贋作 スペードの国のアリス   作:汐留ライス

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I is for Intercept. (3)

「ああ、アリス! あれからずっと探し続けて、ついに見つけました!」

「……」

 その存在は叫びながらどんどん近づいてくる。そしてアリスが逃げようか隠れようか迷っている間に、アリス目がけて一気に飛び掛かってきた。

「!?」

 飛んできた相手はアリスを豪快に押し倒すと、抱きついたままであちこち頬ずりしてくる。

(う、うかつだった……、ハートの城やビバルディが引っ越してきたなら、こいつも一緒だって気付くべきだった)

 アリスが激しく後悔しているこいつは『白ウサギ』ペーター=ホワイト。

 ハートの城の宰相であり、アリスをこの世界へ引っぱり込んだ張本人。アリスが引越しに巻き込まれたので長らく離れていたが、まさかこんな形で再会するとは。

「ちょっと、いつまでくっついているのよこの変態!」

 下から肩口にパンチを当てても離れようとしない。

「え~、久しぶりなんだからいいじゃないですか。城にいた頃は、夜になるとベッドの中でアリスから抱っこしてくれたじゃないですか」

「そ、それはウサギの時の話で……」

「? 今もウサギですよ?」

(こいつ……)

 アリスがハートの城に滞在していた頃、今のようなウサギ耳の人型ではないリアルなウサギの姿になったペーターを抱っこしていたのは事実である。

 しかしそれはぬいぐるみのような感覚であって、男女の関係を思わせるニュアンスではない。

 そしてそんな弁明がボリス達に通じるはずもなく、二人の目つきが険悪さを帯びる。

 

「へーえ……」

「ほう……」

(なんか、二人ともイラついているみたいなんだけど……。ボリスはともかく、どうしてシドニーまで!?)

 ボリスとシドニーの思惑はさておき、その殺気はペーターにも伝わったようで、ようやくアリスから離れて立ち上がった。

(た、助かった……!)

 アリスがそう思ったのも束の間、ペーターとボリスは睨み合って一触即発の状態。

「なぜボリス君がここにいるんです? まったく、猫というのはどこにでも現れて迷惑ですね」

「初対面の相手に失礼な人だね。宰相さんもそうだけど、ウサギっていうのはみんなそうなの?」

(……うわあ)

 腹黒くて他人(アリスを除く)に興味のないペーターと、元々気の短いボリス。この二人が向かい合って、険悪にならないはずがない。

 さらにややこしいのは、ペーターはボリスを知っているのに、ボリスはペーターを知らない。ダイヤの国へ来た時のアリスと同じ状態だ。

 しかし頭はいいペーターだけに、すぐに事情は察したようだ。

「初対面? ああ、あなたも前の国のボリス君とは別なんですね。まったく面倒ですね」

「あなた『も』?」

 アリスがペーターの言葉に疑問を抱いた直後、さらに事態は悪化する。

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