俺たちは離れたモーテルに避難した。しばらくはモーテルの移動だ。
ビコーペガサスの助言で貸倉庫に置いた荷物はほとんどが無事だった。
捕まえた男は最初とぼけていたがサージェントレックレスの尋問におとなしくなってしゃべり始めたらしい。
「それじゃあ誰かにやとわれて私たちを殺しに来たってこと?」
「殺しというか警告だろうな。上級ホテルだけあって客はみな逃げ出せている。被害額はとんでもないが」
「警告でそこまでするの?」
「ああ、爆発物を仕掛けられてなかったのは幸いだ。もっともそんなことをすればテロ認定されて絞首台いきだが」
しかも麻薬の売人ときている。確かに少し前に検査でクラス1の禁止薬物検出が出たとして大騒ぎになったことがある。
脱法ドラッグが出てくるとなればいよいよ問題は根深い。
サージェントレックレスは提案だがと前置きして話を続ける。
「犯人と証拠を集めて裁判に持ち込みたい」
「裁判で勝てるの?」
キングヘイローの言葉に彼女は首をふる。
「まあ、会社までは無理だろうな。せいぜい実行犯たち数人といったところだ。
だが相手の力を削げるし、今後襲われることがないようにすることが大切だ」
カウンターは素早く打つことだとサージェントレックレスは続ける。
「・・・そうね。それじゃあ、お願いするわ」
「わかった。それでは移動するか」
レックレスの運転する軍用トラックで移動中に、外を眺めていたビコーペガサスが声を上げる
「あれ?あの車ずっとついてきてない?」
「ああ、あの車確かにずっとついてきてるね」
みんながその黒色の車を見るとハルウララが大声を上げる。
3台の黒色の車がこちらをずっと追跡している。
「あ、あの人たち襲ってきた人たちだよ!」
「なんですって!?」
キングヘイローはその車をにらみつけていたがゆっくりと立ち上がり
荷台に置いてあった鉄パイプを両手につかむ。
「おいキング。何をする気だ?」
「ちょっとあいつらを止めてくるわ」
「そんな無茶です!」
俺たちが止めるのも聞かずキングヘイローはトラックの荷台から飛び出していく。
「あなたたちは先に行きなさい!」
そしてキングヘイローは追跡してくる車に向かって駆け出していく。
「私の友達が襲われて黙っていられるわけないでしょ!」
「わわ!キングちゃんが~」
みんなの声を置き去りにしてキングヘイローは駆ける。
キングヘイローは怒っていた。
「私の友達を襲って、女の子みんなを悲しませて」
キングヘイローは車に向かって一直線に加速する。
「みんなが明日を夢みてんのよっ!その夢をっ!」
キングヘイローは速度を上げて加速する。
蹄鉄がアスファルトを削り火花を散らす。
「邪魔は!させない!」
キングヘイローの握りしめた鉄パイプが車のガラスにあたり大きなひびが入る
車はスピンしながら路肩に乗り上げて停車する
「一つ!」
慌てた他の車から男が身を乗り出して銃を撃ってくる
キングヘイローは左右にステップを踏みながら銃撃をかわす。
「そんなへっぽこの弾が当たるわけないでしょ!」
キングヘイローは右手に持った鉄パイプを大きく振りかぶり
槍のように車に投擲する。
鉄パイプは窓ガラスを突き破り車は回転しながら止まる。
「二つ!」
キングヘイローは銃弾を走りながらかわすとジャンプして
車の天井に飛び乗る。
そして手に持ったパイプを真下に突き刺すと、車はスピンしながら急停車する。
「三つ!」
車から飛び降りるがキングヘイローは足元を見て眉を寄せる。
「蹄鉄が・・・無茶をしすぎたわね」
靴が破れ蹄鉄も割れている。これでは走れそうにもない。
キングヘイローが顔を上げると壊れた車から男たちが現れ銃を構えてこちらに向かってくる。
「手加減しすぎたかしら?」
だが血生臭いのは
「ウララさん、へっぽこトレーナー後は頼んだわよ」
男たちはキングに銃を向ける。
「おーっほっほ」
キングヘイローは腰に手を当てて高笑いをする。
犯罪者どもに泣いて命乞いなどしない。
最後までキングは王なのだから。
そして発砲音が鳴り響いた。