異世界から呼ばれて魔王に進化した勇者です   作:八葉と黒神の剣聖

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ルミナス様のメイン回


ちょっとした女子会

 パパが洞窟内へと入ってから数時間。私達は大穴の近くで気長に待っている。ソフィ姉はレンと紅茶を飲みながら雑談していて、ママはハクエンを膝に乗せて愛でている。私は愛刀を身が磨きながら『まだかな……』と声を漏らしながら待っていた。

 そんな中1人ソワソワと落ち着きがない人が1人。そうパール姉だ。大穴を除いたり周囲をグルグル歩いたりと落ち着きが無かった。

 

 

「心配し過ぎじゃないパール姉」

「え?別にフレア様を心配している訳ではありません。その…近くにある牢屋が気になって」

「牢屋……?」

 

 

 牢屋って確かケルベロスっている魔物を育てていた奴だっけ。確かパパが幻獣って総称で言って、姿形からパパの故郷の神話に出て来る存在に当てはめて名前を決めているんだっけ。どうして気になるんだろ?

 

 

「幻獣は我々姉弟と似た経緯で作られています。なので気になって。もしかするとあの時の実験データがあるのではないかと」

「成程…。でもあの牢屋には日記しかなくて大した情報が無かったって話だよね。それに魔物を生みだす方法ならママに聞いた方が早いような……」

「……お嬢様。その件は尋ねない方がよろしいかと。神祖トワイライトに関しては絶対に」

「う、うん」

 

 

 まぁそうだよね。かなり酷い事してたって話だし、ママにとっても辛い話しだと思う。ならママの高弟について聞くのはいいかも。確かシルビアおば様ともう1人いるって聞いたような。確か名前は……何だっけ?

 

 

「ジャヒルの事を知るのは止めておけ。あ奴は神祖と同じぐらい外道じゃ」

「うわっ!?」

 

 

 いつの間にか隣にいたママに驚いてしまう。お願いだから気配を完全に消さないで欲しい。特に警戒していない時は絶対に。よし…仕返ししよう。

 

 

「ねぇ。ママはパパの何処が好きになったの?」

「え?何じゃいきなり」

「急に知りたくなったから」

「いきなり唐突じゃのぅ……」

 

 

 困った顔を浮かべるママ。過去に何度か聞いた事があるけど一度も答えた事がない。何だかんだ理由を付けて逃げるけど、今回は逃げれないから。

 

 

「パパの好きな所か。それはの…っとそうじゃパール。例の牢屋へ向かうといいい。ついでにアイカも連れて行け。ホムラには伝えて置く」

「え?」

「ーーーふふ。分かりました。行きましょうお嬢様」

「ちょっとーーー」

 

 

 

 襟を掴まれて軽軽と持ち上げられて連行される。その時視界に入ったママの良い笑顔を見て、『またやられた』と物凄く悔しい気持ちになった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

ールミナスsideー

 

 

 

「ふふ……まだまだ甘いのぅ……」

 

 

 ハクエンを撫でながらとても悔しそうな顔を浮かべて連れて行かれるアイカを見て思ってしまう。まだまだ視野が狭い、妾とあ奴の事を詳しく聞きたいのなら、もう一皮向けないといかぬな。

 

 

「たまにはアイカに話してあげたら良いのにルミナスさん」

「多分娘には話せないほど過激じゃないのかなソフィ先生」

「いや…別に話せないほど過激ではないが……」

 

 

 話さないのは単純に恥ずかしいだけと長くなるだけ。だから妾の胸の中に閉まっておきたい。まぁうっかりパパが口を滑らせる可能性はあるかもしれん。

 

 

「でも実際気になるよねレン」

「はい。異世界人であり元勇者の魔王がどうやって高貴な吸血鬼のお姫様の心を射抜いたか」

「うんうん。で、どうなのルミナスさん」

「グイグイ来るのお主ら……」

 

 

 ふむ…このままだと押し切られそうじゃの。ホムラも帰って来るまで時間が掛かるだろうし、少しぐらいなら構わぬか。

 

 

「最初は恩返しのつもりじゃった。妾達と都を守ってくれた恩返し」

「確かルミナスさんと相性悪い幻獣だっけ。凄く強かったって」

「魔素…魔法を無効化する特性でしたか。確か幻獣の特性をユニ先生が解析してアンチマテリアル系統の魔法を編み出したと。その後のケルベロスもそうですね。相手の魔法を吸収して自身の魔素に変換する…ホムラ先生の究極スキルが元になったやつですね」

「いつの間にそんな物を……」

 

 

 主が強ければ配下も強くなるとは言うが、ちと強い…いや能力がおかしい連中が多くないか?それもきっと主である魔王フレアの影響だろう。あの男ほど努力と言う言葉が似合う奴はいない。

 

 

「話を戻すがその時に色々知っての。勇者の卵を持ちラミリスに認められたのにも関わらず、体の中にはどす黒い大きな何かがあった。それを見て放って置けなくなっての。色々と世話を見る代わりに、あ奴の居た世界の話しと、旅で見て来た物を話して貰った」

「勇者時代の話しかぁ…時々お酒の席で陛下が話すけど、本当か怪しいよね」

「ホムラ先生も話さないし、元よりお酒飲まないし。酔い潰れた先生見て見たいよね」

「……」

 

 

 潰れたあ奴か…残念だが見る事は無いだろう。一度だけ見たことがあるが、あれ以降限界以上に飲まないようになったからの。

 

 

「ともあれ…色々と交友を重ねえているうちにホムラが欲しいと思った。しかし大きな問題があっての」

「問題?」

「何かあるかな…?」

 

 

 首を傾げて考える2人。そうか…ソフィはともかくレンは妾やほむが魔王になった時を知らぬのか。ふむ、問題の件は言わない方がよいかも知れぬな。

 

 

「妾達にも色々あるのじゃ。それよりお主らはどうじゃ?良い男の一人や二人は見つけたか?」

「私はまだ考えてませんね。エルフは長寿ですし、今は魔法やホムンクルスの研究で忙しいですから」

「私も。それに今は大きな計画あるし」

「計画?それはなんじゃ?」

 

 

 計画とやらをソフィに聞く。ソフィは少し間を置いてからなんとも言えない顔で言った。

 

 

「ホノカのブラコン矯正計画」

「「………」」

 

 

 思わず無言になる妾とレン。もう一度聞き返そうと思ったが、きちんと記憶してあるので聞き間違いではないだろう。

 

 

「あの人のブラコン加速してるんだ」

「言われてみればアイカが我が家に来てから、家で見る頻度が増えたの」

「そろそろどうにかしないといけないから、ランとミナト中心で作戦会議してるんだ」

 

 

 それは非常に助かるの。あ奴もいい加減兄離れしなければならぬ。そろそろ結婚も視野にいれぬとな。

 

 

「何でホノカはあそこまでホムラさんLOVE何だろ?兄妹ってのもあるだろうけど」

「正直不思議だよね。特殊な家系と伺ってますけど」

「色々あるのじゃよ。あ奴らにしか分からない事もある」

 

 

 故に妾もあまり首を突っ込まないようにしているが、ブラコンとやらが加速しているのは事実。流石の家族行事まで家にいることは無いが。

 

 

「まぁ…義妹の件はお主らに任せる。今はホムラが帰って来るのを……ん?」

 

 

 

 ふと叫び声のような物は一瞬聞こえる。その声はソフィとレンにも聞こえたようで揃ってその方向を見る。その方向とはアイカ達が向かった牢屋だった。

 

 

「今のって叫び声…だよね?」

「パールさんが叫ぶわけ無いし……」

「我が娘も簡単に叫ぶような弱い子に育てたつもりはないぞ」

 

 

 子供の頃から厳しく育てている。簡単には負けぬし弱い所も見せぬ…が。少し心配じゃの。どれ様子を見に行くとするかの。

 

 

「2人共。妾が見に行く故、待っていて欲しい。直ぐに戻る…はっ!」

「え?この気配って―――」

「来ます!」

 

 

 覚えのある気配と同時に、妾達の背後に黒い靄に覆われた三つの頭を持つ巨大な獣が姿を現す。その姿を見て一瞬驚くが瞬時に切り替える。ソフィとレンも戦闘態勢に入るが、それよりも早く獣が巨大な炎玉をそれぞれの頭から放つ。

 

 

『ここはお任せを』

 

 

 ハクエンが体を大きくして炎玉を尻尾で薙ぎ払うが、それを見越していたかのように獣はハクエンの首に噛みついて大穴へと落としてしまう。それから獣は妾達の方を向く。

 

 

「……どういう原理でケルベロスが蘇ったか知らぬが、かつてホムラが戦った時よりも桁違いに強いの」

「そ、それってヤバくない?3人で大丈夫かな?」

「応援を呼んでいる暇はありませんし、ここは私達で乗り切らないと」

「その通りじゃ。じゃが3人ではなく5人じゃよ」

 

 

 上に人差し指を向けるとほぼ同時に、灰塵を抜いたアイカとランスを持ったパールが降りてくる。アイカは妾達の方を向くことなく『巻き込んでごめん』と言ってからケルベロスへと立ち向かっていった。

 

 

「ちょっとアイカちゃん突っ込まない!ソフィ先生後方支援お願いします!」

「了解!まっかせて!」

 

 

 アイカに続きソフィとレンも立ち向かっていく。意外とあの3人なら妾達の手助けはなくても何とかなりそうじゃの。前衛をアイカが務めえて後方支援をソフィが担当してレンは魔法による補助。互いの息を合わせれば大丈夫そうじゃ。

 

 

(さて…愛しい娘の成長を見せて貰おうかの)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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