逆さに吊られたトレーナーさん 作:小説を読み漁る程度の能力者
選抜レースから一夜明けた日の午後、座学の時間終了を知らせるチャイムが鳴り、ネイチャは約1時間座りっぱなしだった体を伸ばした。
「ふい〜、終わった終わった。さーてと、トレーナー室行かなきゃ。」
昼には既にチーム加入書類を提出し終えたネイチャは、チームのトレーナーにトレーニングをつけてもらうべく、彼の元に赴く予定であった。
と、その時
ガララピシャーーン!!!
「ネイちゃーーん、トレーニングの時間だよーーー!ギャーハッハッハー」
もの凄い勢いで教室の扉が開かれ、大柄な犯罪者顔が現れた。
………………。
「あれ、なにか問題?」
ネイチャは思った。問題しかないと。
元来ナイスネイチャは目立ちたがり屋な性分ではない。人付き合いは実家のこともあって得意だと自負はしているが、クラスメイト全員と友達になりたいだとかは望んでいない。
今の状況はどうだろう。襟のトレーナーバッジ以外にトレーナー要素皆無な男が、ネイチャを名指ししてトレーニングに誘っている。よっぽど勘が鈍くない限りこの二人が無関係だとは思わないだろう。非常に悪目立ちしていた。
「ちょいちょいちょい、トレーナーさんや。あとでちゃんと行くからトレーナー室で待っといてよ。」
とりあえずちゃっちゃとトレーナーに退散願いたいネイチャは、ここで騒げば余計に目立ってしまうと考え、冷静に事を収めることにした。
「あ、そうなんだ。」
よかった。納得してくれたらしい。そう思い、ネイチャは内心で完璧な対応を行った自分自身に称賛を送「そりゃ無理だ!申し訳ないけど!」そうは問屋が卸さなかった。
そう
バチン!と男の内側から音がした。
「ぎゃああああーー!」
「ギャーーハハハハーー!」
二つの絶叫が重なる中、トレーナーは地面に激突する前に壁を蹴り、落下の勢いを殺して慣れた動作で着地し、そのまま走り始めた。
「はっ!アタシ生きてる!」
「早くしないと皆もう集まっちゃうからさ!」
「いや、訳わかんないから!なんで窓から飛び降りて何ともないの!ていうかアンタ足早いな!
そして、トレーナーは人ひとり抱えているとは思えない速度で校庭を駆けていく。行先は練習場である。
ネイチャとの水族館デートで、イルカショーで水ぶっかけられた際の悲鳴が彼女らしくて好きです。(後方トレーナー面)