コンビニからの帰り道、先ほど我慢していたものが溢れ出してくる。
彼女が目の前にいるのになにニヤニヤしてるんですか。
先輩あの人だれですか どんな関係ですか?
湧き上がる怒りを抑えて聞いてみる。
「…ただの学校の先輩だよ」
嘘。かすみんは全部知ってる。
スクールアイドルのステージを見た後、先輩は1度も興味を示さなかったスクールアイドルに興味を持つようになった。正確には、目の前にいる朝香果林って人がお気に入りみたい。
別に好きなことを否定するつもりはない。かすみんだって好きなスクールアイドルは沢山いるしそれだけならよかった。
それだけなら、よかったのに・・・
……先輩はきっとかすみんに見慣れちゃっただけ。かすみんがスクールアイドルになって普段と違うかわいいかすみんを見ればまた好きになってくれるはず。
私はスクールアイドル同好会に入部した。
少しでも果林先輩を追い抜くためにいっぱいいっぱい努力して、嫌いな運動も化粧も頑張った。元々スクールアイドルが好きだったからダンスや歌は練習してたし、可愛く見せる練習だってしてた。同好会に入ってからも、誰よりも練習した。
だけど、果林先輩にだけは勝てる気がしなかった。
そう実感するたび、足りない、これじゃ勝てない、もっと練習しなきゃ…
「あ、れ…」
「かすみさん!」
どうやら気づかないうちに足がダメになっていたらしい。
でも、そんなこと関係ない。
かすみんは、先輩にまた振り向いてもらわないと…
帰り道、突然先輩はふと立ち止まると、深刻な面持ちで話し始める。
もしかして、かすみんへの態度が冷たかったこと反省したのかな?それともかすみんが可愛過ぎて見惚れちゃったのかな?
なんにせよ、やっとかすみんの魅力に気づいたってことだよね。
「かすみ」
「なんですか、先輩?」
「…俺、他に好きな人ができた。だから」
「それってかすみんのことですか?やだなー、私達もう既に付き合ってるじゃ…」
「…別れてほしい」
「え?」
頭が真っ白になった。
先輩は何を言ってるのだろう。
聞き取れたはずなのに、意味が理解できない。
「せ、先輩、急に何言って」
「俺と別れてほしい。」
・・・・・
「……っ」グスッ
「…相手は誰ですか?」ポロポロ
「いや、見てたら分かります、果林先輩でしょ?」ポロポロ
「確かに果林先輩は綺麗ですし、気になっちゃうのは分かりますよ、でも…でもっ!」ポロポロ
「こんなに頑張っ…てるのに」ポロポロ
「なんで…なんでかすみんじゃダメなんですか!」
「どうして、私じゃダメなんですか…」ポロポロ
「…ごめん」
お願い…私を捨てないで…
1人にしないで…