ありふれた錬成師は治癒師と共に   作:木崎楓

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ああ^〜シアがめっちゃ可愛いんじゃ〜
香織もユエも可愛いし、何だこのありふれって作品はとんでもない作品だ!


シア・ハウリアの事情

 とりあえず、ユエを助手席から後方席に移動させた後に、ハジメはシアを助手席に座らせる。顔などを拭いて、水を飲ませて落ち着かせた所で、ハジメはもう一度尋ねた。

 

「んで、確か家族を助けてほしいんだっけ?」

「は、はぃ。話すと長くなるんですけど……」

 

 語り始めたシアの話を要約するとこうだ。

 

 シア達、ハウリアと名乗る兎人族達はハルツィナ樹海にて数百人規模の集落を作りひっそりと暮らしていた。兎人族は、聴覚や隠密行動に優れているものの、他の亜人族に比べればスペックは低いらしく、突出したものがないので亜人族の中でも格下と見られる傾向が強いらしい。性格は総じて温厚で争いを嫌い、一つの集落全体を家族として扱う仲間同士の絆が深い種族だ。また、総じて容姿に優れており、エルフのような美しさとは異なった可愛らしさがあるので、帝国などに捕まり奴隷にされたときは愛玩用として人気の商品となる。

 

 そんな兎人族の一つ、ハウリア族に、ある日異常な女の子が生まれた。兎人族は基本的に濃紺の髪をしているのだが、その子の髪は青みがかった白髪だったのだ。しかも、亜人族には無いはずの魔力まで有しており、直接魔力を操るすべと、とある固有魔法まで使えたのだ。

 

 当然、一族は大いに困惑した。兎人族として、いや、亜人族として有り得ない子が生まれたのだ。魔物と同様の力を持っているなど、普通なら迫害の対象となるだろう。しかし、彼女が生まれたのは亜人族一、家族の情が深い種族である兎人族だ。百数十人全員を一つの家族と称する種族なのだ。ハウリア族は女の子を見捨てるという選択肢を持たなかった。

 

 しかし、樹海深部に存在する亜人族の国“フェアベルゲン”に女の子の存在がばれれば間違いなく処刑される。魔物とはそれだけ忌み嫌われており、不倶戴天(ふぐたいてん)の敵なのである。国の規律にも魔物を見つけ次第、できる限り殲滅しなければならないと有り、過去にわざと魔物を逃がした人物が追放処分を受けたという記録もある。また、被差別種族ということもあり、魔法を振りかざして自分達亜人族を迫害する人間族や魔人族に対してもいい感情など持っていない。樹海に侵入した魔力を持つ他種族は、総じて即殺が暗黙の了解となっているほどだ。

 

 故に、ハウリア族は女の子を隠し、十六年もの間ひっそりと育ててきた。だが、先日とうとう彼女の存在がばれてしまった。その為、ハウリア族はフェアベルゲンに捕まる前に一族ごと樹海を出たのだ。

 

 行く宛もない彼等は、一先ず北の山脈地帯を目指すことにした。山の幸があれば生きていけるかもしれないと考えたからだ。未開地ではあるが、帝国や奴隷商に捕まり奴隷に堕とされてしまうよりはマシだ。

 しかし、彼等の試みは、その帝国により潰えた。樹海を出て直ぐに運悪く帝国兵に見つかってしまったのだ。巡回中だったのか訓練だったのかは分からないが、一個中隊規模と出くわしたハウリア族は南に逃げるしかなかった。

 

 女子供を逃がすため男達が追っ手の妨害を試みるが、元々温厚で平和的な兎人族と魔法を使える訓練された帝国兵では比べるまでもない歴然とした戦力差があり、気がつけば半数以上が捕らわれてしまった。

 

 全滅を避けるために必死に逃げ続け、ライセン大峡谷にたどり着いた彼等は、苦肉の策として峡谷へと逃げ込んだ。流石に、魔法の使えない峡谷にまで帝国兵も追って来ないだろうし、ほとぼりが冷めていなくなるのを待とうとしたのである。魔物に襲われるのと帝国兵がいなくなるのとどちらが早いかという賭けだった。

 しかし、予測に反して帝国兵は一向に撤退しようとはしなかった。小隊が峡谷の出入り口である階段状に加工された崖の入口に陣取り、兎人族が魔物に襲われ出てくるのを待つことにしたのだ。

 

 そうこうしている内に、案の定、魔物が襲来した。もう無理だと帝国に投降しようとしたが、峡谷から逃がすものかと魔物が回り込み、ハウリア族は峡谷の奥へと逃げるしかなかった。そうやって、追い立てられるように峡谷を逃げ惑い……

 

「……気がつけば、六十人はいた家族も、今は四十人程しかいません。このままでは全滅です。どうか助けて下さい!」

 

 悲痛な表情で懇願するシア。どうやら、シアは、ハジメや香織、ユエと同じ、この世界の例外というヤツらしい。特にユエと同じ、先祖返りと言うやつなのかもしれない。

 

「あー……」

 

 ハジメは考える。時間があるのなら当然ながら助けるのだが……あいにく、ハジメ達にも用事というものがあり、その用事は可能な限り、早めに済ませておきたいものだった。

 ――エヒトに捕捉される前に、大迷宮を可能な限り攻略する。バレて妨害される可能性を考慮すると、他事にあまり時間をかけたくはなかった。

 

 が、ここでハジメは、シアやその家族が元々はフェアベルゲン、つまりはハルツィナ樹海に住んでいることと、ハルツィナ樹海も七大迷宮の一つに数えられていることを思い出した。

 ハルツィナ樹海は、基本的に霧で見通しが悪いと聞く。外の人間が踏み入れたら、脱出するのが非常に難しい場所だ。しかし、元々そこに住んでいた兎人族ならば……

 

「分かった。でも僕達からも、ちょっと手伝ってほしいことがある」

「なんですか?」

「簡単に言えば……ハルツィナ樹海のどこかにあるはずの、七大迷宮の入口まで案内してほしい」

 

 兎人族であれば、ハルツィナ樹海を難なく案内してくれるだろうと、ハジメは予測した。流石に亜人族が住む樹海全体が迷宮、といったことはないだろう。どこかに入口が隠されているはず。樹海に住む者達であれば、入口の場所を知っている可能性は高い。

 

「迷宮の案内?」

「そう。僕達の目的はさ、七大迷宮を攻略することなんだけど……その迷宮の一つが、ハルツィナ樹海のどこかにあるはずなんだ。何か心当たりとかない?」

「えっと……あっ! 確実かどうかは分からないですけど、それっぽい場所なら心当たりあります!」

「なら、シアの家族を助けた後に、そこまで案内してほしいんだ」

「それくらいお安いご用です! 本当に本当に、ありがとうございますぅ!!」

 

 これにて契約は完了した。ハジメ達はシアとその家族を助ける。その対価として、シア達兎人族はハルツィナ樹海を案内するのだ。

 

 それはともかくとして、シアは家族を助けてくれることを大いに喜び、ハジメに何度も何度も頭を下げるのであった。

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

 その後は軽く自己紹介や準備をし、ハジメ達は車に乗り、シアの案内で家族がいるという場所へ向かっていた。

 

 最初は見たことも体感したこともない車というモノに驚いていたシアだったが、慣れてくると、だんだんと興奮してきたようだ。

 

「……そういえばシア、聞きたいことがあるんだけど、いいか?」

「はい、何ですか?」

 

 落ち着いたところで、ハジメはシアに気になっていたことを尋ねた。

 

「何でシアだけ一人でいたんだ? 普通なら全員でまとまって行動するような気がするけど」

「えっと、それは……貴方が私達を助けてくれるのが()()()んです」

「……みえた?」

「はい。実は私、“未来視”という固有魔法を持ってましてですね、仮定した未来が見えるんです。もしこれを選択したら、その先どうなるか? みたいな……あと、危険が迫っているときは勝手に見えたりもします。まぁ、見えた未来が絶対じゃないですし、行動次第でどんどん未来は変わっていくんですけど……」

 

 シアの説明する“未来視”は、彼女の説明通り、任意で発動する場合は、仮定した選択の結果としての未来が見えるというものだ。これには莫大な魔力を消費するようで、一回で枯渇寸前になり連続発動はできないようだ。また、自動で発動する場合もあり、これは直接・間接を問わず、シアにとって危険と思える状況が急迫している場合に発動する。これも多大な魔力を消費するらしいが、任意発動時の三分の一程度で済むらしい。

 どうやらシアは、元いた場所で、ハジメ達がいる方へ行けばどうなるか? という仮定選択をし、結果、自分と家族を守るハジメの姿が見えたようだ。そして、ハジメを探すために飛び出してきた。こんな危険な場所で単独行動とは、よほど興奮していたのだろう。

 

「へぇ。こりゃまた凄い能力持ってるなぁ。未来視って……使い方次第じゃとんでもないチートじゃん」

「ん……ん? でも、じゃあどうしてバレたの……?」

 

 ハジメの言う通り、シアの固有魔法である“未来視”はとんでもないチート技能だ。しかし疑問なのは、そんな技能を持っているにも関わらず、何故フェアベルゲンにバレてしまったのか、ということだ。この疑問について、ユエが尋ねた。

 

「じ、自分で使った場合はしばらく使えなくて……」

「ということは、使ったすぐ後にバレちゃったってこと?」

「香織さんの言う通りで……ちょっと友人の恋路が気になりまして……」

「アホかお前」

「ひあっ!? ちょっ、急に何するんですか!?」

 

 自分達の生命線とも言える技能を、個人的な感情で使用してしまったシアの頭に、ハジメは軽くチョップした。

 

「いや、思わずツッコんじゃった。……でもさぁ、バレたら終わりな状況を技能使って切り抜けるものでしょ? 恋路を視るために使うって、流石に不用心過ぎない?」

「うぅ~猛省しておりますぅ~」

「いやまぁ、なったものは仕方ないけどさぁ……」

 

 ハジメはハァと、大きめのため息を吐く。別に呆れているというわけではないが、なんとなく今後が不安になるのであった。

 

「あっ、私からも質問いいですか?」

「ん? 別にいいけど」

 

 逆に今度は、シアの方がハジメ達に質問する。

 

「三人はどういう関係なんですか?」

「ハジメくんの恋人です!」

「ん、私も」

「ええっ!? ハジメさんそれ本当ですか!?」

「……まぁ、一応」

 

 そうハジメが答えると、シアはニヤリと笑い、からかってくる。

 

「真面目そうなのに、こ~んな可愛い女の子二人を恋人にするなんて意外ですねぇ。もしかして、ハーレムでも作るつもりだったり……?」

「いや、そういうつもりはないから。なんか気づいたら勝手にこうなってただけで」

「でも嬉しいんでしょぉ?」

「…………まぁ、可愛い子に好かれて嬉しくないわけがない。いや罪悪感というか、そういうのはあるんだけどね」

 

 そんな風に、しばらくハジメをからかわれたり、シアが香織やユエの恋話を聞いたりしていたが、遠くで魔物の咆哮が聞こえた。どうやら相当な数の魔物が騒いでいるようだ。

 

「ハジメさん! もう直ぐ皆がいる場所です! あの魔物の声……ち、近いです! 父様達がいる場所に近いです!」

「よし分かった。急ぐぞ」

 

 ハジメはアクセルを踏み込み、車を加速させた。壁や地面が物凄い勢いで後ろへ流れていく。

 

 そうして走ること二分。ドリフトしながら最後の大岩を迂回した先には、今まさに襲われようとしている数十人の兎人族達がいた。




綾禰様  メカ好き様

評価していただき、ありがとうございます。

シアの立ち位置、どうする?

  • 原作通りにハーレム入り。
  • 原作より少し遅れてハーレム入り。
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