異世界から呼ばれて魔王に進化した勇者です 作:八葉と黒神の剣聖
ー魔王への進化にともない全ての身体能力が大幅に上昇します。さらに余剰分の魂を使用しスキルを進化させます。ユニークスキル『太陽の加護』と『炎の加護』を統合し、究極能力『
世界の声が聞こえてくる。ウリア……たしか天使ウリエルの元となった予言者の名前。ウリエルの特性を持っていたか。強い光と強い炎を生み出す存在。
-加えて『魔王覇気』『心天眼』を獲得……成功しました。以上を持ちまして魔王への進化を終了します。
進化が終了し意識が一気に覚醒する。瞼を開けて最初に映ったのは青い空とルミナスの顔。おや?頭の下に柔らかい何かがあるのは気のせいだろうか?いや、気のせいではないな。
「人生初の膝枕が吸血鬼とは」
「不満か?それより早く行かんか」
「勿論。直ぐに行く」
ゆっくり起き上がり体を軽く動かす。大きな力がぶつかっている。その振動がこちらまで届いており、このままだと甚大な被害になるだろう。そうならないためにすぐに向かわなければ。
「えっと刀は……ここか」
近くの岩に太刀と小太刀が立て掛けられている。太刀を後ろ腰に小太刀を右腰に携えて準備完了。この2本の刀は、俺と一緒にこの世界に来て、その時に特殊な能力を付与された妖刀。全てを断ち切る事が可能で、当時の俺では扱いきれず、封じていた。
「行ってくる。ありがとう傍に居てくれて」
「気にするな、貸しにしておく」
「大きな借りだ。絶対に返す」
約束してから結界を解除しミリムとギィの元へ向かう。2人はダマルガニアの中心で激戦を繰り広げている。俺はすぐに2人の上空へと移動。その時にギィはこちらに気付く。
「貴様!今まで何処で何をしていた!」
「何でもいいだろ。俺を見たら分かるだろうし、それより今はそんな事を話している暇はない。周辺一帯を浄化結界で覆うからその中で戦え」
「浄化結界だと?それに貴様……」
ギィならすぐに気付くが今はそんな事どうでもいい。俺はすぐに光の結界でミリムとギィを含めダマルガニアを覆う。この結界、正確には究極能力で生み出した光には『浄化』『加速』の効果があり、焔には『再生』『修復』の効果がある。発揮するには光に触れるか照らされる。炎で覆われるか触れる。それらを満たすことで発揮する。
「これでどうだギィ?ある程度なら抑えられる。もし最悪の事態になっても猶予はあるだろう」
「ほぅ。それが貴様の究極能力か。進化している事は置いておき助かる。これで加減する必要が無いからな。ついでにそこで倒れている堕落した妖精を頼む」
「堕落……ってマジか……」
気配が変わっているラミリスを見つけすぐに向かう。土埃を払って焔で覆い傷を癒しながら、魔素を光に変えて右手に集める。
「待ってろよ。すぐに治す」
傷が癒えたのを確認してから、光を雫に変えてラミリスの体に落とす。『
「う……んん?」
「大丈夫か?」
ゆっくりと瞼を開けるラミリス。上体を起こして周囲を見渡してから俺の顔を凝視する。俺の顔に何かついているのだろうか?それとも別の誰かと思っているのか。ラミリスの場合は後者だな。
「アンタ……何でギィやミリムみたいになってるのよ!」
「色々あったんだよ。それよりギィの援護。それと姿変えるから」
「は?」
焔天之王の形状変化で姿形と声をある人物に変える。その人物とは日本にいた時の双子の妹。流石に性別は変えれないが(そもそもそんな趣味はない)ギィの援護には小柄の方が良い。理由は他にもあるが。
「っし。行くか。妹には悪いが力で押してくる相手には技術で防ぐしかない」
「前よりもやばくなってないアンタ?」
「失礼な。あの魔人のように完璧な女に変わってるわけではないぞ。あくまでも姿形と声だけだ」
「それでもよ。ま、支援と援護は任せてフレアは結界の維持に専念しつつ立ち回りなさい」
「分かってる。援護頼んだからな」
再び上空に戻り結界を多重で張る。念には念を。あの2人の力の衝突が大きくなっている。見ているだけでミリムの一撃が強烈なのが分かる。
(それを受け止めているギィもヤバいが……っと!)
流れ弾がこちらに来る。太刀を抜き全身と刀身に光を纏って斬り伏せる。姿を変えたのは力を使い分ける為。光と焔は同時に使えるが出来れば切り札にしたい。身の丈にあった力の使い方を。その為には姿を切り替える。俺の究極能力は攻撃より支援型だし。
「こ、こっちに来るなぁ!」
「ラ、ラミリス!?」
あちらにも流れ弾が。しかもラミリスの死角で魔法を放つ準備をしている最中に。瞬時に姿を切り替えて右手に焔を集めて息を吹きかけて放ち、ラミリスを守る。
「油断大敵だ。つか詠唱必要なのかよ」
「種類によっては必要よ……ってアンタ後ろ!」
「……!」
背後から迫るミリムの剣を焔を纏わせて防ぐ。その後方では顔を歪ませているギィ。どうやら手痛い一撃を喰らったようだ。
「しっかり抑えろ原初の赤」
文句を言いつつ踏み込んでミリムを弾き飛ばす。以前ならあり得ない事だろう。それでもミリムとの力の差は大きい。覚醒魔王としては拮抗していても竜種と魔人で考えると天と地ほど差がある。
「丁度いい。今からミリムの『憤怒之王』を解析する。半日程抑えろ」
「はぁ!?無茶言うなおい!」
本気で言っているんだろうが、とはいえ無茶ぶりがすぎる。取り合えず文句と一緒に一発殴りたいが、そんなことをするとあの氷竜姫に殺されかねん。
「ついでにお前の究極能力もコピーする。使い勝手がよさそうだからな」
「何で出来るんだよ!」
文句を言いながら一歩踏み込んでミリムの剣を弾き返す。そのまま焔の翼で空中に飛び、ミリムと剣をぶつける。力はあちらが上だが技量はこちらが上。力を流しつつ反撃をする。
「六の太刀・紅蓮迅」
小太刀で焔の斬撃を放って右に回避させるように誘導するが正面から斬り伏せられる。俺の思考を読んでいるというより、本能で防いでいるのか。そうでもなければ死角からのラミリスの魔法に対応できない筈。
(あぁ言ったタイプはやりにくい。何を考えているのか分からん)
だからこそ怖い。また先日の一撃が飛んでくる可能性もある。流石に同じヘマを二度も踏む気はないが。アレを打たせない程度に距離を保って出来る限り魔素を使わせる。
「喰らいな」
光と焔を集約・凝縮し放出。ミリムの目の前で爆発させ周囲を拭き飛ばし、爆風を利用してギィの前に降り立ち小太刀を鞘に戻す。
「前より威力は高いが……」
「ふん。少し抑えたな。無傷だぞ」
「……」
だよね。分かっているさそれぐらい!魔力操作には自信はあるけどまだ加減が難しいんだよ。光と焔の比率が!性質変化で殺傷力高めにしてるけど!
「ちょっとフレア!アタシまで消し飛ばすつもり!?」
「まだ加減が難しい。それよりまだかギィ?」
「殆ど終わっている。それより貴様。魔素還元と演算予測を使ってねぇだろ?」
「な、なんのことかなー……?」
視線を逸らして誤魔化そうとするがラミリスに頭を叩かれる。それもそのはず。ラミリスとルミナスは俺の本気を知っているからだ。
「分かったよ。本気でやる。巻き込まれるなよラミリス。それとギィ、あと1時間で日没だから夜の間に決着つけろ」
「分かっている。流石にそろそろ終わらせたいからな」
「頼んだからな」
小太刀を右手で抜き太刀を左手で持つ。大きく深呼吸をしてから、体内に疑似太陽を生成して体の隅々に光と焔を浸透させ、身体能力を限界まで上昇させる。
「滅多に見られない本気だ。その目に焼き付けろよミリム。加減出来ずにやり過ぎても文句を言うな」
小太刀に光。太刀に焔を纏い、焔の翼を展開させて再びミリムに向かった。
終戦まで後僅か。