スペシャルウィーク 素直で明るく、大望を抱く強い心、ブロワイエを倒した実力。しかも編入してからのこの伸び幅は脅威の一言。ファンタスティックライトと戦わせれば面白そう。何気に大食いゆえに増減が激しいので下り坂での足の負担が不安。
一度アメリカに飛ばすよう相談するか、イギリスの化け物たちにしごいてみればさらに化けるかも。
トウカイテイオー 走り方がとにかく柔らかいし、そのバネを活かした天性の武器を努力で伸ばし、モノにしている本物の天才。ただ、骨格、筋肉の付き方からしてその走りがどれほど出来るか。高い才能ゆえにその才能に身体がついていくかが不安。
ルナを目指すのは素晴らしい。ただ、届くだけではなくさらに上を目指すようにしていけばまさしく天井知らずの強さを見せてくれるはず。
ウオッカ 追い込みをできるパワー、狭い場所でもここだというところでねじ込んでいける戦術眼と本能が素晴らしい。走りを見たところ足の左右のサイズが少し違うと感じたけど違和感を感じるようなら一度スポーツドクターと含めて中敷きから相談していくべき。バイク好きなのだそうなので知り合いのバイクレースへのチケットを上げようかな。
ダイワスカーレット 優美な走りとスタイルもあれば一位への執着も良し。今後、日本どころか世界でもいい感じで行けそうだ。ただし、お転婆さとプライドの高さを御した上で支えられるトレーナー、仲間を入れなければ不安あり。今度模擬レースを頼まれたのでウオッカと一緒に見てみるか。
メジロマックイーン 才能よし。覚悟も良し。同期ではまず最高峰のステイヤー。ただし体質のために好きなものを食べられない。減量を多くしているので骨への負担を軽減する筋肉増強、支える骨の強化が鈍る可能性がある。必要なら体質改善を行いストレス軽減をする方がいい。筋肉も気持ちも落としてしまえば勝てるものも勝てない。基礎代謝を上げる。汗をより流すための筋トレを進める。
サイレンススズカ 大逃げの大天才。今後ののび次第だけどまず同期にいれば私も勝てたかわからない。寂しがり屋、私にも甘えてくれたが彼女の遠征時に支えてくれたスピカの応援と陣営は見事。骨折を起こさないようにちゃんとチェックをしているので今後も伸びるだろう。ストレス発散も出来ているようなのでスピカの中でも安定している。
ジャスタウェイ 物静かなのにゴルシちゃんの暴走が入ると豹変するのが面白すぎる。周りのウマ娘たちの走りがスローになったとしか思えない末脚、マルチタスクを使い戦術を立てられるので間違いなく凱旋門にもう一度行けば優勝を狙える器。必要なら推薦する。
臨時で工場のバイトと美柚樹お姉さんの農園の収穫作業を手伝っていたのは驚いた
ゴールドシップ 気分屋のノリが強いが頭は学園内でも頭一つ二つ飛びぬけている。ステイヤーと比べても最高峰のスタミナと見事な肢体と学園内でもトップのパワー、歩幅を活かした加速を長く続け、最後の加速は圧巻。世界を沸かせ、日本ウマ娘たちの強さを知らしめたキンイロリョテイを彷彿とさせる。
また、大きなけがもしていないところを見るに骨の強さ、自身の体調管理も上手と見える。ジョッキークラブの参加に興味あるのなら推薦してみるか。
『本日の東京レース場は晴天、バ場の状況は良。観客も天もこのレースを期待しているような熱気に雲一つない青空です』
「沸いているねーGⅠレベルじゃないの?」
「タイムマシーン使わないと見れないレースが行われるんだもの。しかもそれが皇帝率いる最強と前の時代の伝説。凄いわよねー」
いよいよ来た模擬レースの日。お客さんはGⅠレース・・・いや、それ以上。この東京レース場が満員御礼。どころか普段は使わない場所さえも使って集まった人数約19万人の人が集まっている。普段は開放しない場所も客席として使うあたり、ほんと凄い光景。
「凄い・・・声で地面と空気が揺れているみたい」
「おぉお・・・こ、こんなに人が集まるんですね・・・初めて見ました」
「レースだけなのにこれだけ人が・・・ほんと、伝説と当代最強様様よねー」
その声だけで空気がびりびりと震え、熱気に知らずと体が熱くなる。世界のレースでもこれほどの熱狂はちょっとなかった。ゴルシちゃんと一緒に行った凱旋門賞でようやくか。その理由も納得だけど。
「わはは! すごい人数だ! ターボの事応援してもらえるよう頑張るぞ!!」
「どっちかてーと、アタシらは前座で、リボーさんや会長じゃないか? ターボ」
「ですわねえ。わたくしもテレビでしか見たことがなかった伝説のレースが行われるんですもの。皆様、来たいはずですわ」
『今日行われるのは模擬レース。しかしそれだというのにこの満員! 三冠レースでもこれほどの人数の集まりようは数えるほど。それもそのはず! 今日のレースは特別! 三冠ウマ娘3名在籍!! 間違いなく日本最強と言って差し支えないリギル。遠征中のミスターシービーを除いてオールキャスト、そして新進気鋭! リギルに追いつくポテンシャルを持つスピカ! どちらも日本最高峰!! 常に彼女たちが我々を、日本中を沸かせてくれます!!』
実況の方も自ら売り込んでタダでもいいからこのレースの実況、解説を、生で見させてくれと頼みこんで参加(学園の方からギャラを追加したとか)テレビ局も海外の記者も来ている当たりかなりの気合の入れよう。
『そして、その2チームとの練習相手もまた豪華かつ個性的。私、このレースの実況したいために休日返上で来ました。タケさんもその口で?』
『ウマ娘のレースに関わる仕事をしていてこのレースに関わりたくないわけないですからね。有休返上ですよ。一人はレースを盛り上げ、大逃げと元気さでみんなを盛り上げる子ですし、もう一人はありえなかった一戦。しかもあの時代の頂点の一人ですしね』
それもそうだろう。ターボちゃんはなんやかんや大逃げ、スズカのように華やかさはないがその愚直さ、全力の姿勢と明るさはウララちゃんのような清涼感と熱さをくれる。まだ公式のレースは一年を立って勝てているのは少ないが、その実ファンは多いし、見ていて面白い。スズカ、タイキレベルの覚醒をすればと期待するファンもいるし、ウマッターでの練習の事を聞いてスピカにどれほど戦えるかを期待するファンもいる。ターボの声援も多い。
そして、そんな若き新鋭たち、間違いなく次代を担うメンバーの対決もかすみかねないのがもう一つのマッチング。私にドバイの挑戦権を軽くくれるほどの実績を持ち、世界が彼女に魅了された。天衣無縫。電光石火。そして今も輝きは失われない。綺羅星達が集う伝説時代の中の伝説。
『そう。ここに来た皆様も知っての通りの今日のレースはまさしくドリームマッチ! 大逃げを得意とするツインターボのスピカ打倒宣言! 間違いなく勢いのある実力派チーム相手に全く引かない大胆不敵の宣言! これだけでも大変面白いレースになります!!』
『普通の逃げではなく大逃げをする子が二人。そして実力派の揃うスピカ。そして、その後に行われるもう一戦はまさしく国際新旧最強対決と言って過言ではないでしょう。リボー選手とリギル。少し前はあり得ないと思えた勝負の実現に私もワクワクしています』
彼女たちの時代で世界中のレース場でのレコードが最低でも1年で30以上変わった年さえもあるというふざけた時代の中を駆け抜けた王者が日本での模擬とはいえ、勝負服ではないとはいえレースをしてくれる。子供たちが憧れた、大人たちを魅了させたイタリアの美しき名匠が現日本最強たちと当たるのだから。
リボーさんの名前が出ただけでまだ会場に顔さえ見せていないのに会場は割れんばかりの歓声に包まれ、また温度が上がった気がする。
「やっぱりリボーさんとリギルの方に皆夢中だね」
「しょうがないさ。俺がまだ学生の頃に無敗伝説を作りあげ、その美しさとマジックのような走りを見せたんだ。テイオーたちがようやく小学生になるかどうかの時に彼女のレースを、若い俺らがあの走りを見て魅了されるのもしょうがねえよ」
「おいおいトレーナーまさか、リボーさんにお熱か~んん~?」
「いやいや・・・俺らトレーナーからすればあれほどの女傑には早々会えないからな」
「しょうがないわよゴルシちゃん。私もキングジョージでのあの出来事は痺れちゃったし」
「リボーさんはすごい・・・けど! ターボたちだっていずれ越えていくんだ! スピカのみんな、テイオー! 今日は勝ってやるからな!!」
「ふふ。ターボちゃんの走りも強いわ。けど、先頭は譲らないわよ?」
「私も負けませんよターボちゃん! でも、よろしくね」
「ふふ。無敵のテイオー様だもん。負けるつもりはないよ。ターボ」
控室にこっそり移動しながら握手やハイタッチをしながら移動していく私達。その中でひらひらと手を振ってくるのはリボーさん。
「おはようスピカの皆。ターボちゃん。一応レース前だけど、よければどうぞ」
人数分の冷えたドリンクの入ったクーラーボックスをトレーナーに渡してからターボにちょいちょいと手招きする。
「あのね。・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ふんふん・・・・・・・・・・! ・・・・・・」
こっそり耳打ちであれこれ話すリボーさんとターボ。何やら子供じみた。本当にウマ娘の中でも整った顔で可愛く笑うリボーさんと、その話を聞くうちにどんどん表情が明るくなるターボちゃん。うーん。何を話しているんだろう?
「じゃ、みんなのレース楽しみにしているわ。みんな頑張ってねー」
その後はカラカラ笑いながら控室に戻っていくリボーさん。ほんと自由だなあ。ゴルシちゃんの暴走とは別ベクトルで。
アップも終わり、お客さんへの紹介も終わってゲートに入るだけ。今回は模擬なのでゼッケンの番号がそのままゲート枠になる。ゴルシちゃんは「ぴったしの方がいいや」と言ってゲート前で新喜劇やバックで入ろうとすることもなくすんなり入る。
『ゲートイン完了。出走の準備が整いました』
1番1枠 サイレンススズカ
2番2枠 ウオッカ
3番3枠 ゴールドシップ
4番4枠 トウカイテイオー
5番5枠 ダイワスカーレット
6番6枠 ツインターボ
7番7枠 ジャスタウェイ
8番8枠 スペシャルウィーク
9番9枠 メジロマックイーン
ま、悪くないでしょ。ただまあ、レースに気合が入りすぎてかかり気味のウオッカちゃんとスカーレットちゃん。この二人が心配かなあー
一呼吸入れて気持ちを切り替えたしばらく後でゲートがガシャンと開いて一斉に一歩を踏み出す。・・・ゴルシちゃん以外。
「よっしゃぁああああああーーー!!!」
「っ!!?」
『スタートしました。各ウマ娘、まずまずのスタート。帰国一番の走りですがサイレンススズカはどうか?絶好のスタート。ハナを切ります。おっと、この逃亡劇に早くも並びかけるはツインターボ。今日のエンジンの調子はどうか? 大きく大きく後続を離して二人並んで逃げていきます』
『ツインターボの大逃げはよく見られる光景ですが、サイレンススズカに負けないほどの速度。これには皆驚きも大きいようです』
まず思いきり前に出たのはスズカとターボちゃん。スズカの速度、ペースは世界から見てもすさまじいもので、覚醒と成長をした今ではアメリカでも連日ニュースになっていた。その美貌と性格も相まってトップアイドルもかくやだったけど。そこについていくターボちゃんにみんな驚く。
こんなペース。中等部で基本レースでは大逃げした後に逆噴射して大敗。そのターボちゃんがスズカに追いつくほどのスタートダッシュを切って並走。みんなの表情がこわばっているのがわかる。
(うーん・・・みんなの空気にあてられてしまいそうだし、追い込み気味の先行くらいでいいか)
スズカに対抗するために皆今日はいつもよりハイペースで仕掛けていっているけど、これはここから更に焦りが出るかも。差しのための体力は欲しいし、ウオッカちゃんより少し後ろの位置へ。
「ちっ・・・! どこで仕掛けるか・・・」
「す、スズカさんと同じ逃げ・・・!」
『スペシャルウィーク、ああいたいた。丁度ダイワスカーレット、ウオッカ、メジロマックイーンが追いかけている集団の中央につけています。既にスズカとターボだけが1000メートルに差し掛かろうとしています』
『その後ろにはジャスタウェイとゴールドシップがうかがう。大変縦長に伸びていますね。後ろの二人は鬼の末脚、スタミナと経験があるゆえの判断に思えます』
テイオーちゃん、スぺちゃん、スカーレットちゃん、ウオッカちゃん、マックイーンちゃんの順番で固まり、その後ろに私とゴルシちゃん。はるか前を走っているターボちゃんとスズカ。この二人に引っ張られて2000メートル走だというのに1400、1600を走っていると思いそうなペースだ。
(でも、流されちゃ駄目・・・今回はスズカもターボちゃんとの走りで少し意識しているし・・・焦れば負け。仕掛けるなら・・・400・・・いや、500メートルね)
そうこう走っているうちにもう残り1000メートル。
『1000メートルを通過しました。タイムは・・・な、なんと57秒ジャスト!!? 早い、早すぎますサイレンススズカにツインターボ!』
『以前のタイムを大幅に短く、かつぶれも感じません。流石大逃げの天才。そこに食らいつくツインターボも負けていません。これはこのまま逃げ切る可能性もあり得るでしょう』
「「「「!!!!?」」」」
57秒・・・! この速さに誰もが驚きを見せる。当然だ。スズカちゃんは以前のベストタイムを1秒近く縮めて、ばてる様子もまるで見せない。そして、そこに食らいつき続けるターボちゃん。
「この・・・!」
「負けるか・・・・!!」
「しょうがないですわ・・・」
『非常にハイペース。後続集団はついてこられるのか? 2コーナーのゆるやかな上り坂。トウカイテイオーかかり気味か?スペシャルウィークもペースが上がる。その中でゴールドシップ、悠然と後方の位置にジャスタウェイと共にこの位置につけています』
『長距離もいける二人ですし、何せワープ、周りの時が止まったと言わしめるほどの加速と追い上げを見せますからね。タイミングを計っているのでしょう』
タイムを聞いて焦ったウオッカちゃんとスカーレットちゃん、マックイーンちゃんが仕掛けていく。けど、1000メートルの距離からやるのは三人とも、スタミナでごり押しできるマックイーンちゃんでも少し厳しいだろう。
(スカーレットちゃんは早く仕掛けつつ後続を潰して二人の間に割り込もうとしているのだろうけど・・・焦りが見え見え・・・フォーム少しずれているわね)
『下っていって後続が続々とペースが上がっていく。二人旅の道中は残り800。逃げ切れるかサイレンススズカ?突き放せるかツインターボ?』
「お先に行くぜー」
残り800メートルを切ってゴルシちゃんが徐々に加速して私を追い抜いて仕掛けに行く。ゴルシちゃんのスタミナなら問題はない。
残り・・・600・・・テイオーちゃんも仕掛けに行ったか。私も・・・あと・・・2,1・・・今!
『ゴールドシップ!バ群を大外からかわしつつロングスパート! そこにジャスタウェイも仕掛けていく!後方から一気にゴールドシップに並びかけつつ先頭のサイレンススズカとツインターボを掴みにかかる!』
『黄金の浮沈艦と覇者の追い込みが始まりましたね。これで先に仕掛けていたメンバーは後ろからもせっつかれる形になりますし、追いつくのは誰かわからなくなりました』
「ぐぅ・・・うぅおぉおお!!」
レースももう残り600メートル・・・ここまで全力で走っても前よりもずっと苦しくない、足が重くない!! ターボはまだまだいける!! けど
「はっはっは・・・!」
「スズカ先輩・・・早すぎるぞ!!」
「そっちこそ・・・!!」
『600メートルを切ってなお二人の熾烈な争いを続ける! サイレンススズカとツインターボ! 異次元へとも逃げられる足を持ってもこのエンジン全開のツインターボを振り切れない! 互いに譲らないデッドヒートをレース開始時から繰り広げています!』
ずっと隣にいるスズカ先輩が離れない。むしろターボが遅れそうなのを気合で必死に前にくらいついて、追い越そうとしてもできない。もどかしいレースをしていた。
そうこうしていたら後ろから迫る影を感じる。
「やるねターボ・・・! でも、ボクだって負けないよ・・・・・!」
「ちょっと本気を出してもこれとは、やっぱすげえなお前」
「ここから・・・出し切る・・・!!」
『ゴールドシップとトウカイテイオー、ジャスタウェイが必死に必死に食らいつこうとする! 3バ身までサイレンススズカとツインターボへ急接近!』
『先に仕掛けたメンバーは後ろからの追い上げでペースが崩されて足が残っていないようですね』
声でわかる。テイオー、ゴルシ、ジャスタだ。まだまだ差はあるはずなのに、その足の速さと音が聞こえてくる。ずんずんとここに迫る津波・・・まだ、まだだ・・・まだ出せるんだ!!
残り400メートル
「負けない・・・わ!!」
「ぐ・・・ぬぉおおおお!!!」
『ここでスズカが突き放す! いよいよ異次元への突入開始か!!?』
ここにきてさらに加速をするスズカ先輩。異次元の逃走者。あれだけの大逃げをしてもさらに差しで差を広げて走る天才。ずんずん差を離されていく。同時に、後ろから三名が・・・スぺも追いついてきそう。でも、ターボもまだいける。全力を出せる。負けてない。もっと走れる!! まだ早くできる!!
「あぁああああああ・・・!!」
「マジか!?」
「うそっ・・・!!? まだよ!」
「ええっ!? こ、ここで!?」
『突き放したスズカを逃がさないとターボもエンジンをふかして追走だ! 伸びる伸びる!もう一度並んでの叩き合いだ! 二つどころか三つ目のアフターバーナーでも隠していたかツインターボぉ!!』
『サイレンススズカ以外にも逃げて差すをできる選手がいるとは・・・!』
苦しくて顔を上げそうなのを抑えて姿勢を低くしてがむしゃらに前に走る。もう少しで、もう少しでゴール、スズカ先輩もテイオーも、スピカの皆とのバトルに勝てるかもだ。
打倒スピカを応援してくれたカノープスの皆と、師匠たち。みんなとの成果を出し切るんだぞターボ! 飛ぶような走り。綺麗な走りじゃなくていい。ただただ、このかっこいいチームに勝ちたい! 勝ちたい勝ちたい勝ちたい・・・!!!
スズカ先輩にも追いついた。でも、まだ追い越せない。後ろからどんどん迫ってくる。譲らない。勝ちたい、負けたくない・・・最後の、どこにあるかわからない元気も体力も全部ぶつけ切る。ぐんぐんと足を進めて、眼と鼻の先にゴールが見えた。
「ターボが・・・勝つんだ・・・ッ!!」
「まだ・・・まだぁ!!」
「ちぇっ・・・今日の主役は譲るぜー」
「ぐぅ・・・・ここまで・・・ね・・・」
「・・・・!!」
『完全に直線の一騎打ち!異次元の逃げだサイレンススズカ! ターボエンジン全開だツインターボ! 逃げウマ娘二人の一騎打ち!! 行けスズカ!!負けるなターボ!! どっちだどっちだどっちだ!?内か外か内か外か内か外かぁぁぁぁぁぁぁ!?』
後ろの三人も底力を振り絞っていく。けど、それでもターボとスズカ先輩には追い付けなくて・・・
『今同時にゴォーーール!!!! サイレンススズカか、ツインターボか!? おっと!!? 写真判定となるようです!!』
「ゼハ・・・ゼヒュ・・・かふっ・・・こほぉ・・・・げほご・・・」
「はっ・・・は・・・ぁ・・・・はぁ・・・はぁ・・・・」
会場が壊れそうなほどの歓声を上げてターボたちを応援している。スズカ先輩とはどっちが早いか・・・掲示板に出るのは・・・
『同着! 同着となります! かつてのスペシャルウィークとエルコンドルパサーの一騎打ちと同じ幕引き!!』
「同着・・・でも、1位・・・だ・・・テイオーたちに勝ったんだ・・・! ど、どーだ! ターボの実力~!!」
フラフラの身体を起こし、ターボが両手を上げて応援に来てくれていたカノープスの皆と会場に声を出せば大歓声が会場を包んでくれる。えへへ・・・・・やったぞ・・・!
『恐ろしいことになりました!! 世界でも最速の逃走者。まさしくほかのウマ娘からも異次元の領域へと足を踏み込んだと言われるサイレンススズカ。彼女の走る世界へ今、新たに足を踏み入れるウマ娘が一人現れました!! その名はツインターボ!! まさしくターボエンジン全開で更なるスピードの世界に殴りこんできたぁあっ!!』
『逃げの完成形を手にしたスズカとツインターボ。今後の大逃げはこの二人になりそうですね。そしてほぼほぼツインターボの打倒スピカ達成。トレセン学園最強チームにカノープスも名乗りを上げた形ですか』
「はぁ・・・は・・・強かったわ・・・ツインターボ・・・また、よければ勝負しましょう」
「わっ・・・!? お、おう! スズカ先輩もありがとうだぞ!!」
「ちぇーボクのライバルになっちゃったか・・・今度は負けないからね。ツインターボ」
「にひひ。今度も負けないからなテイオー!!」
また出てくる歓声にふらついてしまうのをスズカ先輩と、テイオーに支えられてどうにか立つ。も、もう本当に足腰がくがく手立てそうにないぞ・・・
「うーし! おもしれーやつがライバルになったついでに、休みながら戻ろうぜー!! そらいくぞ!!」
「うわわわわっ!?お、た、高いぞゴルシ! 揺れる! 揺れるぅ!!?」
「あっそーれ! ほれほれーみんなもけぇるぞ! へばってる場合じゃねえ!」
いつの間にやら背後に回っていたゴルシに肩車されながらレース場へと出ていくよう動くゴルシ。おっぉおお・・・高い、揺れる! 怖い!
「ああー・・・ゴルシちゃん・・・はぁ・・・ま、いいか。ターボちゃん。手を振って帰りましょ。みんながコールを飛ばしているわよ」
「ん・・・えへへ・・・応援ありがとー!!」
「うふふ・・・」
会場から聞こえるターボとスズカ先輩コールが鳴り響く。だんだん、疲れも飛んで嬉しさでいっぱいになってきたその気持ちと復活した元気で肩車してもらったまま手を振ってスピカの皆と一緒に移動。師匠の・・・リボーさんのレースも楽しみだぞ!!
ツインターボ、逆噴射装置無事破壊&覚醒。二の足も使えてスズカの領域へ。ターボの足りなかったところを手にしていたスズカですし、歴史を見てもほんと90年代の逃げの個性派の揃い方がすごすぎる。
ただ、天才肌のスズカとは違い、ターボの場合はひたすらにスタミナと根性のごり押し。南坂トレーナーはターボに逃げの戦術を教えられるようこれから頑張ってもらわないとです。多分2200メートル超えたら速度が鈍る。
自分はひたすら愚直なまでに全力なだけなのに勝手に回りに気迫と走りのペースでかからせてデバフをばらまきつつへばらないスタミナで逃げまくる滅茶苦茶具合。
次回はリボーのレース。
良ければ感想、評価よろしくお願いします。