パレードを終わらせない   作:スターク(元:はぎほぎ)

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 明日のA(エース)は君だ!って最終回でテイオーに言わせようかな(言わせない)

 あとなんか「手応え無く書いちまったな」って回に限って閲覧数が微妙に伸びるんだけど、もしかして短い方が読み易かったりするのか…?


Aを決める場所

「あのっ、理事長~!台に乗って頂かないと、お姿が……」

「むっ、そうであった!失念、失念ッ」

 

 そう聞こえて出て来たのは、猫。答弁台の向こうでゴロニャンと鳴く。

 

「理事長、背伸びを!まだ足りてません!!」

「謝罪ッ!これ以上伸ばせん!」

「ああもう、致し方ありません!」

 

 駆け付けたのは駿川たづな。理事長秘書が急ぎ持って来た新たな台を差し出されて、彼女は漸くその顔を見せる事に成功した。

 猫を頭上に乗せた、まだ幼い、しかし凛とした光を瞳に宿す女性。この学園を取り仕切る、秋川理事長その人である。

 

「…よし、これで良いな。では改めて!」

 

 吸った息は、次に紡ぐ言葉を歴史へと刻む為に。

 

「提言ッ!トレセン学園理事長の名において、ここに…」

 

全ては、地を駆け抜けるウマ娘達の青春の為に。

 

 

「新レース、“URAファイナルズ”の開催を宣言するッ!!!」

 

 

 

 

ーSide:Thirdー

 

 

 

 

 理事長の話を要約すれば、まぁ何て事はない。単純に新しいレースを設ける、複雑な事は無くただそれだけの事。

 ……なのだが。

 

「規模が大き過ぎる…」

 

 凱夏の耳に聞こえてきたのは、隣の列で呟いたトレーナーの声。

 そう、予想される参加人数が多過ぎるのだ。

 悔しい思いをした?ああ、その通りだ。

 ただの敗北ではなく、そもそも出る事が出来ないレースの屈辱。憧れの栄光、しかし適性などによる絶対的な壁。力を出し切れず、或いは出す事すら許されずに終わる夢。

 この界隈じゃよくある話。理事長は、どうやらその現実を破壊するつもりらしい。

 “全ての距離”と“全てのコース”を用意し、“全てのウマ娘”が輝け得るレースを、作るつもりなのだと。

 前を見れば、西崎リョウも東条ハナもポカンとしていた。それだけ突飛で、そして夢のような話だったのだ。

 

 が、その表情も一瞬後にはギラギラした笑みに取って代えられる。

 

「初代チャンピオン…スピカの皆なら…!」

「…面白いじゃない。予定を練り直さなきゃね」

 

 二人とも根っからのトレーナー気質だ。それ故に、担当ウマ娘を勝たせてやりたい気持ちは尋常ではない。

 そして、それは凱夏の後ろも同じ事。

 

「大丈夫です、ミークならやれる。寧ろミークの為にあるようなレース、絶対に勝たせてみせる…っ!」

 

 密かに両手を握り込んで気合を入れる桐生院。しかしそんな三者に挟まれた凱夏はと言えば、彼等に反して気乗りしていなかった。

 示された日時。それが本当に…

 

(本当に、都合が悪いんだよなぁ)

 

 3年後の1月下旬、それがこのレースの予選開催日。断言できる、自分はそのレースを見る事は出来ない。

 ……だが、同時に好機とも言えた。

 視線を向けたのは、生徒が並ぶ列。そこには、目を輝かせて壇上を見上げるポニーテールの少女。

 見るからにやる気満々のテイオーが、凱夏の視界に入る。

 

「…やる事、増えたな」

 

 諦念と覚悟を滲ませた言の葉が、吐息混じりに宙に消えた。喧騒に吞まれた周囲の人々は、終ぞそれを知る事は無かった。

 

 

〜Side:テイオー〜

 

 

「URA、ファイナルズ……!」

 

 興奮が冷めない。さっき体育館で聞いた理事長の話が、今も耳の中で木霊していた。

 理事長の話そのままとすると、間違いなくトゥインクルシリーズ最大のレース。もし本当に執り行われるなら、きっと三冠レースや有馬すら凌駕する盛り上がりを見せるだろう。

 そこで決まるんだ。この国で最も強い、現役最強のウマ娘が。

 

「貴女も存分に燃えてらっしゃるようですね」

「マックイーン」

「全ての距離というなら、勿論3000m級の部門も用意される筈。ステイヤーの面目躍如ですわ」

 

 教室への帰路で、隣のライバルも闘志を滾らせている。そっか、マックイーンは長距離かぁ。

 

「ボクは一番得意な中距離になるかなぁ。マックイーンとは噛み合わないかもね」

「ご不満があるようでしたら、貴女が此方に来れば良いのです。もしくは、私がそちらに行って叩き潰して差し上げましょうか?」

「なにおう!凱夏に3年間教えられたボクなら、長距離含めた全距離制覇しちゃうもんねー!」

 

 

 

「凱夏」

 

 ふと聞こえてきた声に振り向けば、そこには綺麗な白毛の同学年。

 

「ミークじゃん」

「凱夏を知ってるの?」

「え、あっうん」

「チームスピカのサブトレーナーで、このテイオー達の仮専属の方ですわ。私も時折指導してもらっています」

 

 要領を得ない質問に、ボクもマックイーンも素直に答える。えっ、何?知り合いなの??

 

「テイオーの…仮専属」

 

 鋭くなった目つきに、思わず寒気がした。ボク、ミークに何かしたっけ?

 そんなボクの思いを他所に、次にミークはこう告げた。

 

「決めた。私も中長距離中心でいく」

「えっ」

「うん、私のトレーナーもその方針だったし丁度良かったーーーそしてテイオー、あなたに勝つ」

 

 それは宣戦布告だった。理由は分からない、でも確かにそこにある熱意がボクへと向けられている。

 何これ。一体何?戸惑うしか無い。

 

 ーーでも。

 

「……面白いじゃん!」

 

 戸惑いを、魂の熱が掻き消した。

 今決めた!ボクのライバルは2人。長距離はマックイーン、中距離はミーク。

 面と向かって指差されたんだし、こっちだって相応の熱意を返す権利がある。

 

「ボク、勝つよ。絶対に最強のウマ娘になるんだから、2人ともそのつもりでね!」

「…負けない。立ちはだかるならマックイーンだって倒す」

「なんで私まで!?……と言いたいところですが、私も同じ気持ちですわ。御二方、共に鼻っ面をへし折って差し上げます」

 

 3人の間で火花が散る。そうだよ、こういうのが無きゃ何も始まらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 この3人でURAファイナルズを競う。この時のボクは、その事を全く疑ってなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 辛くて苦しい。でも掛け替えが無くて大切な、ボクらの青春(レース)が始まる。




 次回、スペ編突入!食べ過ぎには要注意…

 ちな初アンケートです。特に意図は無いけど、誰が注目されてるかの指標になるかなって
 気が向いたらどうぞ

現状の中心人物杯

  • 1番、スキップ封印テイオー。爛漫保てるか
  • 2番、追っかけ後輩桐生院。半ばヤンデレ
  • 3番、確執スズカ。多分今後物議を醸す
  • 4番、因縁ミーク。これからに期待ですね
  • 5番、隠し事多杉内凱夏。皆に謝れ
  • 実況、マックイーン。ゴルシの被害者定期
  • 解説、ゴールドシップ。立ち位置どこだよ
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