転生するのは罪ですか?   作:あが

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見切り発車ですので何卒……


第一話

 

 

 

 

 この世界は混沌に満ちている。

 

 

 様々な種族が生を謳歌し、異常な気象が大地を覆っていた。

 

 負の象徴たる魔界にて君臨する魔神王。そしてソレに連なる魔神軍最高戦力メリオダス、魔神王から戒禁を授けられた十戒。

 

 正の象徴たる天界にて君臨する最高神。そしてその配下である最高神の娘エリザベス、最高神から恩寵を賜れた四大天使。

 

 その他にも妖精や巨人が存在し、中でも最も数が多いとされる種族がいた。

 

 

 人間。

 

 

 武力こそ他の種族に遅れを取るが、彼らは明晰な頭脳と異常な繁殖能力を持ちこの世界を生き抜いていた。

 

 

 だがしかし、最近勃発した聖戦に巻き込まれその数は著しく減少していた。

 

 

 その影響なのだろうか。

 

 

 突然変異の人間が生まれたのは。

 

 

 その少年は幼くしてその頭脳を発揮させた。畑の有効的な耕し方や化学と呼ばれるモノを発展させ、その噂は辺境のベルアルインの都まで届く程だった。

 

 画期的な武器も発明し、非力な人類に生き残る術を与えた彼はいつしか『守護者』と呼ばれるようになり人類の希望として担ぎ上げられていた。

 

 だがしかし、彼はいつのまにか人里から消え去ってしまったという。人類は彼の失踪を嘆いたが、彼の残した武器を手に取り戦い始めた。彼の失踪から十年経った今も、その伝説は未だ残っている。また、彼の自室に置かれていた書物からは彼の幼少期時代のことが記されており現在は重版され多くの人々の手に渡っていた。

 

 

 彼の名前はエルノシア。

 

 

 俗にいう転生者である。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 一つ、叫んでみてもいいかな。

 

 

 ああいや別に君に対しての暴言とかじゃないから安心してくれ。ちょっと鬱憤が溜まっててね……そう、ストレスでハゲそうなんだよ。まあハゲてないけど。そもそも僕はまだ十代だからフッサフサだ。あと数十年ぐらいは大丈夫だろう。

 

 好きに叫べばいいって?ありがとう、君にさえ許可をとれば他に人はいないから安心して叫べるよ。

 

 

 さてと……

 

 

 

 息をたっぷり肺に送り込み天に向かって叫ぶ。

 

 

 

「ここってどこですかぁー!」

 

 

 

「ここってどこですかぁー!」

 

 

 

「ここってどこですかぁー!」

 

 

 

………。

 

 

 

 

 

……返事なし、か。

 

 

 

 

 道に迷い、いつのまにか人里からはぐれてしまって早十年目。未だに我が家には帰れてはいない。家賃滞納とかで取り壊しになってないと良いなぁ……、僕の黒歴史封印ノートが見つかっていないことを祈ろう。アーメン。

 

「はあ……人肌が恋しいよ……」

 

 溜息を大袈裟に吐き、何気なく左手を上にスライドさせると半透明のプレートが現れる。

 

 

 ステータス

 

 

 名前:エルノシア

 

 種族:人間族

 

 年齢:16歳

 

 魔力 ???:??????????

 

 闘級:13000

 

 魔力:2000

 

 武力:6000

 

 気力:5000

 

 称号:守護者 迷い人

 

 

 14年頑張ってこれだよ。この前遭遇したグロなんとかっていう妖精のも覗いてみたけど闘級の差が40000近くあった。僕って才能ないのかな……、せっかく魔法と剣の世界に転生したのに全然無双できてないよ……。やったこととすれば現代知識を披露したくらい、未だこの人生ではヒロインのヒも出てこない。僕のハーレムはまだなのか?

 

 

「俺達がいるじゃないか」

 

「お前ら全員男じゃん……」

 

 「それもそうか」と焼いてあった骨付き肉にかぶりつくロウに、思わず手が出てしまう。

 

「ぬあああああ!?」

 

「「「「ロウゥー!?」」」

 

 あはは、転がりながら崖から落ちてったよ。

 

「おまっ、ロウに何してんだ!」

 

「いやー、うっかりうっかり」

 

「死んだんじゃねぇか?」

 

「あ、それは大丈夫だよ」

 

「は?」

 

 ロウは僕が旅先――迷ったともいう――で出会った人間で、僕程ではないがそこそこ強い。闘級は3000……だっけ、そこらへんにいる魔神には負けないだろう。流石に数体相手では無理だろうけど。

 

 それでも心配する彼らを安心させるために、スッと右手を差し出す。

 

「骨付き肉は無事さ」

 

「俺の価値は肉よりも低いのか……」

 

 あ、早かったねロウ。帰ってくるの。

 

 肩を落として落ち込んでいるロウの背中を軽く叩く。

 

「まさに肉壁ってことだね」

 

「………」

 

 ありゃ、もっと落ち込んじゃった。

 でも実際仲間のことを身体を張って庇ってたじゃん。適役だと思うんだけどなぁ。

 

「……もう寝る」

 

「お、不貞寝?」

 

「………」

 

 無言で木の上に上り、腰をかけて目を瞑ったままロウは動かない。いつ見ても凄い、一瞬で眠りにつくからどこでも寝れるんだよね。この前なんて水に浮いたまま寝てたし。

 

「俺達も寝るか」

 

「明日は大事なアレの日だからな」

 

「あ、キミたちも寝るの?」

 

「おう、また明日」

 

 こちらは地面に布を敷き横になる。流石にロウみたいには出来ないみたいだ。ていうか皆出来たら僕が悲しくて寝込むわ、僕以外出来るなんて転生者に対する当てつけかよ。

 

 ていうか明日って何かあったっけ。僕の記憶上では特に何もなかった気がするんだけど。

 

「もしかして……生理の日だったり?」

 

「「「…………」」」

 

 無視。

 

 これってイジメに入りますかね。今すぐ訴えたいんですけど、いやでもこの世界には裁判所なんてないか。チクショウ僕がどっかの国の王子だったら知識チートして学校とか設立させてたのに。そして女の子を侍らせて優雅な王宮生活を……できたらいいなぁ。

 

「あー女の子との出会いが欲しいっ!切実にそう思う!」

 

 ヤケクソ気味に肉にかぶりついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 オリ主が肉食って寝た後の仲間たちの心境。


仲間A『いやお前も不貞寝してるじゃん……』

仲間B『女なのに女が好きなのか?』

仲間C『あの肉確か腐ってたような気が』

次回、荒れ狂う下り竜がオリ主(の腹)を襲う!?

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