これまでの超巨大モンスター用兵器は要塞内に侵入した敵を迎撃するための威力と射程距離だったが、今回記録した多段式加速砲ゲイボルグはこれまでの兵器とは比べ物にならない距離からモンスターを迎撃できる画期的な兵器として開発された。
火薬室を複数に分けて段階的に点火することで砲弾を押し出す爆発を累計50回に分けて起爆し、これまでとは比べ物にならないほどのパワーで砲弾を放ち、破壊力と射程距離をこれまでの限界を越えたそのさきを追求するというコンセプトの元に開発された。
強大な熱量と圧力によって砲身が変形しないようにエルレライト鉱石で出来た砲身を高い耐熱性を持ち、高い伸縮性を誇るアグナコトルの皮膚で包み込みヤツカダキやグラビモスなどからとれる強度が強く重量も重い甲殻をブラキディオスの骨髄を溶接材として繋ぎ止めることで強固で耐衝撃性と耐熱性にすぐれた長大な砲身を形作った。その砲身をもって先端部には圧倒的な硬度と重量を誇るディアブロスの剛角を加工したものを採用した砲弾とブラキディオスの粘菌を主原料とした規格外の火力を誇る火薬を組み合わせて放つ砲撃の貫通力と破壊力は想像を絶する。
今回は旧大陸と呼ばれる大陸の大規模商業都市に進行したシェンガオレンの迎撃として実施されたこの兵器の実践運用とその結果についてをここに記録する。
現代では旧大陸と呼ばれているこの大陸に生息していた砦蟹シェンガオレンが進撃を始めた。その進路予測地点には旧大陸でもかつては有名だった大規模商業都市が進路方向下にあった。もしも、シェンガオレンの進撃を許せば旧大陸の物流と経済に大きな打撃を与えることになる。ハンターギルドもこれに対し万全の体勢をもって迎撃に当たる。
その際に、この兵器の開発責任者にして有名な実業家であるハンス氏はゲイボルグによる火力支援として参戦を希望したのであった。
「始めましてハンスさん。私はギルドより派遣された兵器調査機関に所属するゲオルグと申します。」
「こちらこそ始めましてだ。早速だが君に今回の兵器運用コンセプトとプランを説明しよう。」
「まず、護衛部隊と警備部隊を配置する。そこからゲイボルグの設置作業となる。設置地点の特定後に予め建造し追えた砲身兼火薬室を連結させる。」
「なお、油圧式パイルで固定した土台に設置してから連結させてあるため、射角の調整も可能だ。その後に液状の火薬を注入する。主成分はブラキディオスの粘菌であるため細心の注意が必要となる。」
「後は照準をシェンガオレンに向けて、ゲイボルグを放つだけだ。そうすれば、ディアブロスの剛角で構成された弾頭部分がシェンガオレンの頭骨さえも貫通し、発射後に展開される起爆装置により奴の内臓を正確に爆破できる。」
「しかし、失礼ですが、この兵器は膨大な予算がかかるとされ、採用は見送られております。それがなぜ今になって建造が実現したのでしょうか?」
怒りの表情ではなく静かな表情を私に向けた。
「君はこの兵器が15年前にはもうすでに設計されており建造可能だったと言うことを知っていたか?」
「15年前...ハッ!」
私はハッとした表情となった。
「この大陸の大規模工業国家がシェンガオレンに蹂躙された日だ!まさか貴方は!?」
ハンス氏は表情をより一層険しく引き締めた。
「気づいてくれたようだな。その国は私の故郷でもあったのだ。」
「あの作戦は国が総力を上げて迎撃がに当たるもシェンガオレンによって国は壊滅したと報告されておりますが. ..」
「それは奴らの都合に合わせた誇張と解釈でしかない!あの作戦でゲイボルグを建造できた。そうでなくとも十分な迎撃が出来た!だが、ゲイボルグどころか、兵器の近代化を無駄な予算として、それに費やす予算などないとあの国の軍上層部は、戦いを結果と数値でしかしらない奴らは利権のために国防予算を捻出せずに私腹を肥やした結果、国そのものを滅ぼしたのだ!」
ハンス氏の眼から祖国の為政者への憤怒が感じられた。
「このゲイボルグがあれば、国は滅ぶことはなかった!私自身も妻と息子を喪うことはなかった!それを証明するために私達はこれまでを、そしてこれからを生きていくのだ!その為に、同胞と共に少しずつ資金と資源を集めてゲイボルグを建造したのだ!」
机を力強く叩きながら彼は声を荒げた。固く握った拳から悔恨と決意の念がにじみ出ていた。
確かに、彼が提出した報告資料にこの兵器を一門建造する際に、必要とされる資材の量だけでも武器・防具一式統一しても数十人分の武器・防具を製造できると報告資料にもかかれている。これを建造できるほどの予算と資源を確保・投入するにはよほどの譲れない感情がない限り出きることではない。そのような強い熱情を抱いた戦士たちを私は何人も見てきた。
ハンス氏本人はかたった。
「確かにこの兵器の運用は資源の無駄なのだろう。だが、約束したのだ。愛する息子との約束を果たすために。そして誓ったのだ。愛する妻の敵を討つことであの忌まわしい過去に決着をつけるのだ。」
ハンス氏は拳を固く握っている。ハンス氏の無念が伝わってくる。誰が彼を止められるだろうか。
~
王国最後の日の夜は砲火の炎と火災の炎によって赤く染まっていた。砦蟹シェンガオレンの蹂躙と兵士の抵抗によるものだった。兵士たちは火砲をもって反撃を試みるも火力が足りず、追い払うこともままならない。シェンガオレンのなすがままだった。
「最終防衛線突破されます!」
最終防衛線にはまだ避難していない人々が大勢いた。
「しっかりしろ!しっかりするんだ!死んではいかん!」
ハンスは避難が遅れて負傷していた息子を抱いていた。ハンスは妻をこの日のシェンガオレンの襲撃により喪っている。そしてまだ五歳の息子の命も今にも途絶えようとしている。
「お父さん...お父さんが作った大砲だったらお母さんを守れたの?あの大きなカニをやっつけられたの?」
「そうだとも。それを必ず証明して見せる。だから、その日まで生きてくれ!」
「ほんとう...?僕、お父さんの大砲すごく好きだからら...」
~
「私は息子の手を握りしめたが返事はなかった。金に一切の目を付けずに手を尽くしたがあの子は...救うことが出来なかった。妻も子も守れなかった。父親である私が命に換えてもなさなくてはならない使命だったのに...」
ハンス氏は無念の表情をしていた。
「奥さまとご子息様の敵討ちということですね。私に否定する資格はありません...」
「そうとも、君だけではない。誰にも否定も邪魔もさせない。そもそも、私がゲイボルグを今なお開発研究している一番の目的は敵討ちだけではない。あの子との約束を果たすためだ。そのために私はこれまで生きてきた。そしてこれからも生きていくつもりだ。約束を果たすまでは。私と私の同胞達はあの苦しい過去に決着をつけるためゲイボルグを完成させるつもりだ。そのゲイボルグをもってシェンガオレンを討ち取る。」
彼の瞳からは揺らがぬ決意が見える。だれが彼を批判できるものだろうか。
「わかりました。必ずゲイボルグをもってシェンガオレンを討伐しましょう。」
私は毅然とした態度で答えた。
今から4日後に現在設置中であるゲイボルグの射程範囲にシェンガオレンが現れるようだ。
「ゲオルグ。シェンガオレンの迎撃にゲイボルグを投入するためには今から設置作業を行うことが必要だ。君も協力してくれ。」
作業を断ることは出来なかった。後悔はしたくなかったからだ。後悔することがなかったとしても自ら進んで私は取り組んでいただろう。彼への憐憫ではなく敬意として。
油圧シリンダーの砲身傾向装置は最新鋭のものが導入されている。細かいパーツに至るまで近代化を重ねているようだ。彼等は私とは比べ物にならない速度で作業を進めている。だが、作業が遅れている私を責めることなく自らの作業に没頭している。文字通り寝食を考えている間がなかった。
ハンス氏は開始から1日かけてゲイボルグ設置作業の全てを完了させた。
ゲイボルグ発射実験当日が訪れた。物資、心身ともに不備はない。その日の気候もゲイボルグの妨げになる要素にならなかった。ゲイボルグの設置作業も完了している。後は火薬の注入とシェンガオレンが射程圏内に来ることを待つだけだ。誘導作業とゲイボルグの護衛もハンス氏の同胞が担当している。
「なあ、あいつらなにやってるんだ?」
「超長距離砲とやらの試験運用だとよ。こちらを巻き込まないでほしいもんだよな。」
「ああ、全くだ。邪魔くせえったらありゃしねえ。オモチャ作りならよそでやれよな。」
「こちとらあんなもんに期待してねえよ。」
自衛軍による陰口が私の耳に流れ込んでくる。
私は彼等を説き伏せることができたい不甲斐なさと誹謗への怒りを圧し殺し、ハンス氏の元へ向かった。
ゲイボルグの設置作業が開始されているなか、私は申請に対するギルドの回答を告げた。
「私達とは違う国防軍隊との合同でかつ、彼等の活動を妨げない範疇の行動で遂行にあたるというなら許可するとのことです。」
ハンス氏は嬉しそうではなかった。約束を果たすため、ゲイボルグを使用することをギルドが許可したのだというのに?
「私達には期待していないということだろう。実際奴からは少なく見積もっても設置地点から最短でも50kmほどの距離があるではないか。」
確かに、戦艦の主砲をもってしても届く距離ではない。
建造と装填が完了し、交代作業による火薬の注入作業が終わるまでは出来ることがなく、交代で警備を行いながら半日ぶりの食事となる昼食を取ることに。
その日の昼食にはザワークラウトが振る舞われた。
「このザワークラウトは社長が奥さんから教わった漬け込み方で漬け込まれたんだよ。あんたも俺たちの仲間としてこの味を覚えておいてくれよな。」
私はザワークラウトを飲食店やホテルで何度か食したことがあるがこのザワークラウトはどのザワークラウトよりも美味しかった。
結局ゲイボルグは四門建造された。今回の作戦では一門につき、一発のみの発射となることが現実的見解だと言う。
ここからシェンガオレンは約60kmほどある。そこから届く砲撃をできるのか?
「ハンス社長!シェンガオレンは今でも60km程の向こうにおり、今なおここから遠ざかっていきます。砲撃が届くとはとても思えないのですが...」
「届くとも!ゲイボルグの最大射程距離は80kmだ。ここからなら十分だ。」
にわかには信じられないが、ハンス社長は会心の笑みをもって答えた。
実際工兵達は設置作業の手を緩めない。
「1番から3番までの加速用火薬注入完了しました!」
「残りは4番砲台だけだな!いそげ!一番から三番砲台は狙いを定めろ!」
発射の時は近い。
望遠鏡で向こうを見てみるとやはりシェンガオレンを食い止めることはかなわない。バリスタの砲弾や大砲の砲弾がシェンガオレンに向けて殺到するもシェンガオレンの甲殻にダメージを十分に与えられていない。
「全火薬注入完了しました!砲撃いつでも可能です!」
シェンガオレンの強酸砲撃あるいはその暴発を防ぐべく狙いを脚部に変更し、全砲門を脚部のつけねに向けて照準に変えた。
そこに千刃竜セルレギオスが現れた。
通常ならそこから待避するのが常識だが、セルレギオスの急襲にカレラは誰一人とて眉一つ動かさない。
「計算外の事態だが、対応可能だ!拘束弾一門撃て!」
バリスタ式拘束弾がセルレギオスの動きを封じた。その間に護衛部隊の1/3の兵士がセルレギオスを包囲した。彼等はセルレギオスの襲来もその鮮やかな対応にも目を向けない。そして、彼らの無反応にバリスタの砲主も不満の表情は微塵もない。みな全ての精神をシェンガオレン討伐に集中していると言っても過言ではない。
砲撃部隊はセルレギオスに目を向けず、引き続き照準をシェンガオレンに向けていた。
「第一から第4砲台発射準備完了!」
その時だった。シェンガオレンが脚を上げ、ラオシャンロンの頭骨の口の部分を開いた。硫酸ブレスを放つつもりのようだ。もしあれを放たれたらこの町は大変なことになる。
ハンス社長は砲撃用意が完了した合図として撤退勧告の信号弾を放った。
「撤退のチャンスだ!」
「そうだ!あいつらのために逃げるんだ!俺たちのせいじゃない!」
「だが、ここは俺たちの街だぞ!」
「あんなものに俺たちの街を賭けろっていうのか!?」
発砲音がなった。
総隊長が現在の喧騒を納めるべく拳銃を空に向けて放ったのだ。
「今の我々の戦力では奴に太刀打ちすることは出来ん。一度体勢を立て直すのだ。そして、あの兵器に賭けてみるのだ。」
「総隊長...」
「それしか道はない!総員一時退却だ!信号弾は私が放つ!」
総隊長の迅速な指示により退却の体制が整い退却が完了した。
~
彼等は道を譲るかのごとく退却していった。我々への配慮だと思いたい。今は不要な詮索は捨て去り、作業に集中するべきだ。
望遠鏡を再設計して開発したスコープが拘束弾によって動きを封じられているシェンガオレンを捉えている。この時のために何発もの試射をかさねていた。砲撃をはずした際のリスクが極めて大きいことはこの兵器の欠点のひとつだがハンス氏は確信している。彼等が砲撃をはずすことは万が一にもないと。
「全砲発射!」
「撃てーっ!」
英雄の槍の穂先は大きな火を吹き、同時に3mほどあるディアブロスの剛角を中心とした素材で作られた砲弾が発射された。
まるで撃龍槍のような大きさの砲弾が風を切りシェンガオレンの脚部に突っ込んでいった。
ゲイボルグによる砲撃はシェンガオレンの脚を複数まとめて粉砕し、シェンガオレンを横転させた。
当然そんな状況で強酸を発射できるはずもなかった。
「やったぞ!」
国防隊は歓喜したが、ハンス氏の表情は険しいままだった。すでにシェンガオレンは満身創痍となっているが未だ健在であることも事実だ。シェンガオレンを仕留めきれなかった事実はハンス氏の顔をしかめさせる。剛弾を放ったゲイボルグの砲身は所々が焼けついており、そのままでは再発射は困難だ。
その攻撃がシェンガオレンを怒らせて、シェンガオレンは残された脚そして前脚を使ってどうにか立ち上がり進路方向をこちらに変更してきた。
ここまでくるのにはそう長くはないだろう。
先ほどハンス氏が険しい表情のままだったのはこれを見越してのことだろう。
退却が当然の判断とも言えるが、誰一人とて退却する様子はみられない。
「総員、威力が落ちた一発だけでも構わん!砲弾と砲台を再び組み合わせてゲイボルグの再発射にかかれ!」
ハンス氏は思いがけない指示をした。
「あれはもともと使い捨ての兵器でしょう!?それを今から組み直し、再発射なんて無茶です!」
「黙れ!私も、同胞達もこの時のために生きてきた!君に口出しする資格はない!この時を逃したらあの時命を失った同胞に顔向けが出来ない!私達には最初からこの機をもって約束を遂げる覚悟を決めているのだ!それに!」
「ですが今は、街の住民避難と退避のために行動することが優先です!これ以上の戦闘は...」
思わずハンス氏の話を遮った。それほどまでに私は感情的になっていた。
「これは私達だけの問題ではない!奴を食い止めなければ奴の進路方向にあるあの町村を故郷としている人々が故郷を喪うことになるのだぞ!それを防ぐべくなんとしても奴をここで仕留めないとどれだけの人命が喪われるか!私は奴によって誰かが第2・第3の私になるのをなんとしてでも防がなければならないのだ!」
私はハンス氏の言葉に反論できなかった。
彼の信念を誰が否定できるだろうか。
「... わかりました!出来る限り、いえ、必ず組み直しましょう!」
「ありがたい!」
私達は一心不乱に残された4番砲台の再調整に取り組んだ。
防衛に向かったハンターや兵隊の懸命の活躍により、シェンガオレンは脚をたじろかせている。しがらみも体裁も関係ない。今はただ、目の前の脅威であるシェンガオレンを退けるだけだ。残された時間は少ない。間に合うのかという不安を捨て去り一心不乱に作業に取り組んだ。
双方の懸命の努力の結果、急造の砲台を発射する用意を完了させた。急いで装填を行う。
「ゲイボルグの整備は完了した。一発あれば十分だ!君は私の同胞達の退避誘導を頼む!」
「ですが、火器管制はどうするんですか?直接操作したら貴方の命に関わるほどの反動による衝撃が...」
「君に言われなくともわかっている!大砲の時代の幕引きを私にやらせてくれ。」
私に鍵を投げつけた。
「君は私を見殺しにしたのではない。私の願いを聞き入れてくれたのだ。ありがとう。その鍵は私の私室の金庫の鍵だ。その中に妻子の思い出の品とザワークラウトのレシピが書いてある。作ってみてくれ。」
過ぎ去り際に微笑みながら言った。
シェンガオレンはすぐそこにいる。
「約束を今度こそ果たして見せる!くらえ!シェンガオレン!」
急遽組み直したゲイボルグによる至近距離からの第2の砲撃によって飛び出た砲弾は一度きりの砲撃にして最後の一撃となった。至近距離から放たれた砲弾は露出されたシェンガオレンの弱点に着弾した。内臓がつまったシェンガオレンの弱点は外殻もラオシャンロンの頭骨も貫通するゲイボルグの砲弾が突き刺さり爆発した。内臓が集中している弱点を破壊されてシェンガオレンはその場に崩れ去った。私達は飛び散ってくるシェンガオレンの破片や内臓そして倒れてくるシェンガオレンそのものから退避するので精一杯だった。私はハンス氏を担架にのせて急いでその場から走った。
シェンガオレンの侵入は阻止された。ゲイボルグによってこの町は救われたのである。
だが、歓声はなかった。私も喜びではない感情で押し潰されそうになった。
我々に影口を言っていた国防軍隊の隊員達が私に歩み寄ってきた。
「なあ、あんた。あんた達のおかげで俺たちは生き残れたよ。あんた達が頑張って作ったあの大砲の砲撃がなければ俺たちの街はなくなってたよ。だからさっき俺たちが言ったことは取り消させてくれよ。」
「すまねえ。俺たちは大口叩いていたくせになにも出来きなかった。」
「あなた方のお陰で私たちの街は救われた。礼を言わせてくれ。」
防衛隊総隊長は礼を言った。
「聞きましたか?ハンスさん?」
「耳にしたとも。君にいわれるまでもなくゲフッ!」
彼は吐血した。
「失礼したな。内臓をやられたようだ。」
「ここで死んでは行けません!しっかりしてください!死んでは行けません!」
私の訴えを聴いたハンス氏の表情は微笑んでいた。
「ありがとう。ゲオルグ。」
「みてくれていたか?お父さんの大砲はあの蟹を倒したぞ。約束は果たしたぞ...。」
それがハンス氏の最後の言葉だった。
ハンス氏の遺体は妻子のとなりに埋葬されることとなった。それがハンス氏の希望だったからだ。
「あの人の思いをしっかりとギルドに伝えておいてくれよな。」
副会長が私に言った。
「勿論です...あなた達の奮闘を後世に伝えます!」
多段式超長距離加速砲ゲイボルグ
建造・運用・整備すべてのコストを度外視されたこの兵器を作るためには一門につきG級防具一式30個分の素材を必要とし組み立てにも記録でも1日はかかり、現実的な見解では2日ほどかかるこの兵器は、威力の減衰と引き換えにパーツが揃っていれば半日で再建造と再発射が可能になるという整備性を踏まえても超大型モンスター迎撃としても実用性に難がある。さらに、この兵器は老山龍級の巨大モンスターに致命的なダメージを与えられる反面もしも砲撃をはずした際のリスクを考慮するとこの兵器は確かに量産・運用は困難だろう。
しかし、この兵器の威力そのもののみならず、この兵器に搭載されている照準装置の性能もあり、80km先の相手を攻撃できる射程距離は無視できるものではないだろう。
現在課題となっている諸要因を解決することが出来ればこの兵器が再びモンスターの脅威から人々を救う力になると私は信じている。
したがってこの兵器のコストダウンと取り回し改善を行った兵器の開発研究を希望する。