王のもとに集いし騎士たち   作:しげもり

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ケガの予防

「いや・・・見ないで!見ないで・・・」

「ここの位置を見てくれれば筋肉の付き方が人とウマ娘では違うのがわかるだろう」

 

俺はハルウララとそのトレーナー、取り巻きの二人に説明しながらキングヘイローの足をつかむ。

 

「そして太ももの血管の太さも違う」

「ひうっ!・・・いやぁ・・・」

「二人一組できちんと毎試合ごとに全身のマッサージは行うように。練習後は足だけでもいいけど」

「イっ!・・・・・・」

「足だけでなく手や首にも負担はかかる。腕の振りは重要なのだが肩にも負担が・・・」

 

今日はみんなを集めてマッサージの講習だ。みんなは真剣な表情で聞いてくれている。

キングヘイローも疲れているのかすぐ寝入ってしまった。

時折ビクンビクンと痙攣しているようだが相当疲れがたまっているようだ。

こうなる前に処置をするべきだったのだが。

 

「キングちゃん凄い・・・」

「これはもううまぴょいなのでは?」

「あの、これって必要なんですか?」

「必要だ」

 

真剣な表情の女性陣に応えながらもマッサージの手は止めない。

 

「トウカイテイオーやサイレンススズカはけがをしているがその理由がわかるか?」

「走り方が独特なのもありますがサイレンススズカはガラスの脚ですから・・・

走りに体が耐えられない・・・ですか?」

「正解だ。さすが優秀だな」

 

とんでもないと謙遜するトレーナー君にマッサージの押す場所を説明しながら俺は続ける。

 

「あらゆる技術が向上して走りは高速化している。速さも昔は60㎞今は65㎞そしていずれは70㎞を超える」

 

毎年ものすごい速さで技術は向上している。それは才能のあるウマ娘が多いという今の状況があるのかもしれない。

黄金期と呼ばれるものがあるのならそれは今なのだろう。

 

「そしてそのスピードにウマ娘は耐えられない。医療も進んでいるがケガが多ければいずれ壊れる」

 

俺はマッサージオイルをぬぐいながら説明を続ける。

ときおりキングヘイローが飛び跳ねるがもう少しマッサージを続けたほうが良かっただろうか。

 

ケガがない超人なんてゴールドシップやスペシャルウィークくらいのものだからな・・・

 

「俺たちの役目はケガをいかに未然に防ぐかということが大切だ。

 ケガなんてさせるトレーナーは3流以下だろう」

 

俺はハルウララたちにマッサージの説明を行う。

 

「テーピングはもちろん針でも灸でも必要ならなんでも学んで取り込んで活用しないとな・・・さあ、みんなやってみろ」

 

恥ずかしがったりくすぐったいと笑い合ったりでなかなか進まなかったが

 

「次はミホノブルボンがケガで動けなくなるだろう。嘘だと思うなら次のレースを見てればいい」

 

その言葉が現実となってみんなは真剣に練習に取り組むようになった。

もっともキングヘイローがマッサージをするとすぐ寝てしまうのはどうにかならないものか。

そんなに疲れるほどきついトレーニングをしているつもりはないのだが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




キング受難の回でした。耳や尻尾があるなら筋肉の付き方も違うのでは?という話

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