異世界から呼ばれて魔王に進化した勇者です   作:八葉と黒神の剣聖

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お茶会

 ルミナスが紅茶を淹れたマグカップを渡してくる。それを受け取り一応念のために聞いてみる。

 

 

「……毒入っていないよな?」

「今すぐお主の血を枯らしてやろうか?」

 

 

 素晴らしい笑みで威圧しながら言ってくる。女って怖い。まぁ疑った俺が悪いんだけど。取り合えず気を落ち着かせるためにも一口頂こう。

 

 

「ん……美味しい」

「そうじゃろう。で、面白い話だが、お主の国は大丈夫か?例の竜の子がいる国の近くじゃろう?」

「大丈夫って信じたい」

 

 

 実はミリムのいる場所は結構近い。近いと言っても間に5つの国を挟むが。それでももしものことがあれば我らが国も焦土化するだろう。ちょっと待て、面白い話ってミリムの事かよ……。

 

 

「一応それなりの手段は考えている。強固な結界を貼ったり、王国軍の戦力強化や、魔術協会と協力して魔鉱石を利用した魔力砲を城壁に設置したり」

「ほぅ。興味深い話じゃのぅ。その魔鉱石とは?」

「これだよ」

 

 

 首飾りについている赤い魔鉱石を見せる。ルミナスは興味深そうにジーと見た後に魔鉱石に触れる。ルミナスは近くで見たいようで、首飾りを外そうとした時、ルミナスは膝の上に座り、魔鉱石に触れる。

 

 

「確かに僅かだが魔力を感じる。話しからするに、お主の国で開発した鉄の筒の動力源にし、魔力を流すことで放たれる。と言った所か」

「正解。基本的な部分は魔術師がやる。一部は俺の力もあるけど。見に来るか?」

「ふむ。ベルとも話がしたいが、今はのぅ……ん?」

 

 

 ルミナスが俺の顔を見てから左胸に手を置く。少し険しい顔を浮かべつつも、ルミナスはゆっくりと顔を近づけてくる。彼女の赤と青の瞳が目と鼻の先まで来て、甘い匂いも僅かに漂ってくる。

 

 

「また無茶をしたな?魔人化が進んでおる」

「ま、今月40体ほど倒したからね。仕方ないだろう?特性だから」

「もう戻れん場所まで来ておる。上級魔人への進化も近い。そうなれば……」

「その時はその時。この世界に来た時点で覚悟は決めてる。それに、例え魔人になっても勇者である事は変わらないし、国王含めて仲間も何も言わない。自分の事は一番知ってる」

「そうか。だが貰っていくぞ。お主の血は絶品じゃからの」

 

 

 左の首筋を指でなぞった後、やんわりと噛みついてくる。彼女の小さな犬歯が少し食い込んでくるのと血を少しずつ吸い取られているのを感じ取る。

 ルミナスが言うには幸福な人間の血は美味しいらしく、その為に人間を保護し、文明や技術を発展させているとか。血も必要最低限しか接種していないとも言っていたな。俺はがっつり取られているけど。

 

 

「俺の血って本当に美味しいのか?」

「飲んでみるか?」

「何でそうなる。俺は吸血鬼ではないから味は分らん」

 

 

 知りたくもないけどね自分の血の味。それにしても慣れって怖い。最初は全然ダメで少し吸われるだけで気絶していたのに今では苦ではない。必要な事だから仕方ないけど。

 

 

「悪いなルミナス。嫌だろう?」

「む。嫌だったら呼び出さん。知ってしまった以上は放って置けん。街も救って貰ったからの。妾が好きでやっているだけだと思っておけ」

「助かる。少しずつだけど体が軽くなって来た」

 

 

 決して危ない方向での軽くなったではないので勘違いしないで欲しい。体の不純物が抜けていっているという意味だ。もう少し詳しく言うと、血を吸われると同時に宜しくない魔力も吸われている。

 その理由は、俺が炎で魔獣や魔人を倒した際、その場に残った魂と精神を目に見えない魔力の炎に変換され自身に吸収されている。お陰で力はどんどん増しているが魔人化も進み、属性なども反転しつつある。それだけならいいのだが、時折不純物……人の体では宜しくない魔力が吸収した時に産まれ、様々な影響を及ぼす。なのでこうして定期的に血と一緒にルミナスが持って行っている訳だ。

 人に悪影響でもルミナスの様に魔人ならむしろいい影響が出るらしい(あくまでもルミナスが言っていた話なので事実かどうかは知らない)

 

 

「……こんな所か。前回に比べたらマシだが、随分と溜め込んで居る。どうにかならんのか?」

 

 

 ルミナスが離れながら頬を引っ張って言う。どうにか出来たらやっている。どうにも出来ないからルミナスに頼っているのだろう。それに彼女の方から言ってきたことだし。

 

 

「どうにかできたらやっている。ありがとう。そろそろ戻る」

「そうか。あまり無茶は……いや、言わないでおこう。またの」

「あぁ。またな」

 

 

 ルミナスに別れを告げ宝珠に魔力を流して自室に戻る。慣れた空気を感じ緊張が解ける。やっぱり慣れないな。2年前に戦った炎の魔人より難しい。

 

 

「っと。戻った事を国王に話さないと」

 

 

 自室を出て再び玉座へと向かうが、その途中で何やら焦げた匂いを感じ取りその場所へ向かう。また妙な遊びでもしているのかと思っていたが、目当ての場所に着いた途端に足を止めてしまう。

 そこでは綺麗に焼け焦げたアレクが倒れていた。側には涙目になっているベルの姿。彼女の手には俺が修理を依頼していた刀がある。根元からぽっきり折れてるが。

 

 

「……何があったベル?」

「あ、フレア様。その……私、刀の修理が終わったと聞いて取りに行っていたのですが、後ろからこの馬鹿……若様にいきなり背中を叩かれて落としてしまい、パキっと……」

「おぅ。それはアレクが悪いが……」

 

 

 少しやり過ぎな気がする。生きてる……よな?生命力は感じるし大丈夫だろう。跡継ぎが死んだら大騒ぎだ。

 

 

「ベル。やるならもう少し加減する事。人間と魔人では肉体の強度が違う」

「うぅ。気を付けます」

 

 

 頭を下げるベル。彼女は元々ある国の奴隷だった名も無き魔人。それを保護して以来一緒に付いて来ている。名前に関しては有った方が良いと思ってつけた名前。そう言えばその時にラミリスが言ってたか。名前を付けられた魔人は進化して強くなるって。ベルはそんな事無かったけど。

 

 

「所でフレア様。ルミナスちゃんとの話は終わりましたか?」

「終わったけど問題は山済みだ。もう戻れない所まで来ているらしい」

「……その、提案ですけど彼に相談してみては?」

「あー……アイツか」

 

 

 2年程前。ある炎の魔人と死闘を繰り広げたことがある。俺の炎の加護はその時会得したものだ。その魔人はえげつないほど強くて、結果的に痛み分けになったが後から半分手を抜いていた事を知ってぶん殴ったことがある。

 今でもその魔人と縁があり、何かあったら相談したり、修行相手になって貰ったり等と色んな面で世話になっている。

 

 

「休暇貰ったし行くか」

「では準備してきますね。刀ももう一度修理に出してきます」

「ラジャ。また後で」

「はい」

 

 

 一礼してから去って行くベル。それを見送ってから綺麗に焼け焦げたアレクの背中に手を置き、炎で傷を癒す。焦げた跡が消えると、ゆっくりと立ち上がる。

 

 

「し、死ぬかと思った……」

「自業自得だ。出かけるぞ。炎の魔人に会いに行く」

「え?ちょい待ったぁ!」

 

 

 右腕を掴んでくるアレク。彼の顔から冷や汗が留めなく流れ体が震えている。まるで何かに怯えている様に。無論その正体を知っている俺は、問答無用で引きずりながら玉座へと向かう。

 

 

「おい待て!俺も行かないといけないのか!?」

「当たり前だ。丁度いいから鍛えて貰え」

「嫌だ!今度こそ死ぬ!」

「安心しろ。領域を展開して俺の日輪の加護を共有してやる。一定時間なら日中無敵だ」

「そういう問題じゃねぇ!」

 

 

 アレクの叫び声が響くが気にせず玉座へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

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