ウマ娘外伝 大河ウマ女優への道?    作:国津真史

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第一幕 『鎌倉殿のふたり』 その漆~玖

【その漆】

 

 

 千葉県某所にある「天神八幡神社」(祭神:源平時代の名宇摩(うま)娘生食(いけずき)並びに菅原道真公)で鉢合わせとなった、ウオッカとダイワスカーレット。二人は、次期NHK大河ドラマ『鎌倉殿のふたり』のメインヒロインの座を狙って、願掛けのお参りにやってきたのだ。その時、二人に大河ドラマ出演決定の電話連絡が入り、各々色めき立った。そこからの二人での帰り道。

 

ウオッカ「よっしゃあぁ!早速お参りしたご利益が表れたぜ。 やっぱ、俺の日頃の行いがいいからかな」

 

ダイワスカーレット「日頃の行いって…あんたがそれを言うわけ? ファッション不良のあんたが」

 

ウオッカ「オイ、コラ! 誰がファッション不良だ!!」

 

ダスカ「ふふん、あんたの願い事の内容なんて知らないけど、ここの神様は宇治川の先陣争いを制した「元祖勝ち宇摩娘」よ。 だったら、やはり一番乗りでお参りした人の願いを優先的に聞いてくれるんじゃないかしら… ウオッカ、ちなみにあんたは二番手ね」

 

ウオッカ「ふんっ! なんでも一番が大好きな「一番馬鹿」らしい発想だな。 大事なのはそういうんじゃなくてなぁ、心なんだよ、コ・コ・ロ! …いや、待てよ」

 

ダスカ(よくそんな恥ずかしいくらいキザナなセリフをサラッと言えるわね)

 

ウオッカ「なあ、ここにお参りに来ているウマ娘って、俺たちだけなのかな?」

 

ダスカ「えっ…!?」

 

ウオッカ「まあ、お前が俺より早く来て、境内の掃除までする真面目ちゃんっていうのは認めるぜ。 しかし、だからといって必ずしも「一番」とは限らないだろう。 もしかするとお前より先に、ここに誰か来てるかもしれねえじゃねぇか」

 

 話の終わりくらいで「ニヤリ」とするウォッカ。

 

ダスカ「ちょ、ちょっと! 嫌なこと言わないでよ!!」

 

ウオッカ「だとしたら、お前も俺も2着以下。 おんなじ「2着以下」同士、仲良くしようぜ」

 

ダスカ「だから、どうして私までが「2着以下」前提の話になってるのよ! ん~っ!何だかムカつく~!」

 

ウオッカ「へへ~ん。さ、駅についたぜ。ここから一駅先で乗り換えて… え!?たった一駅で300円以上すんのかよ! 電車賃高すぎだろ!! 学生には、金が無えんだっつーの!! …どうすっかなぁ。 トレセン学園まで走って帰ろうか」

 

ダスカ「何馬鹿なこと言ってるの。それじゃ本当に真夜中になっちゃうじゃない。 …でも「財布より定期落とすな」とか「出来るだけ乗らずに済ます」とか沿線の住民から言われてるのって、本当みたいね。 一駅分だけ走っちゃおうかしら」

 

ウオッカ「俺はジャージだからいいけれど、お前、制服で大丈夫か?」

 

ダスカ「ふん!甘く見ないでもらいたいわね。 それに線路沿いの道はまっすぐで広いから、走り甲斐あるわよ」

 

ウオッカ「よっしゃ!それじゃあ競争だ!!!」

 

ダスカ「ちょっと! まだ街中なんだから。 それじゃ飛ばしすぎよ!」

 

 二人は気づいていなかった。彼女たちを遠くからじっと見ているウマ娘がいたことを。

 

 

あるウマ娘の独白

 

 そう。アタシのようなキラキラしたものを持ちあわせていない、平凡なモブウマ娘に出来ることといえば神頼みしかない。

 この間の『鬼神がくる』でも主人公にはなれず、結局は、信長に都から追放された将軍義昭をおんぶして逃げ歩く名もなき宇摩娘役…せっかく大河ドラマに出れたというのに、何だか残念みたいな。これじゃあ3着くらいのいいところまではいけるけど、どうしても1着に届かない、「善戦ウマ娘」ないつものレースと変わらないですよ。

 …そんなアタシでも、もっとキラキラした舞台に立ちたいっていう想いはあるわけで。それで今日、みんなの間で密かな噂になってて、マチカネフクキタルもお勧めしてくれた「天神八幡神社」へお参りに行ったんだけど、あそこってホントにご利益あるわね。お参りしてすぐに、トレーナーさんから電話で大河ドラマ出演の話が来たのにはびっくりしたわぁ。具体的な配役はまだだけど。

 そうそう、後からやって来たあの二人。思わず隠れて見てたんだけど、あれも驚いたわぁ。何がって、あんだけキラキラ(あるいはギラギラ?)しているウマ娘たちが、まさかの神頼みとは。何だかそれ見て、ちょっとだけホッとした自分も情けないけどね、ハハハ…。

 まず最初に来たダイワスカーレット。普段から真面目に見えるけど、まさか境内の掃き掃除を始めちゃうなんてねぇ。それ見て、しまったぁそれ最初にアタシがやっときゃよかったぁなんて思ったわ。次の機会があったら考えよう。

 その後やって来たのがウオッカ。彼女確か、「天神八幡神社」に来る前は中山レース場に居たんじゃなかったっけ。そこから走って来たみたいだったけど…。まさか、「天神八幡神社」までの道すがら、鎌ヶ谷大仏とか他の神様・仏様を回って願掛けして来たんじゃないかしら。あのガムシャラな性格のウオッカならあるいは…。そうか、彼女たちみたいにキラキラしたウマ娘って、同じ「神頼み」でもアタシなんかとは努力の量が違うのね。何だかちょっと自己嫌悪。

 にゃあああ! 今度のチャンス、まさか競争相手はあの二人なの!?…どうか神様、仏様、生食様、こんなアタシにでも一度…たった一度でいいから何かキラキラした舞台がいただけますよう、お願いいたします…。

 

 

【その捌】

 

 

 ウオッカとダイワスカーレットが千葉県某所の「天神八幡神社」境内でバッタリ出くわした、その翌日。その日の授業が全て終わると、ウオッカは勢いよく教室を飛び出した。彼女が向かった先は、理事長室。ウオッカはドアをノックし、中から「どうぞ」と声がかかるや否やドアを開け放ち、いささか緊張した面持ちで入ってくる。

 

ウオッカ「しっ、し…失礼します」

 

駿川たづな「あら、ウオッカさん。今日はどうしましたか」

 

 理事長室には、秋川理事長と理事長秘書、駿川たづなの二人がいた。

 

ウオッカ「あ、たづなさん!昨日は連絡ありがとうございます! …理事長!!今日はたってのお願いがあって参りました!!!」

 

 ウオッカは、理事長席の真正面に来ると、背筋をピンとさせつつ腰がちょうど直角90度になるくらいに、ものすごい勢いで頭を下げた。耳が小刻みに震えているようにも見える。

 ウオッカの一言により、理事長とたづなに緊張が走る。二人は思わずチラッと顔を見合わせた。

 

たづな「え~と…お願いというのは、ひょっとして昨日電話で話にあった…」

 

ウオッカ「はい!昨日電話で話したばっかであれですけれども、改めて理事長に直接お願いしたくて! 理事長!!今度の大河ドラマ、ぜひ俺を生食(いけずき)の役に推薦してください!!お願いします!!!」

 

 再び勢いよく、頭を下げるウオッカ。そのまま土下座をしかねない勢いだ。必死なウオッカを前に、いささか困った表情で再び顔を見合わせる理事長とたづな。

 

理事長「う、うむ。来年の大河ドラマ『鎌倉殿のふたり』のキャスティングの件だな。 実はつい先ほどまで監督・脚本家など関係者とWeb協議をしていてな…」

 

 理事長は、いつもの歯切れの良さが欠けてしまっている。

 

理事長「協議の結果、ウオッカ君、君を主人公(の一人)に抜擢することした。(一応、嘘じゃないぞ)」

 

ウオッカ「ってことは、俺が生食の役を…!?」

 

理事長「いや…主役ではあるが、生食…ではない…」

 

ウオッカ「えーーッ!? 何なんスかそれ!?」

 

たづな「理事長、そこはちゃんと順序だてて説明していただかないと」

 

理事長「か、勘弁ッ…。 では、たづなから頼む」

 

 たづなは、今回のタイトルが『鎌倉殿のふたり』とある通り、生食と磨墨(するすみ)のライバル関係を主軸にしたいわゆるダブル主演のドラマであること、そして、ウオッカは磨墨の役に決まったことを一通り説明した。最後に理事長が、「天晴ッ!」と書かれた扇子を広げながら、

 

理事長「…と、いうことだ。 生食ではないが、決して悪い役ではないぞ。 何しろ主役の一人なのだからなぁ。 はーっはっは」

 

ウオッカ「まあ、そいいうことなら…」

 

 こうして、何とかウオッカをなだめることができたか、やれやれと理事長とたづながホッとしたのもつかの間。まさにその時、理事長室のドアがノックされ、入って来たのは…

 

ダイワスカーレット「失礼します。 このたびは私を次期大河ドラマの主役に抜擢いただき、誠にありがとうございます… って、あれ?ウオッカ? あんたなんでこんなところにいるの?」

 

ウオッカ「おい…。 お前こそ何でここに? なんか今、大河の主役とかなんとか言ってなかったか?」

 

 なんと間の悪い!!理事長とたづなは、頭を抱える。

 

ダスカ 「ええ、そうよ。 つい先ほど生徒会長からお呼びがかかって、生徒会室で聞いたの。 今度の大河ドラマのメインヒロイン、生食役が私に決定したって。 そこでお礼がてら理事長に挨拶を…。 え?…何?」

 

ウオッカ「何で… 何で…」

 

 ウオッカは、視点が定まらない様子で、体をぷるぷるさせたかと思うと、次の瞬間、

 

ウオッカ「うおーーーーーっ!! 何で!! 何で生食の役がダイワスカーレットなんだぁ!!!」

 

理事長「驚愕!! ウォッカが壊れた!?」

 

ウオッカ「ちくしょーーーう!! そんなことなら…そんなことなら!! ダイワスカーレットを殺して俺も死ぬ~ぅ!!!」

 

 何だかウオッカが物騒なことを口にし始めた。気のせいか、どす黒いモヤのようなものも目に映ったような…。あたかも、別世界に存在する名馬の魂とはまた違う、何か別のモノ…例えば、荒ぶる武者みたいな…に憑りつかれたかのようにも見える。

 

たづな「ウオッカさん、落ち着いて!!」

 

 たまたま理事長室の近くにいて、ウオッカの叫び声を耳にしたスーパークリーク、ヒシアマゾン、ナリタブライアン、キタサンブラックの「お助け四天王」が中に飛び込み、ウオッカを押さえつけるなどして、色々落ち着かせようとする。

 余談だが、この「お助け四天王」のメンバーについては「サクラバクシンオーを入れるべき」とか「何でビコーペガサスちゃんを入れないの?」などの一部異論もあるが、その実行力(あるいは実効性)の面から、上記四人こそが「四天王」にふさわしいというのが、大方の一致である。

 

ヒシアマゾン「おい、どうしたウオッカ。 何か悩みでもあるならヒシアマ姐さんが聴いてやるよ」

 

スーパークリーク「さあウオッカさん落ち着いて、いい子いい子。 呼吸を整えましょうね~。 はい、息を吸って、吐いて… ヒッ、ヒッ、フー…」

 

ナリタブライアン「ラマーズ法かよ」

 

キタサンブラック「はーい、皆さーん。 なんでもありませんから、どうかお引き取りを… あ、ダイヤちゃん。 ちょうど良かった。 ここに集まってきちゃうみんなをお帰しするの手伝って」

 

理事長「うぅ…。 どうしよう」

 

 ちびっこ理事長は涙目だ。

 

たづな「そうだ。 ウオッカさんにアレを見せてみては…」

 

理事長「それで何とかなるのか? …なるのだな? すまない! では、たづな、頼んだ!」

 

 たづなはタブレットを取り出すと、画面に、とある浮世絵を映し出した。

 

たづな「ウオッカさん!これを見て!!」

 

 その浮世絵は、源平時代の大鎧を身にまとった武将の、いわゆる武者絵であった。髭のないつるんとして整った顔のほか、頭上の耳と、腰のあたりの尻尾の存在が、この武将がウマ娘(昔の漢字表記で「宇摩娘」)であることを示している。彼女の背中には当時主流の武器だった矢が全く無く、代わりに梅の枝を一本背負っている。そして手には弓を持たず、太刀を抜いて振りかざすようにして戦っている。辺りには花弁が舞い散り、あたかも花の香りが漂ってきそうな、美しい姿だ。

 

ウオッカ「こ…これは…!?」

 

 

【その玖】

 

 

駿川たづな「ウオッカさん!これを見て!!」

 

ウオッカ「こ…これは…!?」

 

 ウオッカとダイワスカーレットの二人が千葉県某所の「天神八幡神社」境内でバッタリ出くわした、その翌日。トレセン学園で、その日の授業が全て終わった昼下がり。

 場所は学園内の理事長室。

 ウオッカは、かねてから強く望んでいた、次回大河ドラマ『鎌倉殿のふたり』の主役の一人である生食(いけずき)役が、自分ではなくダイワスカーレットに与えられたことにショックを受け、「壊れた!?」と秋川理事長がびっくりするくらい荒れていた。

 

 そんなウオッカに、たづなは、ある浮世絵を映したタブレット画面を見せる。その浮世絵には、古風な大鎧をまとい、背中に梅の枝を挿した宇摩(うま)娘の武者が、太刀を振るって奮戦する様子が描かれている。梅の花弁が舞っていて、見る者に香りまで届きそうな美しい絵だ。

 

ウオッカ「カッケ~! …この武将って、やっぱ生食なんですか!?」

 

 ウオッカの双眸がキラキラと輝いている。ついさっきまでの荒れ様がウソのようだ。

 

たづな「いいえ。 この浮世絵に描かれた宇摩娘の武者は、もう一人の主人公磨墨(するすみ)ですよ」

 

ウオッカ「え?」

 

 実はウオッカの知識では、磨墨は何かと生食にしてやられるカッコ悪いイメージしかなく、ダブル主人公と言われても今一つピンときていなかった。しかし、さらにたづなの説明を聞くと、磨墨は文武両道かつ武士としての美学にこだわりのある宇摩娘であることがわかってきた。

 

ウオッカ「ふ、ふ~ん」

 

 ウオッカの、そわそわしている様子を、ダイワスカーレットが横からまじまじと見ている。

 

ダイワスカーレット「へ~、なかなかカッコいい役どころみたいね。 私もそっちにしてもらえるようお願いしてみようかしら?」

 

ウオッカ「え!?」

 

 ウオッカだけでなく、理事長やたづなまで(何言ってるの!?この子!)とでもいうようなギョッとした表情でダイワスカーレットの方を見る。ダイワスカーレットは、そんな二人に対し(大丈夫です)とでも言うように、目くばせをした。

 

ダスカ「そうね~。 この宇摩娘の武者姿、見れば見るほどカッコよく思えてくるわ。 ひょっとして日本一カッコいいんじゃないかしら…」

 

ウオッカ「な…なあ、お前」

 

ダスカ「ん~。 何かしら?」

 

ウオッカ「お、お前確かさっき、生食の役がどうのこ~のとか言ってたよなぁ?」

 

ダスカ「ええ。 さっき私が生食に決まったと知らされたって、そう言ったわよ」

 

ウオッカ「そ、そうだよなぁ。 だったら、無理してお前が磨墨役に手あげる必要なんて、ねぇだろ? 生食だって「日本一の名宇摩娘」とか言われているんだし…」

 

ダスカ「え~。 どうしようかな~」

 

ウオッカ「ええと…あ~、あ~、俺も生食役やりたかったんだよな~。 で、でも~、学園の推薦もあるようだしぃ~、ここはお前に生食の役を譲っても、まあ、いいかな~。 へへっ」

 

ダスカ「まあ、仕方がないわね。 ウオッカがそこまで言うのなら、ありがたく生食役を頂戴するわね」

 

 理事長ら周りのみんなも、ここまでの成り行きを見て一同ホッとしている。

 

理事長「決定! それでは、生食役にダイワスカーレット、磨墨役にウオッカということで、よいな!!」

 

ウオッカ・ダスカ「はい!!」

 

 その場にいたナリタブライアンが、ウオッカの背中をポンと叩く。

 

ナリタブライアン「お前の、その本能からくる直感に従って進めばいい」

 

ウオッカ「ブライアン先輩…」

 

ブライアン「お前にとって、この磨墨役は単なる演技では終わらない。 …おそらく、お前の魂の一部となるだろう」

 

 

あるウマ娘と担当トレーナーとの会話

 

あるウマ娘「おっすー、トレーナーさん。 今日はトレーニングの前に、アタシに話があるとか…一体何です?」

 

担当トレーナー「昨日電話でお知らせした、次期大河ドラマの件、具体的な配役が決まりました」

 

ウマ娘「本当ですか…あ、でもどうせアタシなんかは、この間の『鬼神がくる』みたいに、名前の設定すらないモブ宇摩娘がせいぜいなんじゃ…」

 

担当「いえ、そんなことはないですよ。 主役こそ逃しましたが、今回はちゃんと名前のある役を頂きました。 名前はたしか…あ、そうそう。「三日月」っていう名前の宇摩娘です」

 

ウマ娘「へ~、三日月ねぇ。 ホテルのCМソングが聞こえてきそうですよ、その名前。 (それとやはり、三という数字は引っかかるわね…) …そっか、やはり生食みたいなメインヒロイン役なんて、アタシには分不相応だったか」

 

担当「そんな寂しいこと言わないでくださいよ。 私にとってはあなたが一番のヒロインなんですから」 

 

ウマ娘「トレーナーさん。 そういうセリフは、はっきり口に出すもんじゃないって…。 ホント、デリカシーっていうものが…。(デレデレ) で、でも、現代にまでその名が伝わるということは、それなりに有名なんですかね? …それはそれで悪くないかも。  前回の「名無し」から一歩前進みたいな。 まあ、人生は配られたカードで勝負するしかないっていうし、それならそれなりに、ぼちぼち頑張らせてもらいますよ。 …ところで、スマホで何見てるんすか?」

 

担当「あ、その三日月について、どういう宇摩娘なのか…先ほど確認をしていた時にのぞいたサイトを引っぱり出してます…。 これを読んでもらうのが一番手っ取り早いかと…」

 

 担当トレーナが、スマホをウマ娘に手渡す。

 

ウマ娘「へ~、どれどれ。 三日月は平安時代末期、坂東武士の鑑と称され、怪力でも知られた武将畠山重忠に仕えた宇摩娘…。 (よかった。 ちゃんと実在した宇摩娘なのね。 もしこれが変なオリキャラだったりしたら、それだけで炎上ネタになりかねないから、ちょっと安心♡) …寿永3年2月7日(1184年3月20日)の、一の谷の戦いでは、重忠と共に義経の奇襲部隊に従い、鵯越の逆落としにおいては……………!!!」

 

 ウマ娘は顔を真っ赤にし、思わずスマホを落としそうになる。

 

ウマ娘「ちょっつ、ちょっと、トレーナーさん!? アタシの登場シーンって、まさか、この鵯越の逆落としの所だけとか…」

 

担当「だけ、かどうかは分かりませんが、そこが一番の見せ場でしょうね」

 

ウマ娘「にゃあああああああああっ!! 恥ズい!恥ズすぎるッ!! 十万石饅頭もびっくりなベタベタあま~い展開とか演じなきゃいけないの!? もしこれがウオッカだったら、鼻血ぶーで即ダウンだわ! うわああぁ…アタシ、耐えられるかしら!?」

 

 頭を抱えたウマ娘の叫びが、辺りにこだました。

 

 

続く

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