無敗の悪戯好きとコックさん   作:零課

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そういえばですがジャスタウェイもスピカ所属です。タマモクロス、フジキセキもいたらジャンプ組なメンバーがそろっちゃうのになあ。ネタ的な意味ではキンイロリョテイも。


黄金鍛錬

 「はぁ~・・・」

 

 

 「どうしたの? テイオー」

 

 

 「いやー正直さ。美柚樹シェフが来てくれるのは嬉しいし、リボーさんも助かるけど、なんか気が乗らなくて」

 

 

 今日、いよいよスピカの訪問トレーナーに来てくれる美柚樹シェフ、リボーさん。そして少し前に急に表れてネイチャとダブルターボの足の型を取り、何でも商品券(足型をとらせてくれた報酬? らしい)をくれたトレーナー兼マネージャーのヘリポスさん。誰もがいい人だし、その手腕はみんなが話す噂話、あのリギルのおハナさんの厳格にもほどがある指導の中に割り込んでも許すほどとカイチョー、エアグルーヴさんも話していた。

 

 

 けど、けど僕にとって一番はかいちょー、シンボリルドルフ。皇帝なのだ。みんながかいちょーより上だというのは正直気に食わない。あの無敗伝説だって欧州とアメリカではそうかもしれないが日本で戦えばどうなるかわからないじゃないか。ブロワイエだってスペシャルウィークに負けたんだし。

 

 

 「しかし、スポーツ医学もそうですが医食同源を極めたような料理かつ皆がここの食堂以上の味だと再度訪問を頼むほど。わたくしたちにもいい刺激、もしかすれば隠れている怪我を見てくれるかもしれませんわ」

 

 

 「そうだな。ぶっちゃけ。あのおハナさんがああも好き放題口出しして、ケアも任せる方がいいと素直に認めるなんざ明日は雪が降ると思った。必ず面白いことになるだろ」

 

 

 マックイーンもトレーナーもそういう。僕だってわかっているさ。リギルの指導方針に一日とはいえあれだけさせて、再訪問を望むほどの手腕ってのはそういうものだと。それに・・・かいちょーたちからもらった飴。あれを舐めるとすごくリラックスできた。あのミルクと蜂蜜の飴玉。あれをもらえるかもと思い気持ちを高めていく。

 

 

 「リボーさんはアメリカのテレビ企画とはいえ最強の一角、あのセクレタリアトとも引き分けにしましたし、G1優勝の人達も言っていました。あの人のケアでレースを勝てたと。名選手で名伯楽。そして今も支えるヘリポスさんも。一体どんな指導になるか楽しみ・・・」

 

 

 「まさしく世界に認められる選手かつ名伯楽なんですねスズカさん! 私も楽しみです!」

 

 

 「あ・・・あぁあ・・・アタシは緊張してきたわ・・・し、色紙とペン・・・あ、ああるわよねウオッカ!?」

 

 

 「も、もちろん! 2ケースと予備で色紙は20枚だ!」

 

 

 スズカ先輩のアメリカ遠征でもやはり好評のリボーさんのことにスぺは目をキラキラさせているし、スカーレットとウオッカはあこがれのスター選手が来てくれるということでがちがちだ。

 

 

 とりあえず12色マーカーセットを2つと色紙20枚は多すぎじゃないかな?

 

 

 「ゴールドシップとジャスタウェイ先輩が迎えに行ったようだけど、遅くない?」

 

 

 「ゴールドシップさんが何かしていなければいいのですが・・・」

 

 

 「・・・あり得るな・・・あいつは変人な部分があるから」

 

 

 「「「「お前が(あなたが)いうな」」」」

 

 

 有望、才能のあるウマ娘を見るや足を無断で触れに行くトレーナーも大概だと思うよ僕は。そうこうしていると、ゴールドシップが何でか持って行っていたリヤカーが見えてきた。あそこに美柚樹さんたちを乗せたのだろうか・・・いや? 何かおかしいぞ。

 

 

 「ゴールドシップさーん!!?」

 

 

 「ええ・・・!? ゴールドシップ?」

 

 

 よく見るとリヤカーの上でゴールドシップは磔にされて顔面にパイを叩き込まれている。その横でツインジェットが美柚樹さんから指示を聞いていて、リボーさんは横でゴルシちゃん号にのって移動。リヤカーを引くのは黒人アフロの大男とジャスタウェイさんという。何がどうしてこうなった。

 

 

 「ごめんなさい皆。ゴルシちゃん。急に美柚樹さんのキッチンでお好み焼き焼いたり、用意していたデザートにからしを入れようとしていたから私がついお見舞いしちゃうぞして、もんどりうったところ気絶したから連れてきたの」

 

 

 「いやー流石。学園屈指の変人。読めないわね。ちゃんと罰は与えたけど。改めてよろしく。スピカの皆。私はリボー。隣のアフロマンは私の元トレーナー兼マネージャーのヘリポス」

 

 

 「ハジメマシテ。ヘリポスデス」

 

 

 「よーし。水で洗ってあげるわよターボちゃん。チームの癒しを一つ無駄にしたゴルシちゃんへの罰は終わったしね?」

 

 

 「おう! せーのっ!」

 

 

 「あごげばぼぶぶぶぶぶ!? 溺れる! おぼでるぶ!」

 

 

 ジャスタウェイさんの訳が分からないけど分かってしまう説明を受けて、磔のいきさつまでは分からないがまあいいやと流す。そしてゴルシちゃん号を降りてリボーさんとマネージャーというヘリポスさんがまず頭を下げている。

 

 

 ・・・その後ろで美柚樹さんがバケツに入れた水でゴールドシップに水を浴びせ、起きたところですぐさまツインランボーとジャスタウェイさんがタオルで拭いていく。何だかカオスな絵面だなあ・・・

 

 

 「こちらこそ。スピカのトレーナーをしているものです。しかし・・・ほうほう・・・」

 

 

 「トレーナーさん。流石にアウトですからねそれをしたら」

 

 

 「わ、わかっているよ・・・」

 

 

 ジャージ姿とはいえ、ツインズジェットと、リボーさんの足は何やらトレーナーの琴線に触れたらしい。すぐさま腰を落とそうとしたのをスズカ先輩が抑えた。ふーん。引退してもう数年たつけど、それでもトレーナーから見てもいいものなんだろうね。

 

 

 「??」

 

 

 「オートレーナーの悪癖は大丈夫だったか。ゴルシちゃん失礼しないか心配だったんだぜ?」

 

 

 「それは開幕磔になるようなことをした貴女が言うことですか? ゴールドシップさん」

 

 

 「まあいいわ。じゃ、よければアップから始めてもらっていいかしら? それとトレーナー、今日の練習でターボちゃんだけど・・・」

 

 

 「あ、テイオーちゃん。お久。元気だった?」

 

 

 「あ、美柚樹さん! お久しぶり。うん! 今日の料理、楽しみにしているね?」

 

 

 回復していつものノリに戻ったゴールドシップとマックイーンのいつものやり取りが始まり、ヘリポスさんとリボーさん、トレーナーで三人何やら話し合いが始まった。

 

 

 で、一方ですぐにリヤカーを片付けて走りに行ったジャスタウェイさん。美柚樹さんは早速何やら調理道具とリヤカーに積んでいたらしい道具を使っていく。僕を見るといつも食堂で見せた笑顔を更にきれいにして微笑んでくれる。

 

 

 「テイオー! 今日こそはターボと勝負してもらうぞ!」

 

 

 「はいはい。今日は軽く流すよう言われているからダメ。ツインジェット」

 

 

 「ツインターボ!! 間違えるなテイオー!」

 

 

 「まあまあ、とりあえず、勝負は今度、ちゃんとしたレースでいいでしょ?」

 

 

 何でか覚えきれないんだよねえーターボの名前。まあ、ちゃんとしたレースまでに僕も仕上げればいいし、テイオー伝説。かいちょーに負けないほどのウマ娘になるためだ。僕と一緒の舞台に駆け上がってきたときには思い切りいく。まだ僕とだとどうしても出れるレースがかみ合わないようだし。

 

 

 「・・・わかったぞ! 今日はしし・・・じゃなくてリボーさんからもようやく筋トレにうつれるし、テイオーも無理はしないで頑張るんだぞ!」

 

 

 「うん! じゃ、気を付けてねー」

 

 

 僕は僕でトレーナーからもらったメニューに打ち込んでいく。けど、筋トレかあ。野外だと自重を使ったものが多いけど、ネイチャ、あそこのチームは何を指せるよう指示したんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「11・・・・12・・・」

 

 

 「おらおら! 遅いぞターボ! もっとエンジン吹かせて叩き込むんだよぉ!!」

 

 

 ターボちゃんの練習。リボーと話していたし、ゴルシちゃんを磔にしていくしていく過程でジャスタウェイちゃんと話していたが、今回から筋トレも解禁。その内容は・・・

 

 

 「し、痺れるぞ・・・!」

 

 

 「芯を外しているからだ! しっかり真ん中に叩き込まないと打ち込んでも全く効果がないぞ!」

 

 

 土手、もしくはレースで坂のコースを再現した場所に埋め込んだ丸太を片手持ちのハンマーでたたき込むというものだった。しかもリボーのつてで無駄にでかい丸太を二人してゴンゴン叩くせいで私の調理の際の音もあってここがトレセン学園の練習場だというのが薄れそうなほどだ。

 

 

 工事現場のような音が響き渡る陸上競技の特訓なんて投擲種目くらいじゃないかな。

 

 

 「3・・・じゅっ・・・! こ、これで終わったぞ・・・!」

 

 

 「うーしこれでようやくお前もボクサー免許皆伝だな。じゃ、ジャスタウェイ!」

 

 

 「はいはい・・・ターボちゃん。これをつけて、さあ、思いきり来なさい」

 

 

 一方で1000メートルダッシュをスぺちゃんたちとしていたジャスタウェイちゃんに声をかけるゴルシちゃん。すると道具入れから低酸素マスクとボクシンググローブとミットを持ってきてマスクとグローブをターボちゃんにつけさせ、ミットをジャスタウェイちゃんが構える。

 

 

 「よーし、6R、ラウンドごとの休憩時間20秒。開始!!」

 

 

 「ウォォォォォ!!!」

 

 

 「腰が入っていないわよ! もっとねじりを入れて! 腕振って!! 空いている手を下げない!」

 

 

 あのへんなこけしのタイマーを入れて始まるミット打ち。ウマ娘のトレーニングだが、彼女たちはボクシングで世界を取るつもりだろうか? リボー曰くこれはいい筋トレとのことだが・・・

 

 

 「よーし。じゃ、頑張れよー」

 

 

 それを見つつゴルシちゃんは隣で焼きそばのための具材の用意をしていく。いや、練習しようよ・・・あーでもトレーナーも何も言わないし、そういうものなのかな? レースで暴れる際は本当に強いし、疲労抜きをしているのか・・・も・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ウオッカちゃん。走りのパワーも速度もいい。ただ、自主練にかまけすぎてここ以外で教師たちの授業あんまり聞いていないでしょ」

 

 

 「うぐっ・・・・は、はい」

 

 

 「ボディバランス崩しそうだし、ちょっとマシントレーニングでここと・・・ここの筋肉を鍛えておいたほうが走りが安定する。蹄鉄のすり減りもちょっと差が出ていると思うから後でチェックね」

 

 

 「ウッス!」

 

 

 「スカーレットちゃん。今の走りすごくいいわ。でも、負担が増えていきそうだからトモの後ろ側と、内側の強化。後確かちょっと前まで初等部だったのでしょう?」

 

 

 「はい! 光栄です!」

 

 

 「今後、小魚アーモンドもおやつに入れるようにしてカルシウムを取るようにしなさい。その走りは背丈を伸ばせばよりキレを増していくと思うし」

 

 

 僕たちの走りを見て、すぐさま弱いところ、いいところを見ながら必要なデータをタブレットを見せながら指示していくリボーさん。正直な話、なるほどウオッカとスカーレットの二人が心酔するのも分かる。後でサインあげると言ってから更にテンションを上げてオーラさえ見えるような二人をひらひらと手を振って見送るリボーさん。

 

 

 「マックイーンちゃんは流石の天才ステイヤー、欧州でも行けるわ」

 

 

 「光栄ですわ」

 

 

 「でもその分下手すればほかのレース以上に疲労がたまるし、その走りのペースは怖いものがある。靴をもう一度選ぶのと、靴下も衝撃を抑える厚地ものにしなさい。あと、足のケアは人一倍気を使うように」

 

 

 「うーん・・・今から変えていくのは・・・」

 

 

 「今後遠距離を走るのなら練習でもレースでも慣らしたほうがいい。難しいのならケア重視、リラックスアロマ、そういう効果のある飴を美柚樹お姉さんに頼みなさい。ケーキ食べるよりは甘味味わえて減量しやすいわよ」

 

 

 「な、なんでそれを・・・! う・・・ぅう・・・た、頼んでおきますわ」

 

 

 マックイーンのスイーツ好きを知っての釘指しと、ステイヤーの怖さを知っての道具の交代かあ。履きなれた靴の方がいいけど、けがを抑えるために靴下も徹底・・・さすが遠征のプロ・・・なのかな。あと、僕たちの事もよく知っている辺り下調べもいいのかも。

 

 

 「テイオーちゃん」

 

 

 「なに?」

 

 

 「その走りとばね、柔らかさは私もちょっと記憶にないほどの柔らかさ。天性ものといってもいいわ」

 

 

 「えへへー♪ でしょ? なんてたって無敵のテイオー伝説を作る走りだからね!」

 

 

 僕の番になるとほめてくれる。あー・・・なんだろう。やっぱり、褒められるのは気持ちいいし、リボーさんレベルの人に言われるのは違うね!

 

 

 「でもね、その走りに身体がついていくかが怖い」

 

 

 「え?」

 

 

 「貴女の走りは普通よりもばねとしなりが利く分負担が骨にダイレクトに来るのよ。レース前後の調整は軽めに流しつつ、必ず病院で精密検査を受けること。いいわね?」

 

 

 「え・・・あ・・・あー・・・はぁーい・・・」

 

 

 確か関節を壊して、ついでに呼吸器疾患したリボーさんだから故障の不安だろうけど・・・怖いこと言わないでほしいな。テンション下がっちゃうよ。病院も・・・う・・レース後のケアは大切だけど・・・だけどなあー・・・

 

 

 とりあえず走った後の流しをしてから1000メートルダッシュにうつることに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はー・・・まるで彼女らの肉体をMRスキャンやレントゲンで見ているのかといいたいほどにズバズバ当てていくな・・・」

 

 

 「リボーハバトルの組み立てもテンサイデシタカラ」

 

 

 「トレセン学園で手伝いとはいえ指導されると聞いて世界が動くのも納得ですね」

 

 

 「はい! まるでトレーナーさんのように私たちの事を言い当てていきます!」

 

 

 名伯楽。一か国にとどまらずに世界中で暴れまわってイギリス王室からの敬意をもらい、アメリカからも招待がかかったという実力と経歴は伊達ではない。俺もなんやかんやトレセン学園のトレーナー、このチームの一員という自負があるが、それでも実戦で磨かれた観察眼と経験と知識の融合はとんでもない。

 

 

 だからこそ、だからこそ気になるのだが。

 

 

 「そんな彼女がなんでツインターボにあの指導をさせているんだ? いや、それでもゴールドシップのやつは勝つんだが」

 

 

 「あー・・・ゴールドシップさん、スイカを指で割ったり、休憩中のジャスタウェイさんと将棋指したりとか、練習をしませんものね」

 

 

 スペシャルウィークの言う通り。自分で言うのもあれだがゴールドシップは強いし、あのパワーと加速をし続けられるスタミナ、怪我もしないしで天才といえる。が、練習内容は正直こちらもお手上げなくらいの自由ぶりと奇行ぶりだ。

 

 

 土手に丸太をハンマーでたたき込むトレーニングを大真面目にツインターボにやらせ、かと思えばミット打ち。ウマ娘の格闘技もあるが、そこに転向させるつもりか?

 

 

 「ワタシとリボーでキメマシタガ、ねじりにツヨイマッスル。ボディバランスの調整。短距離でゼンリョクデ腕を振り続けるためのタンレンデスネ」

 

 

 「ねじりにツヨイ筋肉・・・??」

 

 

 「イエス。走る際に前に走るパワーをくれる腕が落ちないためのミット打ち。走り続けてもブレナイバランス。ブレテモ戻せるフィジカル。ソレニアレハ握力、上腕二頭筋、胸筋、広背筋も使えます。そして、お腹の横の筋肉」

 

 

 「・・・つまり、上半身を鍛えて加速を鈍らせない、全力で暴れ続けるためのものであり、その際に思いきり動かしても問題ない、ぶれないためのサポーターと戻すためのばね・・・」

 

 

 つまりはまあ・・・あの滅茶苦茶な筋トレすらも合理的な部分を見出してツインターボにさせている。スズカも認めているし、すぐあの奇行から特訓になると見抜いたのか・・・

 

 

 「確かに長いレースでは後半腕が落ちそうになりますから。それをさせないための練習?」

 

 

 「ソウデス、スペシャルウィークさん。それに、シバラクターボチャンは練習相手以外ではアンマリハシレマセンデシタノデ、ストレス解消の意味合いもアリマス」

 

 

 「しばらく、ターボさんの練習の話を聞きましたが、筋トレは体幹メイン、スタミナをつけるためのマスクトレーニングが主だったと聞いています。好きな逃げの練習は余りと言っていましたが・・・ようやく下地ができ始めたと? ヘリポスさん」

 

 

 「ヘリポスでオーケー。その通り。私はアマリ長くターボチャンを見ていないですが、今日は大化けさせるためのひと段落、そのためにスピカを遅くしたとも言っていましたね」

 

 

 「徹底的に芯を鍛え、土台を作り、ようやくここから肉の鎧と技術を纏わせていく。そしてツインターボがライバル視しているテイオーの練習風景を見せて発奮材料を補充ないし、爆発させていくと」

 

 

 同じ逃げ、いや大逃げの戦術を使うスズカだから気になって調べていたのだろう。スズカの言葉とヘリポスさんの言葉を聞いてわかることは、かなりの手順を踏んだ逃げの育成。ただ、ターボの性格を考慮すれば素直だが我儘。必要とはいえこの練習でたまったフラストレーションを変わった練習で気分転換。そしてライバル視している相手の才能を間近で見せてモチベーション維持、もしくはアップを狙う。

 

 

 カノープスのメニューと聞いているが、間違いなくリボーたちの指示だろう。そして、おそらくだがまだそこには仕込みがある。まだまだ公式、非公式含め、もっと言えば訪問先での練習相手でも勝利をできていないターボだが・・・間違いなく、化けていく。

 

 

 「・・・私、ちょっとターボちゃんと一緒に走ってきます」

 

 

 「あっ、スズカさん。私も。トレーナーさん、ヘリポスさん! 失礼しました!」

 

 

 「イエイエー」

 

 

 「お前たちはこれ走った後は流してからダウンだぞー、スズカもスぺもこの前走ったばかりだからな」

 

 

 ミット打ちを終えて大の字になっているターボの元に走っていくスズカとそれを追いかけていくスぺ。アメリカでいろいろ聞いていたであろうスズカは何かを感じたのだろう。まだまだ完成には遠いが世界を掌返しさせた女傑が手をかけたターボの完成。これは楽しみだ。天才テイオーとの対決。負けるつもりはないが同時に知りたくなる。

 

 

 逃げも差しも先行もお手の物な怪物が逃げしかしたがらない一極特化をどう仕立て上げるか、その肉体を、走りを。

 

 

 「・・・これはテイオーのライバルが増えるかもしれんな」

 

 

 「モテモテデスネーテイオーさん」

 

 

 「そりゃあ、うちのかわいい天才さんですから」

 

 

 ヘルポスさんと一緒に笑いながらリボーと一緒に指示を飛ばしていくことに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「よーしお前ら! ちゃんと焼きそばは食ったな? ゴルシちゃん特性焼きそばを食った後は私も手伝った美柚樹シェフ特性デザートのお披露目でい!!」

 

 

 「一部はゴルシちゃんの暴走で消えたけどね。もう」

 

 

 「まーまーそう固いこと言うなよ。粉落としより固いぞジャスタウェイ」

 

 

 今日の練習は終わり、ダウンもお風呂も済んで野外で食事できる場所でゴルシちゃんの焼きそばも完食。料理人として、あの出来の良さは素直に驚いた。ゴルシちゃん特別ソースといい、本当に多芸かつ器用だ。

 

 

 ここの世界ではなんやかんやいろいろ作っていた分経験値もあるのだけど、料理人として負けるとは。ぜひソースの秘訣を知りたい。怪電波もらうかもだけど。

 

 

 「はーい皆さんおまちどお。特性アップルパイ。小麦粉は私の実家、リンゴは卸の知り合いに頼んで最高のを都合してもらいました。ささ。どうぞ召し上がれ」

 

 

 まあ、とりあえず今回はこのリンゴを使って楽しんでもらおう。こっそりビックリアップル(びっくりレベル40)を再現して顔は見せないようにカットして作ったアップルパイだがここは嘘をつこう。

 

 

 正直な話、あの世界のびっくり食材の中でも無駄なインパクトでいえばいいとこ行くし。

 

 

 「いっただきまーす。あむ・・・ん・・・んっ~~!! な、なんですかこれ!? 私も食べたことないですよ!!?」

 

 

 まずは先陣を切ったのはスぺちゃん。北海道生まれ、あそこでのとれたての食材を知りながらこの反応。うんうん。上出来なようで。

 

 

 「ほんとか? ターボも・・・おぉぉ? うまい! うーまーいーぞーー!! あぐっ・・・!! ううぐっ!? ま、まだのどに・・・」

 

 

 「だ、大丈夫ターボちゃん? 私も・・・はぁあ・・・・上品な甘味・・・サクサクの生地の厚さがいい・・・」

 

 

 「おぉお!? なんだこれ? 前にマックイーンの家でもらったスイーツよりうまくねえか!?」

 

 

 「・・・本当ですわ・・・ねっとりとしたジャムの強い甘さ、リンゴのしゃくしゃくとした食感、そこに絡む生地のザクザクとした感触・・・食感もいいのに、どれも甘さが引き立て合って・・・美柚樹シェフのパイの方がおいしい」

 

 

 「生地だけでもいけちゃうくらいおしいわね~♪」

 

 

 みんなが一気に食べ始めていけば先ほどまで焼きそばを見ているこっちが腹いっぱいになりそうなほど食べていたのにまたすごい勢いで食べていく。女の子にスイーツは別腹というけど、ウマ娘は本当に牛のように胃を複数持っているんじゃないかといいたい。

 

 

 「うんうん♪ おいしー♪」

 

 

 「ほれほれテイオーちゃん。これまた美柚樹お姉さん特性蜂蜜入りレモネードだぞ♪」

 

 

 「え!? マジ! 頂戴リボーさん!!」

 

 

 「あいあい。・・・・甘い!」

 

 

 「ぐわぁああああ目がぁあああ!!!?」

 

 

 「あーあー・・・」

 

 

 そしてすっかり打ち解けたリボーとテイオーちゃん。好みも分かっているようで特別製ロイヤルゼリー入りのレモネードを渡そうとしたリボー。の後ろからレモネードにからしを入れようとしていたゴルシちゃんを察してすぐさま振り向いてからしを奪い目に発射。

 

 

 悶絶して転げまわるゴルシをよそにレモネードを注ぐリボー、みんなのパイのおかわりを運びつつジャスタウェイちゃん。

 

 

 「美柚樹さん。おかわりです!! できれば2枚!」

 

 

 「わ、わたしも・・・」

 

 

 「私も!」

 

 

 「うぐ・・・こ、これ以上は流石に・・・で、でも・・・」

 

 

 「あー? 何だよマックイーン。食べねえの? じゃーゴルシちゃんはその分も貰うからくれ!」

 

 

 「ターボはレモネード頂戴。けぷ・・・」

 

 

 で、すぐさま飛んでくるおかわりの嵐。スぺちゃん。おなかが出るほど膨れているけどいいの・・・? で、マックイーンちゃんは体重調整でたじろぐけどゴルシちゃんが食べるので負けて食べて、幸せそうな顔を見せる。

 

 

 ジャスタウェイちゃんは一切れ食べてから残りは後で食べるというのでその分は残しているのだけど・・・これ、予備の分も大丈夫かしら?

 

 

 「はいはい。ここで一気に食べないでも後で食べられるよう箱詰め、その分残しているから食べ過ぎ厳禁よー。あと、疲労抜きのための特性ミックスジュースも作っているからもらっていってねー」

 

 

 「寮に帰ってから休みながら食べるんだぞー」

 

 

 この後はみんなにパイの箱詰めとミックスジュースをボトル詰めしたものを一人一人にプレゼント。ジャスタウェイちゃんにはこっそり倍の数渡したけど大丈夫よね。

 

 

 「テイオー! 今日の走り見たけど、やっぱり強いな!!」

 

 

 「ふふーん。そうでしょ?」

 

 

 「でも、ターボも早くなって追いつくから待ってろよ!」

 

 

 「それはボトルを持てるくらいの体力を残してから言うべきじゃないかなあ?」

 

 

 帰り際、こんなやり取りしていたけどもターボちゃんは丸太打ちで握力がなくなったのでゴルシちゃんにケーキとジュースを持ってもらいながら帰宅。

 

 

 「・・・・・・・・あ」

 

 

 私も帰ることにしたけど、ふと思い出してしまう。

 

 

 「どうしたの美柚樹お姉さん」

 

 

 「明日スイーツデーだ・・・」

 

 

 「・・・マックイーンちゃん。南無・・・でいいのかしら」

 

 

 翌日。やっぱりというか私が用意した人参ケーキを見て「連日これ以上の甘味を食べては・・・でも週一のスイーツデーでこの味を・・・ぐぬぬぬ・・・・!」な顔してから誘惑に負けて泣きながらおいしいとパクパクケーキを食べる姿が。

 

 

 オーバーワークしないようにトレーナーさんに言っておきましょ。




ターボ筋トレ開始。そのスタートはゴルシ。ただ、全力逃走劇をするのならあれくらいのパワーとねじりに強い筋肉はあったほうがいいと思うのでこれ。


テイオーはなんやかんやターボを少し認め、リボーは心を開く。ウオッカとスカーレットはサインをもらいホクホク。


ヘルポスさんは美柚樹の実家から借りたジ〇リ作品とか、漫画で日本語勉強中。すでに部屋が漫画まみれに。


馬ってリンゴも好きみたいですね。というよりも甘味が大好き。キャラメルとかもいけちゃうとか。生態からしてスイーツ大好きな生物。ウマ娘にぴったりですね。
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