これができただけで満足してる俺がいる
アンケート分消化してきます
今日はなんと遠出して隣町まで来ちまった。なぜならNFOの一大イベントがあって、あことゲーム仲間でRoseliaのキーボード担当の燐子先輩に誘われたからだ。
「りんりん、そう兄、今日は楽しみだね!」
「うん……今日はあこちゃんと蒼太君と一緒だから、楽しみだったよ」
「ま、俺だけなら良かったっすけどね」
そう言いながら俺は自分の左側を見る。
「お兄ちゃんお兄ちゃん♡」
妹よ、流石にそろそろ兄を自由にさせてくれ。休日だろうと平日だろうと六花はバイトが入っている時と旭湯の手伝いをする時以外俺にべったり状態なんだ。
「蒼太君と六花ちゃんって仲がいいんだね」
「どうもどうもお陰様で仲がよろしゅうございます」
このくだりも何回繰り返したことか。俺はもう間違えない、勘違いなんて口が裂けても言わないぞ。
「えーっと、ここが会場みたいなんすけど、人多すぎやしませんかね」
「やっぱり貰える装備が強いからなのかな〜。ね、りんりん……って大丈夫!?」
「オウチ、カエリタイ」
そういや燐子先輩って人見知りだったんだな。たまにライブ見に行くとめっちゃ堂々とキーボード弾いてるのにこのギャップよ。
「やばい、惚れそう」
「お兄ちゃん……?」
「そ、蒼太君!?」
「あ、やっべ」
思ってたことが口から滑り出したんですね。ヤバいやつ? いっちゃしヤバいやつよな?
「わ、私、心の準備がまだ……」
「冗談です。キャラに対して言ったので忘れてください」
「冗談でも許さないよ。お兄ちゃん、分かってるんだよね?」
「ろ、六花が堕天しかけてる……」
我が妹六花よ、あんたさらに病み深くなってません? そうだな、あこ風に言うなら「堕天使六花」って感じか。でもそれ考えてるどころじゃないんですけどね。
「落ち着くんだ六花、二次元にならいいだろ?」
「二次元でも三次元でもダメなものはダメ。大体、画面にしか映らないキャラに負けてるのがムカムカする」
そうやって怒ってほっぺた膨らませてるのが可愛いと気づいていらっしゃらない? 蘭に鈍感って言われたけどさ、その点六花も無意識でやってるなら鈍感って言えるよな。
「そう兄、りんりん、そろそろ入場始まるよ!」
「一気に流れ込んでパンクしそうな勢いだな。六花、はぐれんなよ」
「もちろん♪」
会場に入場は出来ました。会場に入場は出来たんだよ。大事な事だからもう1回、会場に入場だけは出来たんだよ。
「なんではぐれんなって言ったのにはぐれんのかなぁ」
「しょうがないよ。人多かったもんね」
「そうなんすけど、燐子先輩大丈夫なんすか?」
「はうっ!? やめて、忘れ、かけてたんだから……」
「う、うっす。さーせん」
どうやら俺と燐子先輩、六花とあこの2組に別れちまったらしい。さっき六花から連絡が来て、今は奥のネクロマンサーのブースにいるらしい。
「そんで俺と燐子先輩がいるのは魔術師のブースの近くと」
比較的入口に近い魔術師のブースと奥のネクロマンサーのブース、ここから合流してもいいけどかなり時間食われそうだな。
「よし、めんどくさいんでさっさと回っちまいましょうか」
「あこちゃんと六花ちゃんはどうするの?」
「二人は奥の方のブースにいるんで別行動の方が良さそうなんすよね。俺もさっさとこんな人の多いところから出たいんで」
「うん、そうしよっか」
と言いつつも、六花と離れて平和な時間を一分一秒でも長くするための言い訳である。
「にしても込んでる込んでる」
燐子先輩の魔術師のブースはめちゃんこ混んでたから俺のビーストテイマーのブースに来た。隣にあるし、かなりマイナーな
「体験型クエストあるんだね」
「しかも2人1組だから別れて好都合っすね」
ここに六花がいなくて良かった。いたら修羅場になってるやん。だってNFOに関しては燐子先輩とあこの方が詳しいから2人のどっちかと行きたいんだもん。
「ロボットなのにフサフサ……可愛いよ」
「そうっすね、めっちゃ可愛いっすよ」
体験型クエストはゲーム内の魔獣型モンスター、カーバンクルを模したロボットの治療をするものだった。カーバンクルは俺もよくテイムするモンスターだし、可愛いのは認めるしかない。
「まじで幸せやわぁ〜」
これを燐子先輩と一緒にできるとか至高の極み。カーバンクル愛でてる燐子先輩も可愛いし、カーバンクルも可愛い。平和で何より。
「よっしゃシリアルコードゲットだぜ!」
「よかったね。今度は魔術師のブース行こっか」
「うっす。また混まないうちに行きましょうか」
そういって魔術師のブースに来たんだけどさ、相変わらず混んでて凄いんだよ。
「ソウタクン、ヒトオオイヨ、タスケテ」
「それはわかりますけど……ちょっと離れてもらわないと」
「コワイッテバ」
並んでいる列もアホみたいに人がいるからぎゅうぎゅうで燐子先輩は耐えきれずに俺の腕に抱きついてきた。やめてください、六花にもめっちゃやられるけど先輩のはレベルが違うから。
「やっと中に入れたよ……大丈夫?」
「まぁ、なんとか大丈夫っす」
心臓に悪い体勢のまま体験型クエストが始まった。今回は2択のマルバツゲームでモンスターの名前やプレイヤーが使えるアイテムとか技の名前とかが問題になっていて、正解の扉を開けていくものだった。
「この問題はゴールドドラゴンっと」
「ここはマジックポーションだね」
順調に進んで行ったけど、最後の最後の問題で俺と燐子先輩はつまづいた。
「アメジストスライムってこの間修正入ったから弱点属性変わったはずなんすよねぇ……」
「確か毒と闇と爆破と……」
「スマホっていうチート使います?」
「ううん、ここまで来たんだから2人で頑張ろうよ」
「了解っす」
だけど本当にこの問題は難しい。アメジストスライムは公式サイトにも情報が出回らないほどエンカウント率が低いモンスターで、俺も2回ぐらいしか会ったことがない。その時の武器は両方爆破だったから爆破が選択肢にあったら楽だったんだけど今回ないんですね。
「あれ、この前の修正って上方修正だっけ?」
「確か下方だったはずっすよ。元々物理属性は弱点属性に入ってなかったんでわかんないっす」
「鉱物系スライムはどのモンスターも物理属性は弱点属性になったたよね?」
「確かそうっすよ。それじゃマルにしますか?」
「うん。お願い、当たって……!」
少し脅えながら扉を開けると外につながっていた。要するに脱出、ゲームクリアってことだ。まじで良かったわぁ。
「やった、やったよ蒼太君!」
「よかったじゃないっすか」
「そろそろあこちゃん達と合流できそう?」
「連絡してみますね」
連絡すると六花だからすぐに返信が来た。とりあえず出口で待ってるとのこと。ま、今日は楽しかったから満足満足。
「今日はマジで楽しかったっすよ」
「私も楽しかったよ。シリアルコードも手に入れたし、これでNFOでも強くなれるね」
「さてさて、六花達を探すか」
「あ、あのね、蒼太君、もしかしてあそこで……」
「あそこっすか?」
燐子先輩が指さす方を見てみると六花とあこがいた。だけど2人だけでなく、3人のガラ悪そうな輩に絡まれてた。まぁ十中八九ナンパだろう。
「おーい六花『やめてください!』あ、ヤバいやつ?」
「いいじゃんか、どうせ2人だろ」
「お兄ちゃんを待ってるんです!」
「そ、そうだよ! そう兄来たらやっつけちゃうんだから!」
なんでこういうことになるんですかね。平和だった分の不幸回ってきた?
「あの人たち知ってる……花咲川のヤンキーだよ」
「まじっすか」
「あ、お兄ちゃん! こんなやつらやっつけちゃってよ!」
「おいおい、生徒会長も一緒に来てたのかよ。生徒会長も連れてこうぜ」
ガラ悪い奴はそういいながら近づいてきた。髪染めてるし、ピアスしてるからイキリやん。ピアスも見た感じノンホールだから穴あける度胸ないんかい。
「私のお兄ちゃんはすっごく強いんだから! 中学校の時に悪い先輩ボッコボコだったんだからね!」
「お、おい! それ言うなって言っただろ!」
「そうかそうか、それなら生徒会長攫ってやるからかかってこいよ!」
「はぁ……燐子先輩、1歩後ろに」
「う、うん……」
ガラ悪いヤンキー1号が燐子先輩に掴みかかろうとしたので俺はその腕を跳ね飛ばした。
「お、やる気になったのか? 年下だからって容赦しねぇからなっ!」
「力が弱くても技があれば勝てるんでね」
「おわっ!?」
「お、おい! 大丈夫か!?」
ヤンキー1号が目標を俺に変えて殴りかかってきたので、突き出された腕の手首を持って勢いのままヤンキーの体をぐるりと回した。するとヤンキーは俺に背を向けて腕を掴まれてる状態になった。
「いってぇ!」
「おいこらてめぇ!」
「わー怖い怖い」
続けて向かってきたヤンキー2号3号のグーパンも避けて、それぞれ脇腹に1発、脾臓に1発グーパンを入れてやった。
「こ、こいつ強え……」
「俺の妹をナンパしようとした罰だ。これに懲りたらこんな可愛い妹には手を出さないように」
「う、うっす。気をつけます….…」
これにて一件落着。一本締めでもしたいもんだ。
「おっにいちゃーん!」
「だから抱きつくなって!」
「いいじゃん! 怖かったんだもん!」
「はぁ……だっる」
「ふんっ、お兄ちゃんがそんじょそこらのヤンキーなんかに負けるわけないんだから。中学校の時なんか空手も柔道も合気道もやってたし、学校のアタマはってたヤンキーなんだからね!」
言わないでって言っといたのにさぁ……
「そ、蒼太君ってヤンキーだったの?」
「し、知らないっすねぇ……」
「お兄ちゃんは元ヤンキーですよ。でも弱いものいじめしないし、みんなの味方だからかっこいいヤンキーでした!」
「そう兄って昔からかっこよかったんだ!」
「黒歴史だからやめてくれ」
あのころは凄かった。ちょっとカッコつけて女子の手伝いしてみたり、遅刻してでも人助けしてたぐらいだから今となっちゃ黒歴史。俺があんなことしてたと思うと……まじ無いわ。
「お兄ちゃんはもっと色んなことやってたよ」
「もう少し、蒼太君の昔の話聞いていい?」
「あこも聞きたい!」
「それじゃファミレスで話しますよ!」
どうやら妹は俺の黒歴史を全て暴露するらしい。これで噂がまたこじれてくんだろうな。
また長くなっちゃった
次回
ダンス部合宿