無敗の悪戯好きとコックさん   作:零課

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今回はヘリポスさんも表に出てきそう。シンデレラグレイキャラも出てきますん。


~美柚樹の寮室(特大大部屋)~


美柚樹「えーそれでは、私たちの方が行く夏合宿のグループは1グループに確定。参加チームはリギル、カノープス、スピカ、そして六平さんのチームと後はトレーナーと2~3名規模で契約しているメンバー。ウマ娘だけで合計50名を超えるグループです」


リボー「んでまあー・・・私たちはしばらく基本チームにつきつつの指導。美柚樹お姉さんは料理。ヘリポスは六平さんたっての頼みであるウマ娘と対面指導。カノープスは南坂トレーナーさんに一度自分だけでも頑張ってみたいということで私はリギルに行くことになったわ。で、サンデーだけど」


サンデー「スピカ一択。それ以外はねえ」


美柚樹「知ってました。あーテイオーちゃんの脚が繊細なので砂場のダッシュの際には足首に気を付けてもらうのと、スぺちゃんがグラスちゃんと一緒に練習するので突っ込まないであげてください」


リボー「後、あんまりマックイーンちゃんを甘やかしすぎないでよ。スピカの皆比較的健啖家の部類だから周りにも奢っているとあんたの給料吹っ飛ぶわよ」


サンデー「分かった分かった。んで? ヘリポスはどうしたんだ。なんか変わった予定みたいだが?」


ヘリポス「ハイ。六平さんから二人ほど指導をしてほしいと頼まれまして。・・・アスリートではなく、学園スタッフ。トレーナーとして」


美柚樹「ああーベルノライトちゃんと北原さんね。二人とも当時から話題を集めていたわ」


リボー「確かどっちもカサマツから編入、転勤してきたうえで片方はアスリート志望ではなくスタッフ。そしてもう一人はオグリちゃんの専属トレーナーになったんでしょ? 大したやつらよねー」


サンデー「いいんじゃねえの? 変わり種でガッツがあるってのは嫌いじゃない」


ヘリポス「ええ。ですので楽しく私もやらせてもらいますよ」



後継者み―つけた

 ~ヘリポスSide~

 

 

 「フーム。いいセンスをしていますねえ。それに、ちゃんと選手の使う道具の消耗の速さも理解している。流石と言えます」

 

 

 「こここ、こ・・・光栄です!」

 

 

 「あ、あはは。こちらこそいろいろ話をできて幸いで」

 

 

 シンボリルドルフさんたちの後にさらに日本のウマ娘たちのレースを盛り上げた不出世の大スターオグリキャップの専属サポーターにして学生ながら中央トレセン学園スタッフ見習いのベルノライトちゃん。中央トレーナーの資格を手にして大スターを支え続けた北原ジョーさん。

 

 

 二人とも中央に来て数年というのに、その含蓄、道具の選別とトレーニング方法の議論を交わしていますが私も刺激になるばかり。

 

 

 おそらく二人ともオグリキャップと側にいることで覚えたのも、刺激されたのも大きいでしょう。一緒に立てた作戦をすぐさま実行できる柔軟な思考と判断力。いざとなればアドリブや底力で対策をされようがねじ伏せる実力。日本最高水準、世界でも通用するウマ娘と一緒に関わり、策を立てればどう動くのか、封じられて尚どうするのか、それを見て考える。オグリキャップを支えつつ自分たちもレベルが上がっている。

 

 

 「デハーですが。お二人の今後のためにですが、私の使っている道具などを見せましょう。コレデス」

 

 

 「これは・・・勝負鉄に鉛・・・以上に重いもの? がつま先に。あれ? これは逆にカーブの両端に・・・」

 

 

 「中敷き・・・ですけど、すっごいフカフカですねえ。衝撃を殺すためです?」

 

 

 「ソウ。これはいわゆる走り方の矯正用蹄鉄と、リハビリ用、休養明け用の中敷きです」

 

 

 私が見せた道具。それはリボーが日本好きだったゆえに出来たウマ・テジオで作った蹄鉄シリーズ。世界で戦う以上洋芝であっても気候や土地柄もあってかなり変わってくる。レース場での感触を合わせて走り方を矯正していくために作ったもの。

 

 

 リボーの無尽蔵のスタミナで体に常に鞭打ってトップスピートで走り回り、細く長い手足で起こすインパクトを地面にたたきつけるためにおこる骨への負担を練習で減らしつつ、偏り具合を見て変な癖が出ていないかのチェック用の中敷き。

 

 

 「今後はですが、こういった道具と、中敷きも複数種類あるのでどんどん教えましょう。お二人ともどんどん大変になるでしょうし、教える子たちも増えるはずですカラ」

 

 

 「へ? いやいや。俺よりも六平おじさんとかリギルとか、スピカに皆行きますよ」

 

 

 「あはは。私もそう思います」

 

 

 今後は二人も使うだろうと思い見せた。なにせまあ、二人が関わったオグリキャップという大物の放つ光は日本中に届いている。そしてさらにここで新鋭たちが出てきた。あのチームに匹敵するところはどこだ。で、まあかつて日本を席巻した有名処。何もかもがドラマチックなチームがいる。そこにも人はくる。

 

 

 「オグリさんの事は調べました。あれだけの大スターの功績はそうそう消えませんしー今活躍中のチームにはいれなかった。若しくはライバルがいるから別の所で力をつけたいとなるとそちらにもたくさん来ますよ」

 

 

 「うーん・・・まあ、確かにうちの方に来るかもですが・・・」

 

 

 「リギル、スピカ、カノープスのようにチーム内でもバチバチやり合う方が珍しいですからネ。地方から大スターを見出した経験豊富なトレーナーに、若い秀才で柔和なお嬢さんで道具のサポートばっちりなスタッフ。はっきり言えば、こちらもかなりのものです。」

 

 

 「う・・・た、確かに・・・」

 

 

 「でもみんな夢を見てきます。大スターオグリキャップを見出したトレーナーと、そばで支え続けた。地方から中央スタッフ学生見習いとして来れる秀才のそばで鍛えてほしい。オグリさんか貴方たち目当てでどんどんやってくる。私に指導してくれと。教えてくれと」

 

 

 これが悪いとは言わない。なにせウマ娘にとっての、レースで頂点を目指すうえでの最高教育機関でさらに上を取れる選手を見出した。支えたのだ。ミーハー気質から本気で指導を狙うもの。あるいはただただそういうチームにいたという箔付け狙いで来るウマ娘たちが今後絶えないだろう。

 

 

 そしてまあ、二人も思うところがあるのでしょう。私達もそうだった。イタリアの中で中央トレセン学園にいるとはいえ欧州では二流三流と呼ばれる始末で、中央にあっても腐っていくウマ娘、ファッション、就職に役立つからとしか考えていないウマ娘たちも多かった。

 

 

 「その際にですがオグリさん、その周りにいた三強たち。気を抜けばバッサリと倒していくメンバーたちといきなり同じレベルで、同じやり方で通用するわけではありまセン。皆に合わせた方法を教え、あった距離とコース、場合によってはレース場も選ぶのが私たちの仕事。

 

 

 ・・・少し話がそれましたね。ベルノさん。その蹄鉄ですが、サムライエッジといってとことん固い金属を表に、中に鉛などの重く柔らかい金属を入れることで衝撃を受け止めて蹄鉄が割れづらく、長持ちします。重いのでこれ一つで長期トレーニングでも使えますし、脚の指の付け根から足指へと思いきり地面をける方のやり方を覚えさせるために蹄鉄の両端に鉛を多めに入れています」

 

 

 「ほうほう・・・では、この妙に蹄鉄の隙間などが少ないのは?」

 

 

 「アメリカのダート用ですねー日本の砂とは違い土でのレースですので土の塊が変にくっつきすぎないようになっているのデス」

 

 

 「ふむ・・・じゃあ、この中敷き、結構分厚くしているのと開くようにしているのは?」

 

 

 「衝撃を殺すのと、中に鉛などのシート、もしくは衝撃吸収材を入れるためです。地面の蹴り方で変な踏み方をしてしまう癖などがある子のために特定の場所にクッションを仕込んで矯正のために使うこともあります。蹄鉄もそうですが、意識して走り方を変えるのは難しいのでそれをしやすくするために使う。いわば自転車の補助輪みたいなものですね。

 

 

 更に言えば差し込む素材の組み合わせで市販のシューズを更に選手にあわせられます」

 

 

 ファッション。ミーハー気質の子たちも追いかけるだけではなく自分たちが時代を引っ張るような馬娘になれるようにいろいろ教えていけるように。リボーとの。最初は喧嘩もしつつだが互いに学んだケアと世界各地の芝に合わせた走法やペースの微調整で利用した様々な手段。この子たちなら教えていいかもしれない。

 

 

 「はぇー・・・ヘリポスさん! この夏の間だけじゃなく色々教えてください! オグリや、オグリにあこがれてくるウマ娘らにもばっちり教えられるように!」

 

 

 「わ、私もです! 実家の関係でいろいろ道具を見てきましたがまだまだ知りたいですし、もっと頑張りたいです!」

 

 

 「イイデスヨー。では、まずはレース用の靴のレギュレーションのなかでいかに走りやすく、怪我をしにくいようにしていくかの調整の例ですが・・・」

 

 

 日本というのは面白い。中央とはいえくすぶっていた子が超大逃げでぶっちぎり、善戦チームと言われていた子たちが最強チームの一角となる。地方から一気にここまできてスターを支え続けた。多くの子たちが光り輝くものを持っているし、支える人達もまた個性豊か。

 

 

 リボーの自由ぶりで来たがよかった。私の後継者も出てきてくれそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~美柚樹Side~

 

 

 

 「あげません」

 

 

 「ちょっとだけでもダメか・・・?」

 

 

 「駄目です」

 

 

 練習が早めに終わった子たちが大広間兼キッチンがある場所で休んでいるんですがタイミングが悪いかオグリちゃんがいて私の後ろにあるニンジンを狙ってよだれを垂らしている。くそう・・・サウナ室を使用禁止にして蒸していたけどまさかこんなに早く来るとは。

 

 

 「し、しかしこのサイズと匂いは魅力的だ・・・一口だけでも」

 

 

 「異次元の速度で食べつくすオグリちゃんは信頼できないのよ。食事面では。後、ほんとにこのままでは食べられないの」

 

 

 私がかばっているのは私の農園で作り、完成したオリジナルブランド人参。とはいってもオグリちゃんの言う通り普通じゃない。そのサイズのでかさは150センチ。太さも最大100センチ越えという化け物人参。それでいて栄養も匂いも甘さも次元が違う。

 

 

 グルメ時代の知識と再現できる能力でゴールドにんじんとメテオガーリック。それ以外にもいくつかの根菜で品種改良した特別調理食材。しいて名付けるのならギガントキャロットとでも名付けようか。これが完成したので持ってきたのですがいやあーうん。ほんと目の前でダラダラよだれを垂らすオグリちゃんを見ればウマ娘からしても魅力的なにおいと。

 

 

 完成した時は土壌の栄養吸い尽くしすぎてこのにんじん以外雑草一本も生えていなかったそうな。

 

 

 「食べられない?」

 

 

 「ええ。このにんじん。でかいのもあるんだけどそのサイズを支えるためにすんごい固いの。だからまずは手順を踏んで柔らかくしていかないととてもじゃないけど食べられたものじゃないの」

 

 

 「ほうほう・・・」

 

 

 「その仕込みをしている最中だし、食べられるのは夜ね。だから今は我慢しなさい」

 

 

 ただまあ、このにんじんもいわゆるちょっと変わった手順を踏まないと食べられない。超ギチギチに詰まった繊維で大きくなれるし重さを支えているから普通のにんじんどころか岩石張りの固さ。実家のウマ娘がかじったらかじり取れずに歯の方が痛くなったという程だし相当。

 

 

 なのでまずはそれを緩めるために人参にまんべんなく水をぶっかけた後にスチームサウナで気温90度以上の温度の中で軽い蒸し焼きにして、そこからようやく調理が可能という。まあー比較的簡単だけど時間がちょっとかかる。捕獲レベルでいえば1以上2未満? その後の甘さは最高の一言。ハニーバターとか、かつおだしつゆ、醤油、柚子塩レモンなどでいただけばおやつでありつつメインディッシュというそりゃあウマ娘たちにすれば最高ランクのご馳走になる。

 

 

 「分かった。ち、ちなみにだがそのにんじんで何を作ってくれるんだ?」

 

 

 「うふふふ・・・超極厚にんじんステーキと激アマにんじんジュース。特製卵マシマシコンソメスープ。ナイスネイチャちゃんおすすめクルミ味噌とにんじんスティック。これを用意するわ」

 

 

 「おぉお・・・・」

 

 

 「それを一番おいしく楽しむために休んだ後は練習頑張って、お風呂入ってサウナで汗かいて、そこから食べるといいわ。格別の美味しさになるから。保証するわ」

 

 

 目からもう光線が出てきそうなほどに輝いているオグリちゃん。もうよだれだけで脱水症状になりそうなので拭いてあげつつスポドリを渡す。

 

 

 「今は少し休憩してからまた頑張ってきなさい」

 

 

 「わかった」

 

 

 すでに腹の虫がなりそうになりつつ移動していくオグリちゃん。と入れ替わりに出てきたのはライスシャワーちゃん。メイショウドトウちゃん。二人とも不調なのもあって私がつきっきりでケアしつつ薬膳料理で養生中。ツボ押し、整体術、その後に岩盤浴に放り込んでいたけどぐっすり眠れたようね。

 

 

 というかまあ。本当に毎日ストレス感じまくっていたんでしょうねえ。胃腸も肝臓も弱っていたしほんとここまで持ち直してよかったわ。

 

 

 「ありがとうございました美柚樹さん・・・」

 

 

 「はぁー・・・極楽でした」

 

 

 「ふふふ。いえいえ。疲れは抜けた? ひとまず明日までは安静に。ゆっくりほぐしつつ、足つぼ踏みましょうかあ」

 

 

 ドトウちゃんとライスちゃんは少しネガティブな部分はあるし、ちょうどいいからここで休みつつ合宿の空気でほぐしてから再度熱を入れるようにしないとね。

 

 

 「んぐー・・・きくう・・・ねえ。美柚樹さん・・・ライス。もう一度頑張れるかな?」

 

 

 「ほえ?」

 

 

 「その、みんなすごい強くなっているけど、私は出来るかなあって」

 

 

 「出来ると思いますよ私は。触診しても、医者に見せても文句なしの肉体をしていますもの」

 

 

 「あー・・・分かります。みんなのような頑張りが出来るかとか、あれだけやれるかなあと思って動けないで・・・」

 

 

 何というか、あれだけいい顔をしていたのにちょっとしょんぼりし始めちゃったふたり。いやいやいや・・・日本最強格ステイヤーかつ中距離もいけるメジロマックイーンちゃんにミホノブルボンちゃん。永遠に遠い半バ身。最後の競り合いでテイオーちゃんにも引けを取らないテイエムオペラオーちゃん。なんやかんや二人が戦う土俵の相手は日本最強格。それに相手出来る時点で既に最高水準なんだけどなあ。

 

 

 「でも、それでもと思っちゃって」

 

 

 「んー・・・ああ。だったらだけどね。ちょっと私頼まれてある人に野菜チップスとかいくつかの贈り物を頼むのよ。その人、凄い教えるのがうまいのと、元気にさせてくれるの。その人に私から手紙書いておくから、一つ会ってみない?」

 

 

 「そ、それで救いがあるんですか?」

 

 

 「あると思うわよ。私も一度会ったことがあるけどリボーの師匠でもあるし、すっごく優しい人だから」

 

 

 このまえお仕事もやめて、リボーが会いに行ったら久しぶりに私の作った野菜も食べたいということで頼まれたし、暇しているからリボーたちの弟子がどうなるか期待していると言っていたし、一つ私からも頼みましょうか。

 

 

 ギガントキャロットを下ごしらえした後に真空パック詰めしてあっちで料理できるようにしたものも渡してお願いしますと。

 

 

 「後、今夜いいものが見れると思うわ。多分やる気が出ちゃうようなものがね」

 

 

 「「?」」

 

 

 「ま、とりあえずのんびり休むといいわ。必要だったら釣りでもしてくる? もしかしたら練習抜け出したセイウンスカイちゃんとかゴルシちゃんいるかもよ」

 

 

 外でちょこちょこスピカのほうからトレーナーとゴルシちゃん、サンデーの悲鳴が聞こえてくるからどうせ何か起こっているんでしょうけどねー・・・

 

 

 今は料理の仕込みで時間が空いたし、ちょうどいいわ。リボーからこの子たちなら面白くなると言っていたメンバー預けられないか頼んでみましょう。えーと・・・ライスシャワーちゃん。メイショウドトウちゃん。ダイタクヘリオスちゃん。メジロパーマーちゃん。この四名面倒見れないかと・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~サンデーSide~

 

 

 「ほーん。スぺ。お前大分腕のフォーム良くなったなあ」

 

 

 「そうですか? ありがとうございます!」

 

 

 「グラスと一緒に走っていたのもあるんだろうが。お前ら北海道に行ったついでに草むら走ったろ。地面をかき分ける力も大分ついているし、そういうフォームが出来ている。洋芝でもそこそこ行けるわ」

 

 

 「え、えへへ~♪ サンデーさんにそういわれると嬉しいですよお」

 

 

 ふーむ。しばらく里帰りとどうやらグラスと恋心が出来ちゃったらしいスぺだが練習は忘れず頑張って来たらしく走りが前よりさえている。

 

 

 グラスのやつも天才肌かつ、学園での余計な重圧とかを気にせず恋人の家でランデブーしたり旅行したのもあって絶好調の中での二人きりでの練習。いい感じに互いに一皮むけたという感じだなあ。

 

 

 「んでーグラス。お前さんはいいんだが、ちょい腕の角度をこう・・・な? そうそう。思いきり腕も地面をかく。プールのクロールやバタフライで思いきり水を押し出すようにやるといい。その腕のパワーはお前さんの加速力の大事な部分だ」

 

 

 「ふふふ。ありがとうございます。では、泳いだりしたほうがいいのですかね?」

 

 

 「そうだな。クロールで300メートル泳いでこい。スぺ、テイオー、マックイーンあたりと練習。大体胸に海水があるくらいの高さで泳いでくればいい。必要なら浮き輪とか、身体を浮かせてから腕の動きだけに意識を向けるようにしな」

 

 

 「了解です。では行ってきますね~♪」

 

 

 すっげえウキウキで、まさしく我が世の春が来たと言わんばかりの笑顔で走っていくグラスにそれを追いかけていくスぺ。あ。そういや聞くことあったわ。

 

 

 「おーいスぺ! ちょっとまってくれ。聞きてえことがあったわ」

 

 

 「あ、はーい。サンデーさん。どうしたんです?」

 

 

 「いやーキングヘイローとハルウララ。こいつらお前の親友であっているよな?」

 

 

 「もちろんです! キングさんは弱音を吐かず常に全力で優雅で。ウララさんはいつも明るくみんなを元気にしている子たちです。二人とも凄い努力家ですし、強いと思います」

 

 

 「ほうほう。んならお前気を抜いたら負けかねえぞー? おもしれえ情報来ているからよ。晩飯の後に見ようか」

 

 

 フォグと姐御が思った以上に鍛え上げたというか、本人たちから『覚醒した』とメール来たほどらしいしなー日本最強チームがリギルなのは今後も揺らがないほどに強いし、才能ぞろいだが来年は分からない。あとはまあ、ギンシャリらと相談していた件もできるかもしれんな。

 

 

 「もしかして二人からのビデオレターとかですか?」

 

 

 「あーある意味それだ。あ、あとな。晩飯が文字通りのにんじんのステーキというものらしい。思いきり泳いで腹減らしてこい」

 

 

 「文字通りのにんじんステーキ・・・・はい! 思いきり食べるため、二人に負けないために頑張りますよ!」

 

 

 飯の話と同じチームへ入るレースやらで競ったりであれこれ仲がいいと言っていたがあっという間に燃え上がりつつ海に走っていくスぺと先に海に入っているメンバーら。マックイーンもスイーツをパクパク出来るようになってコンディションもいいしよかったわ。後合宿だから飯の持ち込み難しい分夜中につまむのも抑えられるし、良い仕上がりになるだろ。

 

 

 「頑張れよーで・・・大丈夫かい色男さんよ」

 

 

 「うごごごお・・・おっ! 助かったぜー・・・いやーゴルシのやつさぼるためにまさかあんな落とし穴を掘るとは」

 

 

 「楽しめそうなメニューとお前さんのさせたい練習方針を合わせてできてよかったがな。あんたの柔軟性は勉強になるぜ」

 

 

 今どきそうはいねえ素直な子を見送りつつ、地面に埋められた。というかゴルシのやつが仕掛けた高性能落とし穴にはまっていたスピカのトレーナーを救出。さぼろうとしていたゴルシには流石に合宿ではやれとアームロックで仕置きしてからジャスタに預けて練習開始。

 

 

 今はスピカ&グラスを二つに分けてそれぞれ監視しつつの休憩タイム。指導者ってのはつらいねえ。この時間もライフセイバーよろしくちゃんと見ていないとだし。

 

 

 「俺も助かっているんだぜ? 最近はマックイーンが落ち着いてからプロレス技を仕掛けに行く機会が減ったからなあ」

 

 

 「あんたくらいだよここまでしばきまわされるの。アメリカでもそうはねえや。で。なんだけどよー一ついいかい?」

 

 

 「おう。どうしたんだサンデー」

 

 

 「んまあーあんたにはさっくりいうわ。スピカメンバー皆で遠征しないかって相談だよ」

 

 

 サングラスと麦わら帽子をつけて麦茶すすりつつ全員の肉体を見る。うんうん。疲労の色もねえし、脂も載っている。テイオーの骨折もマックイーンの屈腱炎も完全復活してさらに成長した。問題はないんだよなマジで。

 

 

 「遠征? んまーそれはいいかもだがどこだ?」

 

 

 「ドバイ。ジャスタウェイは時間差を開けての連覇。スカーレットもいけるだろうし、残りのメンバーもいける。何より、凱旋門賞に近いレベルで国際評価の高いレースが多いからなあ。スぺの日本総大将としての、あいつの夢をより強固にしつつ世界を目指して上に行けるし、ライバルを育てられるぞ」

 

 

 「うーん・・・確かにうちのメンバーも軒並み国内で戦い尽くしたし、一度国外を知っているゴルシとジャスタを筆頭に外の経験を積ませつつ、その間に日本で勝ちを手にして成長してきた次世代と帰国した後に戦えると」

 

 

 「あとなーいい加減懐潤せお前」

 

 

 ドバイDF以外にもそうだがドバイは賞金と評価含めて世界最高峰だ。トレーナーにもいくらかは入るのでこのトレーナーの、日本最高学府のなかでこれまた最強格のチームを率いるという誰もが羨む経歴の持ち主でありながら万年ぺらっぺらの財布をどうにかしておきたい。

 

 

 いろいろスピカへの投資とか、あれこれ手厚くしていることからウマ娘への愛情も分かるのだが、スズカやマックイーンたちの心配ももっともだ。この男下手すりゃ私以上の変人だわ。急に足に触れる悪癖含めて。

 

 

 「スズカやマックイーンが心配してんだよ。あれこれ手を回してくれるし優しいのは分かるが、生活が心配だと」

 

 

 「あー・・・それは分かるんだが、トレーナーとしてついなあ」

 

 

 「あんたさんが心配しているようにあっちも心配しているんだ。変に成金、羽振りよくとは言わねえけどそれなりに貯金くらいしておかないとあっちの練習にお前が水差す羽目になるからな?」

 

 

 「まいったね・・・」

 

 

 「もう一度ジャスタを世界一へ。そしてその高みの舞台へとスピカの皆を挑ませつつあんたも稼げ。そのほうがスピカの皆へのサービスもいいものになるし、今後やってくる子たちへの貯金も兼ねてな」

 

 

 確か来年か再来年くらいには有望株が二人トレセンに来るかもとリボー言っていたしなーしかもまあ聞けばテイオーとマックイーンにあこがれているとかなんとか。マックイーンにあこがれるのは目がいい。やるつもりはないが。

 

 

 「分かりましたよサンデーさん。あんたに金の話をされたらなあ」

 

 

 「わかりゃいい。ごねたら海にぶん投げて痴漢しやがったと言ってスピカの皆にしばいてもらう算段だったし」

 

 

 

 「そ、それは流石に勘弁してくれ。今度はマックイーンにどんな技を仕掛けられるか」

 

 

 冗談・・・で済ますかは別として。スピカはドバイへの予定を一応という感じで出来た。で、後はリギルだがー・・・

 

 

 (ま、あの練習方法をしているリボーの意図をすぐに組むだろ)

 

 

 んなことより足つったり、波に連れていかれないか監視しつつマックイーンの水着姿をカメラに収めなければ・・・後は浴衣姿も。あ~日本最高。マックイーン最高。

 

 

 

 

 

 

 

 ~リボーSide~

 

 

 「はーいここまでーどうだったかしら? ルドルフ」

 

 

 「き・・・きつい・・・ですね。ちょっと記憶にないくらいです・・・」

 

 

 リギルの練習に関してはおハナさんと私らで練ったメニューで鍛えているゆえにぶっちゃけ私がするのは微調整と、ある目的のための練習となった。

 

 

 砂浜と合えて芝を一部植えて伸ばしていた場所をぐるりと回る1800メートル走。ただしチームを二つ分けて私の方にフジキセキ、マルゼンスキー、ヒシアマゾンを入れてのチーム戦。

 

 

 フジキセキちゃんと私でルドルフのコース取りを絞りつつ逃げた先がバ群のなかで動きづらい状況をつくり、ヒシアマゾンちゃんは最後尾からつっついてペースを崩しつつ追い込みをうかがう。で、マルゼンちゃんは逃げつつこっちもペースを崩してルドルフ側のペースをメタクソに壊しまくっての完勝。

 

 

 一着から5着までほぼ私達。その中に入り込めるエアグルーヴちゃんとタイキシャトルちゃんは流石の一言。エアグルーヴちゃんは私たちのルドルフを起点にしたマークとブロッキングの隙間をすり抜け、タイキちゃんは大外からのぶっこみで加速。芝じゃなく泥のような不良バ場であの強さなのも納得。

 

 

 「とことん足を取られる砂場に足に絡みつく芝。そして私たちはルドルフの土俵に上がらず、ルドルフを土俵にあげず。何もさせずに潰したものね。他のメンバーもルドルフをペースメーカーにしていたから困惑。そこからすぐに切り替えたエアグルーヴとマイペースに戦ったタイキシャトルが喰らいつけたけど」

 

 

 「ふっ・・・ふぅ・・・し、しかし何で急にこのメニューを?」

 

 

 「そりゃーあなたたちもう一度凱旋門賞。フランスに挑みたいんでしょ? そのためよ」

 

 

 ルドルフがフランス語を覚えていることやリギルの過去の海外遠征の経歴。過去にリギルからエルコンドルパサーちゃんも出ていることからそりゃ分かる。

 

 

 「おお!? ワタシもまたリベンジできるんですネー!」

 

 

 「世界への殴り込みかい? 燃えるねえ!」

 

 

 「私はやっていいと思うし、それ以外にも欧州のGⅠレースでみんな戦えるようにとね。で、その際に問題なのがやっぱりというか芝の問題とチーム行動なのよ」

 

 

 欧州だと基本レース場をあんまり整えない。自然に近い場所をありのまま駆け抜けるウマ娘たちの場所という感じなのか日本が厳しすぎるのかは分からないがこちらと比べるとレース場が少しぐワングワンしていると感じるだろうし、なにより日本の芝が世界でも特殊かつ、固く高速だ。

 

 

 そこはこういう場所で慣らせるが次の問題はあちらの方ではチーム戦が多いし、そういうのが抜群にうまい。私との模擬レースの件でもリギルのメンバーの実力はすでに世界に知れているし、その中でも凱旋門で二位。しかもブロワイエ以外も決して弱くないメンバーでそれをした。間違いなくリギルメンバー来るとなれば警戒されるし普通に意気揚々と乗り込んだところで勝てはしない。

 

 

 「あちらで戦う場合、チームごとに何名か送り込んで本命以外は策を使ってペースを崩しつつ狙えれば勝利をかっさらえとかもあるし、リギルは基本肉体が仕上がっている。洋芝、そして柔らかいバ場に慣れるために軽い走り込みと、チーム戦をする方がいいでしょう」

 

 

 「リボーさん。そうなりますと・・・ジャスタウェイ、ゴールドシップ、ナカヤマフェスタなどに頼んだほうがいいでしょうか?」

 

 

 「それとカノープスに頼めばいいわ。私が仕込んだからみんな強いのと、逃げのターボちゃん。ペース崩し、差しで戦えるネイチャちゃん。ハイペース勝負でスタミナ潰していくイクノちゃん。爆発したと思わせるほどの加速勝負のマチちゃん。全員個性派かつ連携も・・・うん。取れるからいい勝負になるわ」

 

 

 「アー・・・ターボちゃんは確かに連携は無理ですネ! ケッ!?」

 

 

 「そういうことを言わないの~イケイケでふかしちゃうターボちゃんのスタイルはそのスタイルだけで場をひっかきまわすからね」

 

 

 ナイスフォローマルゼンちゃん。大逃げは実際心理面で不安を植え付けるのと、自分のペースがわかりづらくなるからねえ。レース初心者でも玄人でもはまると怖い。ターボちゃんは連携は・・・してくれるんだけど多分途中レースに全力になりすぎて忘れちゃうんだよなあきっと。

 

 

 「ゴルシちゃん、ジャスタちゃん、フェスタちゃん、後はヘリオスちゃんにパーマーちゃんのチームとカノープスのチーム。それとリギルを2つに分けて紅白戦をしたらいいかもね。ちょうどここは個性派ぞろい。オグリちゃん、クリークちゃん、タマモちゃん、イナリちゃんのメンバーでもいいと思う」

 

 

 「ふむ・・・では、今夜にでも打診をして、早ければ明日、可能なら明後日くらいからでもぜひ頼んでみたいですね。おハナさん。どうでしょうか?」

 

 

 「そうね。実際悪くない提案だし、ここにきているメンバーは貴女たちが相手だろうと尻込みする相手もほぼいない。世界を知るリボーさんとサンデーさん。世界で戦った現役メンバーもいる・・・いいわ。私の方でもできないか相談してくるし、みんなは休憩しなさい」

 

 

 おハナさんの一声でみんな解散。ちょうど時間を見てもいい時間だし、後は軽めに流して、夕暮れ前には上がれるようになればいいか。

 

 

 そんでまあ、マルゼンちゃんは何でか残って私とおハナさんと一緒にいる。

 

 

 「ねーリボーさん。チーム戦の練習だけど、私みんなの気分をアゲアゲにしちゃうために商品を用意してみたいのよ」

 

 

 「ああー私もそれ考えていたし、そうねえー・・・何がいいかしら? とはいってもお菓子とか、食べ物とかくらいで現金は出せないけど」

 

 

 「ふっふっふ~ナウなヤングにバカ受けのモンスターパフェを近くの喫茶店が夏限定で売っているのよ。だからこれを商品にできないかなあって。提案している私もお金出すし、どうかしら?」

 

 

 ほうほう。念のためにスマホで検索してみても確かに歩いて2分の場所にある喫茶店。夏の観光客に合わせて季節限定のデカ盛りパフェを売っているし、持ち帰りも可。うん。これなら美柚樹お姉さんの手を煩わせる問題もないわね。

 

 

 「いいわよ。ただしマルゼンちゃんはまだ学生だから背伸びせずに素直にパフェ狙うために頑張る側に回りなさい。ここれくらいなら問題ないしね」

 

 

 「オッケィ♪ それじゃおハナさん。私も軽く流してきまーす」

 

 

 「水分補給を欠かさずにね。迷惑をかけますリボーさん」

 

 

 「いいのいいの。私もあらためてチーム戦でみんなの走りや連携を見たいし。こう・・・練習じゃなくてミニゲーム、レクリエーション? とかテレビ番組みたいなノリで楽しんだほうがいいし」

 

 

 んーマルゼンちゃん。すっごい奇麗でかわいい子なんだけど言葉遣いが独特ねえ。ヘリオスちゃんとパーマーちゃんもだけど、これが今はやりのギャル語というのだろうか? 遠征漬けだったせいで国の流行とかよくわからんかったしなあ私。

 

 

 で、頭下げているおハナさんに大丈夫だよと頭をあげさせる。ぶっちゃけ貯金だけで一生豪遊して暮らせるし、学園からトレーナー候補ってことでお給料もらっているから懐は万年余裕。好きにしているからねえ私も。

 

 

 「しかし、その負担をリボーさんだけで終わらせるのはあれですので参加するウマ娘のトレーナーには裏で割り勘してパフェなどの景品のお題を持つようにします」

 

 

 「じゃーそれで。私ちょっと店に行ってくるからリギルの皆よろしく~」

 

 

 この後件の喫茶店に行ってみるとちょうどカノープスの皆と合流。なんでもイクノちゃんとマチちゃんが前々から調べていた名店らしく休憩時間に皆で食べに来たとかなんとか。で、そこの店主はカノープスの大ファンで、私もファンだといってすんごい声出された。よく見ると店にほんとにぬいぐるみ飾ってあって自宅にも保管用と観賞用であるとか。

 

 

 頼まれたサインと写真を渡しつつ今回の件を話すと首がちぎれるんじゃないという勢いで縦に振って是非とも提供させてくださいと逆に頼まれた。そしてそこに「ターボたちのファンならせっかくだし明日みんなでデザート食べに来るぞ!」と言い、南坂トレーナーとネイチャちゃんはウマッターに書き込み。

 

 

 ウマ娘たちがこぞって来るし、それが世界を取ったジャスタちゃんやほかの子たちが来た名店。今名前売り出し中のカノープスのメンバーからの高評価・・・うーん。この店過労でぶっ倒れないわよね?




 北原さん、ベルノライトそろって地方から中央に来てオグリを支えたと思えば世界のトップトレーナーから認められました。こっちもこっちでシンデレラストーリー


 美柚樹はこの世界で生み出したオリジナル人参。まずは蒸さないと包丁も刃こぼれしそう。ウマ娘でもかじれないほどの固さだけどオグリは食べられそうな不思議。お盆サイズのにんじんのステーキを味わえる合宿の皆。


 この世界ではスぺとグラスでくっついた。馬のレースを見てもグラスワンダーの前足での地面を蹴り飛ばす力がすごいですよねえ。


 欧州で戦い続けたリボーの経験を活かしたチーム戦&柔らかくまとわりついてくる洋芝と土質の練習。


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