ありふれた錬成師は治癒師と共に   作:木崎楓

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そういえば、アンケートの結果から、ヒュドラ戦のプロットを完了させました。後は書くだけです。

あと最近、大学でまぁ、色々あって休校になりました。いつまで続くか分かりませんが、最低でも一週間は、投稿速度が上がると思います。


奈落の底の部屋

 ハジメと香織は、迷宮のさらに奥へと進んでいく。

 

 最初に落ちた所を一階層とすると、その次の二階層。そこは非常に暗かった。しかしそれは事前に分かっていたので、緑光石という光る鉱物で作り出したカンテラを持って進んだ。

 暗いだけあって、この階層には蝙蝠(コウモリ)のような魔物や、六本足の黒い猫のような魔物がいた。他には、肉体を石化させてくるトカゲのような魔物もいたり。

 とはいえ、一階層の蹴りウサギや爪熊と比べると、単体の戦闘力は低かった。石化トカゲだけは面倒な石化の固有魔法を使ってきたが、それも結局香織が何とかしてくれるため、特に問題は無かった。

 

 そうして一通り探索して新しい魔物を食べると、ハジメのステータスは上昇し、技能は増えていた。その際に、肉が不味いという以外の苦痛を感じることはなかった。

 

 そこからさらに降りると、そこは地面がタールのようにねばつく泥沼のような場所だった。足が取られるために、非常に動きにくいという厄介な地形だった。

 この地面はなんぞやと思い、ハジメが“鉱物系鑑定”の技能で調べてみたところ、地面のタール状のものは、フラム鉱石というらしい。常温で液体化し、373K(ケルビン)で発火する。

 そんな融解したフラム鉱石から出てくるサメのような魔物。地面ならどこからでも出てくるため、最初は苦戦した。

 しかし“鉱物凝固”の技能を利用するだけで、全てが解決した。液体化しているフラム鉱石の大半を立方体ブロックにしたことで、サメの魔物が出てくる場所を制限した。狙う場所が分かれば、倒すのも容易だった。

 

 そこからもガンガン進んでいった。一人であればすぐに力尽きてしまうような階層というのもかなり多かった。

 例えば、薄い毒霧で覆われた階層。ここには毒の痰を吐き出す巨大カエルや、麻痺の鱗粉を撒き散らす蛾等がいたのだが、ひたすらに厄介だった。神水か回復魔法を扱える人がいなければ、死んでいただろう。

 他だと、地下迷宮なのに明るい密林のような階層に出たこともあった。ひたすらに蒸し暑く、体力を消耗する空間で戦ったのは、巨大なムカデと樹の魔物だ。とにかく数が多いため、単体攻撃である銃撃の効果は薄く、香織がいなければ対処しきれなかったことだろう。これを受けて、ハジメは近接のための鍛錬を開始したりもした。

 

 そうして階層を下り、気づいたら五十階層にまで辿り着いていた。そこに至るまでに、大量の魔物を食らってきたが、それに応じてステータスは上昇し、技能は増えていた。

 

 

 

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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:59

天職:錬成師

筋力:1610

体力:1740

耐性:1570

敏捷:1855

魔力:1320

魔耐:1320

技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+消費魔力減少][+鉱物融解][+鉱物凝固][+遠隔錬成][+鉱物融合][+鉱物分離][+高速錬成][+錬成範囲拡大][+鉱物昇華][+鉱物系探査][+複製錬成]・魔力操作[+魔力強化Ⅱ]・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地]・風爪[+三爪][+飛爪]・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・言語理解

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 ハジメの近接戦闘は基本、銃に取り付けた刃を利用したものだ。普段は射撃に支障が出るため変形しているが、敵に近づかれた際に錬成で刃を出して“風爪”やその派生技能を合わせて戦う。

 

 そうして五十階層で色々と鍛錬を続けていた。下の階層は見つけていたが、あえて降りることなく。

 

「……よし香織、そろそろ行こうか」

「うん」

 

 この五十階層には、奇妙な空間がある。今までの天然の洞窟のような地形とは明らかに違う、人工的に作られた場所が確かにあった。

 脇道の突き当りにある空けた場所には、高さ三メートルの装飾された荘厳な両開きの扉があり、その扉の脇には、二対の一つ目巨人の彫刻が半分壁に埋め込まれるように鎮座している。

 

 流石にすぐに突入する、ということはしなかった。今までと違う場所ということで、最終的には調べるつもりでいたのだが、違うという点を警戒して、一旦は退いたのだ。

 そして今、装備は整い、鍛錬をして強くなった。突入する準備が整ったのだ。

 

「でもこんな場所になんで……? 私達以外でも今までに誰かが来たのかな?」

「まぁ誰かは来てると思うよ? あるいは……この迷宮は反逆者が作ったとも言われてるし、その反逆者が作り出した、という可能性も……」

 

 仮説をいくら考えても仕方ないと頭を横にふり、扉に近づく二人。特に何事もなく扉に近づくことはできたが、扉には中央に二つの窪みのある魔法陣が描かれていた。

 ハジメも香織も、それなりの量の知識はある。特にハジメに関しては錬成師ということもあり、魔法陣に関する知識は必要だったので勉強していた。

 

「なんだろうこの魔法陣……ハジメくんは分かる?」

「……いや、見たことがない。多分かなり古い、今は使われてない魔法陣なんじゃない?」

 

 そのハジメが、扉の魔法陣を分からないと言った。扉を開くものだろうとは予想できるが、何をどうすればいいか分からない。

 

「……ま、錬成で扉に穴開ければいいか」

 

 一応、扉に手をかけて押したり引いたりしたがビクともしない。なので錬成を使って無理矢理穴を開けて侵入しようと考え、ハジメは右手を扉に触れさせ錬成を開始する。

 

 しかし、その途端、

 

バチィイ!

 

「うわっ!?」

 

 扉から空色の放電が走り、ハジメの手を弾き飛ばした。魔力が反発した影響だろうか、手からは煙が出ている。それを見て香織は即座に回復魔法で治療したので、特に問題無かったが、直後に異変が起きた。

 

――オォォオオオオオオ!!

 

 突然、野太い雄叫びが部屋全体に響き渡った。ハジメ達はバックステップで扉から距離を取り、腰を落として銃を構え、いつでも撃てる体勢を取る。

 

 雄叫びが響く中、遂に声の正体が動き出した。

 

「そいつが動くか……!」

 

 呟くハジメの前で、扉の両側に彫られていた二体の一つ目巨人が周囲の壁をバラバラと砕きつつ現れた。いつの間にか壁と同化していた灰色の肌は暗緑色に変色している。

 一つ目巨人の容貌は、サイクロプスとでも言えばいいだろう。手にはどこから出したのか、四メートルはありそうな大剣を持っている。未だ埋まっている半身を強引に抜き出し無粋な侵入者を排除しようとハジメの方に視線を向けた。

 

「香織、ここは僕がやる!」

「分かった!」

 

 そう言って片方のサイクロプスの目玉を狙って、ハジメは弾丸を撃った。電磁加速された弾丸は、右のサイクロプスの一つの目に突き刺さり、そのまま脳を貫通し、後ろの壁を粉砕した。

 脳を損傷されて、生きている生物はそうそういない。サイクロプスははビクンビクンと痙攣したあと、前のめりに倒れていく。

 

「まず一体……」

 

 それを確認したハジメは、即座にもう一方のサイクロプスの方を向き、弾丸を撃った。もう片方もまだ埋まりかけだったので、その隙に目玉を狙う。

 

「そしてニ体目!」

 

ドパンッ!

 

 そうしてもう一体の方も、目玉と脳を貫き、一体目と同様に倒れていった。

 

「よし、これで大丈夫だ」

「……すごい。あんな大きい魔物を一撃で」

「まぁ数が少なかったからね」

 

 今回の戦闘に関しては、ハジメの相性勝ちと言ってもいい。

 ハジメの戦闘スタイルは基本、高火力単体攻撃で敵を一撃で倒す、というもの。なのでこうした、数体の魔物を相手するのなら、非常に相性が良いわけだ。

 ただ逆に、敵が多くなってくると不利になる。一応ハジメは、気体化した鉱物による攻撃は可能だが、階層を進んでいくと、探知系の技能か何かで、それを読んでくる相手も多く、攻撃としては有効打にはなりにくい。なのでそこは、香織に頼っていた。

 

「とりあえず、この扉の開け方は……」

 

 少し思案するハジメ。扉に触ってみたり、窪みを見たりしていると、あることを思いついた。そこでハジメは魔物の体を開き、体内から魔石を取り出した。もちろん二体分取り出している。

 

 それを扉まで持っていくと、ピッタリはまった。直後、魔石から赤黒い魔力光が迸り、魔法陣に魔力が注ぎ込まれていく。そして、パキャンという何かが割れるような音が響き、光が収まった。同時に部屋全体に魔力が行き渡っているのか周囲の壁が発光し、久しく見なかった程の人工的な明かりに満たされる。

 

 ハジメと香織は少し目を瞬かせ、警戒しつつもそっと扉を開いた。

オルクス大迷宮のボスであるヒュドラ。その幻覚魔法は香織かユエのどっちに対して使ってほしい?

  • 白崎香織
  • ユエ
  • どっちも
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