(完結)二人の緋皇 ―閃の軌跡Ⅱ―   作:アルカンシェル

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52話 傀儡

 

 

 

「はああああああっ!」

 

「オオオオオオオッ!」

 

「喰らいなさいっ!」

 

「とりゃあああっ!」

 

 クリス、ミュラー、サラ、ミリアムの四人が同時に広間の中央を陣取るマテウスに攻撃を仕掛ける。

 いくら達人であってもマテウスの腕は二本、剣は一つ。

 四人の同時攻撃ならば繰り出された三つの剣と拳は――ゾア・バロールが張った障壁に受け止められる。

 

「ちっ――」

 

 舌打ちをしながらクリス達はその場から離れる。

 

「剣よっ!」

 

「とっておきの一発だ!」

 

「レインボーショット!」

 

 前衛が退いたタイミングに合わせてエマの魔術の剣が、オリビエとトワの十字砲火がマテウスに降り注ぐ。

 

「破邪顕正」

 

 マテウスの剣の一閃が虚空を切り裂き、黒い閃撃に魔法も導力の弾丸も全て呑み込まれる。

 

「はははっ! これがマテウス卿の本気か、すごいじゃないか!」

 

「笑い事ではない」

 

 笑うオリビエにミュラーは顔をしかめながら突っ込みを入れる。

 

「いや、笑うしかないだろ親友? 士官学院の頃の手合わせなどとはまるで違う。マテウス卿はボク達の事を敵として認識しているのだから」

 

「くっ……」

 

 オリビエの指摘にミュラーは唇を噛み、父の醜態に憤り斬りかかる。

 

「目を覚ましてください父上っ!」

 

「皇帝陛下には指一本触れさせない……皇帝陛下には指一本触れさせない」

 

 鍔迫り合いながら叫ぶミュラーにマテウスは同じ言葉を繰り返す。

 それはある意味で正しい皇室の警護を役目とする『アルノール家の守護者』の姿なのかもしれない。

 貴族連合に組していた最悪ではなかったが、父の変わり果てた姿にやるせなさが込み上げて来る。

 

「皇帝陛下には指一本触れさせない!」

 

「ぐっ……」

 

 洗脳されているにも関わらず、マテウスの剛剣には一遍の曇りもなく、むしろ全身に満ちた《呪いの力》がミュラーの剛剣を軽々と弾く。

 

「ミュラーッ!」

 

 オリビエの声を背後にミュラーは躊躇のないマテウスの剛剣を――剛剣はクリスとサラが剣を交差させて受け止める。

 

「戦えないならさがってください! ミュラーさん!」

 

「ここは私たちが!」

 

 二人は動きを同調させ、導力銃を至近距離から連射する。

 ほぼ零距離の銃撃は戦術殻が作る不可視の結界に阻まれる。

 しかし、それは織り込み済み。

 クリスが連射を続けている間に、サラは導力銃を宙に投げると閃光弾をその場で炸裂させる。

 

「ギガントブレイクッ!」

 

 すかさずミリアムがマテウスの鉄仮面に包まれた脳天に巨槌に変形させたアガートラムを叩き込む。

 

「やったか?」

 

 剛剣を封じ、障壁を前面に出させて無防備な上から攻めた連携に俯瞰して見ていたオリビエは思わず言葉をもらす。

 

「…………うそぉ……」

 

 しかしミリアムの渾身の一撃はマテウスの左腕一本で受け止められていた。

 後衛の援護を受けて、前衛組は何度目かになる攻撃から撤退してマテウスから距離を取る。

 幸いなことに広間の中央を陣取っているマテウスはその場を守ることを優先して追撃をすることはない。

 

「…………次はクリスの番だけど、どうする?」

 

 追撃はないものの、警戒として前に出て導力銃を向けるサラはクリスに尋ねる。

 ここまで手を変え、品を変えてマテウスの守りを突破しようとした。

 ミュラーを主軸にした攻撃、サラの機動力を生かしマテウスを無視して皇帝を確保しようとした策も、今の同時攻撃にミリアムの渾身の一撃。

 その全てが封殺された。

 今のクリスを教え子だと侮っているわけではないが、彼の能力はどれも二流。

 自分達が通用しなかった相手にクリスを主軸に戦術を構築しても通用するとは思えない。

 

「…………試したいことがあります。五分……いえ、三分時間をください」

 

「良いわ。やってみなさい」

 

 クリスの提案にサラは即答を返す。

 

「少佐! ミリアムもそれで良いわね!?」

 

「……ああっ!」

 

「オッケー!」

 

 自分を残してマテウスに向かって行く三人をクリスは見送って、後衛まで下がる。

 

「セリーヌ。あれをやるから補助をよろしく」

 

 不安げな声を掛けて来るアルフィンを無視してクリスはセリーヌに呼び掛ける。

 

「あれって……本気なの?」

 

 クリスの提案にセリーヌは思わず聞き返す。

 

「僕の中でマテウス卿に通じるかもしれない手札はあれしかない。だったらやるしかないだろ?」

 

 クリスは深呼吸をして《テスタ=ロッサの魔剣》を鞘に納めて意識を集中する。

 

「顕現せよ……《ブリランテ》」

 

 もはや慣れた感覚でクリスは離れた《テスタ=ロッサ》の霊力を使って“炎の大剣”を右手に錬成する。

 

「ああ、もう!」

 

 悪態を吐きながらセリーヌは魔法陣を広げてクリスのサポートを始める。

 

「クリスさん、セリーヌ……一体何を?」

 

 見たことのない術の行使にエマは二人が何をしようとしているのか分からず困惑する。

 

「っ――」

 

 クリスは息を詰めて、左手で胸を掴む。

 胸の奥に燃える《呪いの焔》。

 帝国人なら全ての者が持っている《呪いの種火》にして《鬼の力》の源泉。

 度重なる暴走によってそれを意識することにできるようになったクリスはその“力”に触れて解放する。

 

「ぐっ……うぅ」

 

 《呪い》の力を自分ではなく剣に注ぎ込む。

 再三に渡る暴走でクリスは自分に《呪い》を御する、《神気合一》に至れる“器”ではないと思い知った。

 それこそ《銀》や《痩せ狼》のように戦術オーブメントを使った所で身に余る力をその身に留めることはできない。

 だからこそ、クリスは《神気合一》への羨望は捨てた。

 

「これが……僕の《鬼の力》だっ!」

 

 クリスは自分の中の《鬼気》を剣につぎ込む。

 “アガートラム”が《テスタ=ロッサ》の内なる呪いを右腕に集約させたように、剣に《鬼気》を宿らせる。

 紅耀石で造られた刀身の結晶が膨張するように大剣を覆い尽くし――余分な結晶が音を立てて砕け散る。

 

「っ……」

 

 一回り大きくなり、紅と黒が入り混じった炎の大剣を陽に構え、クリスは駆け出す。

 

「退いてくださいっ!」

 

 声と共にクリスは駆け込み、身体を一回転させ遠心力を乗せた炎の斬撃を横に薙ぎ払う。

 

「螺旋撃っ!」

 

 炎を伴った一撃にゾア・バロールの結界が砕ける音が響き、盾にした剛剣が跳ね、決して動こうとしなかったマテウスの足が後ろに三歩たたらを踏む。

 

「よしっ――っう!」

 

 自分の力が通じると分かった瞬間、マテウスの反撃にクリスは大きく弾かれ、押し込んだ数歩を戻される。

 

「まだまだっ!」

 

 クリスは怯まず炎剣を振る。

 片手で振るっていた剛剣を両手で握り締めてマテウスはクリスを迎え討つ。

 

「おおっ……」

 

「ああ……」

 

 マテウスに後退りさせた。

 その事実にクリスの雄姿を正面から見ていたユーゲントと、背後から見ていたオリビエの感嘆が重なる。

 

「見ているかプリシラ……セドリックがマテウスと剣を交えている」

 

「ええ……ええ……あの頼りなかった子がこんなにも強く育ったのですね」

 

 皇帝と皇妃は息子の成長を目の当たりにして感激する。

 

「トールズに一年早く進学したいと言い出した時はどうなるかと思ったけど……」

 

 クリスがどうして護衛役を付けずに一年早く、士官学院に進学したいと言い出した理由は思い出せない。

 しかし、そんな些細なことよりもオリビエは弟がマテウスという帝国最強の一角と戦える程に成長をした事実に嬉しくなる。

 そして、彼らとは別にクリスの戦いに感嘆をする者がもう一人いた。

 

「ふむ、《鬼の力》をそう使うか」

 

 腕を組み、顎に手を当てて戦場を観察していたアルベリヒは期待していなかった皇子の成長に軽い驚きを感じていた。

 

「“千の武具”に《鬼の力》を乗せるか……」

 

 《鬼の力》とは今やゼムリア大陸に住む九割の人間に潜む《鋼の呪い》。

 今や帝国だけに留まらず世界中の人々の中に存在する“呪い”は本来なら体の外で作用することはない。

 

「それを可能としたのは《緋》の“千の武具”の力か……《緋》の変化も含めて実に興味深い」

 

 “千の武具”は霊力で錬成しているため、ある意味で体の延長と見ることが出来る。

 

「体の外では《呪い》が人格に与える影響も最小限に済ませることが出来るか……しかしアルノールの血の力を付与術如きに費やすとは嘆かわしい」

 

 時代が違えば大魔術師にもなれただろう才能を錬成と付与というつまらない術に消費されていることにアルベリヒはため息を吐く。

 見た目は派手で、一見すればマテウスと斬り結べているがそれは周りの的確な援護のおかげに過ぎない。

 クリス自身の武芸の腕は凡庸。

 いくら武器を強化したところで、《達人》の域に至ることはない。

 

「やはり見るべきものなどありませんでしたよ閣下」

 

 独り言を呟き、この無駄な時間を終わらせるためにゾア・バロールに新たな命令をアルベリヒは送る。

 

「動かないで」

 

 その背に突きつけられたナイフの感触にアルベリヒはその動きを止めた。

 

「ほう……」

 

 背後からの声にアルベリヒは振り向こうとして――

 

「動かないでと言ったはずよ」

 

 ナイフを背中に押し付けられてアルベリヒはその動作を止めて、話しかける。

 

「マテウスの警戒範囲を読み解き、仲間たちを囮にして私の下まで辿り着いたか……ふふ、一体誰の薫陶だろうな」

 

「黙りなさい!」

 

 皮肉を多分に含んだ賞賛にアリサは禍々しい短剣を強調するようにアルベリヒの背中に押し付ける。

 

「オジ様……貴方には聞きたいことが山ほどあるけど、まずはあのマテウス卿を操っている戦術殻を止めなさい!」

 

 私情を押し殺してアリサはアルベリヒに要求するが、返答はアルベリヒの忍び笑いだった。

 

「私情を捨て、仲間の働きさえも合理的に利用する……それはイリーナの薫陶かな?」

 

「っ……」

 

 背後で命を握られているというのにアルベリヒはむしろ楽し気にアリサに語り掛ける。

 

「ダインスレイブは見事だったよ。機甲兵用の兵器へと転用するのも楽だった。あの薫陶はフランツか、それともグエンによるものだろうか?」

 

「何で……何で父様やお爺様の名前が……貴方はいったい……」

 

 アルベリヒの不気味さに突きつけた短剣をアリサは震わせる。

 

「ああ、“魔女”の邪魔さえなければ、私の“器”になるはずだった歴代最高の逸材」

 

「っ……」

 

 振り返らずに遠くを見て語り始めるアルベリヒにアリサは背中に冷たいものを感じる。

 言葉で説得などせず、問答無用で殺すべきだとアリサは合理的な判断をする。

 だが、その一方で父と同じ顔をしたアルベリヒを、何よりも人を殺すということにアリサは躊躇してしまう。

 その迷いに――

 

「クルーガー」

 

 アルベリヒがその名前を呟くと短剣を突き付けていたアリサの腕が撥ね上がった。

 

「なっ!?」

 

 そのまま腕に絡まる糸がアリサを持ち上げて、宙吊りにする。

 

「ふふ……」

 

 アルベリヒは悠々と振り返り、腕を吊るされたアリサを見る。

 

「っ……」

 

 目を合わせてアリサはアルベリヒのまるで虫を観察するような眼差しに体を震わせ、彼の背後に着地した女性に意識が奪われる。

 

「シャ……シャロン……?」

 

 目元を黒い仮面で覆い隠し、服装はメイド服ではない露出の激しいスニーキングスーツを身に纏っているがその姿は紛れもなく姉と慕い、ユミルの地で自分を庇って谷底に墜ちた姉の姿だった。

 

「生きて……いたの……シャロン……」

 

「…………」

 

「シャロン?」

 

 何も答えずアルベリヒの背後に控えるシャロンにアリサは戸惑う。

 

「ふふ……」

 

 含み笑いを浮かべるアルベリヒをアリサは睨みつける。

 

「シャロンに何をしたの!? こんなハレンチな格好をさせてっ!」

 

「…………まず一つ言わせてもらおう。彼女の今の姿は、彼女の趣味だ」

 

「嘘よっ!」

 

「嘘ではないよ。彼女はラインフォルトのメイドになる前から、この姿を色香を武器にする暗殺者だった」

 

「シャロンが……暗殺者……?」

 

 アルベリヒが語るシャロンの正体にアリサは耳を疑う。

 しかもラインフォルトのメイドになる前ともなれば、今の自分よりも幼い頃からそんな暗殺者だったという事実にアリサは困惑する。

 

「だが、そんなことは今はどうでもいい」

 

 アリサの戸惑いを無視してアルベリヒは手を伸ばす。

 

「ラインフォルト家が崩壊しその才能の芽は潰えたかと思ったが、この内戦で君の才能が枯れていないことが分かった」

 

「っ……」

 

 言葉の意味は半分も分からない。

 それでも無機質なアルベリヒの眼差しに、自分は何故こんな男を信用して縋ったのかと自己嫌悪に恥じる。

 

「良い機会だ。ここで“預言”を戻そう。所詮この“器”は間に合わせのものに過ぎないのだから」

 

 アルベリヒは傍らに黒い球体を出現させると、アリサの額に触れる。

 

「アリサッ――ぐっ!」

 

 アルベリヒの背後でクリスが声を上げたところでマテウスの一撃が炎の剣を叩き、押し返す。

 床を滑るように吹き飛ばされたクリスは大剣を構え直し――その刀身に亀裂が走る。

 

「しま――」

 

 大剣はそれを切っ掛けに音を立てて砕け散る。

 そこにすかさずマテウスは追撃に迫る。

 

「父上っ!」

 

「行かせないっ!」

 

「がーちゃんっ!」

 

 強引に割り込んだミュラーとサラを剛剣で薙ぎ払い、障壁を張った《アガートラム》とミリアムを跳躍して背後を取り蹴り飛ばす。

 

「くっ……」

 

 《鬼の力》を使った剣が砕けた反動で身体が痺れるクリスの前にマテウスが立つ。

 オリビエ達の援護射撃はゾア・バロールの結界に阻まれ彼の邪魔にはならない。

 

「セドリックッ!」

 

 皇帝の声さえもマテウスを止める一因にはならない。

 

「マテウス卿……」

 

 こんなところで終わるのか。

 クリスは痺れる体で凶刃を掲げたマテウスを睨む。

 

「クリスッ!」

 

「セドリック!」

 

「アリサさんっ!」

 

 マテウスの剛剣が振り下ろされる。

 アルベリヒの手がアリサの額に触れる。

 

 そして――

 

「――――どうやら間に合ったようですね」

 

 マテウスの剛剣を細身の長剣で受け止めた男は安堵の息を吐く。

 

「アルゼイド子爵!?」

 

 自分を庇った男の背にクリスは驚く。

 それはセントアークの病院に入院しているはずの《光の剣匠》、ヴィクター・S・アルゼイドだった。

 

「どうして貴方がここに!?」

 

「帝国の一大事の今、怪我をしているからと寝ていてはアルゼイドの名折れというものですよ殿下」

 

 顔だけを振り返らせてヴィクターは余裕の笑みを浮かべる。

 

 そして――

 

「っ……邪魔をするか」

 

 アルベリヒの手は奇妙なことに彼自身の逆の手に掴まれてアリサに触れることはなかった。

 

「何処までも忌々しいフランツ・ラインフォルト」

 

 そのまま誰にかに後ろに引っ張られるようにアルベリヒは後退り、顔を曇らせる。 

 

「父様? どうしてその名前が?」

 

 彼の口から出て来た名にアリサは困惑する。

 

「だが、無駄だ……貴様がいくら抵抗したところで――」

 

 それは突然だった。

 戦場の喧騒に美しくも背筋を凍らせる歌声が響き渡る。

 

「――始まったか」

 

 アリサへの意識を逸らして、アルベリヒは振り返り窓の外へと視線を向ける。

 帝都の方向のから立ち昇る蒼い光の柱を見上げる。

 

「そんな……この唄は……この唄声は……」

 

 同じものを見上げたエマは声と歌の内容、二重の意味で耳を疑う。

 

「魔王の凱歌」

 

 次の瞬間、離宮を、帝国を揺るがす地震が起きる。

 

「っ……一体何が……?」

 

 光の柱はクリス達が見ている間に変化していく。

 

「あれは……夏至祭の時に現れた《煌魔城》?」

 

 窓の外に見えていた帝都のバルフレイム宮の変貌した姿はかつて《終焉の魔王》が現れたことで変貌した城が現れる。

 

「以前の発現はイレギュラー……

 今回の《煌魔城》の出現こそ、“史書”の預言による内戦の幕を引く舞台」

 

 困惑するクリス達に説明するようにアルベリヒは語り始める。

 

「まあ、それも本来ならば《灰》と《蒼》の闘争の舞台だったのだがね」

 

 肩を竦めるアルベリヒにユーゲントは顔をしかめる。

 

「“史書”……まさか“黒の史書”のことか。カイエン公の相談役と名乗っていたが、君は何者なんだ?」

 

「ふふ、いくら皇帝陛下であってもその質問には答えられませんね」

 

 ユーゲントの質問をアルベリヒは不遜な態度ではぐらかす。

 そこで鳥の鳴き声が響き、広間に蒼い鳥が舞う。

 

「グリアノス!?」

 

 エマがその鳥に驚いていると、グリアノスはクリスの頭の上に降り立ち、ミスティの声で喋り始める。

 

「工房長……貴方はまさか《蒼の騎神》を魔王に仕立て上げる気だと言うの?」

 

「これはこれは魔女殿、壮健そうで何よりです」

 

 抜け抜けとアルベリヒはミスティに応え、否と首を振る。

 

「残念ですが、それは誤解というものですよ」

 

「誤解ですって……?」

 

「ええ、この儀式は《魔王》に至るものではありません……

 そう……これは《蒼の騎士》クロウ・アームブラストに《魔王》を超えた《超帝国人》となってもらうための儀式なのですよ」

 

「…………何ですって?」

 

 思わず、ミスティは聞き返した。

 

 

 

 








 イソラの功績
 以前感想でイソラさんが前アルベリヒを殺したことでフランツに憑依先を変えて被害が広がっただけみたいなことを書きましたが、改めてイソラさんの戦いによる変化を考察させていただきます。

 一見すればラインフォルト家が分解する切っ掛けの遠因になったとも言えるイソラさんの戦いですが、もしもイソラさんが刺し違えなければ当然アルベリヒの憑依は先延ばしになっていたでしょう。
 アルベリヒはそのままで《黄昏》に臨んでいたのかもしれませんが、一枚絵を見る限り老人だったので《黄昏》前には体を変えていたと思います。
 その候補先がアリサだと自分は考えました。

 フランツへの憑依がなくなったことで、アリサは両親と祖父の三人から何の憂いもなく技術や物の考え方を学び、成長するでしょう。
 そこにジョルジュでも関わらせて地精としての資質を伸ばせば、彼にとって“最高の器”となるのではないでしょうか?

 アリサがアルベリヒの“器”になっていたら《灰》の陣営の勝機はほぼなくなるでしょう。
 そう言う意味では憑依先をフランツにし、アリサの成長を阻害して“器”の候補から外したイソラさんの戦いは可能性を広げたという意味では無駄ではなかったでしょう。

 この話でアルベリヒがアリサにダインスレイブの開発をさせたのは“器”の候補だった彼女の能力を測る意味が彼にはありました。





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