凱夏とスズカが移籍する前のお話です
ドッタンバッタン、リギルンルン
「Oh Shit, Oh f ● ck. There're no hopes so I lost all of my power. American dream sank in the horizons of the Far East…」
「何があったんだい」
「会長さんかい。タイキがホームシックに
タイキシャトルが動かなくなったのは、ある晴れた晩春の日の事だった。季節の変わり目が災いしたのか、エアコンの効いた部屋で丸くなってそれっきり…になってしまったのである。
「タイキシャトルが待機状t」
「それ以上いけない」
「……すまない。しかしホームシックならば、故郷からの土産による回復は見込めないのかい?」
その問い掛けに、ヒシアマゾンは首を振る。方向は横。
「さっきから
「同室の娘は?」
「もう登校してるさ。その娘に迷惑が掛かる前になんとかしたい所だけど……」
「I am the bone of my Hamburger. Buns is my body, and patty is my blood. I have ate over a thousand potatoes. Unknown to Bilking. Nor known to Life. Have withstood pain to create many fast-foods. Yet, those hands will never hold anything. So as I pray, UNLIMITED HAMBURGER.」
「……厳しそうだな」
ハンバーガーまみれの結界でも展開しそうな呪文を聞いて、ルドルフは事態の深刻さを一層深く理解する。全てのウマ娘の幸福を謳う彼女は、沽券に懸けてこの事態に取り組まねばならない。
「しかしヒシアマゾン、私も君も今日の授業とトレーニングがある。今日はタイキシャトルが休みだという旨を関係者に伝達し、一先ずはおハナさんや凱夏君の指示を仰ごう」
「まずはそれしか無さそうだねぇ。ほらタイキ、ステーキ作ったから置いとくよ!朝ご飯はちゃんと食べるこったね!」
「Thanks……」
「タイキシャトル、無理にとは言わない。だがアメリカのご家族は、君が日本で元気に過ごす事をこそ1番にお喜びになるだろう。その事を忘れないでいてくれ」
「Yes………」
大盛りの皿を置いて、後ろ髪を引かれるような思いを抱えながらも部屋を後にする2人。残された布団の中からは、暫くすると啜り泣く声が漏れるのだった。
「という訳で、これから“タイキシャトル激励に向けた有識者討論会”を開催しまーす」
「どうしてこうなった……」
その日の夕方。全員が練習を終えた頃合いで、部室でテーブルを囲んでいた。
「有識者1人目。故郷アメリカに精通してるヒシアマゾン君」
「文化面と糧食は任せな!」
「2人目。同学年の代表的存在であるエアグルーヴ君」
「女帝を目指す者として、同級の迷いを晴らせるよう尽力する所存です」
「3人目。所属こそ違うけど頼れる寮長なフジキセキ君」
「手品の出番は無さそうだけど、ポニーちゃんの心を救うにはそれだけが能じゃないって示したい所だね」
「4人目。我らが生徒会長ことシンボリルドルフ君」
「お、おう」
「5人目。俺と一緒にいたから取り敢えず参加させたサイレンススズカ君」
「嘘でしょ……いえタイキは心配ですけど………」
「ちなみにマルゼンスキー君は療養旅行中の為、ナリタブライアン君は『いやそこは放っといてやれよ…』と言ってそれぞれ欠席となりました。残念ですね」
そんな風に全員の紹介を終えた司会者は、最後に佇まいを直してから言い放った。
「ではトレーナー業務で多忙なおハナさんに代わり、この俺こと牧路凱夏が司会・進行役として始めさせて頂きます。よろしくお願いします」
「「「よろしくお願いします」」」
「「待って待って待って」」
止めたのはルドルフとスズカだ。
「どした?」
「いや凱夏君、なんで私達でこんな会議を?同じウマ娘とはいえ所詮未成年の身、こういう件は大人も交えて慎重に事を進めたいのだが」
「バッカお前、こういう時に力合わせなくていつチーム力発揮すんだ。というか大人じゃ子供の情緒を取り零すのが常なんだから、こういう時は同じ子供の方が救い易いんだよ」
「そうなのか」
「そーなの。ちなみに放っておいたら会長権限と自費で強硬策しそうなお前に対する牽制でもある」
「むむっ」
実際、昨年度の三冠+αのレース賞金でなんとかする事も視野に入れていたルドルフはこれで沈黙せざるを得なくなった。続いてはスズカである。
「あの…私、本当に空気とか読めないので、役に立てないと思うんですが」
「一度乗った船なんだ、観念しなさいな。聞いちまった以上はお前も気になってるだろ」
「いやでも私」
「それにこのモヤモヤを抱えさせたまま放逐したら憂さ晴らしに勝手な走り込みをしそうなので、その意味でも自由にする選択肢は無い。却下」
「そんなぁ…!」
逃げウマ娘から逃げ道を絶った所で、会議再開。先刻の2人はともかく、ヒシアマゾン・フジキセキ・エアグルーヴは仲間を救おうとやる気満々であった。特に新入生で新進気鋭なエアグルーヴ。
会議は踊る。そして進むかどうかは、結果のみが教えてくれるだろう。
【作戦その1:病は気から、気は飯から!】
『腹一杯じゃ、消化するのに精一杯でネガティブなんて考えてる余裕無くなるさ。故郷の味で幸せになっちまえ!(発案者H.A.談)』
「ピザだッ!」
「ホットドッグだ!!」
「サンドイッチだ!!!」
「フライドチキンだッ!!!!」
「ロードロ……カルフォルニアロールだ!」
「食欲湧かないデース…
結果:失敗
食べてもらえないのは流石にどうしようも無かったね。更によく考えると、太り気味になる危険性があったし寧ろ失敗して良かったかもしれない。ちょっと食べて貰えたとはいえ、ヒシアマゾンにとっては残念な結果になってしまったけれど。
あっ、ちなみに残った食材はチームメンバーが美味しく頂いたよ。
【作戦その2:母さん譲りのデート術を見せてあげよう】
『迷っているなら導けば良い。私が彼女をエスコートしてみせるよ(H.K.談)』
「ポニーちゃん、君はどこに行きたい?」
「アメリカに帰りたいデース…他の場所なんて考えられないデース……」
「」
結果:失敗
そもそも外に出られる状況じゃなかった。フジ先輩もそれを察したから即座に引き下がったんだろうな。
しかし布団から出られないとなると、部屋の状況はどんどん悪化していく。その面も考慮しなければ……
【作戦その3:部屋改造計画】
『部屋の汚さは脳内の混沌と比例します。ここで部屋の空気を一転させる事で、タイキの内心に良い影響を及ぼしましょう(A.G.談)』
「タイキ、窓開けるぞ」
「良いデスよー…」
「タイキ、ここの本棚動かすぞ」
「良いデスよー…」
「タイキ、ここのゴミ捨てておくぞ」
「お願いしマース…」
「タイキ、この本は図書館に返しておくぞ」
「お願いしマース…」
「タイキ、洗濯物畳んどいたぞ」
「ありがとデース…」
「タイキ、彩りに花瓶を飾っておくからな」
「ありがとございマス…」
「ふう」
「スッキリしたようで何よりではあるんだが」
「タイキはどうしたの?」
「……あっ」
結果:失敗
部屋はとても綺麗になってたわ。うん、とても綺麗に。
問題は全部エアグルーヴがやっちゃって、タイキが関わらなかった事かしら……エアグルーヴもエアグルーヴで、途中から掃除に夢中で気付かなかったみたいだし。
可愛らしいわね。え?会長さんもそう思います?意見が合って嬉しいです。
【作戦その4:先頭の景色】
『走る気持ち良さを思い出せばなんとかなると思うんです。だって私ならなんとかなりますから(S.S.談)』
「………」パタパタ
「………」コンモリ
「………」パタパタ
「………」コンモリ
「………」パタパタ
「…スズカ」
「なに、タイキ」
「寒いデス」
「……ごめんなさい」
結果:失敗
走る=風を切る=風に当たる=団扇!
……という連想をしていたようだ。その発想は無かったし新鮮だったんだが、エアコン下という環境が大きな障害になったと見える。布団に籠るタイキを、更に縮こませる結果に終わってしまった。
しかしここまで難敵とは……マルゼンスキーと編み出した奥の手を使う時が来た、という事か。
【作戦その5:ウマい!ナウい‼︎秘蔵ダジャレ100連発】
『チョベリグに一気呵成!(S.R.談)』
「「「「「ダメです(S.R.以外の全員談)」」」」」
結果:未遂
なんつー事をしでかそうとするんだいこの皇帝サマは!タイキどころか三浦寮の全員が寒さで引き籠るところだったよ!?
でも、これでアタシ達は万策尽きちまった。あとはアイツだけだ……
【作戦その6:放置】
『オイなんで結局私まで参加した事になってんだ。寂しさぐらい癒えるまで待ってやれよ(N.B.談)』
結果:継続中。経過観察続行
1人きりの渇きが簡単に治る訳が無いだろ。しかも欠けてるのが“家族”と“故郷”だというのなら、私達じゃ埋め合わせようが無い。
だったら自分で決着をつけれるまで待つのが、私達のやるべき事じゃないのか?
……だが、アイツらの言う事も分かる。同じチームメイトなんだから何とかしてやりたいし、今のタイキは自分でケジメをつけられるようなコンディションじゃない。私の手法は所詮逃避だ。
チッ。アマさんでも手をこまねく現状、姉貴だったらどうするんだろうか……。
「何故だ…笑いは万病の薬の筈……」
「」
「恥ずかしい、恥ずかしい…」
「私ってほんとバカ…」
「ここまで手詰まりとはねぇ。でもゴメンなブライアン、巻き込んじまって」
「知るか。人事を尽くしたんなら天命を待てば良いだろ」
「……だね」
上からションボリルドルフ、白目の
彼女達なりの死力を振り絞っても、タイキを救うには至らなかった。その事が、全員に強い無力感と倦怠感を齎している。
「あと残ってるのは…凱夏君の策だったか」
「アニマルセラピーだっけ。動物園かな、それとも牧場かな」
「というかタイキがあの状態じゃそもそも連れ出せないだろ。フジのデート作戦もそれでダメだったんだし」
「確かタイキは牧場育ちの筈だ。あのレベルじゃなければ効果は見込めたんだろうが……」
「動物…昔スズメさんと一緒に追いかけっこしたっけ……ウフフ………」
「戻って来いスズカ」
「何してるんだ、お前達は」
「あっ、トレーナー!」
そこに入って来たのは、我らがリギルのトレーナーである東条ハナ。厳格な彼女を前に、一同は一斉に姿勢を正す。
そんな律儀な教え子達に苦笑の微笑みを送って、東条は扉の向こうから誰かを手招き。その誰かは、おずおずと入室し……
「「「「「タイキ!?!!?」」」」」
「…あはは、ハロー」
その正体で、全員を驚かせる事となった。
「どうしてだい!?今朝だって出る気配無かったのに」
「もしかして私達が鬱陶しかった?そうだったら本当にごめんね!」
「髪がボサボサじゃないか!そこの椅子に座れ、すぐ直してやる」
「えっと…大丈、夫?」
(言いたい事は皆が言ってしまったし、取り敢えず踊っておこう)
「えっ、ちょ、ハワワ」
「落ち着けお前ら!タイキが困ってるだろう」
「「「「「はい」」」」」
「うわぁ!いきなり落ち着くな!」
一頻りビックリしてから東条は仕切り直しとばかりに咳をして状況を説明し始めた。というかそうしないと場を収拾出来なかった。
「学園外での仕事の帰り、ふと三浦寮に寄ったら玄関先でモジモジしていてな。声を掛けたところ、お前達とどうしても話したかったらしい」
「なるほど、おハナさんも優しいなぁ。タイキが心配で寮を遠巻きに眺めてるだなんて」
「そっ、そういうのは今は良いだろうフジ!…さ、タイキシャトル。言いたい事は自分でちゃんと伝えろ」
「……ハイ」
おずおずと前に出て来たタイキシャトルに、いつものような溌剌さは無い。今も寂しさに押し潰されそうな様子で、しかし彼女は勇気を振り絞ってここに来た。ここに来て、口を開いた。
「アマサン。あの時の料理、デリシャスでシタ」
「…!本当かい!?」
「フジサン。デートのお誘い、嬉しかったデス」
「いやいや。寧ろこっちが感謝したいぐらいだよ」
「エアグルーヴ。花瓶の花、綺麗で元気をくれマシたヨ」
「……丹精込めて育てた一輪なんだ。力になったなら何よりだよ」
「ルドルフサン。家族の事、ずっと考えてマシた。そのお陰で今、踏ん切りがついたんデス」
「一念発起。君の起爆剤になれたならそれ以上の事は無い」
「スズカ。風、もう一度浴びたくてここに来ました」
「タイキ……!」
「ブライアン、貴方がワタシを放っておいてくれたんデスよね?そのお陰で落ち着けマシた、ありがとうございマス」
「……フン。例なら併走で返してもらうからな」
六者六様の試みへの謝意に、皆涙を零す。それは全員の努力が、想いがタイキシャトルに伝わっていた事への感謝だ。
決して一つずつでは届かなかった、でも皆が諦めず模索した。その集った尽力が、今も寂寥に震えるタイキの背を押す。
「ワタシ、頑張りマス…これからも、よろしくデス!!」
「当たり前だ!」
「ああ、よろしくねタイキ!」
「私も負けんからな!」
「一緒に走ろうね、タイキ…!」
「あぁそうだ、この光景こそが……」
「…フッ……」
リギルの輪が一つになり、ここに一つの絆となった。タイキシャトルは未だ全快とは言い難い、しかしこの仲間がいる限り挫ける事は無いだろう。
これにて、めでたしめでたし!
「と言うとでも思ったか?牧路ィ!」
「アバーッ!?」
「「「「「「「!?!!?」」」」」」」
一瞬前までの満面の笑みは何処へやら、東条ハナが鬼の形相で部室に引き摺り込んだのは、段ボールを抱えた白髪の青年。そう、牧路凱夏。
「サブトレーナーじゃないか。今までどこ行ってたんだい」
「いやぁ、お前らの策が全失敗した時の為の最終手段の準備に奔走しててな。さっき帰って来た所なんだ」
「1日業務をほったらかした言い訳がそれかしら?」
「ごめんなさい許してくださいマジでなんでもしますから!あと業務遅れは絶対に影響残さないよう調整出来ますから!!」
「調節出来るからサボっても良いだなんて、そんな訳が無いでしょう!いい、牧路君?これは貴方の管理能力が非常に高いからこそ……」
土下座する凱夏、鬼の説教モードに入る東条、そしてドン引きするウマ娘一同。そんな混沌とした状況の中で、次の瞬間にその空気を変える程の動きが起こった。
決して大きな動きではない。具体的に言うと、凱夏が横に置いた段ボールが少し動く程度。
ゴトッ
「…え?」
「あっ」
そう。
「ゑ」
誰かが口にした、間の抜けた感嘆符。それを
メェ
鳴いた。今度は鳴いた。
「凱夏君」
「なんだルドルフ」
「校則的には」
「アウト。だから秘密で頼む」
そしてソイツは、自分からその状態を見せた。
突き破られるフタ。白い、白い、フワフワの毛玉。
「メェェ〜」
子羊であった。それはそれは可愛らしい子羊であった。
「牧路君ンンンンッ!!」
「生産者許可取ってます!なんならここだけの話、理事長許可も取ってます!!違反したのは現行の校則だけですスミマセン!」
「それで申し開きのつもり!?学園内に動物を持ち込むってどういう了見よ!!!」
「タイキシャトルにはこれがベストだと思いました!」
「だからって貴方ねぇ……!」
トレーナー陣営は阿鼻叫喚。対するウマ娘陣営はというと、
「愛玩動物…ってコト!?」
「フジの語彙力が死んでるの初めて見たよ」
「そもそも経済動物だしな。いや愛玩動物も経済動物ではあるのか」
「メェ!」
「ねぇねぇこの仔ルナ見て鳴いた!ルナを呼んだ!!」
「会長、お気を確かに!」
「メェメェ」
「スズカァーッ!そっちに行ってはダメだァー!!」
此方も此方で地獄絵図。ツッコミが足りない。
と、そんな二足歩行者達に呆れたのかそれとも興味が失せたのか。子羊は首の方向を、煩い者達から別の物へと変えたのだった。
その向かう先には、未だ調子の戻らないタイキシャトル。
「…グメッ」
「は、ぇ?」
そのまま前足でタイキの脛を引っ掻くように抱き着くと、頬擦りして動かなくなってしまう。一先ずの居場所として、子羊がタイキの傍を選んだ証左だ。
戸惑いの瞳でチームメイト達の方を見る。乱心から自力復帰したルドルフ達が頷きで返す。
乞う瞳でトレーナー達を見る。凱夏をKOした東条から諦念と許可の篭った頷きが返される。
それらを受けて、タイキシャトルは子羊をーーーそっと抱き上げた。
(…ワ、オ)
軽い。柔らかい。それでいて、その毛の向こうに力強い鼓動と命の重さ。
懐かしい。
(…
そんな疑問がふと
嗚呼、そうだ。かつてこの楽園の中にいた。
このモフモフの中に、私は生きていたのだと。
(ここにーーー答えがある)
今目の前の、白い毛玉の中に。その向こうに。
意を決して、タイキシャトルはその中へ顔を埋めた。猫吸いならぬ、羊吸い。
そして、刻が満ちる。
ピキン、と己の中の何かが張り詰めた。
ビリッ、とした電流が流れた。
プツン、とハチ切れた。
タイキシャトルが、
「ウォアアアアアアアーーーッッ!!!」
「えっ」
「「ええっ?」」
「ゑゑゑゑ!?」
瞬間、爆裂!タイキシャトルの声にならない叫びが、音を伴わない心の雄叫びが、しかし夢か現か実際に周囲の人間や物体を押し飛ばした!!
「え、何だアレは!タイキがいつの間にか勝負服着て金色のオーラ出してるんだが!?」
「全身から稲妻も出てるわよ!」
「その至近距離で子羊が寝てるのおかしくない?まるで影響受けてないんだけど」
「牧路君、何よアレは?説明しなさい!」
「サーセン俺にももう訳が分からなDoor!」
オーラに巻き込まれた凱夏が吹っ飛び、いよいよ以て事態は混迷を極める。その渦中にあって、中心にあって、しかしタイキの心は穏やかだった。
「今のワタシは…
「えっ何それは」
「飽くなきフロンティアスピリットを持ちながら激しい安らぎによって目覚めたマル外のウマ娘…ちなみに1をすっ飛ばして2になってマス」
「…もしかして3もある感じかい?」
「もう少しでなれそうデス」
「なるなよ?絶対なるなよ!?」
リギル全員で包囲網を構築するも、出来る事は果てしなく少ない。何をどうすれば目の前の伝説のウマ娘が鎮静化するのか、当の本人すらも分からない状況なのだから。
そんな中で声を上げたのは、ルドルフ。
「そうか、
「えっコレが?」
「ああそうだ、間違いない!限られたウマ娘達がここ1番の勝負所で到達しそして得る境地、そこに今タイキシャトルは至っている!彼女の腰に装着されたホルダーと収まっているリボルバー拳銃を見ろ、あんな物はこれまでの彼女の勝負服には備わってなかった筈だ!今私達が見ているそれらは、
「もしそうだとしたら色々酷過ぎます!この作品で最初に出た
「あっ3になりマス」
「やめてタイキ!私達の余裕はもう0よ!」
「総員退避!この部室は放棄する!!」
「凱夏君はどうするんですか!?気絶してますよ!」
「構ってる暇無いだろ…!」
「もうダメだ!タイキはきっと爆発してしまうよ!」
「グメェ〜」
「ホァァアアアッ!!!」
「うーん、頭が痛て…何だコレはたまげたなぁ(白目)」
ドォンッ
その日、リギル部室はそこそこ大変な事になった。成人男性1名が全身を強く打って保健室のお世話になったが、すぐに復帰して滅茶苦茶になった部室の掃除に追われていたそうな。
ちなみに子羊は、尻尾の毛が異常に長くなりかつ悪人面になったタイキシャトルによって生産牧場に無事戻されたとの事。そのタイキの体の変化もじきに元通りになったという事で、今度こそめでたしめでたし。
〜〜
「って事が、リギル時代にあったのよ」
「ヤバ過ぎません?」
「ちなみにタイキは調子が爆上がりして、デビュー前なのに翌日の模擬レースで近く引退を控えていたバクシンオー先輩相手に本気の短距離勝負でハナ差決着に
「ヤバ過ぎィ!!」
「あの頃のおハナさん……部室を吹っ飛ばされた事で怒れば良いのか、タイキを絶不調から絶好調まで跳ね上げた事を褒めれば良いのかで悩んでたわね。ああ、懐かしい」
「でもどうして凱夏は羊を連れて来たのかしら」
「あとで本人に聞いたんだけど、タイキが牧場育ちで羊と戯れていたらしいから、その触れ合いに賭けたそうよ」
「はぇ〜すっごい」
〜〜
時は戻って、リギル部室が吹っ飛んだ夜。
『ハァイ、パパ』
英語で受話器に語りかけるのは、タイキシャトル。その相手は、遠く故郷の家族。
『うん、元気よ。それでね、ちょっとお願い事があるんだけど……私、好きな動物が増えたの』
若干の緊張を溜めながら、意を決して吐き出した言葉は。
『来年以降のバースデープレゼントが無くて良いから、
タイキ覚醒シーンでは「運命の日〜魂vs魂」をBGMに流す事をオススメします