無敗の悪戯好きとコックさん   作:零課

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 評価をくれる方々、お気に入りをしてくれる方が増えてとてもうれしいです。ターボとリボーは互いに舐められた評価を覆しての勝利をしている。ロケット、無尽蔵のエンジンと評されたリボーと名前を活かした名実況、愛されたツインターボはいい組み合わせかなあと。


リギルへ突撃隣のお手伝い

 「今日はよろしくお願いします。おハナさん」

 

 

 「ええ。貴女とリボー。二人のコンビはとてもうれしく思う」

 

 

 私に向かって笑顔で握手をしてくる美柚樹。彼女のトレーナーの素質は人柄も含めて悪いものじゃない。練習は優しさゆえに甘やかす節こそあるがそのケア、食育などでのコンディション管理とトレーニングを続けさせる、故障を起こさないための技術は特に目を引くものがあった。

 

 

 それが料理の腕を磨いて戻ってきた。ウマ娘も私たちも虜にするあの甘味、料理を使いつつ指導をしてくれる。リギルへの刺激をくれるにはとてもありがたい。

 

 

 更にはリボー。エルコンドルパサーが負けた凱旋門賞を連覇した負けなしの怪物。彼女の存在の刺激はいずれ海外のレースへのリベンジ、重賞獲得を目標にしている私たちにとって千金どころか万金に値する。伝説の指示。知識を引き出せれば今度こそシンボリルドルフにも海外での勝利を与えてやれる。

 

 

 「私の方は補助用具と食事、休憩用のドリンクを用意しますよ。リボーはすでに動いているので問題はないでしょう」

 

 

 「ええ・・・それはいいのだけど・・・彼女はどうしてここに?」

 

 

 「ハヒ~・・・ハヒィー~~・・・・」

 

 

 ただ、本来はあちこちのチームやウマ娘たちに関わり、ケアと足りないところを見るコンビのはずなのだがなぜか一緒にいるツインターボ。彼女はチーム・カノープス所属のウマ娘のはずなのだが。

 

 

 「ああ。彼女も私たちと経験を積むために、チーム外からでも見えるものを学ぶために一緒に同行していまして。お邪魔でしょうか?」

 

 

 「いえ、ある意味あの元気さと逃げのスタイルはそういうウマ娘たちとの試合があった際の想定にはなりますので構いません」

 

 

 練習メニューの調整をすることになるが、これもしょうがないと頭の中でメニューを新たに組み立てる。ツインターボ。よそのチームに練習メニューが流れる可能性もあるがそれはリボーがいる時点でお察しだし、何よりリボーも逃げをできるし、サイレンススズカという逃げの大天才という器も出てきた。

 

 

 ヒシアケボノなど逃げもできる選手は今もおり、世界を狙える戦術。強豪選手にそれをできる相手がいることも考えればプラスになると気持ちを切り替える。

 

 

 ・・・ただ、ウォーミングアップの時点で既に息切れしてへなへなな彼女の走りは大丈夫だろうかとの心配もあるが。

 

 

 

 

 

 

 「エルちゃん。筋肉付けているのはいいけど関節の可動域が狭い。もっと柔軟さを持たないとそんな走りじゃ加速は鈍るよ~」

 

 

 「りょ、了解デース」

 

 

 「グラスちゃんは体重増えちゃった分走りを強くしない。怪我も少し前にしているっていうし、今は地道な筋トレで筋肉をつけて骨への負担軽減。ついでに飯食ってもカロリー消費できる肉体づくりをしたほうがいいかもね」

 

 

 「はい!」

 

 

 「タイキちゃん。ターボちゃんとちょっと短距離走ってきたらいいわ。この子限界しらずでぶっ混んでくるのと、明るさはいい刺激よ」

 

 

 「イェァ♪ ターボちゃん。私と一勝負です♪」

 

 

 「分かったぞ! ターボの走りが最強だって見せてやるからな!」

 

 

 圧巻。まさしくそうとしか言えない。リボー氏が来るや否や、すぐさまメンバー全員のウォーミングアップを見て、軽く流した走りだけで全員のコンディションを把握。その上で少しの聞き込みで必要なものを次々投げていく。

 

 

 私、シンボリルドルフとおハナさんの指示しようとしたものもやっている辺り、トレーナーとしての技術と、何より遠征に遠征を重ねた経験、先行からの差しでミサイルと言われた末脚を炸裂させるためのレースコントロール能力からの観察眼の賜物だろう。

 

 

 「残りのメンバーっと・・・んー・・・流石ね。ほとんどみんな見てもいいコンディションの仕上がり。流石日本最高の学園の最強チーム・・・か」

 

 

 「それをすぐ見抜くあなたも異常だ。伝説の目線で見てそう言ってもらえるのは励みになる」

 

 

 「もっと皇帝と呼ばれるのならどっしり構えなさい。すぐ見抜けたのは貴女たちがそれくらいわかりやすく仕上げているから。マルゼンスキー、フジキセキ、ナリタブライアン。貴女と女帝を除けばこのメンバーの仕上がりなら少し調整すればイギリスでも勝利狙えるわ」

 

 

 あの炎上からの炎上返し騒ぎをしたリボー氏。しかしその実、人懐っこく、正直に評価をくれる。私達に親身に接し、同時に何より道具への配慮がすごい

 

 

 

 「ところでシンボリルドルフ・・・」

 

 

 「ルドルフ、もしくはルナと。どうしました?」

 

 

 「貴方たちの靴ね~ぼちぼち耐えきれないと思うから蹄鉄変えておきなさい。相当影で走っていたわね?」

 

 

 「わかりますか」

 

 

 「私が言うのもあれだけど、凱旋門賞制覇のブロワイエ。彼女を先に倒したのはまさかの中等部に来たばかりのスペシャルウィーク。リギルは海外制覇が出来ず、スピカの新星が先に倒した。負けられないと燃えていたでしょ? おハナさんの注文メニューを少しオーバーしちゃうほどに」

 

 

 その道具から私たちの影の行動すらも見抜かれていたようだ。全く・・・どこまで見抜かれているのだろうか。

 

 

 「どうしてそこまで」

 

 

 「遠征ってのは道具の差し押さえとか、地元びいきも合って何があるかわからないからね。自前の道具の予備の徹底とか、コンディションを整えるためにあれこれしちゃうのよ。だからこそね。私も現役時代、多分蹄鉄と靴優に100以上は履き潰したし」

 

 

 「全く。国内で皇帝と呼ばれている私がまだまだだと思わせてくれますね貴女は」

 

 

 「フォームと走りを見ていれば分かるわ。そのせいで疲れもたまっているし、貴女も足は強い方じゃない。少し今日はアイシングとマッサージは念入りによ・・・・・あ」

 

 

 なるほど。世界を股にかけた遠征の日々ゆえに身に染みている道具管理と差異を見抜く経験を身に着けたゆえか。これは私にはまだ足りない部分だ。普通なら億単位の金を積んで呼ぶレベルの人材をこうして呼んでくれた美柚樹さん、その縁に感謝しないといけない。

 

 

 そして、ウォーミングアップを終え、メンバーのフォームチェックをしていた私も走ろうとしていたが、ふとリボー氏が何かを思いだしたように走っているチームの皆から私の方に首を向ける。

 

 

 「確かこういう時はこういうべきなのかしらね? 満足すべき「皇帝」への「行程」はまだ遠い。と」

 

 

 「んぶっふぅうう!!? ふぶっ・・! げっふ・・・!」

 

 

 エアグルーヴのやる気が下がった。

 

 

 「あー! エアグルーヴ。足が落ちたわよ! それじゃあ加速が鈍るわー!」

 

 

 な、ナイスダジャレ!! まさかイタリア生まれのリボー氏が日本のダジャレを知って、しかも私のためのこれをくれるとは・・・! 素晴らしい出来だ。後でメモをして掛け軸に飾ろう。

 

 

 「おおー・・・これがジャパニーズジョーク。美柚樹お姉さんから聞いていたけど、ルドルフ好きなのねえ。私はまだよくわからないけど、教えてもらってよかったわ」

 

 

 「な、なるほど・・・いや、元気をもらえました。ありがとうございますリボー氏」

 

 

 「リボーでいいわよ。私も今後ルドルフ、もしくはルナと呼ばせてもらうし」

 

 

 この後先にフォームチェックしていたエアグルーヴたちと交換して走ったが、今までで最高の、それこそ重賞連覇した時くらいの素晴らしいフォームで動けた。やはりダジャレは心身をほぐしてくれるな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 「タイキちゃんいい具合だったわよ。これなら次のレースもばっちり。後、どうだったかしら? ターボちゃんの走りは」

 

 

 「イエス! 元気ですしあの愚直なまでの真摯さは私も惚れちゃいます! あと、そうデスねー・・・あの技術は私も勉強になりました♪ 美柚樹シェフのアドバイスもサンキュー♪」

 

 

 「ま、負けたけど・・・ターボ・・・強かっただろー・・・・ほひゅ・・・み、水・・・」

 

 

 私はタイキシャトルちゃんたち短距離組の走りと疲労を抜くために軽めに済ませていくメンバーのお手伝い。タイキちゃんとターボちゃんの走りはやっぱりというかターボちゃんは逆噴射をして壊滅。だけどその中で見せた技術と強みは既に見えていくので問題なし。

 

 

 あと、その技術はやはりというかタイキちゃんのお眼鏡にかなう程だったので僥倖です。重賞のレースに出るのが当たり前レベルなリギルと、中等部かつその個性的過ぎる壊滅的逃げでまだ勝ち数を稼げていない故に重賞レースに出れていないターボちゃんでは研究やマークされることはタイキちゃん、おハナさん的にも無ければチームでもない。実績が足りない故にレースで勝ちあうことが無いから。

 

 

 でもやはりチームに入れるほどの実力と光るものはあるんですよね。同時に彼女はちょっと気をつけつつ私とリボーで支えないといけない部分も見えたのでそこは当然フォローしておかないとだけど。

 

 

 走った後にずべしゃと倒れたターボちゃんを運んでくれたタイキちゃんとターボちゃんに塩飴と水を渡しておき、熱を取るために歩きながらも冷やせるように氷嚢を渡しておく。

 

 

 「んぐっ! んぐっ!! ぶはー!! はぁー・・・は、走ったぞ・・・」

 

 

 「お疲れ様。タイキちゃんの走りはすごかったわね」

 

 

 「おお! でも、いずれターボが勝つぞ! ターボはいずれテイオーも倒すウマ娘になるんだから!」

 

 

 食堂でもよく絡んでは名前を間違われて怒るというやり取りがよくみられることをしている二人ですが、はてさて、あの天才と言って差し支えない子にどうターボちゃんが戦うか、私とリボーでどう武器を整え、ターボちゃんのエンジンをチューンナップするか。一応食でやることは決めていますけど。

 

 

 この後はみんなも練習が終わり、私からの料理の時間。今夜用意したのは豚肉の蒸し焼きと蒸したにんじんチップ。ライス、パン。そしてコンソメスープを用意してみました。

 

 

 「おお・・・これはまさか・・・美柚樹さんの農園の・・・?」

 

 

 「ええ。規格外品を分けてもらいました。とはいえ、それだけで最高級品をもらっているのでどうぞ。チップと切り分けた豚肉を一緒にフォークでさして、たれをつけるとおいしいですよ?」

 

 

 今回の使用したにんじんは「はつこいおとめ」の特Aレベルの味のもの。・・・・・から少し傷がついたり、形が悪い、サイズの大きさなどの理由ではじかれたもの。これでも普通に使えるし、なんだったらそこらの屋台で1本1000円で売っても売れる。けどまあ、はじかれるものははじかれるし、間引きで抜いた未熟なものも使用した。なのでお安く、でも味は文句なしのそれを使っている。

 

 

 皆の練習が終わり、お風呂の後のご飯。かつ大好きなにんじんの高級品を食べられるということでよだれを垂らしそうになっています。そしてエアグルーヴちゃんが食べて。

 

 

 「な、なんだこれは・・・! 肉汁があふれに溢れて・・・醤油だれと絡み合って旨い・・・! その後のにんじんの極上の甘味がスパイスと肉のうまみを引き合わせてまた噛むたびに甘味もうま味もパンチのあるスパイスも口の中で暴れる・・!!」

 

 

 「あはぁー♡ ハーモニーだわ。これよこれ♪ チーズとトマト、オリーブオイルの組み合わせに負けないほどの最高の組み合わせ♡ んふふ♡ ん? タレの中・・・・レモンも混ぜているのか。いいわね♪」

 

 

 「おぉぉおお!! これはいくらでも入るぞ! ガッガッガッガ・・・・んぐっ!!?」

 

 

 「oh! 大丈夫デスか? お水デース」

 

 

 冷静な彼女が目を見開いて心底美味しそうに食べたのを皮切りにどんどん皆さんが食べて絶賛。蒸し焼きの豚肉は疲労回復効果があるし、そこにクエン酸ばっちりのレモンを混ぜた特性だれ。一応大根おろしもあるのでこれにぶっかけて肉に乗せ、にんじんでサンドしてからバクリと行くのも悪くない。

 

 

 「んぐ・・・ん・・・普段の料理よりもよりおいしく感じるのですが・・・やはり、ちゃんと仕込めるからですか?」

 

 

 「メニューを貴方たち専用に絞って仕込みもできるし、自宅でもできる仕込みの範囲で済むからね。おかわりもあるし、食べていってね?」

 

 

 「よっしゃ! このチームのための専用飯だ! 食べて回復してやるぜ! あぁあー・・・! 一口で甘味もうま味も醤油と胡椒の味もレモンも来るのがたまらない・・・・!!」

 

 

 「ターボおかわり!」

 

 

 「私も!」

 

 

 「私もデース!!」

 

 

 「私も一つ」

 

 

 「私も。これは食べすぎを抑えるのが大変そうだ」

 

 

 どんどんおかわりをしてくれる皆さんに用意しつつ、私たちはまた別のチームに移動するので移動してもケアをできるようにおやつを用意。

 

 

 蜂蜜にハーブに、にんじん、イチゴ、リンゴ、レモン味の飴。そこにストレスを軽減できるハーブや、クエン酸のサプリで食品に混ぜて使用できるものを入れての疲労軽減のためのいわばサプリ飴玉。皆がゆっくり落ち着いて食べている間にその用意をしていくけど、これまたいい意味でみんなの注意をひく。

 

 

 飴を作る際の甘ーい香り。それを幾つも同時に行うので色とりどり、香りも様々な甘い香りが部屋に満たし、ご飯で塩分と栄養を補給したら今度はおやつの甘味が欲しいというもの。それをもう悪魔的甘さで刺激してやる。さあさあ、この甘味と出来立ての、ちょっと熱いけどすぐに蕩けて舌の上を満たして侵略する飴が欲しいでしょう?

 

 

 飴玉のための型に溶かしてできた飴を入れて冷やしている間に疲労回復用のレモン飴で飴細工を披露してウサギさん、ペロ2、ウルトラマンなどなどを作成。サクサクと出来上がったものを冷やしながらそばに置いておき、冷やし終わった飴玉を小瓶に分けながら詰めていけば終わり。

 

 

 「はーい。皆さんのおやつですよ~疲労を抜きたいときのフルーツ飴玉。リラックス、風邪対策のハーブ飴、マヌカハニー入りの牛乳飴を配ります~一人5瓶まで。ささ。並んでくださいな。おハナさんも」

 

 

 そこからは飴細工の欲しいものを渡して、一応の説明メモを渡して皆は解散。そしてターボちゃんもリボーが引率して戻り、最後はシンボリルドルフちゃんに。

 

 

 「はい。後これも」

 

 

 「? これは?」

 

 

 「リラックスする際に一度どうぞ」

 

 

 彼女には生徒会長としても忙しいでしょうということでおまけのメモを渡しておいて今日は解散。明日の方もチーム訪問ですし、メニューは何を用意したものか。

 

 

 しかし、食器の片づけが向こう数年経験していない程に楽でありがたい。トレーナーもみんなの元気な姿を見れてうれしいし、よかった。




~シンボリルドルフの寮室~


シンボリルドルフ「ふむ・・・美味だ・・・そして、このメモは・・・」(メモを開ける)


『ダジャレが好きな会長さんへ一つプレゼント おばちゃんがお池におーばちゃん』


シンボリルドルフ「ッ!! っくふぐ・・・! ぶっ・・・くく!!(こ、これはいい!! 素晴らしい! 疲れた心身に活力をくれる・・・! ぜひ私のダジャレノートにメモしておくべきだな)」



エアグルーヴ「・・・? 今無性に気持ちが下がった気が・・・しかし・・・この飴は良いな・・・売ってくれないものか」




グルメ時代でも長生きするわ無駄に濃い人多めのトリコワールドで過ごし、東京の田舎で農家の娘していたのでダジャレの引き出しは少しはある美柚樹さん。

ターボの魔改造も徐々にしていくかもです
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