私は先輩に振られた。
「ごめん」
この一言に全てが詰まっていた。
もうどんなに気持ちを伝えても届くことはないのだろうと。
私は先輩に背を向け駆け出した。
ただただこの場から逃げたかった。
その後の記憶が無い。
気がつくと真っ暗な自分の部屋に立っていた。
頭の中で先輩の言葉がぐるぐる回る。考えないようにすればするほど濃くはっきりと脳裏にフラッシュバックする。
「……っ…………オエェ…」
気持ち悪い…気持ち悪い…気持ち悪い…
「…っなんで…!なんでなんですか先輩…!」
「先輩に振り向いてもらえるようにこんなにも努力したのに!」
「あの時買ってくれたアクセだって、新しい髪型にした時だって、浴衣を見てくれた時だって、可愛いって言ってくれたじゃないですかっ!!!」
誰もいない部屋に、誰にも届かない声が響き渡る。
・・・・・
私は翌日学校を休んだ。もう全てがどうでもよかった。同好会のみんなには体調不良とだけ伝えておいた。
大丈夫。。先輩との関係は誰にも伝えてなかったから誰も知らないはず。。
不幸中の幸いだった。同好会のみんなには、かわいいかすみんで通しているのだ。こんな情けない姿を見られて同情なんかされたくない。
なにより先輩の顔を学校で見るのがつらかった。
学校を休んで3日がたった。情緒が不安定になり自身でもコントロールが出来なくなっていた。
室内にスマホの無機質な音が響きわたる。
誰だろう。そう思いながらメッセージボックスを開く。
心臓が締め付けられた。先輩からだ。
「天王寺さんから聞いたんだけど体調不良って
…その、大丈夫?
俺から何言われるのも嫌だろうけど、心配で…」
今更なに?
振った相手に優しくするなんてどういうこと?
胸がムカムカしてくる。
再びメッセージが届いた。
しず子からだ。なんだろう?
「果林先輩、かすみさんの先輩に告白されて付き合うことになったみたいです!
私はてっきりかすみさんと先輩は付き合ってると思ってましたけど…私の勘違いだったようですね。」
「そっか…」
おもわず声が出た。
先輩は告白して、見事お付き合いすることになったみたい。
あれ?
でも、ならどうしてかすみんのこと心配してるような態度とるんだろう…?
……あ、そっか。そういうことだったんだ。
かすみんを捨てるなんて、そんなこと先輩がするわけないもん。
きっと果林先輩に弱みを握られてるんだ。
だからかすみんを振ったりしたんだ。
そっか、先輩も辛い思いをしてるんだ。
ならやっぱり、先輩はまだかすみんのことが…
…あはっ♪ 先輩待っててください♪
かすみんがあの女から助けてあげますからね…!