何かの手違いでマブいスケがイケイケのナウいチームに入るお話。   作:ダイコンハム・レンコーン

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今回は死語(マルゼンスキー)要素ゼロでお送りする代わりに、ボケ(ゴールドシップ)要素マシマシでお送り致します。

※尚、今回は評価を貰えた調子に乗って無茶苦茶勢いで書いたので後で冷静になった作者が黒歴史に終わりを告げる為書き直す場合がございます。その時はどうか「恥を知れ! この俗物がッ!!」と心の中で罵って下さいませ。


チームスピカ、異常ナシ!!

『……むむむ』

 

 現場はここ、チームスピカのチーム小屋からお届け。

 

 現在、何やらチームスピカのトレーナー・沖野と、古株・ゴールドシップは、渋面を作り考え事をしていた。さて、何が起きているのだろうか。

 

 フォーカスを重ねれば自然と二人の心が見えて来る。

 

 それは、余りにも難解であり、光明を見出せない問いであった。

 

 

 

『──なぜ、これ以上チームに人が来ないのか?』

 

 

 

 古くからその人数で存在する例外チームを除けば新しく設立されるチームは申請するにあたって基本的にウマ娘が五人必要になる。

 

 現在チームスピカに入る意思を示しているのはゴールドシップ、ダイワスカーレット、ウオッカ、マルゼンスキーの四名であり、後一人足りない状態なのだ。

 

 何故、あのポスターでは人が集まらないのか、何故、集まった人は独特な言語センスをしているのか、その相関性を導き出せばこの問題も解決に向かうかもしれない。しかし、まるで分からない。

 

 そう言った訳でトレーナーとゴールドシップは頭を抱えていた。

 

 

「──って、当ったりめえだろうがッ!!」

 

 

 早速ゴールドシップが(いなな)いた。余りにもトラディショナルなノリツッコミである。

 

「っ、まさかゴールドシップ! 分かるのか!?」

「何『嘘だろ!?』みてえな顔してんだ!? 分かるに決まってんだろ!! こんな無名チームなアタシらの事を知る為にはポスターしか情報が無えんだよ!! どう考えてもコレ(ポスター)が原因だろ!!」

「だが……現にこのポスターで彼女達は来てくれたんだぞ?」

「っ……だから何でコレ(資源ゴミ)に釣られちまったんだよアイツらはぁっ……ううっ……」

 

 ゴールドシップは友の為に涙を流した。ガチ泣きである。

 

 ゴールドシップは考える。

 もし、沖野トレーナーとよりコミュニケーションを重ね、このセンス×に気付き努力と修練(スキルポイント)で修正出来ていれば、こんな古文書が作られる事も、この古文書を読み解ける言語センス×の新人類がやって来る事も無かったと言うのに、と。せめて彼女達とはセンス×が判明していない状態で会いたかった、と。

 

「ちょっとちょっとトレーナー! 他にもっとイケイケな言葉教えなさいよ!!」

「ちょっとタンマ! アタシだって一杯知ってるわよ〜! めちゃイケてるフレーズが知りたいなら、お姉さんも教えてア・ゲ・ル☆」

「うぉぉぉっ、なんかカッコいいっすね! 教えて下さい、マルゼン師匠!」

「ふっ、もうコイツらこんなに打ち解けちまって……ってゴールドシップは混ざらないのか?」

 

 今はどうだろう、ゴールドシップ以外の時空が歪んでいる。「……と言うかアタシの心配してくれても良くないか皆」とゴールドシップは内心でツッコミをしていた。どうやら見た目よりダメージは軽かったらしい。

 

 更に「ダイワスカーレット、ウオッカ、どちらかと言えばお前らは(年代的に)こちら側だろう」とゴールドシップの中のゴールドシップ(馬面)が囁くが、彼女らに届く事はなかった。

 

 自分が可笑しいのか、そうじゃないのか。我の強いゴールドシップだが、その地盤にすらヒビが入れる威力が彼女達の死語にはあった。軽い文明型兵器である。

 

「……トレーナー、もしかしたらアタシ、未来人かもしれねえ……」

「おい、どうしたゴールドシップ」

 

 現代の流行をまるで理解出来ない為か、遂にはありもしない幻想に縋りつき始めたゴールドシップ。

 

 ──しかしゴールドシップはタダではへこたれない。

 

「……そうだ、アタシにいい考えがある」

「おお! 本当かゴールドシップ!」

 

 ゴールドシップの台詞は古くから伝わる"作戦失敗"の同義語であったが、このゴールドシップ、確たる自信があった。

 

 いや、それは覚悟と言ってもいい。

 

 そう、ゴールドシップは──

 

「足で稼ぐぞ!! 直接勧誘だおらぁぁぁぁっ!!」

 

 ──犠牲者(ツッコミ)をポスターでなく、己が手で増やしに行く事を選んだのだ。

 

 

 

 ✳︎✳︎✳︎

 

 

 

「YOYOYO!! そこのお嬢さん、にんじんとバナナを掛け合わせた『めちゃ甘トロけるバナニンジン』一本どうだい!!」

「バナニンジンって、『ナ』以外を約していないじゃありませんの!! ……ですが『めちゃ甘』は気になりますわね」

 

 ──まずゴールドシップは、人が多い場所を当たる事にした。

 

 突撃ゴールドシップのお昼ご飯、今回お邪魔するのはトレセン学園食堂、生徒たちの胃袋を心ゆくまで満たしてくれるウマ娘憩いの場。

 

 お時間丁度お昼時、五回目のお替わりを貰いに行く芦毛のウマ娘やチームに既に加入しているウマ娘も居たりするが、手早く勧誘を行うにはうってつけの場所だ。現に壁際にはチーム勧誘のポスターが並んでいる。

 ゴールドシップはそれらを見て、地味に自チームのポスターを思い出し地味にダメージを喰らっていた。やんぬるかな(どうしようもない)

 

 しかし来た甲斐はあった様で、ゴールドシップは早速逸材を見つけてしまった。

 

「……」

「……なんですの、じっと見つめられていると食べにくいのですが」

「……アタシの名前はゴールドシップ、アンタの名前は?」

「私の名前は……メジロマックイーンですが」

 

 数多くの名バを輩出して来た名家・メジロ家の令嬢──その名はメジロマックイーン。

 

 ゴールドシップは類稀なるツッコミの才を彼女に見出(みいだ)していた。──どう考えても走る事を生き甲斐とするウマ娘に対して求めるべき点ではないが。

 

「(ボケに対するレスポンスの早さ、唐突な来客に動じない器量、どれも最高クラス……ここで逃せる魚じゃねえっ!!)」

 

 そして──

 

「なあマックイーン、このポスター(古文書)どう思う?」

「……えっダッサイですわね」

「まったく素晴らしいですな」

 

 踏み絵──からの心の友、爆誕。

 

 ゴールドシップは感極まって握手を求めた。口調から元ヤンの気配が滲み出るメジロマックイーンは困惑しながら握手に応じた。バカ真面目である。

 

「じゃあマックイーン、チームには今入ってるか?」

「いいえ、私の条件に合うチームが中々見つからず……」

「ん? 条件って何だ?」

 

 そして余りにもナチュラルに会話を進めているが……この異次元のコミュニケーション力、コレがゴールドシップ流交渉術である。

「初めは強く行って後は流れで」とは誰が言ったかまさにこの事、トレセン学園でまことしやかに囁かれる『芦毛の奇行師』の名は伊達ではない。

 

 

 

 ──さて、メジロマックイーンには何やら譲れない部分があるらしく、食事も程々にゴールドシップとの会話に集中し始めた。

 

 テーブルに座すメジロマックイーンからは次の瞬間『ごう』と音がしそうな程の気炎が吹き出した。まさに新進気鋭、若さと熱意を惜しげもなく見せつけるその姿に、さしものゴールドシップも息を飲む。

 

 ゴールドシップは確信した。

 

 ──試されている、と。

 

 だからこそゴールドシップは不敵に笑い、メジロマックイーンの次なる言葉を待った。

 

「……私の条件はただ一つ。

 

  ──私が高みを目指せる環境にある事、ですわ

 

 そこではっきりと見えたのは、メジロマックイーンの強さへの執念。

 

 まだチームにも入っていない新参者が醸すには余りにも重厚な風格を纏うその姿は、まさしく『生まれながらの強者』の姿。

 

 ──しかし、大胆不敵・神にすらツバ吐く傾奇者、ゴールドシップは退きもしない。

 

「……へえ、念のため聞いとくけど、ビックマウスじゃないんだな?」

「無論、メジロ家の名に賭けて二言はなくてよ?」

 

 少し戯ける様に交わされた両者の言葉。

 

 軽妙さに反し、二人の間には鋭い雰囲気が漂っていた。

 

 視線は自然に互いの目に吸われ、向き合う事数秒。

 

 ゴールドシップには、それがあまりにも長い時間に思えた。

 

「……はあ、分かりましたわよ。ゴールドシップさん達のチームに見学に行けば宜しいのでして? ですが入るか入らないかは私の自由ですわよ?」

「っさっすがマックイーン! 話さなくても分かってくれたんだなっ!!」

 

 それから、メジロマックイーンのため息が聞こえたと同時に睨み合いは終わりを迎えた。

 

 結果はゴールドシップの粘り勝ち。

 

 ただ、メジロマックイーンとしてもここで目を逸らす様な不甲斐ない連中ばかりが集まるチームに行く気は無く、ある意味win-winであったのだが、敢えて言う必要も無いので、メジロマックイーンはその言葉を仕舞っておいた。俗に言うツンデレである。

 

「……うん? これツンデレか?」

「何の話をしていますの?」

 

 ゴールドシップはふと聞こえた言葉に反射的に呟くが、声の主は見当たらず、不思議そうに頭を掻きながら食堂を後にしたのだった。

 

 

 

 ✳︎✳︎✳︎

 

 

 

「つ〜訳で、早速見つけて来たぜ、チームメンバー候補ッ!!」

「おおッ、流石だなゴールドシップ! 俺の方でも幾つか当たってはみたんだが……つい良いトモを見ると触りたくなってな、それで……」

「いや言わなくても分かるぞ、その蹴り痕塗れの顔見たら。つ〜かまたエッロい事したのかよ? 懲りねえなあトレーナーは。……そんなに触りたきゃ、アタシのなら触らせてやらなくもないけどよ

「ん、なんか言ったか?」

「……いや別に」

 

 そんな会話と共に席に着いたゴールドシップは、隣にメジロマックイーンを座らせる。

 

「さて、こちらに座すお方は、かのメジロ家の御令嬢、メジロマックイーン様でおられるぞ、頭が高い、控えよろう〜」

「ってアナタ誰ですの!? ゴールドシップさん、急にボケないで下さいますか!」

「とまあ、ツッコミの切れ味は既にシニア級だ。

 

 ──ゴールドシップのイカれた他己紹介、メジロマックイーンの脚質には合っています」

 

「変な地の文を入れないで下さい!! と言いますか何ですの!? ツッコミの切れ味がシニア級とは!?」

 

 ここでゴールドシップ、ボケのスパートを掛ける。掛かり気味か、いや違う。ゴールドシップの圧倒的なスタミナに裏打ちされた強烈なロングスパートだ。

 

「そうかっかするなって、ほら、バナニンジン」

「……感謝しますわ。……あっ、甘い……って何ですのこの茶番!? どう言う事ですの!?」

「あ〜今更だが、余り気にしないでくれ、発作みたいな物だ。後、俺の名前は沖野だ、チームスピカのトレーナーをやらせて貰ってる」

「ほ、発作……?」

「ゴールドシップの奴はいつもぶっ飛んだ行動を思い付きでやる奴なんだよ。日常生活でも、レースでもな」

 

 そして、沖野トレーナーはテーブルから身を乗り出し、メジロマックイーンの耳元に顔を運んで──

 

……まあ、そんなアイツに助けられてたりもする所もあるんだけどな、俺も

 

 ──沖野トレーナーはそう呟いた。

 

 ゴールドシップは、沖野トレーナーの行為にキョトンとしながら首を傾げている。

 

 それを見てメジロマックイーンは、それが妙に微笑ましく感じられて、和やかに笑むのだった。

 

 

 

 ──と、一見話は纏まった様に見えるが、まだ何も始まっていない。した事といえば軽い自己紹介位のモノ。

 

 「そして、次からが本番も本番。

 

 チームスピカvsメジロマックイーン。

 

 果たして、メジロマックイーンからゴールドシップ達は満足を勝ち得る事が出来るのか。

 

 ──次回へ続く」

「……ゴールドシップさん、誰に仰っているのですか?」

 

 

 

 ──因みにテーブルで会話する三人の隣には、ホワイトボード一杯に死語を羅列するマルゼンスキー、それを必死にメモするダイワスカーレット、カッコ良さを求めた結果見て覚えようとするウオッカが居た。

 

 メジロマックイーンは努めてそれに触れない様にしている、ゴールドシップももう死語は御免だとガン無視を貫いている。ある意味似た者同士な二人であった。




私はトレスズ派ではなくトレゴル派です。(宣戦布告)
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