黄泉月と話をしてから数日程度の時間が経過し、僕にとっても会長と一緒にいるのが日常になってきた。自分でも慣れてきている自分が怖いと思いながらも…少しずつ受け入れ始めている。丁度この頃からある噂を聞くにようになった。
それはニ年生の華クラスで転校生が転入早々、ギャンブルで勝利を収めたという噂が。どんな生徒が転校してきたのか、どんなギャンブルで勝利を収めたのかは分からないが転入してすぐにギャンブルをするなんて随分と肝が据わっている人だ。
僕でも最初は少し驚いたし、慣れるまでに一日は掛かった。なのに転入して一日目でギャンブルをするのは素直に凄い。まあ、望んでやったのか、僕みたいに引けない状況を作られてギャンブルをしたのかは分からないけどね。
もし、引けない状況じゃないとしたら本当の意味で凄くて…ギャンブルを愛している人なのかもしれない。
「まあ、僕は関わらないからどうでも良いんだけどね」
--------
数時間後 ある部屋
「勝負は一瞬の油断で決まる事も多くあるから気を付けた方が良いよ」
僕は目の前に腰を下ろしている女性に向かって言った。彼女は感情だけでギャンブルをしてしまう時もある。それに負けそうになると感情が顔に出てしまう傾向にあるように見える。確かに自分の人生が決まるようなゲームで負けそうなのに無表情でいるのが難しいというのは分かるよ。でも、無表情でいることで相手を追い詰める事も出来たりする。
何故、僕がこんな状況なのかという話をしておいた方がいいかな。何でかと言うとそれは……目の前に座っている女性からギャンブルを申し込まれたから。何で僕を選んだのかに関しては分からないけど……選ばれた。
「……はい、分かりました。これからは気を付けます」
「そんなに萎縮する必要はないよ。僕は君に危害を加える気持ちはないしね。それに賭けた内容は無効で良いよ」
「そういうわけには!!」
「良いんだよ。それに君は5000万を賭けたけど今の君にそれを払えるとは思っていないし、もし払えたとしてもその後は『家畜』になってしまうでしょ?僕は別に君を家畜にしたいわけじゃないよ。只、久しぶりに誰の介入もないギャンブルをしたかっただけだからね。だから今回はこれでお開きにしよう」
普通の生徒だったら折角、勝ったのに何で貰わないんだと言うかもしれないけど僕は別にお金が欲しかったわけじゃない。久しぶりにギャンブルを味わいたかっただけだからね。
「…ありがとう……ござい…ます」
「君に同情するわけじゃないけど…何か困ったことがあるようだったらサポートするから連絡してね。僕に頼らないで済むのなら頼らない方が良いかもしれないけど……誰にも頼れないような問題が起こってしまったらその時は連絡してくれたらいいよ」
こんな事を僕が言うなんて僕もおかしくなった。他人を助けようとするなんて…僕も甘くなってしまったのかもしれないね。これが桃喰綺羅莉に知られたら何を言われるか分かったもんじゃないね。
「まあ、ギャンブルに運はほとんどないからね。知っている者、イカサマがうまい者、嘘を付く者が勝つのがギャンブル。無策で人にギャンブルを挑むのは丸裸の人間が剣を持っている人間に挑んでいるようなものだよ。挑む前に一度頭を回転させてどういう風に勝つのかを考えてから行動した方が良いかな。まあ、頑張ってみると良いよ。
応援しているよ、 皇さん」