発砲音が鳴り響くとともにキングヘイローの近くに居た男たちが崩れ落ちる。
「え?なんで・・・」
「もう!大丈夫?」
倒れた男たちの後ろから銀色の軽鎧を着たビコーペガサスが姿を現す。
「ちっ!新手だ撃ち殺せ!」
ビコーペガサスは相手の銃撃を大きな手甲ではじく。
「ペガサス流星パンチ!」
叫び声と共に近くにいた男たちがバタバタと倒れる。
「シルバーキャロットただ今参上!」
男たちを倒し銀色の軽鎧をつけたビコーペガサスが右腕を天につき上げ見えを切る。
「この銀色の輝きを恐れぬならばかかってこい!」
ビコーペガサスが男たちにとびかかる。
「ペガサスキック!」
ビコーペガサスは銃弾をよけながらまわりにいる男たちを蹴り飛ばし始める。
「こんのおおおおっ!」
男らしいカワカミプリンセスの言葉と主に蹴り飛ばされた男が宙を舞う。
「ビコーさん、カワカミさん・・・」
キングヘイローが周りを見ると追いかけてきたみんなが戦い始めている。
「キングさん!」
「大丈夫ですか?」
「あなたたち・・・」
キングの取り巻きがやってきてキングヘイローの両脇を抱える。
「みんなありがとう」
そっとつぶやいた言葉を聞こえないふりをしながら、二人は急いでキングヘイローを運んで行った。
「煙幕弾!」
「撃ちます!気を付けて!」
俺とアオ君は車両に積んであった煙幕弾を撃ちライフルを持つ襲撃犯を牽制する。
あたりが煙に包まれ銃撃の音も少なくなる。
やがて皆の活躍により男たちは全員倒れ伏すのだった。
「よし!一人も逃がすなよ!」
サージェントレックレスたちは男たちに手錠をかけ荷台の片隅に積み上げ始める。
「キング・・・無事でよかった」
二人に抱えられたキングを見て俺は胸をなでおろす。
「本当に無茶ばかりして!あとで説教だからな!」
「し、仕方ないじゃない!あいつらが悪いのよ!」
キングはそっぽを向いて反省の色がない。
「危険なことばかりして!今度ばかりは・・・」
「まあまあ、今回は仕方ないよ」
俺の言葉をビコーペガサスが止める。
「このままだといつかみんな大怪我していたからね。いつか戦わないといけなかったんだ。
それが今だっただけの話だよ」
「それはそうだが・・・」
ビコーペガサスの言葉は正しいが無茶ばかりするキングヘイローには言っておかなければいけない。
何度言っても聞いてはもらえないのだが。
「あ、痛たた・・・」
「ビコーちゃん大丈夫!?」
ハルウララが救急箱を持って駆けつける。
「ビコーさんどうしてこんな無茶を!」
「やだなぁ。無茶をしてるのはキング先輩も同じでしょ」
擦り傷を手当てしてもらいながらビコーペガサスは笑う。
「みんなの笑顔を見たいと思って。アタシはレースじゃいい成績でないからさ」
ビコーペガサスはゆっくりとこぶしを握る。
「だから自分にできることをするしかないんだ。・・・とアタシが言っても説得力無いんだけど」
アハハとビコーペガサスは笑う。
「ビコーさん。あなたこそ本当のヒーローですわ!」
「うん。ウララもそう思うよ!」
「そうですわ!」
「いやだなぁ。みんな。恥ずかしいじゃないか」
ビコーペガサスはみんなの言葉に照れて顔を赤くする。
「だけどその鎧はどうしたんですの?」
「ああ!これはトレーナーに作ってもらったんだ」
もともとヒーロー好きのビコーペガサスのトレーニング用にと重い鎧を作ったらしい。
なまじ作りが良いので銃弾をはじく対悪人用の装備になっている。
こんな使われ方をしていると知ったらトレーナーは顔を青くするだろうけれど。
「トレーナーがつきましたの!?」
「ああ、風に運ばれてトレーナーの履歴書が机の上に来てね。これも運命ってやつだね!」
「なんだか心当たりのある話だわ・・・」
話を聞いていたキングヘイローが遠い目をする。
やがてパトカーが数台やってきて警察官とサージェントレックレスが話し合いを始めた。
「だけど大ごとになったわね。これじゃレースどころじゃないわ」
「そうだな、しばらくは他の人にレースを頼むか」
「他の人って・・・誰かいるの?」
俺はキングヘイローの言葉に答える。
「いるさ。強力な助っ人がね」