というのも、プロットを作っては消し、新話を書いては消しを繰り返していたら、三週間くらい経っていました。
とにかく難しいのが、香織を活躍させられるという点です。ぶっちゃけた話、ユエとポジションが一部被っているので、かな~り活躍させるのが難しかったのです。
あと、やっぱTRPGをやりたい。とりあえず、最近はプレイヤーとして一度やったので、GMやってみたいですね。一度もやったことないので。
とりあえず、ミレディ戦前編をどうぞ。
「アンタか……よくも巫山戯たことを言ってくれたわね……!」
凶悪な装備と全身甲冑に身を固めた眼光鋭い巨体ゴーレムは、怒りを露わにしてハジメ達の前に現れた。ハジメ以外の三人は、即座に臨戦体勢を取るが、しかしゴーレムは襲ってこない。
「ああ、すみません。煽っとけば、いい具合に怒って攻撃が雑になると思ったんですが……この様子じゃ、本気で怒ってるわけじゃなさそうですね」
だがハジメからしたら、このゴーレムの行動は想定外というか、そんな感じだった。本気でキレているなら、即座に攻撃を仕掛けてくると思っていたからだ。
しかし実際は攻撃してこない。ということは、ある程度は苛立っていても、ハジメの煽りは、攻撃が雑になるほどではなかったということだろう。
そんなハジメに対して、巨体ゴーレムは不機嫌そうな声を出した。声質は女性のものだ。
「はぁ〜、可愛げが無いなぁ。こんなんじゃ、全っっ然面白くない」
実にイラっとする話し方である。しかも、巨体ゴーレムは、燃え盛る右手と刺付き鉄球を付けた左手を肩まで待ち上げると、やたらと人間臭い動きで「やれやれ」と言う様に肩を竦める仕草までした。
これにはユエとシアはかなり苛立った。香織はまだマシだが、わずかに顔をしかめている。そしてハジメは……このゴーレムをブチギレさせたいと強く思うようになった。
「そりゃあこんな迷宮ですから。……それで、ある程度は想像がついてますが、あなたは何者ですか?」
「……ああ、そういえば自己紹介がまだだったね。……コホン」
軽く咳払いをすると、ゴーレムは胸を張るような仕草をして自己紹介を開始した。
「どうもはじめまして~、皆大好きミレディ・ライセンだよぉ~」
最初とは打って変わって、やたらと軽い挨拶をされた。こんな余裕そうな声を出して……と、ハジメはこのミレディを出し抜きたいと、さらに強く思った。
「やっぱり……。大昔からここまで、ゴーレムに乗り移ることで生き残ることができた、ということかな?」
「そーゆーこと! そして私は、ここに来る挑戦者を待ち続けたのさ!」
「なるほど。でもすごいね……」
「え?」
散々煽り散らしていたハジメではあったが、ここで凄いと言う。これにはミレディも思わず聞き返してしまう。
「だって、エヒトに負けてもずっと抗い続けてるってことですよね? なんとかして、人々にエヒトを倒せるほどの力をつけてもらうために」
「お、おぉ……その通り! 確かに私達はあのクソ神に負けた! でもタダでは負けてやらない! こうして隠れて、迷宮を攻略した者に力を与えるために待ち続けていたのだ!」
ハジメの言葉に乗って、ミレディはいい具合に調子に乗ってくる。そこにハジメは、今までとは別のベクトルの煽りをしてみる。
「確かにミレディさんは凄い。でも……他の解放者ってみんかクッッッソ無能ですよね! ミレディさんみたいに誰かを待ち続けることもなく無駄死にして! こりゃいくらミレディさんが有能でも、他の奴らのせい――」
「危ないっ!」
「あ?」
その瞬間、物凄い速度でモーニングスターがハジメの眼前に迫る。それこそ、ハジメですらほとんど反応できない速度で。
シアが未来を視て無理矢理引っ張っていなければ、ハジメにモーニングスターが直撃し、即死していたことだろう。
「これは……」
怒らせることには成功した。成功はしたのだが……かなり面倒な状況になった。
「お前は言ってはならないことを言った! お前だけは必ず殺す!」
あまりにも怒らせすぎた。地雷を踏んでしまったのだ。直前に死にそうになったこともあり、ハジメは軽く後悔していた。思考が鈍くなろうが、この攻撃速度だと無意味ではないかと。
だが、勝つのを諦めないわけではない。ハジメはなんとか冷静になるために、ゴーレムを分析した。
(見た感じ、装甲はアザンチウムで、かなり厚いな。それで内部がかなり精巧にできている。内部にアザンチウムが詰まってないのは幸いか)
ゴーレムの特徴は、厚いアザンチウムの装甲もあるのだが……錬成師のハジメにとっては、内部の精巧さの方が驚くべきものだった。様々な機能を備えており、その機能を十全に発動させるために、無駄の無い形で様々な鉱物が組み合わさった回路のようなものができていた。ここまで精巧なゴーレムは、それこそ相当優秀な錬成師でもなければ作れないと、ハジメは感じていた。
「ハジメさん!」
「ああ、殺されないようにする」
「本当に死なないでくださいよ!?」
シア以外も心配そうに見ていたので、彼女らに向けてハジメは軽く頷く。そして宝物庫から、ロケットランチャー“オルカン”を取り出し、ゴーレムに向けて発射した。
ズガァアアアン!!
凄絶な爆音が空間全体を振動させながら響き渡る。もうもうとたつ爆煙。しかし、
「この程度が効くか!」
煙の中から怒号が響く。そして大量の巨大ブロックがハジメに迫る。数を操っているためか、先程のよりは速度は遅めだが、それでもハジメが反応できるギリギリの速度だ。
「……やっぱ、正攻法じゃ無理か」
しばらくして、煙の中から両腕の前腕部の一部を砕かれながらも大して堪えた様子のないミレディ・ゴーレムが現れた。ミレディ・ゴーレムは、近くを通ったブロックを引き寄せると、それを砕きそのまま欠けた両腕の材料にして再構成する。
「とりあえずシア、核は心臓の部分にあるから頑張って叩いて。そして香織とユエは、適当に攻撃を捌いて。攻撃を止めてくれるだけでもありがたいから」
「わかった!」
「んっ……」
「よっし、私がぶっ壊す!」
こうして指示を出していると、天井の方から大量のゴーレム騎士が降ってきた。別の場所で無力化した個体とは違うらしい。
「うん。準備ができるまで、香織とユエでなんとかして」
そう言うとハジメは、ミレディゴーレムの攻撃を回避しながら、とにかく大量の手榴弾をあてもなく投げ飛ばした。手榴弾が着弾すると、気体へと変わって霧散する。
「数が多いっ……!」
「ん……辛い」
しかしその間、ゴーレム騎士達を相手している香織とユエにとってはかなり辛いことだろう。そもそも魔法タイプなのに、魔法が十全に使えない上、敵の数がかなり多い。
だが、数十秒でハジメの準備は完了した。
「はい終わり」
ハジメがそう呟いた瞬間、ゴーレム騎士は全て転んでしまった。そして立ち上がれない。関節部が正常に曲がらないのだ。だから持ってる剣もまともに扱えず、ほぼ無力化したのだ。
「さぁ残りはミレディ、お前だ――うおっ!?」
そう指差すハジメにも容赦なくミレディゴーレムは攻撃を仕掛けてくる。
「させないっ!」
が、そこはシアが妨害する。上方のブロックに跳躍していたシアがミレディの頭上を取り、飛び降りながらドリュッケンを打ち下ろした。
「邪魔をするな!!」
そう言いながらも、ミレディゴーレムは横へ
「くぅ、このっ!」
目測を狂わされたシアは、歯噛みしながら手元の引き金を引きドリュッケンの打撃面を爆発させる。薬莢が排出されるのを横目に、その反動で軌道を修正。三回転しながら、遠心力もたっぷり乗せた一撃をミレディ・ゴーレムに叩き込んだ。
ズゥガガン!!
咄嗟に左腕でガードするミレディ・ゴーレム。凄まじい衝突音と共に左腕が大きくひしゃげる。しかし、ミレディ・ゴーレムは「邪魔!」と怒りを露わにしながら、そのまま勢いよく左腕を横薙ぎにした。
「きゃぁああ!!」
「シア!」
悲鳴を上げながら吹っ飛ぶシア。何とか空中でドリュッケンの引き金を引き爆発力で体勢を整えると、更に反動を利用して近くのブロックに不時着する。
「やっぱり、かなりの身体能力――」
「死ねっ!」
ハジメとしては全体の把握をしておきたいが、それをミレディ・ゴーレムは許してくれない。一応回避はできる。しかし周囲の様子を気にしていては、その速度についていくことはできない。
なんせミレディ・ゴーレムの攻撃だけでなく、さらに浮遊ブロックを動かして攻撃してくるようになったのだから。かなりの質量を持つ物体が高速でハジメに突進してくるのだ。しかも数十ものブロックがほぼ同時に。
「くっ……止めろぉぉぉおおッ!!」
「あ゙あっ!?」
「うわぁっ!」
ハジメの攻撃に重点を置くミレディ。それをもう一人、シアも攻撃するが、片手間で防がれている。ハジメが攻撃に転じることができれば、状況も変わるのだろうが……あいにく、今はミレディ・ゴーレムの攻撃を凌ぐので精一杯だ。
そんな攻撃が数分続いた後、急にミレディ・ゴーレムは攻撃を中止し、ハジメに尋ねてきた。
「……さぁ、発言を撤回する気になった?」
慈悲を与えるとか、そんな感じの意味合いでもあるのだろうか。ミレディ・ゴーレムは、他の解放者を罵ったハジメに、その発言を撤回するかどうかを問うた。
「いいや、全然」
しかしハジメは、あっさりとそう答えた。
「ふーん……じゃあ、本格的にお前を殺す」
表情が分からないので、その言葉に込められた感情を読み取るのは難しい。しかし今までとは明らかに違う、冷めた声であることは理解できた。つまりは、今までよりも冷静ということだ。
直後、全方位からハジメへ向けて時間差で浮遊ブロックが射出される。ハジメは全神経を回避に注ぎ、シビアなタイミングを見極める。
周囲を意識するなんてできない。なんとなく悲鳴のような何かが聞こえるが、そちらを意識したら自分が死ぬ。だから集中するしかない。
「クッ、そぉ……隙が無い……!」
「お前は必ず殺す。ただし、徹底的に痛めつけて、絶望させてからだ」
そんなゴーレムの声が聞こえた気がするが、気にすることはできない。飛び出してくるブロックを避けることに集中しなければならない。そんな時だった。
ドンッ!
「……えっ」
ハジメは宙を舞っていた。想定外のことだったため、それがハジメの意識の外からの攻撃だと、即座に理解することができなかった。
そして……
ヒュンヒュンヒュン!
胸に一発、肩に一発、腹に一発。遠くから剣が物凄い勢いで飛んできて、骨を砕き、肉を貫き突き刺され、その勢いのまま地面に叩きつけられた。
次話にて決着です。一応プロットは出来上がっているので、そこまで時間はかからない……はず。