High Scale D×D Revival   作:帰ってきたクフフのナッポー

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幾多の時計に囲まれた世界。そこでは緑色で縁取られた黒いローブで身を包んでいる男が本を読んでいた。

「この本によれば、この物語は煩悩がありすぎることを除けば普通の高校生『兵藤(ひょうどう)一誠(いっせい)』。彼が悪魔に転生し活躍する話…ではない。」

男は本のページをめくる。

「この物語はそんな兄を持った高校生『兵藤永斗(えいと)』の物語である。彼が紡ぐ物語の結末が、諸君らの知る原作(兵藤一誠の物語)に対して幸福(ハッピーエンド)に終わるか不幸(バットエンド)に終わるかは私にも分からない。」

男は本を閉じると同時に人一人が出入りできそうなドアが出現した。

「この物語の結末がどう向かうか。それをこれから見届けようではないか。」

男は立ち上がりそのままドアの向こうへと消えた


序章

私立駒王(くおう)学園。

学園と同じ名の町『駒王町』にある元女子校の小中高大一貫校であり、現在は少子化の影響で生徒数が減少したため男女共学となっている。

そんなこの学校の高等部では今3人の男子生徒が剣道部と思われる竹刀を持った女子達に追いかけられていた。一見すると男子生徒達が女子生徒達に虐められているように見えるこの光景。だが、この男子生徒達…松田、元浜、そして兵藤一誠は女子生徒達の着替えを覗き見してそれがバレたのであった。当然女子生徒達は覗き見した3人を許すはずもなく、彼女達は男子3人に制裁を加えようと追いかけているのであった。

そんな光景を教室から眺めている1人の男子生徒がいた。

 

「また兄さん達が追われてるよ。いったいいつになったら覗きが犯罪だって分かるのかな?」

 

男子生徒は覇気のない声を出し虚空を見つめているような目をしている彼の名は兵藤永人。校舎の外で絶賛追いかけられている兵藤一誠の11カ月後に生まれた実弟だ。まるでこの世の全てに嫌気がさしているような彼に対してどこからか男の声が響いた。

 

〈さぁな。まぁ、バカにつける薬はないとかバカは死ぬまで治らないとよく言うから死ぬまで治らないかもな〉

「ハハ、飛彩(ヒイロ)は相変わらずだな」

 

永人は聞こえてきた声の主に対して小声で返事をする。すると更に3人の男らしき声が聞こえた

 

〈あんなクズのことなんか気にするな。するだけ無駄だ〉

〈そうそう、あんな行動してればいずれツケが回って苦しむのはアイツだ。ほっとけほっとけ〉

〈お前たち!私のクリエイティブな時間にあんなろくに掃除されていない公衆トイレより汚れた男の話をするなァ!ヴァハハハハハ!〉

「うん、黎斗(クロト)は一旦寝て精神面をリセットしようか」

 

話しかけてきた1人のテンションの異常さに苦笑しながら永斗は()1()()()()()()()()()()()去りバイトに向かうことにした。

 

永斗に話しかけてきた4人の男達。飛彩、大我(タイガ)貴利矢(キリヤ)、そして黎斗。彼ら4人は永斗が8歳の時に経験した交通事故の精神的なショックによって生まれた人格であった。

ルックスが良く甘党な飛彩。態度が悪いところがあるが根は優しい大我。ムードメーカーでノリを大切にしている貴利矢。ナルシストだが天才的なプログラミングの技術を持つ黎斗。皆永人にとってかけがいの無い存在であり、それは彼らも同じであった。

 

バイトに行く前にいったん家に帰ろうと下駄箱に向かう永斗だがそこで周囲の生徒が永斗と白い目で見ていた。

 

「見ろよ、兵藤弟だぜ。あいつもどっかに盗撮に行くんだろうな…」「いやだ、私彼の視界に入ちゃったかも!お嫁に行けないわ。」「あいつバイトしてるらしいけどきっと兄みたいにエロ本とかと買うのに使ってんだろうな。」

「はぁ、全くいい加減にして欲しいよ。兄さんにも周りの生徒にも…」

 

ため息を吐く永人。彼がこう言われるのも全て兄である兵藤一誠のせいであった。兄は「一つのことに誠実に」と書いて一誠と読むのだが普段の生活態度はその真逆。盗撮や覗き見、真昼間から教室にアダルトグッズを出すなどと問題行動の数々を行い、そのせいで無関係な永人にもあらぬ噂が立つようになったのである。

彼がバイトをしているのもゲーム好きな彼がゲームを買うための軍資金にする為と自分が大学に進学した時の学費の足しになるようにするためであり、決して兄のような目的は無かった。と言うより兄はバイトは全くしておらず、アダルトグッズを買うお金はどこから出しているのか謎であった。

親や教師達が注意しても内容が右から左へそのまま流れる兄と、『そんな影口を言うぐらいなら面と向かって自分や兄を罵倒してみろ臆病者ども』と周囲の生徒達に対するストレスが溜まっていく中で、彼は重そうな本が何冊も載っている台車を2人がかりで押す女教師と男子生徒の姿が見えた。

 

「おーい、木場くん、仮野先生!大丈夫ですか?」

「あ、永斗くん。ちょうど良かった。悪いけどこれを旧校舎にある僕達の部室に運ぶの手伝ってくれるかい?」

「あ゛ーーー!この本重すぎーー!兵藤くん助けてー!」

「ハハハ、はい。僕でよろしければ」

 

永斗は声をかけた男子生徒…木場(きば)祐斗(ゆうと)とその横で女性が出してはいけない声を出してる女教師…仮野(かりの)明日那(あすな)に助けを求められた永斗は苦笑しながら2人を手伝うために一緒に台車を押すことにした。

 

永斗と木場は去年のクラスメイトであった。木場は欧州人の血を引いているらしく、それ故に王子様のような容姿を持ち、それでいて性格や学業も良い彼は女子生徒の人気者であり、兄のせいで女子どころか学校中の生徒達から嫌われている永斗とは正反対の立ち位置であった。だが、グループ学習の授業で2人が同じグループになると自然と気が合い永斗にとっては学校内で雄一の友人となった。

 

仮野はこの学校の音楽教師であり、性格は真面目で冷静、気が強くしっかり者。だが時折先ほどのようにどこか無邪気さを感じられる彼女の素と思わしき部分を見せるが、『そのギャップが良い!』と感じる生徒から人気がある。また、以前永斗に対し陰口を言っている女子生徒を見かけた時には、永斗の味方になってくれたのだった。

 

そんな2人の手伝いをしながら永斗は台車の上の本が表紙を見る限り古代ギリシャ関係であることが気になった。

 

「2人とも、これらの本って表紙を見たところだと古代ギリシャの歴史に関する本ばっかりだけどこれって部活のオカルト研究に関係あるの?これじゃオカルト研究って言うより考古学とかって感じがするけど」

「やっぱり一見すると関係性がないように見えるよね。けど、歴史を遡れば遡るほど今で言うオカルト、つまり神様とかおまじないとかは人々の生活に密着していたからね。自然とギリシャ神話とかを調べていくと資料もこうなってくるのさ」

「ヘー、そうか。そう言えば日本も卑弥呼の予言で栄えた邪馬台国とかあるし、木場くんが言うようにオカルトと歴史って繋がってるのかもね」

「2人とも仲良しなのはいいけど台車押すのも頑張って…」

 

 

 

木場が所属し仮野が顧問を務めてるオカルト研究部は木造の旧校舎にあり、部長にはリアス・グレモリー、副部長に姫島(ひめじま)朱乃(あけの)、部員に塔城(とうじょう)小猫(こねこ)と木場といった駒王学園の有名人の4名と幽霊部員1名と仮野と2人の顧問の計8名で構成されている。しかし、彼女達はただの学生ではない。顧問を除くオカルト研究部のメンバー全員が悪魔であり、オカルト研究部はいわばリアスをトップとした悪魔の小さな巣窟でもあった。

そんなオカルト研究部の部室ではリアスがパソコンで学校に提出するオカルト研究部の定期レポートをまとめており、残る2人はレポート用のポスター制作をしていた。

 

「『以上のことから古代ギリシャ人にとって神々の存在はとても密接であったとされる。』っと、どうラブリカ、レポートの内容はこんな感じでまとまってるかしら?」

 

リアスはラブリカと小太りの男性に声をかけるが当の男性は眉間にシワを寄せていた。

 

「ええ、これで問題ないかと。しかしねリアスくん。学校内では私のことは、高等部の国語教師である天ヶ崎(あまがさき)(れん)として接しないと何度言えば気が済むのだね!」

「ご、ごめんなさい。部室だから問題ないと思ったのよ」

「全く、『壁に耳あり障子に目あり』と言うようにいつ何処で情報が流出しているかも分からないのですよ。特にこの『故郷から離れた人間の世界(この土地)』でも『悪魔の世界(貴方の故郷)』でも人気者である貴方に関しては、そこら辺は気をつけるべきですね!」

「まだまだリアスは未熟なんだ。少しは大目に見てやれ恋」

 

男…天ヶ崎恋からの注意を受けて萎縮するリアスをフォローする様にスポーツウェアを着た男が口を開いた。

 

龍崎(りゅうざき)。しかしですね…」

「一々そんな細かいことを注意していればストレスでまともな業務が出来なくなる。それに今はそんなことを気にする場合ではないぞ。2年の問題児が堕天使と思われる女に狙われている。恐らく神器がらみだろう」

 

龍崎と呼ばれた男からの情報で部室の空気に緊張が走った。

何も知らない人間が聞けば首を傾げる内容だがこの部室内のメンバーにとっては話が違った。朱乃と小猫はリアスの方に顔を向ける。彼女の顔は先程までの注意されてタジタジになっていた少女の顔から一転、歳不相応な鋭いものとなった。

 

龍崎(グラファイト)、その堕天使らしき女と問題児の具体的な特徴を教えてくれる?ラブリカは、その問題児のプロフィールを回して。私の使い魔に警護されるわ。朱乃と小猫は町内に他の堕天使或いは不審者がいないか調べて。最低でも2、3名ほど仲間がいるはずよ。あとで祐斗が戻ったらそっちに回すわ」

「「「「了解」」」」」

 

リアスの指示にその場にいた全員が頷き各々が作業を切りのいいところで切り上げて、グラファイトが情報をその場にいる全員に情報を伝えた後彼以外部室から出て行った。

それから5分ほどして木場と仮野が本を持って部室にやってきた。

 

「部長、頼まれた資料をお持ちしました。ってあれ?みんなはどうしたのですか?」

「祐斗、明日那(ポッピー)。戻ってきて早々に悪いけど、堕天使がうちの生徒を狙っているみたいなの。すまないけど今から新しい仕事を頼むわ」

「全くリアスさんは人使いが荒いんだから。でも生徒を守るためなら私頑張っちゃうよ〜!コスチュームチェーンジ!!!」

 

リアスからの頼みを聞いた仮野は少しダルそうな顔をするものすぐさまテンションが高くなりその場で一回転。するとスーツ姿の女教師だった彼女がピンクの髪にカラフルなコスチュームといったまるでアイドルやゲームのキャラクターのような姿へと変身した。

 

「ジャッジャーン!ポッピーピポパポ、只今参上!」

「相変わらずその姿になるとテンション高くなりますよね仮野先生…」

「まぁ、こういった明るさが彼女らしくていいんだけどね。さて、祐斗は朱乃と小猫と合流して町内に堕天使及びその協力者を探して。ポッピー、貴方は町内の監視カメラなんかの記録を調べて。」

「分かりました部長。」

「了解ー!どんなに強固なセキュリティや巧妙な改竄でも私の目からは逃れられないよー!」

 

リアスの指示を受けた木場は町へ、仮野改めポッピーは部室に備え付けてあるパソコンで町中の監視カメラや各種防犯システム等へのハッキングを始めた。

一方リアスはリアスで、今回の堕天使の駒王町への侵入が彼女の確認ミスではないのかの確認。それと並行して上層部への報告書と堕天使側への抗議の文章の作成に取り掛かった。

が、そこで彼女はふとあることを考えた。

 

「今回の一件は龍崎(グラファイト)がいてくれたから早期に分かったけど、もしもグラファイトがいなければ、いやそれ以前に私が()()に出会って教えを受けていなかったらどうなってたのかしら?」

 

彼女がいう先生とはリアスが幼少期からこの人間界に来るまで間に家庭教師として彼女を指導してくれた人物である。学問や礼儀作法だけでなく、今彼女が行なっている土地の統治や政治にまつわる事や、更には戦闘面でも指導してくれた恩師であった。丁度リアスが人間界に行く前にどうしても外す事ができない仕事ができたらしく、代わりにグラファイト、ラブリカ、ポッピーの3名をリアスのお目付役として残して、その後の連絡が途絶えていた。

リアスは筆を進めながらもそんな自問自答に対して、

 

「きっと象徴(アイドル)としては一流だけど、上に立つ者()としては三流どころか有名バラエティ番組に例えるなら映す価値無し(無能)と称される存在になってたかも。」

 

と自分のことながら厳しい評価を下していた。

 

 

 

一方、祐斗と仮野の手伝いを終えた永斗は2人からお礼にとお茶に誘われたがバイトがあるので断り校門まで歩く。すると、そこに携帯ゲーム機で遊ぶ高校生くらいの顔立ちが良い青年がおり、女子生徒達からの注目を集めていた。永斗はその青年と面識があった。

 

「あれパラド、なんでここにいるんだい?」

 

青年の名は『パラド』。永斗と同レベルの凄腕ゲーマーであり、ある日突然ゲームセンターで永斗に勝負を挑んではいつの間にか意気投合した友人であった。

 

「お前が行っている学校ってのがどんなモノか気になってな。にしてもここは俺の心を滾らせまくる場所だな。なぁ永斗、ここ辞めてずっとゲームしていた方がよっぽど有意義だと思うぜ。」

「『心が滾る』ってお前がイラついている時の口癖だったよな?まぁさっきから客寄せパンダみたく女子に見られたら少しイラつくかもしれないかもしれないけど、パラドも自分の学校じゃ同じような感じじゃないの?」

「『自分の学校』か…そんなのどうでもいいよ。それより永斗、今から一緒にゲームをしにゲーセンに行かないか?」

 

学校の話題を振られてるパラドだが『そんなこと知ったこっちゃない』と言わんばかりにすぐに永斗をゲームセンターへ誘う。数少ない友人からの誘いに満更でもない永斗だが今日は既に予定があった。

 

「ごめんパラド。今日はこれからバイトなんだ。ゲームはまた今度な。」

「そうか…。じゃあ次誘った時は絶対にゲームしようぜ!絶対だぞー!」

 

誘いを断られたパラドは残念そうな顔になるも、大声でゲームの約束をして走り出していった。そんな友人の様子を、まるで幼い子供を見守る親のような気持ちで彼を見つめ家路についた。

 

 

 

一方その頃、他校の女子生徒天野(あまの)夕麻(ゆうま)に告発された一誠(イッセー)は弾むような足取りで家路についていた。その理由は念願のいわゆるリア充と呼ばれる存在になれたことではない。

 

(ついに夕麻ちゃん、いやレイナーレの奴が接触してきたか。ってことはいよいよ俺のハーレムライフ再開だぜ!なんで、タイムスリップしたり俺の家族に弟がいるのか分からないけど、そんなことよりハーレムだ!安定のリアスの悪魔オッパイに朱乃さんの大ボリュームオッパイ。小猫ちゃんのチッパイにアーシアの聖女ッパイも捨てがいけど、ゼノヴィアやイリナのエクソシストオッパイやロスヴァイセさんのヴァルキリーな女神オッパイもいいよな〜)

 

そう、彼はいわゆる前世の記憶とも呼べるようなものを持っていた。その記憶では彼はリアスの眷族悪魔となって目覚ましい活躍をし数々の栄光をその手にし、夢だった美女達によるハーレムを作り子宝にも恵まれ悪魔としての生活を満喫していた。はずだった。

気がついたら彼は記憶はそのままで体が幼少期に戻っていた。さらには自分に弟ができていたりしたが、幼馴染のイリナが海外に引っ越すなどの大まかな事柄が前世の記憶と変わりがなかったため特に気にすることなく日常を楽しんでいた。

 

(にしてもこれから悪魔に転生してレイナーレにライザー、コカビエルとかをぶっ飛ばしたり、禍の団(カオス・ブリゲード)と戦いつつ都合よく利用されているオーフィスを助けたりと大変な日々が待っているんだよな…ま、前みたいにコツコツと努力すればいいか!才能がない俺だってあんなに頑張れたんだ。未来の知識があれば楽勝楽勝!)

 

まるで一度クリアしたゲームの2周目を始めるかのような感覚で今後のことを考えている一誠。だがこの世界はお菓子でできた夢の国のように甘くはない。

 

とある王が若き日にこんな言葉を残している。

 

『時計の針は、未来にしか進まない。ぐるっと一周して、元に戻ったように見えても、未来に進んでいる。』

 

この言葉は未来への可能性を信じるその王のポジティブさを表した一言。しかし、この言葉はこうも解釈できる。

 

『時間は巻き戻ったとしても、全く同じ未来に進むとは限らない。』

 

果たしてこれから始まる物語の結末はどうなるのか。それは人は愚か神々にも分からない。

 




※本文で某最高最善の魔王について触れていますが、現段階では彼の登場予定はありませんのでご了承ください。

さて、リメイク前は結構あっさりと言いますか所々抜けている部分が多くありましたが今回はできる限りスカスカな部分をなくせれるように頑張ります!
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