同じような手口があった」

 

「巨大企業じゃないの・・・」

 

キングヘイローが難しい顔をする。相手は競馬場やカジノを多数持つ賭博関連組織だ。

 

「とりあえず先輩たち移動しようか」

「そうですわね。ビコーさんは病院ですけど」

「うえっ!?」

 

カワカミプリンセスに肩をつかまれたビコーペガサスは変な声を上げる。

 

「大丈夫だって!病院は嫌だー!」

「はいはい行きますわよ」

 

引きずられていくビコーペガサスを見送って

俺たちは消防車の到着と共に騒ぎの大きなる現場を足早に離れるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




チャーチルダウンズ社が悪者に。現実ではそんなことはないはずなので・・・
賭博関連組織の最大手なので敵役になるのは仕方ない(暴言)

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