パレードを終わらせない   作:スターク(元:はぎほぎ)

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 拙作のルドルフは

中等部入学

即デビュー

中二でクラシック無敗三冠

実績を見込まれて高校一年時点で生徒会長に当選

 という経歴を送っております。そして何かの間違いでジャパンCを勝ったまま無敗です
 っょぃ


次の番

「スペ先輩、日本ダービー大勝利おめでとう!乾杯!!」

「「「かんぱーい!!」」」

 

「……で。どうして貴女が仕切ってるんですよ?」

 

 え?だってボク未来のダービーウマ娘だし?

 という訳で、今夜はスペ先輩の祝勝会。いやぁ、凄いレースだった!本当に凄かった!!語彙力無くなっちゃうくらい凄かった!

 

「えへへ…皆が待っててくれたからですよ〜」

「特に最後の末脚、凄かったわね」

「アレは見事だった。見違えたぞスペ!」

「今度俺にも教えてくれよ〜!」

「ちょ、抜け駆けなんてズルいわよ!?」

「いやぁ…アレはただ教えてもらってなんとか出来る類じゃねぇだろ。なぁテイオー?」

 

 …うん。ゴルシ先輩の言う通り、あのスペ先輩の底力は、単純な技術とかコツとかの問題じゃないと思う。ただなぞっても、ごく一般的な末脚に留まっちゃうんじゃないかな。

 ボクもかなり注意してみてたつもりだったけど、真似できる気がしなかった。

 

「ていうか、そもそもスペ先輩本人だって、アレをもう一回やれって言われて出来る〜?」

「なっ!テイオーちゃん、先輩を舐めちゃいけません!スズカさんがゴールで待ってるのを想像すればいつでも出来ますとも!!」

「スペちゃんレース中にそんな事考えてたの…!?」

「いや無理だと思うぞ。ダービーという大一番の極限状態だからこそ出せた火事場のバ鹿力だろ、アレ」

「ギクゥ」

 

 トレーナーの言葉が図星だったみたいで、崩れ落ちるスペ先輩。あーあ、料理を沢山頬張ってたのも相まって夏場の雪見だいふくみたいになっちゃってるよ。

 

「ま、一回突入した“ゾーン”なんだ。練習でちょっとずつ定着させていけば良いさ」

「私達もその過程で盗ませてもらう、って形になるかしらね」

「よぉーし!やってやるぜェ!!」

「ゴールで待ってる人…やっぱり……うん、うん…」

 

〜〜

 

「あらあら。もう向こうは盛り上がってますわね」

「マックイーン」

 

 そんなこんなで盛り上がり始めた祝勝会。各々が料理を口に頬張りながら、やはり主役であるスペ先輩を取り巻いて主にゴルシ先輩とウオッカ先輩とスカーレット先輩が大騒ぎ。それに当てられてやはりテンションが上がり出したスペ先輩とそれを微笑ましげに眺めるスズカ先輩&トレーナー、って構図になった。

 で、ボク達はそれをさらに遠巻きから眺める図。何故かって?実は、そう浮かれてもいられない時期なんだよねボク達。

 

「マックイーンは混ざらなくても良いの?」

「貴女が混ざらない理由と同じですわよ。お互い、気を引き締めてかかるべき時でしょう」

「そりゃそうだ…って、え!?」

 

 ふとした瞬間に、頬に添えられた指がボクを驚かせた。え、何!?

 

「何って、ソースが口から溢れてましたので。もう少し綺麗に食べなさいな」

「食べ方ぐらい気にしなくて良いじゃんかぁ…」

「何が良いものですか。礼節というのは人の在り方を映す鑑であって、おざなりにして良い理由などありませんわよ」

 

 うわ〜!始まっちゃったよマックイーンのお嬢様モード。こうなるとボクにもう打つ手なんて無くて、一方的に説教されるがままだ。

 なんかもう、実家のじいやにソックリだもんマックイーン……。

 

「サーセン、遅れましたぁ」

「凱夏ァ!」

「ぐおぅふッッッ」

「あっ、テイオー!待ちなさい!!」

 

 説法の嵐から、これ幸いとばかりに逃げ場所に突っ込むボク。その場所とはもちろん、頼れるボクだけのサブトレーナー。

 

「どこ行ってたのさ、もう料理だって半分くらい食べ終わっちゃったよ!」

「待って……頭、鳩尾…入ッ………」

「おう凱夏君!ちょうど良かった、来てくれ」

「うい」

 

 ボクを引き剥がした凱夏はそのままトレーナーの隣へ。ああっ、置いてかないで。マックイーンが怖いんだ。

 

「ハイちゅーもぉく!これから大事な話をするぞォ」

 

 そんな時、トレーナーが喚起するように拍手。その瞬間、皆の空気が少し引き締まる。

 …“少し”な辺りが、スピカらしいというかなんというか。

 でもボクとマックイーンは別。きっとこれは僕たちに関わる話だから。

 

「スペは結果を出した。この勢いに乗って、今後のレースでもお前らに頑張ってもらう……その為に!テイオー、マックイーン!」

「「はい!」」

「お前ら来週デビュー戦な!」

 

 待っていた。やっと来た。

 マックイーンもそれは同じみたいで、目に見えない気炎がボク達の身体から立ち昇るみたい。

 トレーナーの言葉と時を同じくして、凱夏がPCを操作。ボク達のデビュー戦を含む、今後のスケジュールが壁に映し出される。

 

「…えー!?マジかよ!」

「いや、言われてみればそういう季節よ!もう6月だもの!!」

「懐かしいわねぇスペちゃん」

「あの時は『一週間後』とか急に言われて大変でしたよ…あっ今回もそうです!?」

「めでてぇなぁ!木魚ライブするわ」

「ここでか?!」

 

 驚愕、回顧、祝福。それぞれ違う、騒がしくも頼もしい反応に、ボクとマックイーンは思わず笑い合ったのだった。

 

 

 ボクがこの時期、入部から2ヶ月しか経ってない時期にデビューを決めたのは、ある理由があった。

 それが会長。ボクの尊敬するシンボリルドルフは、中等部で入学したその年からデビューして2年目で無敗の三冠を獲った。ボクはそれと同じ道を辿りたい、そうしなきゃあの人に近付くなんて出来やしない。

 それに、会長がトゥインクルシリーズに在籍できるのはあと3年だけ。今は生徒会長としての仕事があるからトゥインクルシリーズに留まってるけど、学園卒業と共にドリームトロフィーシリーズに移籍しないといけなくなる。そうなったら、ボクと会長が戦うのは先延ばしだ。いつになるか分からない。

 ボクは、会長と一緒に走りたいんだ。その為にも、1年だって無駄にしたくなかった。

 

 凱夏とトレーナーはボクのフォームの件で一瞬躊躇したけど、最終的にはボクの意見を通してくれた。彼等には感謝してもし切れないや。

 ちなみにだけど、マックイーンもデビューこの時期を選んだのはボクの影響もあるみたい。ヘヘッ、それでこそボクのライバルだよ。

 

「テイオー、マックイーン!たかが2ヶ月、されど2ヶ月!俺達はお前らに教えられるだけの事を教えたつもりだし、そしてお前らは俺達が教えてきた以上の物を得ている筈だ。その全てを、このレースで叩きつけてやれ!!」

「もちろん!ボクは最強のウマ娘、テイオー様だぞよ?」

「当然。メジロ家の悲願、お婆様の為、そして私自身の願いの為に。メジロの走りを見せつけて差し上げますわ」

 

 応えるように強い意志を込めて見返すと、トレーナーの側に控えていた凱夏の真剣な表情が見えた。その懸念を払拭してあげるつもりで、ボクはビシッとVサイン。

 

 さぁ、ここが本当のスタート。スペ先輩の走りで滾る心を、今全部燃やして臨む。

 無敵のテイオー伝説、いよいよスタートだぁ!




スペ「全身全霊はあげませんッ!」
テイ「よよよ…」

末脚のヒントレベルが1上がった▼



次はメイン世代2人のデビュー戦…ではなく閑話挟みます
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