異世界から呼ばれて魔王に進化した勇者です   作:八葉と黒神の剣聖

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子は親に似る物

「合わせてアイカ!」

「オッケー!」

 

 

 ソフィ姉が錬成で生み出した赤い光球と蒼い光球を放って、ケルベロスの左右の口に嵌めると同時に2つの光球が大爆発を起こす。ケルベロスは大量の煙を吐きながら怯み、そこを逃す事無く真ん中の頭を斬り落とす。その後にケルベロスの上を取ったレンが強烈な魔法を撃つ。

 

 

「アルテラカノン!」

 

 

 とても細い光の線でケルベロスの首を撃ち抜く。撃ち抜かれたケルベロスは断末魔を上げるが、周囲から魔素を吸収して撃ち抜かれた箇所と斬り落とした首を再生し、魔王覇気で私達を弾き飛ばすけど何とか耐えて、逆に大したダメージを負ってないケルベロスを見て苦笑いを浮かべてしまう。

 

 

「ノ、ノーダメージ……」

「再生はやぁ……」

「パパどうやって倒したの…?」

 

 

 パパの強さを痛感してしまう。あんな怪物どうやって倒してのだろうか?幸いにも今回は魔法が効いている。それだけでも戦い方の幅は広がるからやりやすいか。

 

 

「魔法を軸に攻めよう。一撃必殺とか無いレン?」

「あるにはあるけど…チャージに時間がかかるよ」

「ユニさんみたいに詠唱無しでは放てないからかなり時間いるかな」

「無いよりマシ。さて……」

 

 

 マントを外して息を整える。それからランタンの扉を解放し、いつでもスキルが使えるように準備。私の予想通りなら、後々必要になってくる。

 

 

「んじゃ……久々に真面目にやろうかな。止め任せたよ」

「任せたって…(こういうところはホムラさん似かぁ…)」

「了解…(頼り方が先生と一緒なんだけど…)」

「……(なんかおかしいこと言ったかな?)じゃ宜しくね」

 

 

 視線をケルベロスに戻し、深呼吸してから奴と間合いを詰める為に突っ込む。それに対してケルベロスは三つの頭から時間差で黒い光球を放った。

 

 

(止まってガードも面倒だしこのまま突っ込むか)

 

 

 両腕を交差させて加速。そのまま光球と正面からぶつかり光球は爆発。少し痛いけど止まること無く残り2つの光球を一刀両断。それとほぼ同時にケルベロスの鋭利な爪が迫ってきた。

 

 

「いい判断だけど当たらない」

 

 

 ギリギリで詰めを躱してから右前足を斬り落とす。ケルベロスは痛そうな雄たけびを上げながらも足を再生しようとするがそうはいかない。パパから教わったある技で切断面を覆い再生を阻止する。

 

 

「ギィ!?」

 

 

 困惑したケルベロスの動きが止まる。そこを逃す事無く残りの四肢を全部斬り落として切断面を覆う。ダルマになったケルベロスは動くことが出来ずじたばたと暴れはじめる。

 

 

「んじゃ後よろしくね2人共」

「う、うん……(見ない間に強くなったねアイカ…」

「後もう少し待ってね……(あぁ…先生達のスパルタ教育の賜物かぁ……)」

「……(なんか言いたそうな顔なんだけど…)」

 

 

 うーん。何かおかしい所はあっただろうか?私の剣技や魔法では完全に消滅させられないからあぁするしかなかったんだけど…まぁいいか。

 ともあれ少し待つと、ソフィ姉とレンの強烈な魔法でケルベロスは一瞬で蒸発して黒い靄のような物がランタンに吸収されていく。

 

 

「ねぇアイカ。あのケルベロスって……」

「うん。多分牢屋に染み付いた怨念の類。でも大丈夫。私のスキル『黄泉送り』できちんと浄化したから」

「そっか。たまに使う大きいガイコツみたいに使役すると思ったけど」

「そんな怖い事しないって……」

 

 

 訳わからない幻獣何なんて再利用できないよソフィ姉。めっちゃ怖いし、何かあったら責任取れないし。大きい骸骨もランタンに溜まった魂を吐き出す時以外使わないし。

 

 

「さて…後はパパを待つだけだけど…」

「思ったよりも時間が掛かっているみたいですね」

「それだけ面倒な奴でも居たのかの。じゃがその前に……」

 

 

 ママは私の手から灰塵を取り、刀身に軽く触れるた時だった。刀身の丁度半分辺りに亀裂が入って真っ二つに折れた。とても綺麗に真っ二つに。それを見た途端に全身の血の気が一気に引いたのを感じる。

 

 

 

「あ…あぁ……そんな…戦ってるときは大丈夫だったのに……」

「多分戦闘中は闘気を纏っているから気付かないと思うよ。貸してルミナスさん。応急処置出来るか見るよ」

「それには及ばぬよ。応急処置したところでまた折れる。ならアイカに見合った刀を用意するべきじゃ」

「見合った刀?」

 

 

 みんなが疑問に思う中。ママは灰塵を鞘に納めた後にパチンと指を鳴らしって一本の小太刀と少し長めの太刀を取り出す。

 

 

「この2本をアイカに託そう。小太刀は『陽炎』と言ってな。ホムラの愛刀である正宗の兄妹刀。正宗と違い邪気や妖気を払う妖刀じゃ。そしてこちらの太刀は『陽炎』を元にソフィが打った物じゃ」

「そんな化け物何でママが持ってるの…?」

 

 

 とても疑問に思ってしまう。それにあの正宗に兄妹刀があるのも初耳だ。多分ホノカおばさんに継がれる予定だったのかな。そんな刀を扱えるか分からないけど、ママが託してくれるなら受け取ろう。パパもきっと許してくれる。

 

 

「ありがとうママ」

「気にするな。どのみち妾が持っていても使うことがないからの」

 

 

 ママから刀を受け取って右腰に携える。それとほぼ同時にハクエンを肩に乗せたパパが戻ってくる。パパは周りを見て心配そうな顔を浮かべるけど、直ぐにママが説明する。

 

 

「それは大変だったな。怪我してないかアイカ?」

「ん。擦り傷ぐらいかな。あとは両手痺れてる」

「ガード面倒だからって突っ込んだな?」

「うぐぅ……」

 

 

 グサッと心に突き刺さる。言ってもないのに何で分かるかとても不思議。ママが思念伝達で伝えた様子もない。あれか、親は子供の事を何でも知っているって奴か。

 

 

「それと女の子なんだから服装にも気を付ける事。どれ魔王の力を見せてやる」

 

 

 パパのはそういってから両手を私の肩に置き、少し考えてから力をいれる。すると私の全身を淡い光が覆い、それと同時に私の服装が変わった。

 黒と白を基調とした和装。上半身は巫女服で下半身は少し長めのスカート。私が愛用している私服よりずっと可愛かった。

 

 

「凄い可愛い……」

「そ。そんなことも出きるんですね……」

 

 

 見ていたレンが驚きを隠せない。けどなんか怪しい気がする。絶対に何かたねがあるはずだ。現にソフィ姉が『やりやがったよあの人……』と言いたそうな顔をしているから。

 

 

「どうだママ?似合ってるだろ?これなら幻獣の攻撃にも耐えられる」

「確かにそうじゃの。だが……なぜドレスにしない?その術は500年に一度しか使えぬ秘術じゃろ」

「「………え?」」

「……(言っちゃったよルミナスさん…)」

「……(ま、まぁ隠しても仕方ありませんしね…」

 

 

 今聞いてはいけないことを聞いた気がする。秘術が何とか言ってたような。でもここは聞き流す方が良いかもしれない。詳しく聞いても話してくれないだろうし。

 

 

「全く。アイカといいエリンいい何故ドレスを着ないのじゃ」

「動きにくいからだよママ。でも和装は色々改造出来るから自分好みに出来る」

「だそうだ。残念だったね」

「むぅ……」

 

 

 むすっと頬を膨らませるママ。残念だけど私がドレスを着るときは来ないと思うよ。多分お姉ちゃんも。

 

 

「んじゃ改めてサリオンに向かうか」

「その前に昼食じゃの。近くに良い景色が見れる場所はあるか?」

「良い景色?確かに少し北に向かうと湖があったかな?」

「えぇ。魔物もいませんし良い場所かと」

「決まりだね。お腹空いたし早く行こう」

 

 

 と言うわけでサリオンに向かう前に一旦湖に寄って昼食を済ませに行くのであった。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 空が橙色に染まった夕刻。私達は無事はサリオンに到着。空をも貫きそうな大樹の中に城があった。

 で、私達はその城の扉の前にいるのだか、門番のエルフ2人から強烈な殺気を向けられている。特にパパには強烈だ。その変わりか分からないが、私やママには全く無い。

 

 

「何かしたパパ?」

「記憶に無い。多分アレクだろ」

 

 

 成る程…と言いたいけどおじ様はサリオンに定期的に行ってシルビアおば様と話をしているから違う気がする。となるとやっぱりパパに原因ありそう。

 

 

「…あれじゃ。エルメシアの超反抗期で我が家に逃げて来たじゃろ。そのときお主がエルメシアは少し甘やかしたからその件で怒っていると思う」

「えぇ…あれはきちんとしてないシルヴィが悪いだろ」

「……(そういえばそんなことあったね)」

 

 

 8年ぐらい前かな?エルメシアがおば様と大喧嘩して家に逃げてきたことがある。ちょっとした些細な事での喧嘩なのだが、どう考えてもおば様が悪くてパパがきつく言いに行っていた。

 

 

「取り合えず中に入れて貰おうよ」

「そうだな。頼むレン」

「はい。では……あら?」

 

 

 門番に声を掛ける前に、門が開き始める。中から姿を現したのはシルビアおば様。いつもと変わらず元気そうで良かったが、おば様はパパとママを見るや直ぐに2人の手を取って城の中へと進んで行った。

 

 

「えっと…」

「私達も行こうか」

「助けに行かないとね」

 

 

 私達も駆け足で城に入って行った。

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