逆さに吊られたトレーナーさん 作:小説を読み漁る程度の能力者
その日、
といっても、彼女は毎朝この学園に通うウマ娘達に校門前で挨拶をしているため、そこにいることには何もおかしなことはなかった。
しかし時刻は午前8時54分。朝のHRはとっくに終わり、各教室で座学が行われている頃であり、たづな自身も学園理事長秘書として
ではなぜ校門前を陣取っているかというと、もちろん仕事である。彼女は今日から赴任する新人トレーナーの出迎えと、学園内の案内、諸々の説明を理事長から仰せつかっていた。
(予定では、9時頃に到着するとのことでしたが…)
たづなは、そろそろ件の新人トレーナーが姿を現す頃かと軽く辺りを見回した。と、すぐに道の先からこちらに向かってくる人影が見えた。おそらくその人影がそうだろう。時間ぴったりだ。
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「現在時刻は9時ジャスト。うんうん、予定通りだね~。ギャハハハ☆で、アンタ誰?」
開口一番そんなことを言い出した人物はトレーナーという人相には見えなかった。
青を基調としたYシャツとズボン、ジャケットを着てはいるが、上から白衣を羽織っており、トレーナーというより、研究員に見えた。しかし、身長は190cm程はあろうか高く、筋骨隆々とした体格をしており、万人がイメージするような研究員にも見えなかった。しかも顔つきは軽薄さがあり無精ひげの伸びる、チンピラ感のある強面であった。たづなはビビった。
「えっ…と…。」
「あらら?下っ端まで話が行ってないのかな~?今日からここで働く野原なんだけど、ちゃっちゃと理事長のところに案内してくれない?警備員さん?ギャハ♪」
そう言って男が懐から書類をたづなに見せてきた。その書類を認識して、ようやくたづなは硬直から脱した。
「あ、貴方が新しい、トレーナーさん、なんですか?」
「なんだちゃんと話は通ってんじゃない。そうだよ~☆だから早く理事長のところに案内してよ。警備員さん。ギャ~ハハ♪」
「い、いえ、私は警備員ではなく、理事長秘書の駿川たづなです。」
しどろもどもになりながらも、新人トレーナー(予定)の書類の確認と自己紹介を行うたづな。
「おっとと、こいつは失敬。理事長秘書殿でしたか~。じゃ、改めてトレーナー希望の
「あ、はい。宜しくお願い致します。野原さん」
男、野原に対して最初は圧倒されていたものの、すでにいつものにこやかさを取り戻したたづなの胆力はさすがの一言であった。
「それでは、初めに理事長室へ案内しますね。その後、各施設への案内と説明をさせていただきます。」
「はいはいっと。よろしくお願いしますね。理事長秘書殿☆ギャハハハハハッ」
喋る度に騒々しく笑う目の前の男に苦笑するしかないたづなであった。
もう二度と主任が登場しなくても、ACの新作が出るって信じてる。