此処までお付き合い下さりましてありがとうございました
では、最終話です、どうぞ
とあるウマ娘が希望を持ってその門をくぐる
少女は嘗てとある独立ライブを観た
その圧倒的ともいえるパフォーマンス、楽しそうに踊り、歌うウマ娘。楽しそうな観客。
幼かった彼女はその輝きに魅せられた
「わたし、みんなみたいになりたい!」
ライブを見たあとで少女は両親にそう言った
母親は反対した
貴女はウマ娘。ライブよりも先ずは走ることを優先なさい。と
父親は言った
今までワガママを言わなかったんだ。良いじゃないか?と
少女はいつも親の顔色を見て生活していた
『良い子』であろうとした
そんな少女の初めてのワガママだった
結果、母親はトレセン学園に合格するならと許可を出した
そして、その少女は栗東トレセン学園近畿支部にいた
「ようこそ、トレセン学園近畿支部へ」
「は、はい。宜しくお願いしまひゅっ!」
噛んだ。噛んでしまった
死にたい
少女は心底そう思った
「緊張する事はない
私はシンボリルドルフ。唯の学園長さ」
やっぱりそうなんだ!
少女は内心歓喜した
『皇帝』シンボリルドルフ
『栄光に溢れた世代』の象徴であり、未だ数多くのウマ娘達の尊敬を集める英傑
この学園のパンフレットに書いていた時には目を疑ったものだ
府中トレセン学園を辞した後、パートナーである元トレーナーさんと何処かへと旅に出たと聞いたことがある
そのウマ娘憧れの人物が目の前にいる
少女にとって、夢のような光景であった
「は、はいぃ」
「やれやれ、ルドルフくん。そうは言ってもキミは有名人どころか生きる伝説みたいなものさ
そのキミを前にしたらこうなるさ」
「む、だがタキオン。そこまで緊張されても私は複雑だが」
「そうは言うが、ね」
学園長の側にいた人物が少女のフォローにまわる
しかし、少女はその女性の名前を聞いて思わず変な声が出そうになった
『音速の申し子』アグネスタキオン
皇帝のトレーナーによりトレーニングを受けた唯一のウマ娘
出場レース数こそ少ないが、その常識はずれの速度は『異次元の逃亡者』サイレンススズカに勝るとも劣らないという評価を受けているウマ娘である
ことに先行タイプでありながらも、サイレンススズカと同じく恐ろしいほどの末脚を見せ、引退レースでは『皇帝の後継者』トウカイテイオーを有馬記念にて六バ身もの大差をつけて勝利した
シンボリルドルフに負けず劣らずの有名人である
「むぅ、そういうものか」
「そういうものさ」
「そうだ、ならソー「ルドルフ。お茶を淹れた。一息つきなさい。タキオンも君も」うむ、そうしようか」
焦れたシンボリルドルフは何かを言い出そうとしたが、それは別の声に遮られた
しかし、少女には目の前の皇帝とタキオンさんが喜んだように見えた
「ああ、新しく此処に入る娘だね?
俺はしがないトレーナー。まぁ宜しく」
「トレーナーくん。物事は正確に伝えるべきだ」
「そうだ。君は私のかけがえのない人であり、私とタキオンのトレーナーだろう。隠す必要などないだろうに」
「ファッ!?」
お茶を出してくれたこの人が『あの』トレーナーさんなの!
『皇帝』と『音速の申し子』のトレーナーで、『皇帝』の終生のパートナーの?
最早少女のキャパシティを遥かに超える豪華メンバーである
「うむ、そうか
タキオンとスズカに憧れて、か」
「やれやれ。目の前で言われるとむず痒いものだね、これは」
「タキオンとて私をからかっていただろう?そのお返しさ」
「まったく、あれから何年たったと思っているのだか」
少女のトレセン学園を志望した理由を聞いたルドルフとタキオンの会話である
「ライブか。となると、誰に担当させるべきか」
トレーナーは考え込んでいた
「ならばトレーナーくん。キミが教えれば良いじゃないか」
「待て、タキオン
それはない」
「そうつれない事を言うものでは無いよ
キミは私にライブの振り付けを教えてくれたじゃないか」
「え?トレーナーさんも踊れるんですか?」
少女は驚いた
「彼は真面目で責任感も強いからな。私たちにライブをさせる以上は自分も指導できるようにならないと思っていたのだろう」
目の前の皇帝は微笑んでいた
「懐かしいな
何と言ってくれたかな「俺も「おいやめろ」
まったく、困ったものだ」
ルドルフの発言を遮るトレーナー
その表情は少し苦いものであったが
「とはいえ、引退ライブでは他のトレーナーまで巻き込んでノリノリで踊っていただろうに」
アグネスタキオンの言う通り、ルドルフと彼が引退する時に盛大なライブをトレセン学園関係者のみで行なった
ウマ娘側はほぼオールスターであり、センターをシンボリルドルフとアグネスタキオンを異例の2人とし、引退したり別の進路に進んだウマ娘も参加しての大規模なライブとなった
元々は当時のトレセン学園関係者ウマ娘のみとするつもりだったが、メジロマックイーンから話を聞いたゴールドシップが急遽帰国。タマモクロス、オグリキャップ等にも声をかけた結果であったりする
これに対して学園サイドもセンターを秋川理事長、左を秘書である駿川たづな、右を桐生院葵トレーナーが務め、センターフロントにトレーナー氏をおいてのライブを決行。ウマ娘達を驚かせた
ゴールドシップはここにカメラのない事を全力で悔やみ、サイレンススズカは滅多に見せない自分のトレーナーのお茶目な所に惚れ直し、ルドルフとタキオンは涙を浮かべるほどに感動していた
残念ながら、このライブについての画像、映像は残っておらず、シンボリルドルフとそのトレーナーへの敬意が垣間見える
「あの時はなぁ」
「見たかったです」
苦笑するトレーナーに残念そうな少女であった
「では充実した学園ライフを」
「はいっ!ありがとうございました
失礼します!」
「また1人新しい道を進もうとするウマ娘が来てくれたな」
「ああ、長い道のりだったな」
「いや、まだこれからも付き合ってもらうぞ?」
「構わないさ、キミとならどこまででも行こう」
少女とタキオンが退室した学園長室に2人は残っていた
「これまでありがとう。キミのお陰で此処まで来れた
そして、これからも宜しく」
「ああ、此方こそ
共に行こう。この果てない道を」
「愛してるよ、〇〇」
「私こそ」
2人の影が重なった
共に往こう
1人ではできないことも2人なら超えられる
「ああ、それとだな
あの著者も最後のライブで踊っていたんだが、知っていたかい?」
「なに?いや、どういうことだ」
「何でも奥方が引退したウマ娘だってさ」
「何ぃっ!」
道は続く。何処までも
ただの夢から始まったネタ小説擬き
にも関わらず、多くの方に見ていただき、評価をしていただき、感想をいただきました
本当にありがとうございます
元々故人である私の知人がこのサイトにて小説を投稿していたのを知り、色々と書いてはみました
しかし、構想の甘さや誤字の多さには我ながら情けなく思っております
ご指摘いただいた方には御礼申し上げます
本来なら、あとがきとしようと思ったのですが、文量も少ないので此方に書かせていただく次第となりました
昨今、宜しくない世情ではありますが、皆様の御壮健をお祈りいたしまして、終わりの言葉とさせていただき
本当にありがとうございました