逆さに吊られたトレーナーさん   作:小説を読み漁る程度の能力者

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始めましょう。私は戻ってきたのよ。(お待たせしました。)


どうも、庶民派デス

「ちょっとちょっと、そこのお方。少ーしばかし協力してくれませんかね?」

 

選抜レースの観戦のためたづなと別れ、練習場へ向かっていたトレーナーは一人のウマ娘に声を掛けられていた。

 

「えーっと、あなたですよ。ものすごく背が高い白衣の方ー。」

 

が、こいつに声かけるのはやめとこ、と誰もが思うような外見をしていることを自覚しているトレーナーはそれが自分に向けての協力要請だと思っていなかった。歩を緩めずに通り過ぎようとしたが、流石に背が高くて白衣を着ているのはこの場に己しかいない為、歩みを止めた。

 

「俺に言った?」

「ですです。これからここに来る人たちに『ネイチャ?見てないですね~。』って答えてくれるだけでいいのd「あ、ネイちゃんやっと見つけた!」…げ…。」

 

そうこう話しているうちに見てなかったことにしたい人達が到着してしまったようだ。

ウマ娘と言えど、年頃の少女に違いない目の前のウマ娘の友達にしては、今しがたやって来た集団は若いとは言えない。むしろまぁまぁいい年だ。だが、両親の友達だとするには、そのウマ娘とは距離感が近い。一瞬で会話から爪弾きにされたトレーナーは、そんな妙ちくりんな応援団と目の前のウマ娘を観察していた。

 

「―ああ、ごめんね。話しかけたのにほったらかしちゃって…」

 

彼女の脚質を予測する為、トモ(太もも辺り)を凝視している間に応援団との会話は終わったようだ。

 

「ネイチャ?イヤ〜、ミテナイデスネ〜。」

「いや、それはもういいから。って、その襟のバッジ…、もしかしてトレーナーさんです?」

「トレーナー?イヤ〜、ミテナイッスネ〜。」

「…もしかして、ほったらかしだったこと怒ってます?」

「いや別に。ナハハ☆で、質問の答えだけど、今日から赴任の新人トレーナーだよ。よろしく☆」

「うわ、まじか…。せっかくトレーナーぽくない人に声掛けたのに…。アハハ、ナイスネイチャでーす。一応今日の選抜レース走るんでよろしくお願いしまーす。」

「走るのを楽しみに待ってるから逃げるなよ?ネイちゃん。ギャハハハハッ☆」

「ネイちゃん言うな!では、そーいうことで。」

 

そう言い残してウマ娘・ナイスネイチャはコースへと去っていった。

 

 

~~~~~~~~~~

 

 

そして選抜レースが始まった。

 

トレーナーが練習場についたころには、観客席は他のトレーナーや応援のウマ娘たちで賑わっており、仕方なく少し外れた芝生に腰を下ろし走るウマ娘を見ていた。

 

 

「やっぱりいいねぇレースってのは。」

 

レース場で見るレースと比べると、一人一人の実力は決して高くはない。それでも、負けてなるものか、1着を獲るんだという気迫は負けていない。その可能性を感じさせる雰囲気にトレーナーは自然と口角が上がるのを感じていた。

 

「ま、まだまだゴミムシみたいなもんだけどね。ギャハハッ」

 

それでも、今の状態でも卓越した才能を持っている者はいるもので、今しがた一着でゴールしたウマ娘、トウカイテイオーはしなやかな走りでトレーナー達を魅了した。早速たくさんのトレーナーに囲まれスカウトを受けている。

その次のレースで先ほどのウマ娘、ナイスネイチャが出走するようだ。

 

「さあ、見せてみろ。お前の力をさ。」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

『さあ、第4コーナーを曲がって最後の直線!先頭はいまだ変わらず―』

 

『ここで上がってきたナイスネイチャ!一気に差を詰めます!』

 

『しかし、惜しくも届かず!!ナイスネイチャ、3着でゴールインッ!!』

 

 

 

「…へぇ、なかなかやるじゃない。それなりにはさ。ん~、決ーめたっと。ギャハハッ!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ふぅ。…ま、こういうオチですよねー。踏ん張ってみても3着、…か。………。」

 

「ギャハハハ、ちゃんと見てたよルーキー!なかなかやるじゃない?」

「うわっびっくりした!…なんださっきのトレーナーさんか。」

「今暇?じゃあさ、俺にスカウトされない?☆」

「…へ?」

「スカウトだよ。ス・カ・ウ・ト。ていうか、もう決まりね!お前は俺が面倒みるから!ギャハハハッ!!」

「ちょっ!?待って!いやありがたいけど、むしろ願ったり叶ったりだけど!え、ホントにアタシでいいの?3着だったの見てたよね?」

 

急に横に現れた大柄な人影にネイチャがびっくりしていると、あっという間にスカウトから加入までが決まっていた。その急展開をストップさせて、ネイチャはトレーナーにそう尋ねた。

 

「いやほら、テイオーみたいにすごいキラキラした走りしたわけでもないし、結果3着だったし。なんなら、さっきの勢いでテイオーにアタックしてくるのが普通じゃない?」

「生憎俺は普通じゃなくてね。ギャハハッ♪……それに」

「…っ!」

 

一瞬前までのおちゃらけた言動が急に冷め、真剣に自分に向き合い、見据えるような眼に変わったその男は言った。

 

「負けたとはいえ最後の直線、末脚は見事なものだった。レース運びや読みはこれから学べばいい。お前は十分力がある。認めよう、お前の力を。素晴らしい素質(ナイスネイチャ)か。いい名前じゃないか…。」

 

その眼は厳しくも優しい光を湛え、まるで父親のような、あるいは商店街のおじさん達のような、応援する、見守るような眼差しに思えた。

 

「そ、そう…。じゃあ、よ、よろしく?」

「ギャハハッ、こちらこそよろしく。ネイちゃん!」

「ちょっと?名前ほめたんだから(もじ)んないでよ!」

 

こうして、トレーナーの担当ウマ娘第一号が決まった。




学年と実際の競走馬の整合性が取れなくて、いいいいい~~~ってなってました。orz
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