それと、しばらくは某艦船ゲーのイベント周回をしないといけないんで、ちょっと投稿が遅くなるかも。大学も最近忙しくなってきたし。
「……痛みは来ない?」
「うん。全然大丈夫」
劇毒とされる魔物の肉を食した香織。しかし鉱石から溢れ出る特殊な水を、痛みが出る前からハジメに定期的に飲まされたからか、一切の痛みを感じることなく終わった。
こうなった要因としては、まず第一に、特殊な水――神水を飲み続けたからだろう。神水は回復魔法と似たような働きをし、魔力を回復させることもできる。この性質のおかげで、体内の魔力が魔物の魔力によって分解されても、即座に魔力が回復していったのだ。
第二に、そもそもの香織の魔力が多かったという点だ。魔力が多いため、当然だが分解にはそれなりの時間がかかる。なので神水を飲むことが、知らず知らずのうちに激痛の予防になっていたのだ。
「でも……私もハジメくんみたいになれたのかな? ステータスプレートをなくしたから、分かんないや」
「ならやってみれば? ほら、腕に魔力を集めてバチバチ」
「あ、えっと。腕に魔力を集めて……」
纏雷を修得しているものと考えて、香織は腕に魔力を集めてみる。するとハジメの時とは違い、バチバチと白菫色の電気を発した。どうやら体内の魔力によって、発する電気の色が違うようである。
「できた!」
「おっ。……ということは、技能的にはそこまで変わらないのかな?」
「どうだろう? 食べた魔物は同じなわけだし……ステータスとかは別だけど、多分そんなに変わらないんじゃないと思うよ」
「そっか。まぁしばらくはここで修行かな。ここを抜けるには、あの熊の魔物を倒せるレベルにならないと」
「そうだね」
そうしてハジメと香織は、この空洞を拠点にしながら、鍛錬を行うことにした。
◆◇◆◇
そうして鍛錬を積みはしたものの、正直な所、鍛錬による成長にそこまで意味は無かった。
確かにステータスは成長し、いくつかの派生技能を得ることにはなった。魔物を倒して食べたことで、新たな魔法も手に入れた。だが、そもそもそんなものが無くても、ハジメの戦闘スタイルであれば、一瞬で敵の内臓をズタズタに引き裂いて殺すことが可能だった。
これはハジメの腕を斬り落とした爪熊も例外でない。気体化させた鉱物を吸い込ませれば、それで詰み。後は体内で固体化させるだけで、内臓が引き裂かれて死ぬのだから。
なので成長したところで、それを活かす場面が無かったというわけだ。なんせ鍛錬をする前から、どんなに頑丈な魔物でも一瞬で仕留める手段を持っていたのだから。
しかしそれでも鍛錬は続けていた。一つの戦法だけでは、いずれ限界が来ると思っていたから。
とはいえ錬成師であるハジメには、別の戦い方ができるほどの魔法適性も、何らかの近接武器を使って立ち回れるほどの身体能力や才能も無い。ステータスは上がれど、直接的な戦闘にはあまり活躍できそうになかった。
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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:21
天職:錬成師
筋力:450
体力:600
耐性:450
敏捷:675
魔力:600
魔耐:600
技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+消費魔力減少][+鉱物融解][+鉱物凝固][+遠隔錬成][+鉱物融合][+鉱物分離][+高速錬成][+錬成範囲拡大][+鉱物昇華][+鉱物系探査]・魔力操作[+魔力強化Ⅰ]・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地]・風爪・言語理解
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ハジメは自分のステータスプレートと、色々と採掘した鉱物を見ながら悩んでいた。この中で、直接戦闘に使えそうな技能は風爪くらいで、他は何らかの技能と組み合わせる必要がある。
だが、その組み合わせというのが思いつかなかった。そもそも錬成師が、正面切って戦闘を行う職業ではないので、そういう組み合わせが見つかることも少ないのかもしれない。
「ハジメくん、何か思いついた?」
そうして悩み込んでいると、後ろから香織が話しかけてきた。
「全然ダメ。閃光手榴弾みたいなのは作ってみたけど、攻撃に使えるかと言われればアレだし……」
「ハジメくん、やっぱ戦いたいの?」
「戦いたい……というよりかは、香織だけに戦わせたくないって感じかな? ほら、一人だけにやらせるのって、なんか嫌じゃん?」
「……別にハジメくんが戦わなくてもいいのに。戦うくらい、私が全てやるのに」
「気持ちは嬉しいけど……そういうわけにもいかないよ。香織は僕に傷ついてほしくないんだろうけど……僕も同じ。香織には傷ついてほしくない。だから一緒に戦いたいんだ」
とはいえど、何も思いつかない。様々な鉱石を発見しているので、それを利用すれば爆弾くらいは作れそうだと感じてはいるが、やはりそれでは嫌なようだ。ハジメは、直接戦える力が欲しいのだ。
そんなハジメに、香織は何気なく言った。
「武器、武器かぁ……銃とかどう?」
銃。地球上なら、一撃で人間に致命傷を与えることができるという武器。日本では基本所持を禁止されているが、外国では普通に買える国もあるほどのものだ。
「……そっか、そういうのもあるな」
もちろん、扱うのには相応の腕を必要とする。しかし近接武器よりはマシだ。近接武器の場合は、基礎的な武器の扱いから細かな立ち回り、高い集中力等を必要とする。敵に近づく以上、一瞬の判断ミスが命取りだからだ。
だが銃の場合は、ただ撃つだけ。それ以外にも要素はあるが、細かな立ち回りを気にしなくても済むのは、ハジメにとっては圧倒的に楽だった。
しかし問題点もある。それはハジメが、銃の構造を完璧には知らないということだ。オタクとしての知識があるので、ある程度の構造は知ってるが、逆に言えば完全には至らない。なので銃を作る場合、どうしても手探りになってしまう。
しかしハジメにとって、それは燃えるというものだ。
「よし、やってみる。時間は結構かかるだろうけど、何度も繰り返せばできるはず」
そうしてハジメは、銃の制作を始めるのであった。
◆◇◆◇
だが、銃と弾丸の制作はあっという間に終わった。魔法で一部の構造を簡略化することができたため、片手で数えるくらいの試行回数で、弾丸を射出する拳銃は完成したのだ。
しかし魔物相手に試した所で、問題が生じた。それは、魔物相手だと威力が低く速度も遅い、という点だ。
特に爪熊相手に戦った時、その弱点は露呈した。銃を撃っても簡単に回避され、たとえ当たったとしても、硬い皮膚を貫くことすらできない。これでは、いくら銃ができてもダメだった。
なので威力を上げることに注力することになるわけだが、これがまた難しい。基本は弾丸を改良することになるのだが、火薬代わりに使っている燃焼石という鉱石の比率を調整しなければ、威力上昇はできない。だからといって、無闇に比率を上げても危険なだけで……と、色々と苦難していた。
そんな風に悩み始めて四日ほど経ち、ハジメはあることを思いついた。威力を上げるには、弾丸を改良する必要性がある……というわけではないと分かった。
威力を上げるために、銃を改造することにしたハジメ。今までのは、単に燃焼石を燃やして推進力を出す、といった形だったが、今度は纏雷による電磁加速を加える。いわゆる
しかし、そういった考えの下での
燃焼石の割合はどれくらいにするか。少しでもズレが生じれば、うまく発動しないか、あるいは暴発してしまう。実際に試作段階で、そういったことが何十回何百回とあった。
そしてようやく、
「よし……一応近接にも対応できるようにしといたし……」
ハジメが銃に対して錬成を発動すると、銃身の下に備え付けられた重りのようなものが変形して、ナイフのような刃になった。
銃を振ってみると、そこからは爪熊の斬撃のようなものが発生した。あまり使うことは無いだろうし、使わない方が良いが、一応近接にも対応可能だ。
「ハジメくん、調子はどう?」
最終テストを終了させたくらいのところで、そこに香織がやって来た。香織の方も、ハジメとは別で鍛錬を行っている。特に光属性の魔法攻撃の鍛錬を中心にだ。
「もうすぐ終わる。弾丸も完成したし、実際に使ってみるだけだね」
「へぇ〜。そういえば、もう一つの武器は?」
「もう一つ? ……ああ、アレね」
そう言うとハジメは、纏雷で電気を纏う。すると周囲に散らばっていた無数の金属片が、水を泳ぐ魚のように動き出した。
これは
そういうコンセプトだったのだが、使い勝手が恐ろしいほどに悪かったため、没になった。
「正直ダメだ。いや、アイデア自体は良いと思ったんだけどね……」
「そうなの? 面白そうだったんだけどなぁ」
「なんせ射程が短すぎた。操作して攻撃するにしても、一メートル離れると磁力が届かなくなるし。欠片一つ一つの磁力を自由に操作できるんだったら、使えたかもしれないけど……」
そう言って纏雷を解除すると、周囲に浮いていた金属片は地面に落ちる。
「とにかく、最後のテストだ。爪熊を倒しに行く」
「じゃあ私もついてくよ」
そうして最終テストのために、二人は爪熊と戦うことになった。
◆◇◆◇
このダンジョンは、どうやら魔物が一定の周期でどこからともなく湧き出ているようだ。なのでその階層の魔物を根絶やしにしたとしても、しばらくすれば、再び魔物が出現するようになる。
それは爪熊も例外ではない。爪熊は、この一階層には一体しかいない。しかしそれ故に最強で無敵。この階層にいる他の魔物であるニ尾狼や蹴りウサギは太刀打ちすらできない。
もしそれを倒したとしても、一日か二日経てば、どこからともなく出現してくるのだ。他の魔物も同様だ。おそらく生殖で増えているのではなく、大迷宮のシステムでこうなっているのだろう。
「よし見つけた」
ハジメは香織と共にしばらく歩いていると、爪熊と遭遇した。今までに三回ほど戦い、その三回とも気体化した鉱物による攻撃で撃破した。
今度こそ武器の性能を証明するため、その攻撃方法を封印して戦う。
「香織、援護を頼むよ」
「わかった!」
そう言ったハジメは、力の抜けた右腕を一気に動かして弾丸を放つ。
「……グゥウ!?」
確かに弾丸の速度は速い。燃焼石の爆発力にさらに電磁加速が上乗せされている。この速さには爪熊ですら反応するのとはできなかった。
「やばっ、外した……」
しかしそれほどの速度と威力なのだ、いくらステータスが高くなっていようが、反動はかなり大きい。
一応、今までに通常の弾丸を何度も撃って練習してきた。そのため狙った場所に撃つという技術はついていたのだが……反動が大きくなると、中々に難しいものだ。
「ガァアア!!」
しかしわずかな衝撃を感知したからか、爪熊はハジメを敵として認識したらしい。
咆哮を上げながら物凄い速度で突進する。二メートルの巨躯と広げた太く長い豪腕が地響きを立てながら迫る姿は途轍もない迫力だ。
「止まって!」
しかし香織がそれを許さない。叫ぶと同時に、手から閃光が放たれる。それを至近距離でまともにくらってしまった爪熊は、一時的に視力を失って動けなくなる。
そこをハジメは天歩と空力――蹴りウサギから得た、空中に力場を出現させ、それを蹴り一気に爪熊の背後に回る。
そして……弾丸をもう一発撃った。
冷静に構えて撃ったため、今度こそは爪熊の頭部に命中し、貫いた。頭蓋を貫かれて生きているわけもなく、爪熊は倒れ絶命した。
「本当にすごい威力だね」
「何度か撃ってたから分かってはいたけど、本当に強いよこれ。まぁ、集団相手だと弱いというか、対応しきれないけど……」
「そこは大丈夫! いっぱい敵が出てきた時は、私の魔法でなんとかしてあげるから!」
「そう言ってくれると助かるよ」
戦力としては、対単体相手であれば、ハジメが強い。単純な威力という点で言えば、とんでもないほど高いからだ。しかし逆に、多数を相手にする時は弱い。
そこをカバーするのが香織だ。天職のこともあり、香織は回復魔法を最も得意としているが、光属性の魔法も同じくらいには得意だ。威力こそはハジメには劣るが、代わりに広い範囲への攻撃で、ハジメのサポートをする。
二人の戦闘スタイルと攻撃方法のバランス的には、割と相性が良かった。
「さて、上に行きたいところだけど……上への道が無い。下ならあるけど……香織、どうする?」
「私は……やっぱ下に行くしかないと思うよ」
「そうだよね。……なら、そろそろ行くか」
上への道が見つからない。ならば行く先は下しかない。そういうわけで、二人は数週間の修行を経て、ようやく下へ移動するのであった。
あぴおー様
評価していただき、ありがとうございます。本当に励みになります。
それと、次回は地上組の色々をやっていきたいと思います。原作とは少し変わってくる予定でいます。
オルクス大迷宮のボスであるヒュドラ。その幻覚魔法は香織かユエのどっちに対して使ってほしい?
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白崎香織
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ユエ
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どっちも